その後の「ウルトラセブン」~その2・地球環境と人類の選択~

 今回からはついにオリジナルビデオ作品として発売されたシリーズを連続で扱ってみたい。今回は1998年にリリースされた「誕生30周年3部作」からだ。このシリーズは前段となる2本のTVスペシャルを承る形をとってはいるが、新規に編成されたウルトラ警備隊と、地球人類を影からそっと見守りつつ、その行く末を案じている一人の宇宙人・セブン=ダンがどうやって絡んでいくかが重要なシリーズとなっている。このシリーズで面白いのは、別々で行動しているはずのウルトラ警備隊とダンの行動規範や思想が一致しており、物語の運びがスムーズな点だ。これによってかつてダンがウルトラ警備隊として活動していたころとさほど変わらない活躍が約束されており、TVシリーズの時のような雰囲気を保ったまま3話分のエピソードを見せ切っている。この点は後続のシリーズがダンと警備隊や防衛軍の思惑が一致しなくなってからの物語と比べると、格段にわかりやすい物語構成となっている。また「地球の環境汚染」が、先行のTVスペシャルから引き続いて話題の中心にあることも、本3部作の特徴でもある。まずはその物語から見てみよう。

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<失われた記憶>
 発売は1998年6月。フルハシ参謀のもと、シラガネ隊長率いる新しいウルトラ警備隊が着任したところから物語は始まる。前作「地球星人の大地」のラストで、メトロン星人の野望をくじいたセブンは、その戦いの中で巻き込まれた大爆発によって記憶を失っており、市井にまぎれていた。母娘二人の家族に引き取られたモロボシ・ダンは、優しい母娘と暮らしながら、遺跡発掘調査に従事していた。だがその発掘現場は開拓地となっており、開発を請け負った建設業者が出入りしていた。その建設業者の社長室で、突如社長が記憶喪失となる。時を同じくしてテクノシティの人々が記憶を失う事態が多発していた。事件に懸念を持ったウルトラ警備隊は早速調査を開始する。そして警備隊は事件の背後に、未知の植物が関係していることを知る。その植物は地球外より持ち込まれたもので、地球上の植物よりも炭酸同化作用が強いことを知る。だが酸素を発生する段階で人間の記憶を喪失させる作用が起きるという。警備隊はシティから頒布された未知の植物を処分するために、東奔西走する。そしてこの植物を流通させていた業者を調査する過程で、警備隊は自分の記憶を取り戻そうとしていたモロボシ・ダンと接触する。時を同じくして発掘現場から現れた謎の飛行物体が出現し、警備隊はウルトラホーク1号を出撃させて迎撃し、ついにこれを撃墜する。その先に向かったダンは、事件の黒幕であるヴァリエル星人の侵略意図を知り、ついにその記憶を取り戻し、ヴァリエル星人を撃退するのである。

<地球より永遠に>
発売は1998年7月。火山活動が活発化した不動岳。異常を調査しにやってきたウルトラ警備隊の面々は、硫化ガスが蔓延したためにマスクなしでは人が生きていけない環境下となった山中で、半裸の男と出会う。その男を調査した結果、男の体内から新種の硫黄細菌が検出される。この硫黄細菌のために男はマスクなしでも活動できたのだ。何者かが男に硫黄細菌を移植した。ウルトラ警備隊は不動岳周辺の調査にあたる。
一方、ダンは何かを察知したのか、破格の待遇で職を斡旋する街を訪れていた。そこでは若者が次々と行方不明になっているという。ふらりと立ち寄ったバーを仮の宿としたダンだったが、謎の電話を受け取った直後にダンを助けたバーの女性ナツミは殺され、ダンはお尋ね者になってしまう。フルハシはこの事件を知ってカザモリとサトミを現地に派遣するが、ダンはカザモリの姿を借りて、サトミとともに再び街に潜入する。そこでカザモリ=ダンが見たものは、硫黄細菌を埋め込まれていく若者たちだった。ナツミは、ダンに語る。すべてを焼き尽くされた地球を支配するのは、硫黄細菌を移植された選ばれた人間たちだと。カザモリ=ダンはメッセンジャーとしてガッツ星人からのディスクを携えてウルトラ警備隊に戻る。そのディスクに記されていた内容は、10年以内にマントルプリュームによって地球人類は絶滅するという予言のようなものだった。この災害の中でも生き残る可能性があるのは、硫黄細菌を移植された人間だけなのか? 防衛軍内での会議の結果、ガッツ星人の提案を退けることとなる。街に乗り込む警備隊と防衛軍。サトミの救出にも成功し、ウルトラホークによる街の爆撃も始まった。爆撃された工場跡からガッツ星人の宇宙船が現れる。そしてやおら現れた怪獣サルファスと戦うセブン。何人もその星で生まれ死にゆく人々の運命に踏み込んではいけないのだ。その想いを胸に戦うセブンだったが、サルファスが吐き出す硫化ガスによって太陽光が遮られ、ピンチに陥ってしまう。だがシラガネの機転によって窮地を脱したセブンはついにガッツ星人の野望を砕くことに成功する。

<太陽の背信>
発売は1998年8月。宮西村で金の塊が土中から発見され、騒ぎになっていた。何者かが何を目的に土を金に変えたのか? ウルトラ警備隊は調査に向かう。だが金を集めに来た人々の中に、金に執着して争う人々と無気力になっている人々がいる。どうやら争う人々の前に現れた謎の瞳が、人々から闘争心を奪っている。しかも瞳にコントロールされた人々が、ダンを襲い始める。ダンは再びカザモリの姿を借りて捜査を続行する中で、村に移住し、孫たちと暮らす元・原子物理学者と出会い、彼が実践している自然の中の暮らしに感銘を受ける。
どうやら謎の瞳は人間の怒りや欲望といったマイナスエネルギーを吸収し、自在に操っているようだ。カザモリは謎の瞳が隠れている場所をつきとめる。謎の瞳はバンデラス太陽の化身であり、バンデラス太陽系と地球とをつなぐスターゲートを通じて地球に来ていたのだ。そしてバンデラスの太陽は、地球人類の欲望と憎しみの膨大なマイナスエネルギーを使って、その尽きかけた寿命を延ばそうとしていた。バンデラス太陽は、警備隊に懇願する。地球に平和をもたらす代わりに、マイナスエネルギーを与えてほしいと。さっそく参謀会議にかけられる。ウルトラ警備隊の中でも意見は割れる。だが参謀会議は、人間の尊厳を信じる方向性を採択し、スターゲートの破壊を決定する。だがその決定に心揺らぐフルハシ参謀。翌日、スターゲート爆破のため、村に急行する警備隊。だがバンデラスの化身は村人を焚きつけて警備隊と敵対させる。カザモリとシマに村人をまかせて爆破に向かうサトミ。だがバンデラス星系の数多の生命の行く末を案じて爆破を逡巡するサトミ。しかしそこに現れたダンは、バンデラス星系に生命がもはや存在しないことを明かす。バンデラス太陽のささやかな異変は、その太陽系に暮らす生命には天変地異に等しい異変だった。そのため人類の一部は移住先を求めてバンデラス太陽系を立ち去ったのだという。だが再び太陽として燃え盛る妄執に取りつかれたバンデラスは、爆発とともに巨大な怪獣となって現れる。ダンはセブンとなってこれを撃退する。この事件のあと、ついにフルハシはダンと再会する。そして次の再会を誓うのだった、たとえ命がめぐっても・・・と。

<環境汚染が落とす影>
 3部作の1話では炭酸同化作用の強い植物、2話では硫黄細菌というタームが出てくる。この2つに共通しているのは地球環境の悪化に対するカウンターという点だ。
1話に登場する植物は二酸化炭素を吸収し酸素を排出する地球上の植物の強化版で、一聴すると現在の二酸化炭素過多な現在の地球環境からすれば、確かに救世主に見えるかもしれないが、その一方で人間の記憶が失われるという問題がある。物語はこの記憶喪失の問題を指摘して、植物が有する現在の地球環境への有効性を否定して見せる。本当のことを言えば、これはあまりにも地球環境を激変させる可能性を秘めているので、安易に肯定してほしくない話。地球の大気は、窒素が約80%に酸素が約20%ほどで、これが人間の体にもちょうどいい組成になっている。ちょっと調べていただければわかる話だが、純粋な酸素は人体に有害な物質であり、大気中に酸素量が増えることは、人体への影響も少なからず発生することも考えられる。そもそも地球の長い歴史の中で生物に適応してできた大気環境が変化する事態は避けるべきだろう。
硫黄細菌によって人体改造が行われ、来るべき人類絶滅規模の環境悪化があった場合に適応できる体を得るという件がこの話の肝となる。大気環境が硫化ガスを想定して、これに対応した人体改造を施しているのだが、地球上の生物が絶滅するような環境の激変は、なにも硫化ガスだけではないように思うのだが、どうだろう? 火山ガスの主成分はほとんどが水蒸気であり、硫化ガス以上にやっかいなのは熱そのものといっていい。まあこれは些細な突っ込みだけれども。ちなみに2話冒頭に登場する半裸の硫黄人間だが、このイメージって、「怪奇大作戦」の封印されている24話「狂鬼人間」序盤に登場する日本刀を持って暴れる男のスチールが思い出されるのだが・・・、ま、無関係だよねw

ただ、どちらのタームにしたところで、その話題の中心が地球環境の悪化によって人類が、自らの首を絞めるように緩やかに危機に瀕しているという状況が影を落としていることは間違いない。しかもそれは先行するTVスペシャルでの話題とまったく同じきっかけといえる。前回も述べたことだが、SFを扱う以上、こうした滅びに瀕した地球人類という背景を元に物語を作ること自体は、決して悪くはない。たとえ使い古されたテーマだろうが、SF的に触っておくにしくはない。しかもそれをきっかけにして、これらのタームが人類にどう選択を迫り、人間がどう選択をしていくかが、3部作のキーともいえる。

<人類の選択>
 先述の「選択」が一番色濃くでたエピソードが3話だろう。バンデラス太陽系の生物の生存とバンデラス太陽自体の寿命、地球人類からの特定の感情の削除とそれによる平和。この2つが天秤にかけられるのがこの3話目の要諦となる。結果としてバンデラス太陽系に生物はいなくなっており、バンデラス太陽は自身の復活に理由がなくなってしまうことで、地球防衛軍側の選択は正しかったことになった。でもこれはあくまでの結果としての話であり、バンデラス太陽系に生物がまだ残っていたとなれば、この選択にはまだ問題がのこるわけだ。
物語終盤、ダンがバンデラスに対して、すでに人類が移住先を見つけて避難したことに対して、「バンデラスの生物は君を見捨てた」というセリフがあるのだが、これが実に重い。たとえば「宇宙戦艦ヤマトIII」はガルマン・ガミラスの惑星破壊ミサイルの流れ弾によって太陽の核融合が異常増進し、地球に人類が住めなくなるので移住可能な惑星を探査する話だが、この話をもって地球人類はこれまで恩恵を受けてきた太陽を見捨てたといわれるのだろうか? 人類の生存を最優先とした場合、人類の選択として移住先を探したとて、それをもって太陽を見捨てたなどと、セブン=ダンは言うのである。ただこのセリフの裏には、M78星雲光の国における、セブン自身が体験した事態が色濃く反映されているのではないか。かつての光の国で起こった太陽の消失と人工太陽プラズマスパークの建設、そしてプラズマスパークの大爆発による超人化という経験は、他の星ではなかなか経験できない事態であることは疑いえない。もちろんセブン自身が当事者ではないだろうが、人類自身が滅びゆく太陽をどうにかしたいという動きがないのであれば、バンデラス太陽系の生物はセブンに弾劾されてもしかたがないのかもしれない。だがなんとも手厳しい物言いではある。
現実の話としても、数十億年後の太陽は膨張を始め、水星や金星は太陽に飲み込まれるという。膨張は地球の軌道近くまで膨れ上がるようで、地球が太陽に飲み込まれることはなさそうだが、地球は居住可能な惑星ではなくなるという話がある。地球人類がこの物語を架空の話だと笑っていられるわけではなさそうだ。地球人類だってもし移住先を求めて外宇宙に出ようとした地球人類をダンが目にしても、ダンは人類に同じことが言えるのであろうか?

本3部作では一度は記憶をなくしてしまったダンが記憶を取り戻すというシークエンスが最初に登場する。また最後のフルハシとの邂逅のシーンのセリフには、「人間になりたいと思ったことも・・・」という言葉を口に乗せている。これが対になっていることに今回の視聴で初めて気がついた(遅いわっ!)。そんな地球人類への帰属意識が高いダン=セブンは、これ以降の平成セブンシリーズの根幹となる「宇宙人が他惑星の人類の歴史に干渉してもいいのか」という命題に踏み込んでいく。3話でみせたシマとサトミの思想的対立も次のシリーズでもみられ、サトミ自身を追い詰める遠因となっていく。そしてサトミが投げかけてい問題点は、そのままウルトラ警備隊の立ち位置を揺るがしていくことになる。まさしく1999最終章6部作への序章になっているわけだ。またカザモリとダンの関係性も注目すべき点となる。特に主役がダン→カザモリにコンバートし、自分がセブンとして活動していた経験が何だったのかを問いかけるカザモリのドラマは、「EVOLUTION5部作」へつながっていく。こうして平成セブンという作品群は、前作でまかれた種を花開かせるだけでなく、さらに掘り下げようと試みている作品群だといえる。それはまた視聴者層を限定していく作業でもあり、ドラマの重みを増していく結果となるのだが、少なくてもこの3部作だけはコメディありシリアスありと、バラエティに富んだ見せ方をしている各話単独の娯楽作となっている。さてこれからしんどい話に踏み込んでいくのだが・・・。お付き合いいただければ幸いです。

追記
 私事ですが、つい先日当ブログのカウンターが「88888」をカウントしまして、9万も目前となりました。カウンターのゾロ目を見てうれしかったので。毎度こんな文字しかないブログにおいでいただきまして、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いたします!
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波のまにまに☆

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