五星戦隊ダイレンジャー~その3・5つの物語のゆくえ~

<ピックアップ!>
 メインストリームとなる物語があまりにも充実しているために、幕間の話が忘れられがちのダイレンジャーではあるが、ちょっとした小ネタのようなエピソードもご紹介しておきたい。12話「豆腐で酔ったァ」では酔拳の使い手・豆腐仙人と同じく酔拳(麒麟拳)を使う和が中心となる物語ではあるが、この話で筆者が注目したのは物語序盤で豆腐仙人にしてやられ、二日酔いになってしまう大五と将児の酔いつぶれっぷりである。特に普段キリっとした態度の大五が完全にそれまでのキャラが崩壊しまくった酔いつぶれっぷりは爆笑必至で、その後のメインバトルへなだれ込むのを和に突っ込まれていたりするあたりも気が利いている。25話「ぞろぞろ裏戦隊」ではにせダイレンジャーが登場する娯楽編だが、6000年前の中国ですでにコピー機があったという驚愕の事実もさることながら、コピーが本体の相手をしている間に道士・嘉挧の暗殺をもくろむという作戦も面白い。何より和役を演じた土屋圭輔が双子である事実を存分に生かした物語はなかなかに面白いと思える。また32,33,34話の3篇は、メインストーリーにあまり絡まない物語ながら、32話では亮と将児の友情と嘉挧の指揮官としての器、33話ではリンのかわいらしさ、34話では大五のやさしさに焦点が当てられている物語で、ちょっと忘れがたい。特にメディア魔術師によって騙されてアイドルデビューするリンを演じた高橋夏樹の照れくさそうな演技と相まって、例年にある女性戦士の百面相物が見事にアイドル話として昇華している。またこの3本でゴーマ怪人の人間体を演じた役者(でんでん、海津亮介、斉藤暁)の存在感も忘れがたい。



<激闘、果てしなく>
 一人の青年に異変が生じていた。青年の名は亀夫。絵描きの卵でカメを友達とする青年だ。22話で初登場した彼だが、その前兆は28話から始まる。ラーメン屋のおばあちゃんを手伝う和と意気投合した亀夫だったが、ふとしたことで手にした水晶玉(7つ目の天宝来々の玉)が、彼をカメに変えてしまう。カメと人間を繰り返した亀夫はついに人相まで変わってしまう。ゴーマ怪人・早口旅がらすによって連れ去られたコウは、同じように連れ去られた子供たちと一緒にシャダムたちのために穴を掘らされていた。3幹部が地獄の霊力を手に入れるためだ。コウの母の気力によって、ダイレンジャーたち5人はコウの秘密を知ることになる。コウは母親とゴーマ族の間に生まれた子供であり、10歳の誕生日までに母親と会わなければコウはゴーマの血によってゴーマ族になってしまうという。

時を同じくして再び異変を察知した虞翻は、新兵器・気力バズーカを携えて来日(29話)。気伝獣を使って地獄の穴とコウたちを探し出したダイレンジャー。霊力によってパワーアップした3幹部に圧倒されるも、穴をふさいで霊力の元を絶ち、未完成ながら気力バズーカの一撃で早口旅がらすを撃退する(30話)。7つ目の天宝来々の玉を探すダイレンジャー。それを持つと思しき亀夫を人質に、キリンレンジャーを襲うシャダムとゴーマ四天王は、和に呪いの面をかぶせて仲間を襲わせる。虞翻によって亀夫は自身が超気伝獣ダイムゲンであることを知り苦悩するが、和の窮地を知って彼を助けるために走り出す。7つの天宝来々の玉の力でスーパー気力バズーカは誕生し、その威力で和の呪いが解かれる。そして四天王との戦いの中で、亀夫もその真の姿を取り戻し、ダイムゲンとなって四天王を退ける。だがその時、早口旅がらすの竿を使ってゴーマ十五世が地獄の穴から復活させたのは、死んだはずの阿古丸だった(31話)。

 いくつかの戦いを経て、亮はゴーマにくみして魔拳士となったジンと対決する。ジンの新奥義クモの舞の効果によって、じわじわと命の危機にさらされる中でギリギリの戦いを制する亮であった(35話)。クジャクの「聖なる孔雀の涙」探索も進展しない。そんな中、万華鏡伯爵による幻術にひかれてクジャクとダイレンジャーは、幻の「聖なる孔雀の涙」にまんまとおびき出される。その戦いの中でクジャクとガラと右頬の傷の因縁が明かされる。クジャクを助けて傷を受けたガラは、その傷を治すために孔雀明王の下で修業を始めるのだが、クジャクの修行によって友を失ったと勘違いしたガラはクジャクを逆恨みしたのである。クジャクはガラの境遇にただ涙を流す(36話)。

 ある日亀夫は恐怖の大王の到来を予言する。時を同じくして眠ったままのコウが光に包まれていた。白虎真剣によれば外からコウに妖力を送り込まれて操られているという。コウの夢の中に侵入した白虎真剣は、死んだはずの阿古丸と再会し、攻撃を受ける。コウは阿古丸によってコウの誕生日まで眠ったままにされるという。阿古丸はシャダムを追い落とすためにコウを利用したのである。だがシャダムも黙ってはいない。ゴーマ怪人・パチンコ大名人に乗り移り、その莫大な妖力を使ってコウをゴーマに目覚めさせる作戦のシャダム。コウは妖力によって暴れ始める。大乱戦となった時、空から巨大なものが現れる。その名は「大神龍」。ダイレンジャーたちの戦いを尻目に破壊の限りを尽くす大神龍。亀夫の話によれば、大神龍は宇宙から戦乱の元凶をなくすため、その元凶と目される地球を滅ぼしに来たという。その話を聞いた嘉挧は、謎の行動をとる。なんと嘉挧は単独でゴーマ宮に乗り込み、大神龍に襲われるゴーマ宮の中で、ゴーマ十五世と休戦協定を結ぶのである。パチンコ大名人を倒し、ダイムゲンまで踏みつぶそうとした大神龍は宇宙へと帰っていく。だが嘉挧がどうしてゴーマとのホットラインを持っていたのか、謎は深まるばかり。コウは呆然自失となって行方不明となる(37、38話)。

<それぞれの結末>
 亮はゴーマを脱走して傷ついたジンを助ける。そのころ餓狼鬼が夜な夜なあらわれては人を襲うという事件が起こる。亮は懸命にジンを看病する。その中でジンは亮の優しさに触れていく。だがジンは自分の体の異変に気が付き始める。ジンこそが餓狼鬼の正体だったのだ。ザイドスの策略でジンは餓狼鬼の細胞を埋め込まれていたのだ。戦いの中でジンは餓狼鬼を己の体内から引きはがす。余命いくばくもないジンは亮に拳士として戦いを挑む。そして夕日の彼方へと消えていく(39話)。

 三度戦いを挑む三バカたち。今度はバイクで神風大将と将児の一騎打ちとなる。男と男の真剣勝負。将児は3バカたちにかつての落ちこぼれた自分を重ねていたのである。だがザイドスがこれに水を差す。バイクに積まれた爆弾は偽物で、先にゴールするとゴールに仕掛けられた爆弾が爆発するという。それを知ってなお勝ちにこだわる神風大将はゴールで仲間とともに爆発四散する(40話)。

 ついにクジャクと大五が探し求めた「聖なる孔雀の涙」の手掛かりが見つかる。ガラはクジャクとダイレンジャーに襲い掛かる。戦いの中で大五はついに「聖なる孔雀の涙」を手に入れる。クジャクとの戦いで失明したガラ。クジャクの命も残りわずかとなった時、道士・嘉挧から思いもよらない言葉が放たれる。あらゆる災厄を退ける「聖なる孔雀の涙」の効果は、地球上の大気の汚れを浄化しても、新しい病疫に対して免疫を持たない人類にとって逆に災いとなるというのだ。半狂乱になる大五。クジャクはガラとの最後の戦いを制して、「聖なる孔雀の涙」を1滴だけ使って、ガラの目と頬の傷を癒してやる。そして大五に別れを告げたクジャクは、孔雀明王となって昇天する(41話)。

 もう少しでコウは誕生日を迎える。そんな折、リンはついにコウの母親を探し出す。だが阿古丸が地獄から呼び寄せたイカズチの猛攻が、やすやすとダイレンジャーを母親に近づけさせない。そしてイカズチのすさまじい妖力は、再び大神龍を地球に呼び寄せることになる。シャダムの策謀により、コウの母親の抹殺が決まると、ダイレンジャー、ゴーマ三幹部、阿古丸の三つ巴の戦いとなる(42話)。戦いの中でダイレンジャーはコウの母親を助け出すことに成功する。だが白虎真剣はシャダムに奪われた。そのころ大神龍は人類に最後通告を突きつける。嘉挧は再びゴーマに赴き、白虎真剣を取り返しに行く。そしてシャダムは阿古丸をゴーマから追放することに成功する。そしてコウの母親の口から衝撃の事実が! 阿古丸はコウの兄弟であり、阿古丸とコウの父親はシャダムだったのである。コウを探し求めるダイレンジャーたちの前に、イカズチと合体した阿古丸が立ちはだかる(43話)。そしてゴーマに近づきつつあるコウはキバレンジャーに変身してダイレンジャーに襲い掛かる。大神龍は催眠術によって人々を自殺させるが、嘉挧は気力で助け出す。またもゴーマ宮を襲い始める大神龍。阿古丸はコウが自分の兄弟である事実を知り混乱する。その隙を突いてシャダムはコウを襲い、ダイレンジャー解散を条件に再び休戦協定を結んだことを告げる。そして母親の行った儀式によって、コウの中のゴーマの血は消えた。だがコウの目の前で母親は岩盤崩落からコウを守るために致命傷を負う。そして阿古丸と手をつないで落命する。イカズチを倒したコウは、リンの胸でただ涙する。そして約束通り嘉挧はゴーマに戻ることになる(44話)。

<5人に与えられたテーマ>
 主人公5人にはそれぞれ物語があることで、各人にテーマが設けられていた。亮は光と闇の戦い、大五は純愛、将児は情熱、和は友愛とやさしさ、リンは母性と、見るものにとってはわかりのいいテーマが並んでいる。普通こういうテーマは1シリーズにこれだけ盛り込めるものではない。各話単位で取り上げることはあっても、これだけ物語の骨格に絡むことはない。もちろんエピソードごとに割り振られた脚本家の成せる技であろうが、それ以上に作り手のテンションとそれに応じた役者のテンションがこれを成功に導いたと思える。

 亮における中盤以降の魔拳士ジンの話は序盤の父親との確執の再生産であり、どちらの人物も亮と心を通わせながら、闇の力にとらわれた者の末路を描いている点で、まったく同じテーマを繰り返して見せている。それはまさに「スターウォーズ」シリーズにおけるジェダイとシスの関係とまったく同じなのだ。事実、「ジェダイの帰還」において銀河帝国皇帝は、ダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーとその子ルークによって葬られた後も、物語を紡ぎつづけている。最終回でゴーマとダイレンジャーの戦いが50年後も繰り返される事情は、これの相似形なのだ。
 大五のエピソードは、それこそ普通ならレッドが担当してもよさそうな純愛エピソードで、「光戦隊マスクマン」ならレッドマスクのタケルが似たような役回りを演じている。また他のシリーズを探すなら、「愛」を中心に据えた「鳥人戦隊ジェットマン」という作品もある。いずれも悲恋がメインとなるのは闘争の物語だから仕方がないのだが、本作におけるクジャクと大五のエピソードは徹底して残酷にすぎる傾向がある。もちろん戦いの過酷さを印象づける一方で、ダイ族とゴーマ族の闘争の歴史が、大五とクジャクの前に厳然と立ちはだかるという展開では、おいそれと超えることのできない壁だろう。しかもたった一つの希望が、人類にとっては災厄の種でしかないという悲劇っぷりは、他に類を見ない。
 ゴーマとダイの闘争の歴史がさらに暴かれるのは、リンとコウに絡むエピソードであり、シャダムとコウの母親の間に生まれたコウの兄弟が阿古丸という物語のギミックは、そのラストエピソードがクリスマスイブであることも相まって、最大級の効果をあげていたといえる。おまけに母親との死別までつけて、このあたりの悲劇の徹底ぶりは、他のシリーズでもなかなかお目にかかれない。本作のプロデューサーに白倉伸一郎氏の名前があるのだが、この悲劇っぷりは氏のプロデュースした平成仮面ライダーシリーズ、特に「龍騎」あたりを思い起こさせる。それは決して無関係ではないだろう。もちろんこうした悲劇となる物語を、当時の子供たちがどう見たのか、気になるところではある。だがかつて子供だった筆者らがウルトラセブンを見ていて「ノンマルトの使者」や「第四惑星の悪夢」を見て、いつまでも心象風景として残っていったように、こうした悲劇も当時の子供たちの記憶にとどめられたのではないかと、勝手にそう思い込んでいる。

 さて予定では3回のつもりが、あまりにも書くことが多すぎて4回になってしまった。次回は最終回までの怒涛の物語を紹介し、その驚愕の展開とその魅力についてたっぷり書いてみたい。よろしくお付き合いくだされば幸いです。
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
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43歳になりました 
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後期必殺を好み、
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ピカード艦長が大好物。
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