ゲームセンターCX THE MOVIE~あのころ子供だった大人へ~

 フジテレビONEで放送されている「ゲームセンターCX」が好きでよく見ている。放っておいけば、同じ映像を何時間でも眺め続けられる自身があるほどに好きだ。そんな番組が2013年に番組放送10周年を迎え、その記念に映画化されたという。昨年11月の武道館での生ライブには行けなかったが、その映像も繰り返し見ている日々だ。10周年のお祝いに映画館に駆け付けねばなるまい。んで、公開日の2月22日に見てきました。もちろん……地方の映画館ですけどね(笑) 初日の舞台挨拶とか見に行くほどの根性は持ち合わせてはいなので。

ゲームセンターCX DVD-BOX10ゲームセンターCX DVD-BOX10
(2013/12/20)
有野晋哉

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 「ゲームセンターCX」は2003年からCSで放送されているバラエティ。初期こそ著名なゲームクリエイターとよゐこの有野晋哉扮する「株式会社ゲームセンターCX興業」の有野課長としてインタビューを行うコーナーの傍ら、「有野の挑戦」としてファミコンなどのレトロゲームに挑戦するコーナーが行われていた。後に12時間の時間制限の中でゲームをクリアし、エンディング画面を見せることへ趣旨が変化し、「有野の挑戦」が中心となっていく。そして難関と呼ばれる数々のゲームを攻略し(たりしなかったりw)、お茶の間にあきらめない心と挑戦する気持ちを届け続けてきた。そんな番組が去年10周年を迎え、さまざまなイベントを仕掛けてきた。昨年7月にはオリジナルサウンドトラックCDの発売、11月には日本武道館での生挑戦などが行われた。そして本映画もそのイベントの一環として2014年2月22日に公開されたばかりである。

 現在映画は公開したばかりなので、その内容についてはごく簡単に触れておくだけにしたい。映画自体は2006年に挑戦した「マイティボンジャック」を素材として、その挑戦と20年前となる1986年のささやかなドラマが並行して描かれている。この挑戦はスタッフの中でももっとも記憶に残る回で、有野課長が挑戦するいわゆる挑戦部屋での完全クリアができず、2回の延長によって最終的には一ツ橋ホールに650人を集めて、多くのファンの前で念願のクリアを果たすという展開を見せる。これに1986年のドラマがどのように絡むのかは、ぜひあなた自身の目で、劇場で確認してほしい。

<1986年の挿話>
 昨年11月の武道館に7,000人を集めての生挑戦は、ある意味でこの「マイティボンジャック」の挑戦における一ツ橋ホールの奇跡の延長線上にある。もちろん「有野の挑戦」の魅力は挑戦自体にあるのだが、ただそれだけではない。折に触れ挑戦に行き詰まる有野課長を助ける歴代ADさんたちや、カメラマンやプロデューサー、果ては演出家や構成作家に至るまで、この作品に関係する多くのスタッフが有野の挑戦を支えており、その過程が逐一見られることが多くのファンにとっての喜びにつながっている。いわば裏方と呼ばれる人々にも有野課長と同じようにスポットが当たっており、等価である実感がある。有野課長一人ではなく、その挑戦を支えるために関わっている人々がまったく等しく描かれていると言っていい。

 一方「有野の挑戦」自体を振り返れば、10年という長きにわたり、これほどの数のゲームを一人で挑戦した人もいないのではないか? ファミコンが登場しその後さまざまなコンシューマーが登場し、子供のころからゲームに親しんでいる人でも、子供のころに自由にゲームを買ってもらい、プレイした経験など皆無だろう。親からもらうお小遣いにも限界はあるし、親の財布もあてにはできない以上、どれだけ友達をシェアしたとしても、これだけの数をプレイはできないはずだ。しかも高橋名人曰く「ゲームは一日一時間」というお約束は、まあ守られてこそいないだろうけれど、その言葉が刷り込まれている世代の人間にとって、仕事とはいえ日がな一日ゲームに費やすことの、なんと魅力的なことか。もっとも仕事でプレイしている有野課長に言わせれば、自由にゲームを止めることができる普通の状態がうらやましくもなるだろうけれど、何も考えずにゲームに没頭できる状況は、なんともうらやましい。「ゲームセンターCX」という番組には、普段日の当らない裏方にスポットを当てることに、子供のころのあこがれにも似た感情がないまぜとなっているのだ。前者は大人になってからの感慨だろうし、後者は子供のころに感じた願いのようなものだ。つまり、かつて子供だった現代の大人に向けて作られていることに、この番組の魅力は凝縮されているといっていい。この映画に1986年のささやかなドラマが挿入されている事情もまた、ここにあるのだ。

 1986年のドラマの主人公は中学2年生の少年・ダイスケだ。このダイスケのキャラクター設定で実に興味深いのは、完全に帰宅部でとらえどころなく、不良たちにも避けられることもなく接しているというキャラクターなのだ。もちろん物語上の必然であることは理解できるのだが、不良たちを怖がることもなく接しているあたりは、ダイスケの二人の友達とは異なる。このダイスケのキャラクターイコール有野課長だとしたら、むしろダイスケの友達のほうこそふさわしいはずではないか。実はここにもあこがれが混ざっている。しかもゲームの貸し借りでかわいい女の子と仲良くなるなんてエピソードもまた、ゲーム好きの少年にとっては空想の産物といっていいだろう。この挿話にしたところで、大人になってからの子供のころに抱いたあこがれを、映像として描写しているに他ならない。それも子供のころに抱いていたあこがれであるので、飛躍しすぎた空想ではない。ちょっと手を伸ばせばそこにありそうな範囲の、ささやかなあこがれの具現化した映像が、この映画の肝なのだ。

<ファンのために……>
 さてこの映画、ファンのためにさまざまな仕掛けが用意されている。大きなところでは番組ゆかりのゲームクリエイターがさまざま場所やシーンに顔を出す。他にも番組スタッフの多くが顔を出す。当たり前の話だが、番組の裏方であるスタッフがどれだけ顔を出しても、普通の人にはわかるはずもない。なのにそれがファンにとってはたまらない仕掛けなのだ。このあたりもまた「ゲームセンターCX」という番組の特殊性なんだろう。1986年という時代を表現するためにしつらえた数々の小物もまた、この時代を生きてきた人々への同時代性の共通認識を広げるための小道具ではあるが、そのツボが本当に面白い。たとえばダイスケたちが通うゲーム屋さんにおかれたディスクシステムのディスクライターの筺体は、任天堂本社にも1台しかない貴重なものだとか。またジャンプを読みながら飲む「ホワイトコーラ」やそのダルマボトル、ゲームをしながら口にする「カラムーチョ」の袋、ダイスケの自宅のTVに映る「北斗の拳」「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」「タッチ」の音楽や映像など、懐かしいだけでなくそこにある意味がある。面白いところではおニャン子クラブのアイテムとして、阿部先輩の部屋の壁に飾られた岩井由紀子(ゆうゆ)のポスターだが、これはかつて有野の挑戦で「ゆうゆのクイズでGO!GO!」に挑戦した際に、挑戦部屋のホワイトボードに飾られたポスターと同じものなのだ。こういった遊びは本当に番組を好きなファンにしか理解できないだろう。さりとてそれだけに内輪ウケの作品かといえば、そんなことはない。1986年の挿話自体はあくまでもささいな物語ではあるが、より広い範囲の観客へのアピールになるだろう。そのためのインターフェイスとしては、このような小道具はいくらあってもいい。

 ちなみに本作の脚本に関しては、番組の構成作家によっていくつか案があったそうだが、そのうちの一つは「ボクはファミコンが欲しかったのに」というタイトルの小説として発売されている。

 これからも「ゲームセンターCX」という番組は続く。このような映画がまたつくられるかといえば、そんな保証はどこにもないのだが、次の15周年、20周年にむけて、我々ファンは期待していいはずだ。番組10周年のこうしたイベントは、その実、本映画を制作した「ガスコイン・カンパニー」という会社の事業拡大政策でもある。番組のADとして成長した若手のテレビマンたちが、さらなる飛躍を願ってさまざまな試みをしているとすれば、ガスコイン・カンパニーひいては「ゲームセンターCX」も安泰というものだ。

<追記>
 この映画、ぜひともエンドロール後までじっくり鑑賞してほしい。この映画にちょっとした小仕掛けがある。この小仕掛けを見ていると、芸人さんが登場したり芸人さんが監督する映画というのは、どこまでもこうした小仕掛けの連続でいいのではないかと思えるのだ。この映画を見た劇場で、映画に先駆けて見た新作予告では、とある芸人さんが監督をされた映画の予告編を見た。その映画を見ていると、ちゃんと映画として物語を作り込もうとしている一方で、登場する芸人や役者にシーンを任せて、ライブを楽しんでいるような映画に見えてきて、とても魅力的に感じたのだ。物語をきちんと追う映画よりも、芸人さんが芸人さんらしくセルフ突っ込みして照れながら作っている映画は、なにより芸人さんらしいと思えるし、そこにこそ芸人が映画監督をしている価値があると思える。どれだけまじめにゲームに挑戦したり、1986年の挿話があったとしても、芸人さんが出る以上は、どこか方の力が抜けたような面白さがあっていいと思う。


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(2013/07/24)
オムニバス

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(2011/12/15)
ゲームセンターCX、有野 晋哉 他

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ボクはファミコンが欲しかったのにボクはファミコンが欲しかったのに
(2014/02/13)
岐部 昌幸

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コメント

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感謝!

匿名希望 さま

レス不要とおっしゃいましたが、どうしてもお返事せずにはいられませんでした。

本当にお気づかいいただいて、ありがとうございます。
まずは、わたしの気ままなツイートのまとめを楽しんでいただき、ありがとうございます。
そういうかたがいらっしゃるといいなと思いながら、自分でも楽しんでツイートしておりましたので、
そのお気持が本当にうれしいです。

またその上で、今回の削除の件でお気づかいいただいたこと、感謝に堪えません。
ツイートでクレームをおっしゃられた方の言い分も正解ですし、
匿名希望さんがおっしゃっていることも正しいのだと思うのです。
イベントだけの秘密にしておきたい気持ちと、それを周囲にもいっしょに楽しんで欲しい気持も、
どれも同じファン心理であることは、たぶんベクトルの違いだけで想いは一緒だと思います。

それがわかったからこそ、不快に思われている方を優先し、削除に踏み切りました。
これはかえって楽しんで読んでいただいた方を裏切る結果になってしまい、
それはそれで申し訳ないとは思いますが、情報発信にともなう責任として、
とるべき責任をとったとご理解ください。

私のつたない文章など、しょせんはツイートでの戯言ですのに、
意外なほど反応をいただきまして、望外の喜びです。
今後もこれに懲りずに、イベントなどには参加したいと思っておりますので、ご心配なきように。

それと、録音の話については、記憶だけを頼りに書いただけですのに、
そんな疑いをかけられてちょいとびっくりしております。
そんなに再現性あったかしらw これは自分の記憶力を誇っておこうと思いますw

最後になりますが、重ねて御礼申し上げます。
わかってくれる人にはちゃんと言葉は届くんだなと、今はそれが一番うれしいです。
本当にありがとうございました。

Re: No title

コメントいただきまして、ありがとうございました。
暖かい言葉を頂戴し、感謝に堪えません。

どんな場合においても、言葉を発信することには責任がともないます。
今回の場合、私はその責任と確認の義務を怠ったのだと思います。
コメントを下さったあなたのように発信した私同様楽しんでくれた方もいらっしゃることも事実ですが、
私の発信した言葉で不快になられた方もいたこともまた事実です。

この事実に対して、私ができることは削除以外できません。
楽しんでいただいたのに、申し訳ありません。すべては私の不注意です。

あのあと、ツイッターにてご注意いただいたかたとは和解いたしました。
これでよかったと思っております。

とはいえ録音の嫌疑までかけられたのにはおどろきました。
これについては、自分の記憶力を誇っておこうかなと思いますw

ご心配いただいた上に、丁寧なコメントまでいただいて、本当にありがとうございました。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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