SF映画が遺す未来とは?~書評「未来に遺したいSF映画100本」~

 先ごろエンターブレインから発売された「未来に遺したいSF映画100本」というムックは、そもそも映像エンターテインメント誌「DVD&ブルーレイでーた」の通巻400号を記念して行われた評論家、ライターによるアンケート結果をもとに、同誌2010年9月号の別冊として発表された。それをさらに2014年までのデータを追加して1冊のムックとして発売されたモノがこの本である。
 いつもこうしたランキング的なものが発表されるたびに、何かにつけてネタとして取り扱っては、このランキングに対して裏読みをしてきた筆者としては、これについても噛みついておこうかと思った次第。なおこの本の趣旨としては、特別にランキングとして順位を競うものではなく、アンケートに応えた選者から最も票を集めた結果として上位100本のSF映画を発表しますよというもので、そのランキング自体に文句をつけるいわれはない。ただこの100本の選択の面白さが、ちょっと尋常ではないつっこみどころがあったので、本来なら「スケバン刑事II」の最終回のはずですが、予定を変更(もちろん見終わってないってのが本音w)してちょっとしたネタに食いついてみようかと思います。なお、100本の詳細なランキングについては、ここではあえて触れませんので、ぜひ書店で直接ご覧いただきたい。


シネマニア100 未来に遺したいSF映画100本 (エンターブレインムック)シネマニア100 未来に遺したいSF映画100本 (エンターブレインムック)
(2014/04/02)
不明

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<なぜ選ばれない?編>
 本書で扱っている作品はあくまで「SF映画」のカテゴリーに類する作品だ。もちろん中にはSFといってもアクションに偏ったり、ヒーローが活躍する映画や巨大なモンスターが暴れる映画もある。宇宙の神秘を垣間見るガッチガチのSFや、外宇宙からやってきた宇宙人によるSFコメディもある。ひとくくりに「SF映画」といっても、その守備範囲は多彩で広い。おそらく見識者の中でもどこまで「SF映画」なのかといった議論が起こってもよさそうなのだが、SFXやCGなどを多用した、空想科学(サイエンスフィクション)ならOKといった、ゆる~い判断基準で選者が好き勝手に選んでいるのだろう。その自由度の高さは選ばれた100本の映画が物語っていると言っていい。もちろんSF映画と聞いてだれもが頭に思い描く作品は、十分に網羅されてるので、その辺の見識に関しては異論をはさむ余地はない。

 筆者が最初に引っ掛かったのは、同じシリーズの作品なのに、どうしてこれが選ばれないの?というものだった。一例をあげて説明してみよう。例えば「スターウォーズ」シリーズは全6作中ほとんどの作品がランクインしており、50位中に4作品、上位30位に限っても3作品上がっており、その3作品はいわゆる「旧3部作」なのだ。そして興味深いのは、この100本の中には「エピソード2 クローンの攻撃」が入っていないことだ。100本の選に漏れたあたりに入っていそうな気配は十分にあるのだが、そのくせあのジャージャー・ビンクスが不評を買った「~エピソード1 ファントム・メナス」は入っている。なぜなんだろう? これはもうアナキンとアミダラの秘密の恋の行方に、笑っちゃったか嫉妬したかの二択だろう。どうにもうまくないテンプレ要素満載の二人のイチャラブよりも、空気も読まず喋りまくるジャージャー・ビンクスの方が、選者たちのお気に入りらしい。

 こういう了見の狭いことを言っていると、他のシリーズ作品にも当然のように目がいくことになる。SFホラーの傑作「エイリアン」シリーズも、ランクインしているのは1作目と2作目のみ。3作目以降は影も形もないし、前日談と思しき「プロメテウス」にもお呼びがかからない。タイムパラドックスの面白さでわくわくさせてくれた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズも、1と3は入っているのに2は入っていない。舞台となる2015年は来年なのにね。3Dの映画も実用化されているのだが。同じくタイムスリップものでもある「ターミネーター」シリーズも、ランクインしているのは1,2までで、そのあとはナシのつぶて。またシリーズモノとして取り上げたいのは「スタートレック」シリーズだ。2009年に新しい劇場版シリーズがスタートし、去年の「イントゥダークネス」も記憶に新しいところだが、その2009年の作品と1979年に公開されたオリジナルシリーズの劇場版1作目がランクインしている。その一方でオリジナルシリーズの2作目以降はまったく相手にされず、筆者が大好きな「ネクスト・ジェネレーション」時代の作品はまるで相手にされていない。スタトレの映画なら、タイムトラベルものとして名高い「~IV 故郷への長い道」はファンの間でも評価が高いのだが、SF映画としての大枠からは話ずれてしまうらしい。しかも悲しいかな、「スタトレ」のパロディ作品として有名な「ギャラクシー・クエスト」の方が前述のスタトレ映画2作品よりも評価が高い。90年代末期に登場し、2000年代の映画シーンを席巻した「マトリックス」シリーズも1作目はランクインしながら、2,3はランク外となっている。こうなると映像的なインパクトの強さは評価されている一方で、「マトリックス」世界に潜む深遠なるテーマ性については、あまり相手にされていないらしいことがわかる。

 上記のように、シリーズ化された作品でもランク外になる作品もあることがわかる。つまりシリーズ化された作品はそれだけで訴求力もあるのだが、そうしたシリーズの中にも選者にとって未来に遺すのはいかがなものか?と頭をかしげちゃう作品もあるってことだ。それもおそらくは些細な理由でしかなく、比較級的になんとなく外れてしまっただけだろうから、これに関しては面白がるだけで、あまり突っ込まないでおこうと思う。

<なぜ入っているの?編>
 選者が選んだこうした作品たちの中にも、日本が誇るSF作品が存在する。日本産の作品として最も高ランクに入ったのが、実写「パトレイバー」で昨今存在感をアピールしている押井守が世界に放った「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」だ。また実写作品では、こちらもアメリカでのリニューアル版が期待されている「ゴジラ」の1954年の第1作目が選ばれている。その他、藤岡弘、版「日本沈没」や世界の大友克洋の「AKIRA」もランクインしている。まあこの辺りは個人的にはいろいろ言いたいこともあるだろうが、納得もできる範疇ではある。それに比べてこれから示す作品群は、どうして入っているのか?と首をかしげたくなる作品たちだ。とりあえず日本映画に限って言えば、「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」というのはいかがなものか。もちろんこれがダメという話ではなく、この作品が選ばれている事情を想像すると、アニヲタに媚を売っているような感がしてうっとおしいのだ。さらには「ゴジラ対ヘドラ」が最後の最後でランクインしているのだが、この作品が再評価され始めたのはどういうわけかここ7~8年といったところだ。地球の守護者となったゴジラの再評価への道標となった作品で、ゴジラファンよりも特撮ファンの間で再評価の機運が高まっていったとはいえ、その上の90本以上のSF映画比肩しうるかどうかは、特撮ヲタの筆者でも断言を避けたいところだ。

 その一方で、よくぞこの作品を取り上げてくれた!という意味での、なぜ入っているの?作品もある。例えば80年代を生きた方ならば、「スペース・バンパイア」という作品のタイトルを聞いただけで、クスっとくる方もいるだろう。劇場公開当時「あなたの精気、吸わせてください」というコピーとともに、どちらかというと面白可笑しい方向性のTV-CMで紹介されたこの作品は、ちゃんと見る人が見れば侵略SFとして面白い作品だった。筆者は昔レンタルビデオで見たのだが、思っていたよりも笑いどころがないゆえに、見終わってあっけにとられたことがある。あれはどう考えても日本側の宣伝活動が過剰になりすぎているきらいがある。

 また「アバター」や「第9地区」といった新しい作品が高評価を得ている一方で、「メトロポリス」や「惑星ソラリス」、「キングコング」(’33)といった古典とも言うべき作品が評価されているのは、オールタイムの選として正しくてうれしい。「ゼイリブ」「ヒドゥン」といった80年代の公開当時でも渋好みの作品であり、その後数々のフォロワーを生んでいる作品もランクインしている。「ある日どこかで」は「スーパーマン」を演じたクリストファー・リーヴが主演した作品でタイムリープSFであるが、地味にすぎるこの作品がランクインしている事実も、個人的にはうれしい限りだ。

 さてここからは単なる筆者の愚痴ですが、アニメの選出に関しては上記に示した辺りの作品は、致し方なしとの思いもあるのだが、日本のアニメブームを牽引した「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」の劇場版シリーズなどといった松本零士作品が選ばれていないのは、選者が日本人でありながら、あんまりだと思う。まるでこの辺りを選ぶと負けなのかといわんばかりで残念だ。もちろん同様に「機動戦士ガンダム」シリーズだっていいし、「地球へ」だっていいではないか。タイムリープものだったら、「戦国自衛隊」や「時をかける少女」だって選ばれて不思議はない。「バットマン」や「トランスフォーマー」が選ばれているなら、他のアメコミ作品だって選ばれておかしくないだろうし、「インディ・ジョーンズ」の4作目なんてもろにSFだったはずだ。まあ風味づけのSFよりもガチのSF作品の方が選びやすいんだろうけれど、異を唱えるよりも選者の気の使い方が気にかかるところだ。

 それでも本書を手にとって100本を目にした時、名前は知っているけれど見たことがないっていう作品だってあることでしょう。もしかしたら喰わずぎらいなだけで、見てみると案外と面白いかもしれませんよ。もし連休中にお暇ができたら、空いた時間にレンタルで借りて見てはいかがでしょうか。未来に遺したくても、あなたや私が見ないことには遺りませんので。
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
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スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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