五星戦隊ダイレンジャー~その4・光あるところに影がある~

<衝撃の展開、怒涛の結末>
 コウの一件が落着した後、ダイレンジャー本部の入り口が開かなくなり、道士・嘉挧も行方不明となる。同じころ、道士・嘉挧は行動を開始する。嘉挧の部下・子竜中尉は、携えた塔をビルの上に突き立てる。その塔を破壊しようするダイレンジャーの前に嘉挧が現れ、5人にゴーマとの再度の休戦協定締結とダイレンジャーの解散を言い渡す。心乱れるダイレンジャー。再び町に現れる子竜は、もう1本の塔を携えて行動を開始する(45話)。子竜に再び戦いを挑み、激闘の末に子竜を倒すダイレンジャー。だが彼らの前に現れた嘉挧は、自らがゴーマ族であることを明かす。ゴーマの王族であり、6000年前の戦いに反対していた穏健派であった嘉挧は、ダイ族に身を投じていたという。天宝来々の玉と変身アイテムの返還を求められるダイレンジャーの心は揺れる。そして約束の日、謎は解かれることなく、ついにダイレンジャーは嘉挧と戦うことになる。だが嘉挧の力は圧倒的だ。子竜が命をかけて建てた二つの塔からエネルギーを得た嘉挧の猛攻によって、ダイレンジャーはついに天宝来々の玉と変身アイテムを奪われてしまう(46話)。

 元の生活に戻った5人。わだかまりを抱えたままの5人に異変が生じる。コウの母親の指輪は光り、和の前で亀夫は亀になり、将児の前には三バカが現れ、亮の前にはジンが姿を現す。大五の前にもクジャクが姿を現した。そして5人は再び立ち上がる。シャダムが差し向けたザイドスが、二つの塔を破壊しにくる。その前に立ちはだかる変身できない5人に、ザイドスの口から思いもよらない真実が明かされる。嘉挧は次期ゴーマ皇帝となるためにゴーマに帰り、王位継承権を争ってシャダムと戦うという。嘉挧が立案した必勝の作戦、それは二つの塔より気力と妖力を集め、それを一身に浴びることでパワーアップし、シャダムを圧倒することだったのだ。塔を巡って変身できない5人の攻防、そして今、ついに王位継承権をかけた嘉挧とシャダムの戦いが始まろうとしていた(47話)。変身できずにザイドスに追い詰められる5人を、亀夫が、コウの母が、ジンが、三バカが、クジャクが励ます。そしてついに5人の想いと気力が、天宝来々の玉と変身アイテムを取り戻させる。一気呵成にザイドスを倒す5人。死んだザイドスは泥人形となって朽ちていった。そして嘉挧も使った秘密の通路を使ってゴーマの地にたどりついた5人が見たものは、いままさに息絶えようとする嘉挧の姿だった。序盤こそシャダムを圧倒する嘉挧だったが、ザイドスとガラによって二つの塔が破壊されると、シャダムの猛攻の前に嘉挧は敗れるのであった。悲嘆にくれるダイレンジャー(48話)。ダイレンジャーは嘉挧の敵討ちのためゴーマ宮へと突入する。そしてシャダムは己に秘めし野望をあらわにする。王位継承者となったシャダムは地球侵略を宣言する。直後ダイレンジャーの奇襲を受けたシャダムはゴーマ十五世の手から「大地動転の玉」を奪い取る。すると、ゴーマ十五世はザイドスと同じような泥人形となり果てる。実は6000年前に戦いですでに十五世は死んでおり、シャダムは泥人形を使ってゴーマを裏から操っていたのだ。ゴーマ十五世はシャダムの傀儡だったのである。ガラと対峙する大五とリン。そしてガラもまたシャダムの作った泥人形であり、本当のガラの魂はすでに昇天していたのだ。ダイレンジャーの前でゴーマ十六世となるシャダム。シャダムの遠大なる野望はここに日の目を見る。だが激しい戦いの気配は三度大神龍を地球に呼び寄せる(49話)。崩壊寸前のゴーマ宮の中で、戦い続けるゴーマ十六世ことシャダムとダイレンジャー。大地動転の玉の威力に天宝来々の玉で対抗する。だがその時、死んだはずの嘉挧が魂となってメッセージを伝えてくる。気力と妖力は表裏一体であり、その戦いは決して決着しないのだと。崩れゆくゴーマ宮から双方の玉が虚空へと消えていく。そして亮は一人シャダムを追いかける。亮はほんの一瞬の隙を突いてシャダムを倒すと、シャダムもまた泥人形となって死んでいく。激しい戦いを制したダイレンジャーはしばらくしてついに解散を決め、それぞれの道に戻っていく。そして50年後・・・(50話)。

<光と闇、正邪一対>
 一度は変身アイテムを取り上げられたダイレンジャーの5人が、戦いの中で関わった人々に背中を押されるようにして再び立ち上がり、自らの意志でダイレンジャーを名乗るシーンは、いつ見ても胸のすく思いだ。何より物語の序盤で、鍵道化師による人形のいたずらを信じず、自らの意志で動き出しもしなかった大五以外の4人が、今は後押しがあったとはいえ自らの選択で塔の前で見得を切るのだ。物語序盤で将児が口にした「解散」は、この回での解散と対になっていると思えるし、さらにはゴーマとの戦いの後で5人が選んだ解散にもつながっており、5人の成長が垣間見えるシーンでもあり、1年を通して見てきた身としては感慨深い。
ラストバトルのさなか、魂となった道士・嘉挧は、メッセージを伝えてくる。その意味を亮が正しく理解するのは、50年後の同窓会を邪魔したおしゃれな紐男爵が登場して、5人の孫たちによってダイとゴーマとの戦いが三度開始された時だった。その内容といえばある意味でこの世の中の心理にも似た内容である。気力と妖力は一対であり、そもそも力の根源は同一であったものが二つに分かたれたものだという。そして二つの力が争いながら永遠に戦い続ける。善があればそこに悪が生まれる。逆もまたしかり。いわゆる二元論的な話として「五星戦隊ダイレンジャー」の物語は「繰り返す」ことで完結となる。この作品を担当したプロデューサー白倉伸一郎氏は、次作「忍者戦隊カクレンジャー」においても、人間の中に芽生える悪意が妖怪を誕生させ、それはいつまでもなくなることはなく、その悪意を人間自身が自分の意志の力で封じこめることでしか、真の平和は訪れないとしている。したがってカクレンジャーは妖怪の長である妖怪大魔王を、倒すのではなく封印するという決着に象徴させている。「ダイレンジャー」での結論を「カクレンジャー」にてさらに昇華した結果が、「封印」という物語だとしたら、プロデューサー白倉伸一郎氏の思考の過程が読み取れるようで、趣深い。

 この闇と光、正邪一対の二元論的な物語は、6部作として一応の完結を見た「スターウォーズ」シリーズとよく似ていると思うのはうがちすぎだろうか。旧3部作ではあまりにも善悪により過ぎていてわかりにくかったジェダイとシスの存在意義を、新3部作で明確に示したことにより、スターウォーズ・サーガそのものが、この二元論で語られるうえ、アナキン・スカイウォーカーという存在が、光と闇の戦いに決着をつけるためにミディクロリアンによって生み出された運命の子である理由がよくわかる話に変化した気がする。アナキン=ベイダーは本作では嘉挧なのだが、彼に幕引きをさせず、後続となる若者であるルークあるいはダイレンジャーである点もそっくりだ。だがそれを白倉伸一郎氏は、旧3部作の段階でそれを読み取って、この作品に反映させていたのかしらと思うところがある。ジェダイがいればそこにシスが生まれる。だからその戦いは決して終わることがないし、戦いを好まないジェダイですら、戦乱の予兆たるシスの誕生をもっとも恐れているのだ。ゴーマ十五世が泥人形であり、6000年前の戦いで生き残ったはずのシャダムの操り人形だったはずが、そのシャダムですら泥人形だったという驚くべきオチは、ゴーマこそ人の中に生まれし悪意の象徴だという思いを抱かせる。それはまた「カクレンジャー」に登場する妖怪同様に、人の心の中に潜み続ける悪意でもある。だからこそ50年後の世界にも新たに悪意が形となりゴーマとして復活して暴れ始めたのだと解釈できる。気力の象徴であり妖力の象徴であるゴーマを倒すカウンターとしてのダイレンジャーは、あくまでも抑止装置でしかなく、その戦いは永遠に続くのである。それはまた連綿と続けられる戦隊シリーズが終わりなき道を歩んでいるのと歩調を合わせているかのように、テーゼとして存在し続けるのだ。

(さて、こうして考えるに、ゴーマ一族とははたして何だったのだろうか?と思わなくもない。泥人形であったゴーマの連中は、6000年前も泥人形だったのか? いや、違うだろう。ゴーマはそもそも存在し、同時にダイ族も存在していた。劇中でガラはハニワ腹話術師にゴーマの血族を探させていた。ということは、ダイもゴーマも6000年前の戦いの後に人の中に「血」として埋もれていったと考えるべきだろう。そしてまた人間の中にある悪意こそがゴーマの正体だとしたら、人間の中にある善意もまたダイ族の血族たる証なのだと思うのだ。今回の戦いはシャダムが画策した戦いだったかに見えるが、それすらも人間の悪意が形を成したものであったとしたら、それは人間の血の中に脈々と受け継がれてしまったゴーマの血のなせる業だったのかもしれない。)

<5人が戦士である証>
 それにしても45話「本気で解散!!」から最終回までの6話のラストシークエンスは、まさに怒涛の展開であり、これまでの戦隊シリーズのような対決、対決で盛り上がっていく正のカタルシスではなく、一度ならずも戦う気力すらなくした主人公たちが、再び立ち上がって力を取り戻し、かつての指導者の予想を超えて成長を見せるという展開は、実に素晴らしいと思える充実のドラマだと思える。かつて繰り返された敵の組織内の内紛のどさくさで勝利するのでもなく、第三勢力の登場によって弱体化するのでもなく、はたまた敵との因縁や因果関係の中でウエットなドラマ展開するのでもないのだ。その盛り上がりの最高潮を示すタイミングは、やはりザイドスから塔を守るために再度終結したダイレンジャーの面々が、素顔のままで名乗りのポーズをとる瞬間であろう。当然のことながらこのドラマを支える演技を見せる若き俳優たちの成長が垣間見える瞬間でもあるから、なおのことこのシーンで見ているこちらのテンションはうなぎのぼりに上がるというわけだ。そして再度終結した5人は、それまでのように衝突もしなければ、不必要に相談したりもしない。この時の5人はただ自分が進んできた道を信じ、ともに同じ戦いの日々を歩んだ仲間を信じ、目の前で自分を導いてくれた道士・嘉挧という人を信じて再び力をこめて立ち上がったのである。その信じる心こそが、彼らをして戦士の証しとした瞬間であり、44話の長い時間をかけて勝ち取ったかけがえのない青春だったからこそ、その時間とそこにともにいた人々を信じて立ち上がってこられたのである。昨今、なぜ戦うのかを問いかける作品が散見される中で、自らの自覚によってそれを確認する本作の物語は、やはり見るものに訴えかける何かがある。それを熱量として視聴者が受け取ったからこそ、「五星戦隊ダイレンジャー」という作品は、傑作たりえていると思える。

「五星戦隊ダイレンジャー」という作品は、人間が本来持っている熱量や情熱が、物語の形を借りてほとばしっているような作品だった。もちろん作劇上、その感情の発露が、見ているこちら側にとってもどこか納得できる流れの中で消化されているから、情熱のほとばしりに気持ちよく酔えるのだ。本作における一見すると不可思議で楽屋落ちのような50年後のダイレンジャーの姿には、今後もそうした説教じみたことを堂々と言い続けていく気概のようなものを感じる。その気概は、間違いなく20数年を経ても変わらずにシリーズに受け継がれているのだ。
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コメント

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お疲れ様でした

ダイレンジャー考察お疲れ様でした



お読みさせていただき、「おおーなるほどー」と感服させていただく場面がたくさんありました
今回にあった47話の集結した時の心境とか、本当に「俺達5人はいるんだダイレンジャーは解散なんかしねえんだ」というのが本当にピッタリですね

No title

キラシードさま

 コメントありがとうございます。
 全4回というのは、本ブログにおいては全話解説をした2本のアニメを除けば、最長となっております。なんでこんなに長くなったかは、お読みいただけれなわかると思いますが、物語の解説に文字を費やしすぎたからで、明らかに構成に失敗してるんですよねw
 本稿を書き上げてから1か月ほど何度も読み直したりして、追加修正をしたり、文字数を減らしたりと調整しながらブログを上げたのですが、それでも4回から減りませんでした。長々とお読みいただき、ありがとうございました。

 亮の「解散なんかしねえんだ!」は、ご指摘の通りで、最初から「解散」をちらつかせておきながら、見ているこちらは戦隊が解散なんてありえないと思い込んでいるから、休戦協定と解散というエピソードがインパクトをもって効いてくる。実に巧妙だと思えます。

 いくつかの点に関してはご同意いただけたようで、書いた本人としては心からほっとしております。世の中にはダイレンジャー否定派の方もいらっしゃるため、ブログを上げ始めてから、直接的に批判の意見をくれた友人もおりますが、キラシードさんのように本作が大好きでいらっしゃる方に読んでいただけただけでも、本稿を書いた甲斐があります。コメントまでいただいて、ありがとうございました。もしよろしければ、今後ともお付き合いくだされば幸いです。

こちらこそ末永くよろしくお願いいたします
僕って深い考察や議論が好きなタイプなので、ツイッター等のSNSでは引かれるタイプなのです…………
まにまにさんのような深い思慮をされてる方は希少なので





シャダムの泥人形の考察は僕も感じておりました
気力と妖力はどちらかが残れば、どちらも残るようになってる。即ち、泥人形は妖力のバックアップ機能なのではないかと
考察にあるよう、ダイとゴーマはシュラの末裔である人類に大部分が溶け込んだのでしょう
直系である亮とリン、コウ以外のダイレンジャーもそうですしね
大自然が調和のために敢えて残す。気力を気力たらしめるため、妖力を妖力たらしめるために
そうなると、シャダムを造ったのは大自然の意思と言えますね



由美ちゃんとかも何かないかな…………まあ、彼女は普通の人間であることに価値があるのですが

No title

キラシードさま

 由美ちゃんは、もしかしたらゴーマが復活したら必ず最初の被害者(犠牲者ではなく)になる一族だったりしてw

 シュラ族の血統である人間の中にゴーマとダイの血が受け継がれているとして、この話ではあくまで泥人形でしたが、いつ何時、人間の中にあるゴーマの血がゴーマ一族を名乗って暴れ出してもいいんじゃないでしょうか? だってダイレンジャーは泥人形じゃありませんでしたから。事実、コウの中にのゴーマの血は消滅したかもしれませんが、その子孫の血までは保証できないでしょうし。

複雑な関係

由美ちゃん一族大変ですね。は、まさか紐男爵2世に彼女のお孫さん呑まれてないか心配……
彼女は亮と結婚したのか、意外とコウか、何の関係もない男の子なのか
それは置いといても、コウの学校エピソードとかはもっと欲しかったかもしれません
もっとコウや由美ちゃんとかについて考察したい……。


50年後のゴーマは泥ではなく、もしかしたらゴーマの血が目覚めた人類の一部かもしれませんね
現代でもコウ母は本編の10年前にゴーマと認識しながらシャダムと結婚してますし、暗躍してたのかもしれませんね
コウは皇帝の血筋で、カクも血筋。
カクはリンと親戚なので、リンの一族もあるかもしれない
こうやって、決して絶たれることのない血というものを利用して、世代を越えた戦いを可能にしてるんでしょうね

そーなんですよお

キラシードさま

 そうなんですよ、劇中では血族が登場しており、ダイ族側にはそういった人々が出てきているにも関わらず、ゴーマではコウとシャダムぐらいしか出てきてません。戦隊ではパート2はやりませんが、この部分については、続編の可能性がまだしも残されている気がしてなりません。もっともダイレンメンバーのほとんどはまだ現役で役者してるひともいる一方で、完全におやめになった方もおられるので、ここは期待しないでおきます。とはいえデカレンのように新しく後日談ができる戦隊もありますれば、大好きなこの作品、どうにかならないものかとwww
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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