スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説~その1・受け継ぐべきは「愛」~

 2014年3月30日に俳優の蟹江敬三さんが亡くなった。近年では二時間ドラマでの刑事役の常連だったし、テレビ東京系列のビジネス情報番組「ガイアの夜明け」のナレーションでも耳なじんでいた方だった。特撮ファンとしては「ウルトラマンA」の牛男や「ウルトラマンレオ」のブニョでの狂気の演技が記憶に残る俳優さんだ。筆者としては「熱中時代」の教師編における水谷豊演じる北野広大先生との掛け合いを演じた警官役や、「影の軍団III」での半蔵の片腕・虎麻呂役、「鬼平犯科帳」シリーズでの元盗賊の密偵・粂八役なども忘れ難い。特に虎麻呂は、最終回で敵と一緒に半蔵に刺し貫かれ、笑いながら死んでいくシーンは、忘れ得ぬ名シーンだ。そんな氏が亡くなった今、往時を偲んでこの作品をご紹介したい。その作品は「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」。本当は蟹江さんの訃報に合わせるように、ブログで取り上げるのは失礼かとも思ったのだが、どうしてもこの機会に書きとどめておきたくなってしまった。勝手ながら、ご冥福をお祈りいたします。

スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説 VOL.1 [DVD]スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説 VOL.1 [DVD]
(2004/07/21)
南野陽子、相楽ハル子 他

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<作品概要>
 「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」は1985年11月から翌年の10月までフジテレビ系列で放送された作品。前作である斉藤由貴主演の「スケバン刑事」の後を受けて、和田慎二原作のマンガ「スケバン刑事」における「(神恭一郎の)鉄仮面」や「信楽老」「青狼会」などの要素を持ち込んで、前シリーズを継承しながらも全く新しい物語としてスタートする。当時は同じフジテレビで放送されている「夕やけニャンニャン」に出演していた「おニャン子クラブ」が人気を博していた時期であり、アイドルの質も量も転換期に差し掛かった頃だ。だがこの作品に出演した南野陽子や相楽晴子、吉沢秋絵は、番組人気と一緒にスターとなり、その後のシリーズは「アイドルの登竜門」と称された。
 物語は先代のスケバン刑事こと麻宮サキが巨悪・海槌麗巳との対決によって生死不明の状態となってから数カ月後からスタートする。いまや日本全国の高校の荒廃は驚くほどの広がりを見せていた。その背後に何者かの存在を察知しながらも、麻宮サキ亡き後、手をこまねいていた内閣秘密調査室・暗闇機関の暗闇指令(長門裕之)は、麻宮サキに次ぐ実力のある少女を探しあぐねていた。暗闇機関のエージェント・西脇(蟹江敬三)は、一人の少女に目をつけていた。その少女の名は五代陽子(南野陽子)。高知県は土佐青柳高校で「スケバン鉄仮面」として恐れられている少女で、幼いころから顔に鉄仮面をつけて暮らしていたという。暗闇指令の元に連行されてすぐ、エージェントを倒した陽子は、西脇の放つ超合金製のヨーヨーによって鉄仮面を外される。鉄仮面という長年の枷を外された感慨にふける陽子に、暗闇指令は「麻宮サキ」と名乗り特命刑事となる話を持ちかける。だがそれを拒む陽子は麻酔弾によって眠らされてしまう。地下に幽閉された陽子に話しかける西脇。それでも拒む陽子に向かって西脇は、陽子の父親と鉄仮面にまつわる謎をほのめかす。スケバン刑事となることで、陽子自身の手でその秘密を解き明かすことができるだろうと西脇は言う。迷い始める陽子。そんな折、陽子の目の前に暗闇指令が現れる。陽子を解き放ち、10人のエージェントを倒すことができれば解放するという。得意のゲリラ戦で一人また一人とエージェントを倒していく陽子。それを見てその力を諦められない暗闇指令は、エージェントを増員し、銃の発砲まで許可しはじめる。だが西脇が陽子に放った超合金製のヨーヨーで形勢は逆転。逃走したかに思われた陽子だったが、やがて指令の前に現れる。そして新たな使命をおびて、ついに陽子は二代目スケバン刑事・麻宮サキを襲名する。(1話)
 その後、カンフークラブ紅龍会に牛耳られた桐の葉学園に転校したサキは、矢島雪乃(吉沢秋絵)と出会い、紅龍会を叩き潰して学園を開放する(2話)。改めて梁山高校に転校したサキは、スケバンのビー玉のお京(相楽晴子)と対決し勝利する(3話)。そして梁山高校に転校してきた雪乃。サキ、雪乃、お京の3人はここから友情を育んでいくことになる。西脇はダメ教師を装ってそれを見守っていく。当初こそ西脇からの指令によって任務をこなしていくサキは、雪乃やお京を疎ましく思っていたようだが、サキのしていることに助力を申し出る雪乃や、サキの存在が気になって仕方がないお京の想いに応えるように、サキは少しずつ2人に心を開いていく。そんなサキの強さや優しさにひかれ、協力する仲間を増やしていく。一方個々の高校の支配を進めていた謎の組織は、サキによってことごとく解放されていく。その組織の名は「青狼会」。「影の総統」と呼ばれる謎の人物によって統率されており、日本中の高校を裏から支配することを目的としている。だがなぜか影の総統は、サキと同じ音色のオルゴールペンダントを持っていた。
 サキと青狼会の戦いが最初に進展を見せるのは第6話「なぜ?の嵐!鉄仮面の謎」だ。サキは青狼会の刺客・ハヤトによって直接命を狙われることになる。サキが渾身の力で蹴っても殴ってもまったくダメージを受けずに立ち上がり、サキを追い詰めるハヤト。それを助けに入った雪乃やお京にも被害が及ぶ。前話でサキが特命刑事である秘密を知った雪乃とお京は、サキに戦う理由を問い詰める。するとサキは自分の謎に満ちた生い立ちを語りはじめ、その謎を解くために戦い続けていることを説明し、彼女たちの助力を拒む。だがハヤトに寝込みを襲われたサキは、張り番をしていた雪乃とお京に助けられ、ついにハヤトを撃退することに成功する。こうして3人は改めて青狼会との戦いに身を投じることになる。影の総統がロックバンド「XEKU」のボーカルとして活動していることを知ったサキは、XEKUのファンと接触してライブハウスに潜入するも、影の総統の正体はわからずじまい(11話)。青狼会から送り込まれる数々の刺客たちを退けながら、サキは雪乃やお京、その他の仲間たちとの友情を深めていく。その後、総統が心臓に埋め込まれたペースメーカーのメンテナンスにために渡米する情報を得たサキだったが、青狼会に妹を殺された青年が、ラジコンカーを使って渡米前の空港で総統を爆殺する計画を知る。総統に死なれては生まれの秘密を解き明かすことはできないと悟ったサキは、爆破計画を止めるために奔走し、計画は未遂に終わる(17話)。

<“二代目”へ受け継がれたモノ>
 さて本作の主役たちの魅力について触れるのは次回にして、今回はちょっとだけ些細な点に突っ込んでおこうと思う。それは二代目として五代陽子が引き継いだものについて考えてみたい。

 まず「スケバン刑事」という称号についてである。本作における名乗りのシーンにおける口上は以下の通りである。

「梁山高校2年B組 麻宮サキ。またの名をスケバン刑事!」

あるいは

「二代目スケバン刑事、麻宮サキ。おまんら、許さんぜよ!」

この他、多少なりともアレンジはあるが、基本的な口上は上記のとおりである。ここで改めて設定を振り返っておきたいのだが、彼女の本名は五代陽子。暗闇指令の元に連行された後、エージェント西脇立会いの下で取引をして、特命刑事に任命されている。この特命刑事は斉藤由貴主演のシリーズの際にも登場した別の特命刑事もいることから、陽子が任命された特命刑事の仕事の内容は、ほぼ高校を主舞台としていることがわかる。つまり高校を主とする学校機関への潜入捜査及び犯人確保を主任務として活動する特命刑事を「スケバン刑事」と呼称しているわけだ。だがそれならどうして「麻宮サキ」という名前まで名乗らせているのだろうか? 6話では青狼会での会議の中で、サキの本名が五代陽子であることはすでにバレていることがわかる。だとすれば、陽子が引き受けた特命刑事が「麻宮サキ」を名乗る必然性がないではないか?

 五代陽子は左利きである。ちなみに本家・麻宮サキも左利きだが、前シリーズの2話にて、母校・鷹の羽学園に帰ってきた際の横領事件の解決の際に本人が語ったことによると、サキが左利きになったのは、少年刑務所に収監された際にリンチにあって利き手をつぶされたことによって左利きになったことが語られている。つまり本来のサキは右利きなのだ。本編1話を見る限り、暗闇機関が女子高生をスカウトする際に、利き手を条件に挙げていたかどうかは怪しい(物語冒頭でヌンチャクを使っていた女生徒はどう見ても右利き)。だが陽子が左利きであったがゆえに、暗闇機関が逆にその情報を利用することを思いついた可能性もある。思考の順序はどうあれ、陽子は「スケバン刑事」という特命刑事の名を、「麻宮サキ」という名前と一緒に受け継いだことになる。それも暗闇機関に特命刑事として活躍したころの「麻宮サキ」という名前を、だ。つまり五代陽子は「麻宮サキ」の精神をこそ引き継いでいるのである。

 では、「麻宮サキ」の精神とは何か? 
 本編では五代陽子がしきりに口にする「愛」という言葉。先代・麻宮サキは「鷹の羽学園はアタシの母校だ」という言葉を口にしたことがある。五代陽子も2話において、転入して来て間もない学校に母校愛はあるのか?と雪乃に問いかけられ、「母校愛はある」という。そして「愛とは、愛する意志のこと」と言い切るのである。
幼いころに母親が刑務所に収監され、孤独を囲って生きてきた先代・サキは、はぐれ者であるはずの自分を、人間同士の輪の中につなぎとめてくれる存在としての「学校」という認識を持っていた。海槌一族の支配によって鷹の羽学園を乗っ取られて以降、サキの母校愛は強くなる。先代・サキは海槌剛三の死によってすべての謎が解明した後に、学園も母親も取り戻し、愛を得ていく。そしてサキがかつて失いながらも、戦いの日々の中で取り戻した愛こそが、サキの「スケバン刑事」としての強さの証だったのだ。

 では五代陽子の愛はどうか? 母親と一緒に育ち、母親の愛を受けながら育った陽子。高知の片田舎で母親と一緒に暮らしていたが、かなり成長してから母と死に別れている。陽子の母親は鉄仮面をかぶせた現場に立ち会っている。心の中でそのことを陽子にわびながらも、陽子に強く生きてほしいと願い、陽子を育ててきたはずだ。五代陽子は母親の愛情に強く影響を受けて育っているのである。スケバンとして暮らしながらも、その心根に悪意はない。陽子の愛は、明らかに先代・サキよりも強く大きいのだ。特命刑事「スケバン刑事」としての先代と二代目の共通項は、あくまで「母校愛」かもしれないが、どうやら陽子の愛は先代の愛を大きく包括していそうな気配なのだ。その愛情は窮地に立たされた生徒たちだけでなく、事件の中心に居ながら悲しく散っていく人々にまで愛情を注ごうとする。そうして仲間を増やしていく陽子は、意図せず勢力を拡大することで、青狼会の支配から逃れようとする動きに発展していくことになる。受け継がれたのは小さな「母校愛」だったかもしれないが、五代陽子という人材を得ることで、受け継がれていった「愛」はさらに大きな「愛」へと進化していき、大きな力となっていったのだ。

 なお続く三代目は麻宮サキを名乗ってはいるが、すぐに本名まで名乗ってしまうあたりに、本人にはあまり継承する意志もなさそうではある。だが失われた親や姉妹から受け取ったはずの愛情は、唯の強さと優しさとして結実していると思える。やはり継承されるべき「愛」は、「スケバン刑事・麻宮サキ」という名前とともに引き継がれていると思える。

 今回は大上段に「スケバン刑事」の継承について考えてみた。次回はまず3人の少女たちにスポットをあてて、その魅力を語っていこうと思う。蟹江敬三さん演じる西脇については3回目で取り扱う予定です(今回も長いなw)。


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南野陽子、相楽ハル子 他

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