その後の「ウルトラセブン」~その3・その罪を背負うべきは誰?~

 今回は1999年に発売された6部作を扱う。早速物語について触れてみたい。とはいえ6本分なので、だいぶ端折りますことをお許しください。

<栄光と伝説>
 防衛軍が推進する「フレンドシップ計画」。それは地球外に知的生命体のいる惑星を発見したら、即座に先制攻撃を加えるというものだ。防衛軍の中でも意見は二分する。そんな状況下で最後の任務を終えて月のムーンベースに戻るはずのフルハシ参謀が、ムーンベースの壊滅の中で死亡してしまう。1隻の脱出艇が地上に逃れたものの、乗員は全滅。しかし内部で同士討ちが行われた形跡があった。ウルトラ警備隊が事件の捜査を進める中、なぜかホーク3号が街に攻撃を仕掛ける。フレンドシップ計画を進めるカジ参謀は、これを契機にウルトラ警備隊の権限を縮小し、警備隊を支配下に置く。その直後、捜査を続けたウルトラ警備隊は活動停止となってしまう。だがそれは脱出艇に乗って地上にやってきたヴァルキューレ星人による侵略行動だった。人間に寄生するヴァルキューレ星人は、警備隊を全滅させるために、活動休止中の隊員たちを呼び出す。凄絶な同士討ちを演じるウルトラ警備隊の面々。ダンはこれを救うことができるのか?


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<空飛ぶ大鉄塊>
 ワープ航法ミサイルによってフレンドシップ計画は続く。失意のサトミはルミを連れて故郷・翁島へと向かう。時を同じくしてとある山中から発見された謎の発行物体を調査中のウルトラ警備隊。サトミはかつて寝物語にしていた本の内容を思い出し、「大鉄塊を地下へ逃がすな」と警告するが、大鉄塊は地下へ逃れてしまう。サトミに「空飛ぶ大鉄塊」の下巻を探しているといって近づいてきた男は何者かに操られており、サトミは襲われてしまう。一方警備隊本部では、サトミから送られてきた「空飛ぶ大鉄塊」上巻を解読した結果、挿絵の中に量子エネルギー変換システムの設計図を発見する。サトミは「辺見」という男性に助けられていた。事件と本の不可思議な合致から、サトミは辺見が宇宙人であることを看破する。大鉄塊は、ガロ星人が地球侵略の兵器として作り上げたものだったのだ。辺見は下巻の原稿をサトミに託し、ガロ星人との戦いに赴く。だが辺見は大鉄塊のシステムの一部としてとりこまれてしまう。セブンはこれを食い止めることができるか。

<果実が熟す日>
 ペルーに墜落したレモジョ星系人の生き残りがウルトラ警備隊に運び込まれた。生き残った星系人によれば墜落した宇宙船は囚人護送船で、乗り込んでいた反乱分子によって墜落したという。しかも反乱分子は「ボラジョ」と呼ばれる兵器を持ち出したという。警備隊は行方不明になっている3人のレモジョ星系人の反乱分子を探し出すことになる。カジ参謀は情報を公開するが、警備隊の捜査は進まない。一度は新宿に現れたレモジョ星系人を追い詰めるものの、取り逃がしてしまう。情報漏洩が問題になるウルトラ警備隊。ミズノの歯に発信装置を仕込んで、警備隊の動向をさぐっていたのは、ミズノが想いを寄せる歯科医のサエコだった。レモジョ星系人の策略で危機にさらされる警備隊の面々は難を逃れるが、彼らは「あと2日でボラジョが熟せば、地球は滅ぶ」という言葉を残す。サエコを思うあまりカジ参謀と対立し、レモジョ星系人をかばおうとしたミズノは逃亡の末、レモジョに協力するフリをしてボラジョを焼き払ってしまう。だが最後に残ったたった一つのボラジョの力で巨大化したレモジョ星系人が暴れはじめる。カザモリはセブンに変身してこれに立ち向かう。

<約束の果て>
 浜辺の街・竜ノ宮市の一部が古い村へと変化する怪異現象が発生する。偶然現場に居合わせたシマとカザモリが住民の避難誘導にあたる中、その村はすぐに消えてしまった。ウルトラ警備隊は謎のエネルギーの流入がこの不可思議なタイムスリップ現象を引き起こしていると仮説する。しかもそれは未知の生命体によって引き起こされたものではないかという。一方カザモリ=ダンは、助けた謎の老人に接近する別の男から老人に手出しするなと警告を受ける。この浜辺に残された浦島伝説。それは竜宮で暮らすはずだった太郎が、双子の乙姫との約束を破って最後に渡された貝を開いてしまったという。謎の老人・太郎はついに約束を思い出す。そして浜辺の街は元の姿に戻っていく。だが太郎が約束を誓ったはずの乙姫はすでに亡くなっており、シマが助けた少女は乙姫の妹であり、彼女はただ太郎への復讐のためだけにこの時代へと渡ってきたのだ。そして現れる大龍海にウルトラホークとウルトラセブンが立ち向かう。

<模造された男>
かつて神戸港でウルトラセブンと激闘を繰り広げ、海に沈んだキングジョー。カジ参謀の肝入りで、軍需産業である新甲南重工がこれを引き上げ、兵器化するという。会長のカネミツ氏は会社の利益のために中小企業を切り捨てるような厳しい男だ。その娘・ハルカは偶然神社の境内に現れた不思議な石柱を目撃。その破片の一部を持ち帰る。父親のあまりの所業に落胆したハルカは柱に真逆の父親の存在を望んでしまう。まるでハルカの願いを叶えたかのように人が変ってしまったカネミツ氏は、キングジョーをレスキューロボットとして生まれ変わらせるという発表を行う。調査の結果、石柱は人間の思考が現実化するプラズマ放射器だった。カジはカネミツ氏が侵略者に洗脳されたものとし、石柱の前でカネミツ氏と対峙する。そこに居合わせたダンは、人の思考をコピーする石柱の力によって、カジの思考によって石柱は消失してしまうが、カジの妄執がキングジョーを破壊兵器として稼働させてしまう。ウルトラ警備隊とセブンは、これを撃退できるのか?

<わたしは地球人>
 中国奥地の遺跡から発掘されたオーパーツ。その輸送の任務に当たるウルトラ警備隊。現場で謎の女性から封印させるなとのメッセージを受け取るカザモリ=ダン。地球防衛軍はこのオーパーツをオメガファイルとして地下深くに秘匿する。それに疑念を抱くダン=カザモリはオメガファイルを確認しに行くが、そこで更迭されてしまう。カザモリ=ダンの前に、三度現れた謎の女性は、オメガファイルは現地球人の侵略の証拠だという。再び拘束されたカザモリはカジ参謀に向かってオメガファイルの公開を迫る。参謀会議ではカザモリ=セブンの処刑が決定される。ウルトラ警備隊はカザモリの救出に成功する。謎の女性はオメガファイルの公開を迫り、怪獣ザバンギを暴れさせる。セブンはオメガファイルへと進む。ついにタケナカ長官はオメガファイルの全宇宙への公開を許可する。時代の証言者として、かつて現地球人の侵略の様を目撃し、その記憶をもった肉体としてオーパーツの棺に納められていたのはフルハシであった。フルハシはダンに向かってこう語る、「地球人を信じてくれ」と。地球のために戦ってきたダン=セブンの心は乱れる。そしてザバンギの鮮血に体を染めながら、セブンは宇宙の摂理に反逆した。フレンドシップ計画は廃止され、不戦の誓いを宇宙に発信し続けることになった地球防衛軍。そしてセブンはいずこかへと飛び去っていく、決してあらがえぬ罪を地球への想いを背負って・・・。

<過去を清算する物語>
 この1999最終章6部作を俯瞰すると、一つのコンセプトでまとめられていることに気づく。それは「過去を清算する」ということだ。第1話が何故「栄光と伝説」というタイトルになっているか?フルハシ参謀という父性のもとで純粋培養されていた新生ウルトラ警備隊の試練こそがこの物語の肝だとすれば、このタイトルが言いえて妙だと思える。2話「空飛ぶ大鉄塊」や4話「約束の果て」はまさに過去を清算する話である。ましてや5話「模造された男」に至ってはかつての最強ロボット・キングジョーを引っ張り出して後日談として作られている。
 物語の中心にある「フレンドシップ計画」は、かつての「ウルトラ警備隊、西へ」前後篇に登場するライトンR爆弾の開発や、「超兵器R-1号」に登場した名台詞である「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」のイメージが去来する。しかもフレンドシップ計画で外敵から地球を守ろうとするかに見えた計画は、逆転すると地球人類の宇宙侵略に見えるだけでなく、かつての現地球人類が、旧地球人類を追い出してこの星に武力で居座った侵略者だとし、旧地球人類から復讐される危惧によって、過剰な自己防衛による先制攻撃となっていたことが明らかになる。それが6話「わたしは地球人」であり、カジ参謀の苛烈すぎる攻撃性は、これに由来していたことにされている。かつての自分たちの罪を、武力によって外敵を沈黙させることによって秘密保持をしていたというのだ。さかのぼると「ノンマルトの使者」におけるキリヤマ隊長の行動の不可思議さもここに吸収される。過去作である「ウルトラセブン」というSF物語に終止符を打つべく、本作が制作されたことがよくわかる部分だ。それこそ旧作での物語の結末を、1999最終章6部作の中で完結させるべく物語は故意に「過去の清算」をテーマに作られているといっていい。

<その罪は誰のもの?>
 本シリーズの中心人物は、なんといってもカジ参謀だろう。かつてウルトラ警備隊員として活動し、回想の中でフルハシ隊長と対立したカジは、フレンドシップ計画を強く推進するタカ派として、やがてウルトラ警備隊と対立する。しかも自らの正義を信じ、地球外生命体を敵と認識して攻撃を加えるという、かつてない凶悪な計画を推進する人物は、同時にそのシンパを多く抱えることによって、ドラマを生むことになる。撃墜した敵の宇宙船を解析し、それを利用すれば地球って最強じゃん!と思ったあなたは、「模造された男」のキングジョーの復活には、とても合点がいったことだろう。しかもこれほど多くの侵略者が現れる地球ならではといった趣だ。それは「大怪獣バトル」に登場するペダニュームランチャーにも共通する。そういった意味では、地球という星の勢力が地球外に進出することは、他方の地球外生命体にとっては脅威であることに違いない。それゆえに地球に侵略を促す結果になり、まさに「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」となっている。

 さてこの罪を、はたして誰が背負うべきか? 物語はこの罪咎をウルトラセブンに背負わせている。それは本来宇宙の真理に従うべきセブンが、地球人を思うあまりに肩入れし、不必要に地球に干渉してしまったことによる。だがそれ以上に「フレンドシップ計画」なる乱暴きわまる計画を推進する地球や、それを決定した地球人類にこそ鉄槌は下されるべきであるが、オメガファイルを公開し、宇宙に不戦の誓いを送り続けることで制裁を回避している状態だ。そしてその罪は、地球人の傍らで地球人のために戦い続けたウルトラセブンに向けられてしまうことになる。次に控える「EVOLUTION5部作」では、馬頭星雲に幽閉されているセブンという姿がしばらく続くことになる。

だがここで少し立ち止まって考えてみてほしい。このかつて侵略者だった現地球人の罪を、作り話だと一笑できる人がこの世界のどこにいるだろうか? 空想科学世界では時折こういった話が登場する。有名なところでは「アイアンキング」で現政権を打倒しようとする不知火一族や独立幻野党、「鋼鉄ジーグ」に登場した邪魔大王国なども同様だ。また現実の歴史を振り返ってみても、中国や日本では王朝が変遷し、王都は常に遷都するし、アメリカのネイティブ・アメリカンの話やアフリカの黒人差別、内戦に明け暮れる中近東など、このたぐいの話は枚挙にいとまがない。より細かい話をすれば沖縄やアイヌの人々に対する話だって、これに類するだろう。そしてほぼ同時に、常に復讐されるかもしれないという緊張感を、このセブンの物語に与えている。どちらを裁くべきでないからこそ、セブンに罪を背負わせたというのは考えすぎだろうか? そしてまた、どうして過去の現地球人類の悪行を旧地球人類が許せないのかという事情が理解できる半面、水に流して許してほしいという願いもまた、物語に込められている気がする。

 本作の肝である「フレンドシップ計画」の表裏は、そのままウルトラ警備隊をはじめとする“力を持つ者”の表裏であり、それはかつてのセブンの物語に色濃く陰を落とした60~70年代の世相の反映でもある。安保闘争やベトナム戦争などの価値観を揺るがせられるような歴史観と現実は、そのツケをだれがどこで支払うのか?という疑問には応えてくれない。結果として残したベトナムの混乱や帰還兵の問題、安保闘争やそれに類する大学闘争などに準じた人々の喪失感は、そのツケの代償ではあるだろう。だが答えのないまま走り出した結果としての残滓だけがそこにある。この最終章6部作は、60年代に日本が経験した歴史の残滓に答えを出そうとしたシリーズなのではないだろうか?

<エッジに立たされるセブン>
本シリーズは徹底的に地球人類を糾弾している。ウルトラ警備隊を、地球人類を、ダン=セブンをしてエッジに立たせ、地球外の宇宙人によって地球人類を非難し、あまつさえ過去の人間たちによっても、現在の人類を「不誠実である」と糾弾しているのである。そして常に糾弾されている最前線にいるのはダン=セブンなのだ。地球人ではないセブンが、なぜこれほどまでに外宇宙人や過去の人間たちにまで、あしざまに糾弾されるのだろうかと気の毒なぐらいだ。ここまでくると「セブンお人好し説」でも出そうな勢いだが、まあそれは地球人類を必要以上に買い被ってくれるウルトラ一族の美点と受け取っておいた方がよさそうだ。何よりその覚悟は、6話終盤に登場する、夕焼けの中での怪獣ザバンギとの戦いで、ザバンギの血に濡れたセブンの姿が重なってくる。わが手を地に濡らしても愛する地球人のために戦おうという覚悟、そしてセブンの覚悟を揺るがせる現地球人の血ぬられた歴史の罪をかぶる決意。6話のあのシーンは本シリーズの白眉といっていい名シーンではあるが、一方で現地球人類はセブンをオメガファイルに触れさせまいとセブンに銃を向けたり、姑息にもファイルを公開して宇宙の摂理に許しを請うというありさまだ。いやまあしないよりはいいでしょうけどね。そうセブンはこんな厚顔無恥な現地球人のために、わざわざエッジに立ってくれていることを忘れてはいけない。「ウルトラマンメビウス」に登場したサコミズは、かつて宇宙の辺境で見たウルトラ一族が守ってくれている地球という真実から学び、ともに宇宙に並び立つ存在になるまでに成長しなければいけないと決意した。本作での地球人類は、すくなくてもサコミズの境地にまだ達していない。それは現在のわれわれとて同じこと。まだまだ宇宙人として愚かな地球人類はどこへ向かうのか?

 さて次回はついに「EVOLUTION5部作」で「平成セブンシリーズ」は終わりとなる予定です。地球人類が新しい進化の過程をたどる生命体とどうやって共存するのか?それを利用しようとたくらむ人類と宇宙人の悪意に立ち向かうウルトラ警備隊。そして復活が待たれるセブンの去就など、見どころの多いシリーズだ。愚かな人類の逡巡する姿がまたもドラマを重くしていきます。どうかいましばらくお待ちくださいませね。
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テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画
ジャンル : 映画

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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
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