スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説~その3・サキの3人の父~

(え~、しれっと書き始めておりますが、なにせ書き始めたのはニコマス動画の不完全解説よりもずっと前でしたので。ご了解くださいませ)

承前
 昨今あまり1時間ドラマなどほとんど見なくなって久しい筆者だが、トレンディドラマ全盛時代には様々な作品を見ていたように思う。20代後半から30代の若手の主役クラスに目を奪われがちではあるが、ベテランの役者の演技が脇でドラマを支えていることに気づくのは、そう難しいことではなかった。そう思って見返してみれば、いわゆる「東映不思議コメディ」として括られる作品は、すべからく少年少女を主人公としながら、稚拙な演技の主役陣を脇で支えている大人の役者に気づくことになる。それこそ今ではバラエティに活躍の場を移している柴田理恵さんや斉木しげるさんなどはこのシリーズの常連であったから、作品カラーに合わせたコミカルな演技はとてもわかりやすく楽しんだものだった。よく「特撮オタクは極め続けると大部屋俳優のファンになる」という。作品に数シーンしか出てこないような俳優を見つけて、他作品との共通性をネタにするスノビズムがある。主役を楽しみながら、脇に目がいくというのは特撮ファンとしては当然の流れなのかもしれない。過日物故された蟹江敬三さんも、大部屋俳優ではないが、かつてはそんな感じの俳優さんだったことを思い出す。
 さて今回は「スケバン刑事II」の終盤の流れを見ながら、そのドラマを脇で支えたキャラクターに注目してみたい。


スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説 VOL.4 [DVD]スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説 VOL.4 [DVD]
(2005/03/21)
南野陽子、相楽ハル子 他

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<果てしなき戦いの先に>
 ペースメーカーのメンテナンスを終えて、ついに青狼会の影の総統が帰国する。全国の女子生徒会長を集めた集会に総統が出席するとの情報を得て、陽子は伊集院要の協力を取り付け、要になりすまして集会に潜入する作戦を立てる。集会の席上で初めて総統の素顔を垣間見る陽子。彼は陽子と同じオルゴールペンダントを持っていた。だが変装した陽子の素顔もまた、総統によってはがされてしまう。青狼会に捕らわれた要を救いだし、隠し通路へと総統を追う陽子であったが、見えない壁に阻まれて、総統を取り逃がすことに(30話)。そして父親の墓の前で、陽子は3つの悲願を立てる。父親の仇敵を探し出すこと、青狼会の野望を阻止すること、自身の出生に秘密を明らかにすること。そして雪乃とお京もまた、これに協力することをともに誓うのであった。

 青狼会の陽子抹殺の動きは激化する。31,32話では陽子の父の仇敵でもある黒羽五人衆によって秘孔を突かれてしまい、陽子たちは体の一部の動きを封じられてしまう。続く33,34話では青狼会によってウルフレボリューションが進行する中、仲間との連携に踏み切れずにいる陽子は、刺客・なめらによって毒を注入され、キバ少女と化してしまう。なめらに操られた陽子は、近畿の勇・麗心女学園の工藤美紀を襲う。美紀を青狼会に引き入れるために、陽子は利用されたのだ。対処しようもなく操られてしまう陽子は、お京達にも襲いかかるようになる。信楽老配下の鬼界坊の暗躍によって解毒剤を注入されたとはいえ、次第に精神を病んでいく陽子だが、ひたすらに陽子を慕い、信じ続ける雪乃とお京によって自我を取り戻した陽子は、ついになめらを打倒する。

 ここに改めて梁山連合が発足し、青狼会と戦うことになる。水杯を交わす仲間たち。時、同じくして青狼会は各地の高校の支配を強めてくる。それに対抗する梁山連合は次々に青狼会の支配から高校を取り戻していく。動き始めた信楽老は鬼界坊に指示を出し、陽子の鉄仮面を奪わせようとする。鬼界坊によって陽子は自分の本当の名が「志織」であることを知る。そしてまた記憶の中にいる幼馴染の男の子の名が「恭志郎」であることを知る。青狼会壊滅まで今一歩のところで、鉄仮面の謎に動揺する陽子。面会した鬼界坊に鉄仮面を奪われそうになった陽子を助けたのは西脇だった(35話)。動揺する陽子を見かねて、西脇は陽子を最初に出会ったあの地下牢に幽閉する。西脇は陽子に、出会ったときに陽子がまとっていた獣のような怒りを思い出させようとしていた。だが陽子の迷いは晴れない。一方、恭志郎は信楽老暗殺を企図して鉄仮面の秘密を握ろうとしていた。彼の目的は、信楽老に変わって日本を支配することだった。鉄仮面の謎を追い求める信楽老をいぶかしんだ恭志郎もまた、鉄仮面の謎へと興味がシフトしていく。その頃、梁山連合の仲間たちがつぎつぎと青狼会の刺客に敗れていく。3人の刺客に恭志郎は鉄仮面強奪の指示を出す。美紀を人質に陽子をおびき出す刺客たち。地下牢に幽閉されていた陽子は、澄み切った瞳と無我の境地を得ていた。美紀を救う戦いへ赴く陽子の前に、今再び雪乃とお京が集う。だが戦いのさなか、陽子はついに鉄仮面を奪われてしまう。青狼会のウルフ・レボリューションは終結するも、鉄仮面を手に入れた恭志郎の野心は燃え上がる(36話)。

 鉄仮面の謎の解明を急ぐ恭志郎。だがおいそれとは秘密にたどりつけない。恭志郎の弟・蘭丸が手に入れた情報にいれば、黒バラ館と呼ばれる場所に幽閉されている一人の男が、鉄仮面の秘密を知っているという。信楽老の脅迫にも屈せず、秘密を話そうとしないその男であっても、陽子になら口を割るとにらんだ恭志郎は、陽子を利用することを思いつく。ついに青狼会の本部にたどりついた陽子たちだったが、そこはすでにもぬけの空。だが恭志郎は陽子宛のメッセージを残し、陽子たちを黒バラ館へとおびき出す。西脇によれば黒バラ館にはかつて陽子たち一家が住んでいたという。黒バラ館の中でついに幼き日の記憶を取り戻す陽子。ついに牢屋へとたどり着いた陽子は幽閉されていた男を救出するも、信楽老の放つコマンド部隊に追い詰められる。それを助けたのは恭志郎であった(37話)。
 
 幽閉されていた男の名は源十郎。早乙女家の執事であった男だ。恭志郎は陽子の命を楯に鉄仮面の謎をせまる。静かに語り始める源十郎。鬼怒良の秘宝の謎を解かせるために、信楽老の養子であった道子は早乙女博士に嫁いだ。博士の研究の結果、秘宝には驚くべき力が秘められているという。その秘密を信楽老に明かせば、必ずや用無しとみて一家を抹殺するだろうことを予見した早乙女博士は、半永久的に鬼怒良の宝を封印することを決める。ついに信楽老の間の手が迫ってきたとき、早乙女博士は殺害される。博士の大学時代の友人であった西脇は、道子と志織を逃がしたという。源十郎の口から「岩が兜を纏うた時、天と地の音色鳴りおうて、鏡に光溢れん」との謎の言葉を聞き出した恭志郎は抜け道を通って逃走。陽子は刺客たちに捕らわれた雪乃とお京を助けるためにコマンド部隊と戦うことになる。追い詰められた陽子を助けたのはまたしても恭志郎だった(38話)。

 黒バラ館での戦いで恭志郎が落としたオルゴールペンダント。それは陽子の持つペンダントとともに、「天と地の音色」となる秘宝の封印を解くキーアイテムだった。西脇は陽子にすべてを話しはじめる。早乙女博士が殺害された夜、陽子に鉄仮面をかぶらせたのは、なんと博士に請われた西脇だったのだ。この戦いはまた早乙女博士の苦渋の決断が強いた戦いでもあったのだ。そしてペンダントに刻印されたマークから廃校となった天地学院高校を割り出した陽子たち。だが秘宝を守る謎の男たちが陽子を試す。その心の強さ、正しさを認めた男たちは、石碑の下に隠されていた古い鏡を陽子に手渡す。同じころ、鉄仮面の分析結果から、秘宝のありかへとたどり着いた恭志郎。対決の日は迫る(39話)。

 鏡と一緒に陽子に手渡された父からの手紙。七郎はかつて秘宝の力を使って信楽老に挑んだという。だが時満ちず、信楽老を倒しきれずに、追われる身になったという。陽子は改めて信楽老打倒を目指す。そして戦いの場は梁山高校へ。そこは秘宝の隠された場所でもあった。青狼会に占拠された梁山高校で、陽子との決着をつけるべく待ちうける恭志郎。恭志郎と陽子、二人の想いは今激突する。しかし二人の激闘の間に割って入ったのは、二人を抹殺する使命を帯びた信楽老のコマンド部隊だ。放たれた矢は恭志郎のペースメーカーに命中し、恭志郎は陽子の腕の中で静かに息を引き取る。そして鉄仮面、2つのペンダント、鏡といったアイテムを手に入れた陽子は、ついに社の奥深くに隠された鬼怒良の秘宝を手に入れる(40話)。

 ついに野心の牙をむき始めた信楽老。手始めに暗闇機関に圧力をかけ、陽子を特命刑事から解任させる。だが陽子は信楽老との戦いは止めないと意気込む。一方陽子の自宅にあった秘宝はコマンド部隊によって盗まれてしまった。源十郎の説明によれば、月食明けの月の光によって、秘宝である杯は不老不死の酒で満たされるという。その酒こそ信楽老の目的だったのだ。その月食まであと3日。秘宝を取り返すために信楽老に立ち向かおうとする3人。西脇の挑戦も退けて、父の墓前で決意を新たにする陽子。そしてそれぞれの思いを胸に集う雪乃とお京。3人の少女たちは罠待つ戦地へと向かう。そして雪乃が、お京が敵の攻撃に倒れてゆく。悲しくても陽子は歩みを止めることはできない。それは誰に強いられたのでもなく、自身が選んだ戦いの道だから。組織を持ってそれを止めようとする暗闇指令。だがそこに割って入ったのは、裏切りの西脇だった(41話)。

 たった二人で信楽老の館へと潜入を試みる陽子と西脇。広い邸内に潜むコマンドたちを倒していく二人であるが、兵力差は歴然。二人は徐々に追い詰められていく。その道すがら、ついに西脇は自身の想いをぶちまける。陽子に鉄仮面をかぶせた悔恨に12年間も苛まれ、それでも彼女を特命刑事にすることで、父親の敵討をさせたいと願った日々。そして心に秘めた道子への想い。そして苦しむ運命を受け入れるしかなかった少女を、見守ろうと決めたことなどを口にする。蘭丸の犠牲を経て、奥の祭壇へと向かう二人だが、コマンド部隊によって足止めされてしまう。西脇は凶弾に倒れ、陽子もまた信楽老によって力尽きる。そしてついに月食が明け、盃に命の酒が満ちる。まさに今、信楽老が命の酒を飲まんとした時、祭壇のある池の中から現れし鉄仮面少女は、その手から放つヨーヨーによって秘宝を破壊。ここに信楽老の野望はついえたのである。そして少女は、戻るべき日常へと帰っていく(42話)。

<陽子の、3人の父>
 青狼会、そして陽子の過去にまつわる信楽老との因縁の戦いの中で、陽子は人間として戦士として大きく成長を果たしていく。彼女の成長に欠かせない人物として浮かび上がっていくのが陽子の3人の父とでもいうべき人々なのではないか? その3人とは、生みの親である「早乙女七郎」、そして憎むべき敵「信楽老」、そして彼女の後見人でもある「西脇」だと思うのだ。
 早乙女七郎に関しては、物語スタート時点ですでに故人である。だがそれ以前に土佐で母親と隠れるようにして暮らしていた時から、母親からたくさんの言葉を与えられている陽子の精神的支柱は、間違いなく母親であり、その背後にいたはずの父親の影でもある。39話で鬼怒良の秘宝が秘匿されていた天地学園にて手渡された、父親からの遺言書とでも言うべき手紙の内容は、謎を解明するまでに成長を果たしたことに素直に喜び、しかもそれまでの苦難の道、なおこれから陽子が歩まんとする荊の道をわびるとともに、その道を堂々と歩むわが子を励ます言葉に満ち溢れていた。そしてなお父の仇敵・信楽老を倒すことを、わが子に託して死んでいった父の無念が、陽子をさらに強くしていくのである。確かに父親との記憶がほとんどない陽子にとって、父・七郎の存在は、実際物語上でも降ってわいたような存在だ。だが繰り返される母親の言葉の裏にある七郎の意志が、間違いなく陽子へと受け継がれていった。彼女の精神的な強さは父・七郎から受け継がれたものなのだ。

 1話において暗闇指令配下の幹部が「鉄仮面をかぶった少女がなぜ平然と日本の高校に通っているのか?」といった内容の問いに、西脇はこう答えている。「彼女の通っている土佐青柳高校が、鎌倉の老人の息のかかった高校だとしたら……」と。日本を裏から牛耳っている政界のフィクサーであり、物語開始時点でも高齢であった信楽老は、自分の寿命と戦っていた。その寿命を延ばすためだけに、鬼怒良の宝の秘密を手に入れようと画策。早乙女七郎一家を巻き込んでいく。信楽老の悪意を知った早乙女は、その秘密を陽子にかぶせた鉄仮面やその他のキーアイテムに封じ込め、謎のまま早乙女は信楽老の配下に殺されてしまう。このあたりの采配は全く信楽老らしくないのだが、あるまいことか信楽老はその秘密が明らかになるまで待つという戦法に打って出たのである。そしてその結果は正しく報われることになる。陽子を自分の息のかかった学校に通わせて監視下に置き、その一方で陽子と兄妹同様に育った自分の息子・恭志郎には青狼会を作らせる。そして暗闇指令によって陽子がスケバン刑事に任命されたことによって、ついに運命の輪が回り始めることになる。すべてというわけではないが、仕組まれたいくつかの出来事が同時に動き出し、運命の糸に操られるように陽子たちは踊りはじめる。信楽老は実に愉快だったに違いない。すべてを自分の掌の上で操っていたかのように、順調に事態は推移していたはずだからだ。そしてそのために、信楽老は陽子を見守り続けてきたのである。そしてまた父・七郎の仇を打つべく、陽子は信楽狼に立ち向かう。それは陽子にとって最後に立ちはだかる超えるべき壁としての役割を果たしているに他ならない。幼き日の陽子に早乙女家の悲劇を背負わせながら、その成長を静かに見守りつつ、なおかつ最後には彼女が超えるべき壁として立ちはだかる。それはこの物語を相克の物語としてとらえた場合、間違いなく信楽老は陽子の父の役割を果たしていたことを証明している事実でもある。

<西脇、いとしい人の娘を見守りながら…>
 1話で陽子と再会した西脇は、陽子に向かって「目が父親にそっくりだ」と言っている。よく「目は口ほどにものを言う」というが、目こそ意志の現れだとしたら、陽子の眼に宿っていたものはスケバンに身をやつしてもなお消えぬ、強い意志だったに違いない。それを悟ったからこそ、陽子を特命刑事に任命し、父親の仇を討たせようと、西脇はその時に誓ったという。日々任務に明け暮れる陽子の影となり日向となり、陽子をサポートし続けた西脇。恐車七人衆に襲われた14,15話では、おそらく死を覚悟したのか、その秘密を一端は陽子に話そうとした西脇だったが、陽子は1話での「自分自身の手で自身の出生の秘密を暴く」約束からか、陽子は西脇の身を案じるように言葉をさえぎる。戦いを終えた15話のラストシーンでは、自分の友人と言って陽子の父・早乙女七郎の墓へと案内する西脇は、自分の手助けも必要とせず、敵の正体をつかみ、恐車七人衆を撃破するにいたった陽子を認めたに違いない。続く16話ではかつて七郎を襲った刺客・デューク南郷と16年ぶりの決着をつける西脇は、南郷の死体を前に悲しみの表情を浮かべながら、信楽老の呪縛によって人生を狂わされた人々の悲哀を口にする。
 16話では面白いシーンが続出するが、中での興味深いのは父親の秘密を楯に、陽子の潜在能力を引き出そうとしているシーンだ。16話序盤から中盤にかけて2度にわたり陽子と対峙する西脇だが、彼にかかれば陽子といえど赤子同然なのである。甘さゆえに西脇にかわされしまうヨーヨーは、陽子の未熟を表していた。その甘さは敵であるはずのデューク南郷にもまんまと利用されてしまう。まあそのおかげで陽子はダブルヨーヨーを習得することになるのだが。また25話では茫然自失となった陽子を海に放り投げる。これによって冷静さを取り戻した陽子は、真実を突き止め反撃に転じるわけだが、24話冒頭のコントのようなやり取りがあるがゆえに、その信頼の絆の強さが見る者の胸に響く。常に陽子を教え導き、そして親友との約束に準じた男、それが西脇なのである。しかもその想いは、愛した人の娘であるがゆえに、決して満たされることはない。しかも少女の運命を決定づけた鉄仮面を陽子に装着したのは他ならぬ西脇自身なのだ。劇中吐露した心情によれば、そのことに12年もの間苦しみ続けたという。だが重荷とも思える運命に負けるような娘にしたくないという願いを胸に、彼は土佐にいた少女を連れ戻し、スケバン刑事に仕立て上げ、父親の敵討をさせたいと願ったのであるという。
その西脇にしたところで、暗闇機関のエージェントである事実は、親友の娘を守りたい想いと、任務で縛られている二律背反の実態が彼を苦しめる。物語終盤、信楽狼に手出しできなくなった暗闇指令に謀反を起こして、陽子は単身信楽老の立ち向かう際、西脇はその身を持って止めようとさせしている。だがゆるぎない打倒信楽老の想いは、ついに西脇に暗闇指令を裏切らせてしまう。陽子を守っての戦いの中で、その想いを吐き出す西脇の胸中いかばかりか。だが親友の無念、愛した女性の娘を守って戦うことに自身の信念を見出したからこその裏切りは、暗闇指令の信念を変えさせるに至る。こうして陽子の後見人を自負し、それを己の人生として課した男の戦いは結末を迎えることになる。そしてまた戦いを終えて普通の少女の日常に戻りゆく、本当の名前を取り戻した陽子もとい志織を行く末を案じながら、いまもどこかで戦っているのかもしれない。西脇こそは、陽子の本当に意味での父親だったのではないか。

 もちろんこうした西脇というキャラクターの魅力は、すべての謎を知りながらそれを陽子にひた隠しにし、それでも徐々に事件の核心へと陽子をいざなう役回りであるので、ある種の狂言回しでもある。だが最後の最後で狂言回しとしての役目を放棄して、陽子とともに戦う道を選ぶその決断をみれば、この物語が西脇の決断と決着の物語である側面の全く否定できるものではない。それほど西脇というキャラクターは本作に重要な人物だったのである。陽子の3人の父の中では最も出番が多く、そしてまたともにした時間が長いだけに、陽子にとっても最も信頼する男性だったのではないかと思うのだ。時に見守り、時にともに戦う。決して甘やかさず、さりとて冷たくあしらうでもないその絶妙な距離感は、「お父さん、嫌い」とか言っている最近のお嬢さんでは決して理解できない絆で結ばれた二人なんだなと、今更ながら思うのだ。

 さて3回にわかって「スケバン刑事II」を扱って語ってみた。見直して思うのは、85年当時にリアルタイムで視聴していた時と、それほど変わらずに物語に埋没できたことがとても楽しい感覚であった。決して隙がないわけじゃないし、出来がいいわけでもない。むしろツッコミどころありまくりな作品である一方で、麻宮サキ=五代陽子という少女の強靭な精神と、ギャップともいえる可愛らしさに、完全に虜になってしまっている自分を発見してびっくりしたのである。それは南野陽子という女優の魅力であることは言うまでもないが、彼女の魅力を最大限引き出す物語と演出によって花開いた印象を強く抱いた。アイドル歌手として、女優として活躍した南野陽子の基礎を作ったのは、間違いなくこの作品であることを再認識させられた。と同時に、それを支えた西脇という名キャラクターがいてこそのサキだという想いを新たにすることができた。陽子にとっては父であり教師であり戦友である男。常にスーツで決めていながら、梁山高校でのダメ教師という豹変っぷりを見ていて、決して派手な演技や扮装をしているわけでもない俳優・蟹江敬三は、確かにこの作品の中核を形成していた、巨大なワンピースだったんじゃないだろうか。今は静かに故人の冥福を祈りたい。


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準備は整いましたので、いずれ扱います!

スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説 オリジナル・サウンドトラックスケバン刑事II 少女鉄仮面伝説 オリジナル・サウンドトラック
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
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戦隊シリーズをこよなく
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後期必殺を好み、
スタートレックは
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