「惑星大戦争」と「宇宙からのメッセージ」~便乗商法という花火~


 夏の夜空を彩る花火。筆者の住む東京東村山市だと、都内の有名花火大会などに行くことの面倒くささを考えれば、最寄りの西武園で夏の間、毎週土日に行われる花火大会は、ありがたいイベントだった。高校生の頃、初めて付き合った女の子とデートした思い出すらある。ところが昨今、この花火大会がなんだか問題だ。花火大会の帰りに事故が起こったり、今年の夏は花火のかけらが落下して頭部陥没とか、あまりいい話を聞かない。
そも「打ち上げ花火」というのは、打ち上げてパッと開いては散るイメージから、継続性のない単発的な仕事を示す言葉としても使われ、決していい印象の言葉としては使われていない。どうしてこんな話をするかといえば、今回ご紹介する2本の映画作品が、時代の流れの中でまさに「花火」、しかも便王商法という名の花火として作られた作品だからだ。とはいえ、この2作品が大傑作だなんて持ち上げるつもりはさらさらない。ただし、見るべきところは取り上げておきたいし、何ゆえこの2作品が当時の日本で大作たりえたのかは、押さえておいたほうがいいだろう。そんなわけで東宝が作った「惑星大戦争」と東映が作った「宇宙からのメッセージ」の2本についてお届けしたい。

<a Long Long Ago……>
 2作品について語る前に、まず当時の時代背景について説明しておきたい。それはつまり、この2作品が製作される最大の理由についての話だ。
 かつて「SF」とは、あくまで空想科学物語とでも言うべき、創作物におけるサブジャンルでしかなかった。その存在があり、固定したファンがいるが、一般大衆を巻き込むほどの力はなかった。人はその物語を読み、空想し、夢見るしかなかったのだ。だが時代が下がってフィルムに焼き付けた映像を連続で映し出すことで、止まった映像が動き出す。映画の誕生だ。映画で見せるそれは当時、魔術と同義であった。映画の始祖には映像のトリックを使ったマジックを見せる映画があったという。映画がどこかで起きた現実を再生するジャーナリズムを持ち始めると同時に、物語を持ち始める。映像技術のとしてのトリックは、現実ではありえない映像を大衆に提供し始める。1902年に公開されたジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」は古典SF映画の始祖として、その後広く知れ渡る。以後、映像における特殊技術、いわゆる特撮技術の進化とともに、SF映画は映画の1ジャンルとして認知されていく。だがそれは映画のサブジャンルとしてであり、荒唐無稽な物語、キワモノと呼ばれるクリ-チャー、どうしても撮影の裏側が知れてしまう技術面などの問題は、どうしても映画シーンのメインストリームにはなりえない存在でもあった。

 そんなSF映画の常識を完全に覆したのは、1977年に全米で公開された「STAR WARS」である。監督のジョージ・ルーカスは、スペースオペラの快作「フラッシュ・ゴードン」のリメイクを検討していたが、権利を持つ映画会社より許可が下りなかったためルーカスのオリジナル企画として「STAR WARS」を製作したという。もちろん、本作が受け入れられるための下地はあった。アメリカのTVシリーズとして人気を誇った「スタートレック」や「トワイライトゾーン」などの作品群の存在、そして現実世界における米ソ宇宙開発競争などが、これに拍車をかけた。スペースオペラとしての体裁をとりながら、様々な映画のジャンルからの引用、そして現行の地球を含む宇宙ではない、別の銀河を舞台とした寓話として出来上がった本作は、アメリカ人のみならず映画を公開した世界中で大衆を魅了する。

 さて一方の日本では、SFらしい作品がほとんど見当たらない。「宇宙人東京に現る」「宇宙大戦争」「地球防衛軍」「妖星ゴラス」など、侵略SFやSFパニックが主流であり、映画におけるスペースオペラは見られない。だが1954年の「ゴジラ」の商業的成功が、キャラクタービジネスと結びつき、TVという媒体を主戦場として特撮ヒーロー作品が幅を利かせることになる。「ウルトラマン」をはじめとするウルトラシリーズ、「宇宙Gメン」や「キャプテンウルトラ」などの和製スペースオペラが誕生する。
 このTVという媒体で、子供たちを魅了していたのはアニメーションである。「鉄腕アトム」を始祖として展開した漫画原作を持つキャラクター主導の作品は、マーチャンダイジングの面においてTVと相性がよく、またSFとも相性がよかった。日本人にとっては映像化するにあたり実写特撮以上に絵で描かれたアニメの方が、人間のイマジネーションを実現化する手法として有効だったのだろうか。そんなアニメーションが子供のものから、一般大衆を巻き込むムーブメントとなった時代がある。それが第一次アニメブームと呼ばれる時代であり、その時代を声高らかに叫んだのは「宇宙戦艦ヤマト」(1974)である。放送時には打ち切りによる話数短縮の憂き目にあった本作だが、放送直後からの再放送によってブームに火がつき、ラジオなどのメディアや製作側が主催するファン活動が実を結び、ブームが拡大。これを機にハイティーンをターゲットとしたアニメ誌が相次いで発刊され、関連商品が売れていく。ついには全26話を再編集した劇場版が公開されるにいたる。この公開年が1977年である。

 このアニメブームに連動する形で、SFブームがやおら日本に到来する。そもそも時代劇スターを擁立して、主役をあたかもヒーローに見立てて物語が構成される時代劇を主軸として製作してきた日本映画界は、前述のようにSFといえば「怪獣映画」あるいは「ヒーロー映画」が主流だった。「STAR WARS」が市井の青年が苦難の道を乗り越えてヒーローとなる、立身出世の物語だととらえれば、そもヒーローとして存在している(ご存じ物的な)時代劇映画を根本とした日本の映画とは一線を画す存在だったろう。そんな「STAR WARS」の魅力の一端が、日本映画の成り立ちとの差異から来ているとすれば、「STAR WARS」が日本で驚きをもって受け入れられた理由もご理解いただけるだろうか。あ、もちろん「未知との遭遇」もSFブームに一役買っていることを忘れちゃいけない。

<東宝、かつてのリメイク作品>
 そんな「STAR WARS」は日本を席巻する。マクドナルドやコカ・コーラの便上商品は後を絶たず、ろくに動きもしないフィギュアやシール、果ては瓶ジュースの王冠を求めて、ファンは一喜一憂する。映画のキャンペーでしかないこうした連動商売が、大きな利益を生み出したのだ。日本における「STAR WARS」公開前から、熱狂は過熱する。こうなると日本映画界も動かないわけにはいかない。「STAR WARS」の日本公開は1978年7月である。これに先んじて動いたのはまず東宝だった。ゴジラシリーズをはじめ、東宝にはすでに特撮映画の下地があったから、こういう状況で先に動くことは自然の成り行きだろう。東宝はゴジラシリーズ15作目「メカゴジラの逆襲」(1975)以降中断していたゴジラ映画の復活を企画していたが、この企画を打ち切って、かつての人気作「海底軍艦」(1963)のリメイクを急きょ企画する。脚本が仕上がったのが1977年の10月。本作の公開が同年12月であったから、本作の撮影は急ピッチで行われたことは想像に難くない。「海底軍艦」(1963)が海底に潜むムウ帝国の地上侵略を退ける話であったが、「惑星大戦争」ではこの敵を、金星を足掛かりに地球侵略をたくらむ宇宙人と設定を変更はしたが、敵に拉致された娘を助けるために敵地に赴き、これを撃滅するという筋立において、2作品は完全に一緒なのである。

豪天号(自転車ではない)は宇宙を航行する「豪天」となり、主人公である森田健作、沖雅也、浅野ゆう子を乗せて宇宙へと旅立つわけだ。このキャスティングが、当時人気のあった役者をキャスティングしてあることは、東宝という会社がいかに本作を大作として扱っているかを端的に示す事実であることは言うまでもない。翻って「STAR WARS」では知名度の低いキャストを使い、俳優へのギャラを押さえながらも、作品人気ゆえに主人公たる彼らがスターとなっていったかを考慮すれば、映画とは俳優の人気で決まるものではないということは、おのずからわかるだろう。そう、東宝並びに日本映画界はキャスティングにこだわるあまり、お金の落としどころを、ちょいとはき違えている印象が、筆者にはある。その事実を端的に示す事実として、物語序盤に登場する、敵円盤による世界の大都市の破壊シーンがあるのだが、かつて「宇宙大戦争」「世界大戦争」「ノストラダムスの大予言」といった映画における都市破壊シーンを、映像ライブラリーとして再利用している。もちろん時間的制約の中での話であるので、一概にこれを否定するものではないが、この都市破壊シーンが新たに作り起こされたものであったなら、本作の評価はまた違ったものになっていたかもしれないと思うにつけ、残念に思うのだ。

とはいえ、「海底軍艦」において豪天号建設の中心人物・神宮寺が、大日本帝国再建という夢を見て、時代錯誤とも思われる太平洋戦争のやり直しを標榜していたことに対し、本作ではそういう怨嗟をばっさりと断ち切っている点は地味に評価したい。もっとも「海底軍艦」の場合はこの怨嗟が物語前半のキーになるから、完全に否定しがたいのではあるが。

さて本作の見どころをいくつか押さえておきたい。序盤は主人公たちが謎の円盤による攻撃によって宇宙人の地球侵略を意識し、かつて建造中止となった宇宙船「豪天」の建造を再開し、豪天の元に乗組員が集まるまでの話が展開する中で、森田健作、沖雅也、浅野ゆう子による恋のさや当てがかつて行われたことを示すくだりがある。このあたりで沖雅也演ずる室井はフラグ立ちまくりで、この時点で後の展開が読めてしまう。もう浅野ゆう子演じる自分のフィアンセ・ジュンのために死ぬ気満々なのだ。

豪天完成直後、豪天を建設していた秘密基地のある島に宇宙人が来襲。基地は宇宙人の襲撃に見舞われ、次々と殺されていく地球の戦士たち。このシーン、「STAR WARS」序盤に登場する、帝国軍による同盟軍襲撃シーンに似ているのだが、それは言い過ぎだろうなw 果たして発進した豪天は、世界中を蹂躙していた円盤群と激しい空中戦となる。円盤の攻撃にびくともしない豪天。艦橋背後の煙突状のものから航空爆雷を発射して、敵円盤群を一掃する。この煙突状のものから発射される航空爆雷ってのが、「宇宙戦艦ヤマト」に登場するエントツミサイルに似ているし、「バトルフィーバーJ」に登場するバトルシャークの爆雷攻撃を思い出させる。乗組員の一人の身に起きた不幸(円盤の攻撃でアメリカに住む家族が死亡した)といったエピソードを織り交ぜながら、地球を飛び立つ豪天。金星への旅程で、宇宙人の襲撃によって破壊された宇宙ステーションの残骸を発見する。同僚の遺体を豪天に連れ戻す室井。だがこの遺体は宇宙人が入れ替わっており、これによりジュンが拉致されれてしまう。その直後、宇宙人から入電する映像で、ジュンは黒のボンテージっぽい衣装を着せられ、毛むくじゃらの獣人に捕まえられていた。見事「美女と野獣」の出来上がりである。この美女と野獣になんの意味があるのかはわからないが、「STAR WARS」だって「ジェダイの復讐」の時、ヒロイン・レイア姫がセクシーな衣装で登場したので、まあそんなものかと思っておきたい。あるいは「キングコング」あたりにもある美女と野獣というコンビネーションは、もはやSFとしての定番だっとしておこう。

さて金星をベースに地球を狙う宇宙人が、その正体と目的を明かすと、豪天は金星へと着陸し、まずは偵察隊を派遣する。このときに使用するランド・ローバーが、後に「恐竜探検隊ボーンフリー」のボーンフリー号か、その続編「恐竜大戦争アイゼンボーグ」のアイゼン号あたりに改造されて利用されたっぽいフォルムをしている。特撮プロップ好きにはたまらない車両である。このランド・ローバーが金星の洞窟や細い谷を疾駆するシーンは、短いシーンながら背景の作りこみといい、大胆な構図といい、なかなかに見ごたえのあるミニチュアワークでうれしい限り。そしてバリヤーでおおわれ、外からの攻撃を受け付けない敵・大魔艦への潜入を画策し、再度アタックを試みる主人公たちは、バリヤーを破壊する部隊と潜入部隊の二手に分かれて攻撃を開始する。ここで豪天側面にあるリボルバー状のものから戦闘機が発艦する。これが無茶苦茶カッコイイ。このリボルバー型発進口は、「ふしぎの海のナディア」に終盤に登場するネオノーチラス号にも登場するシステムだ。激しいドッグファイト。ここで室井が展開する洞窟に敵円盤をおびき出し、空洞を抜けての再攻撃を見ていると、本家「STAR WARS」終盤のデス・スター攻略戦を想起させる。しつこいくらいに繰り返す本家に比べて、取ってつけたっぽい作りではあるが、本家を十分意識したシーンで、やはり微笑ましい。

さて金星に鎮座ましましている大魔艦ではあるが、ドーム状にえぐり取られた岩山に潜み隠れている。その上バリヤーまで張っている。そのくせ、上方は岩盤が突き出しており、見るからに大魔艦に落ちそうな雰囲気を醸し出している。攻撃隊はバリヤー破壊のために、この突き出している岩盤を破壊するのだが、その際に仲間を一人失うことになる。祖国アメリカで親兄弟を失った外国人青年である。もはやフラグの回収でしかないが、この攻撃で破れるバリヤーもどうしたもんだか。そしてたった4人の潜入部隊が船首のダクトから潜入を決行する。なんの危険もなさそうな一本橋を渡り、罠を通過し、大魔艦の主機関にたどり着くが、そこでついに森田健作が捕まってしまう。が、あっさり脱出。びっくりするぐらいあっさりと脱出する森田健作と浅野ゆう子。いやもうびっくりだ。

そしてついに大魔艦が動き出す。ところが帰還途中の沖雅也演じる室井が、行きがけの駄賃とばかりに大魔艦に撃墜されてしまう。もはや言葉も出ないほどのフラグの回収っぷりだ。そして2つの大型艦による大激突。揺れる豪天の中で浅野ゆう子も揺れる揺れる。これがガイナックスなら盛大に乳揺らしするシーンだが、現実に乳は揺れないことを浅野ゆう子が教えてくれる、貴重なシーンだ。両艦ともそれぞれの武装で攻撃を仕掛けるも、ついには艦体側面で交差する。これは大型のプロップを実際にぶつけての撮影なので、スクリーンで見たらそれなりに迫力があったのではなかろうか。豪天はよせばいいのに空中回転までやってのけるのだが、大魔艦の必殺兵器の前についに行動不能になってしまう。ここでジュンの父・滝川艦長は、自身で開発したエーテル爆弾を使って大魔艦を攻撃することを決意。乗組員を豪天に残し、艦首ドリル(エーテル爆弾)だけ大魔艦に突っ込んでいく。そして大魔艦は轟沈する。なんでも大魔艦の宇宙人たちが狙っていた豪天の秘密とは、このエーテル爆弾だったらしい。こうして地球の危機は救われた。滝川の散り際も立派であったが、件のエーテル爆弾の威力が、画面上さほどでもなかったことを気にしなければ、まあまあ順当なラストだろう。ところが、である。最後の最後で金星が大爆発を起こして、物語は一巻の終わりを迎えるのだ。え?金星大爆発? これがエーテル爆弾の威力というべきなんだろうが、いいのか金星!

この作品、まあ確かに時代が生んだ珍品ではあるものの、配役だけを考えても十分に大作であるし、特撮面でも大スケールの金星地表は迫力あるセットを組んでおり、その上空で激突する2つの巨大戦艦の大型プロップが戦うシーンも十分見ごたえがある。もっともそういう特撮の評価をしたところで、本家「STAR WARS」における宇宙空間ならではの上下の失調感までは再現できていない。この頃の日本特撮はセットと釣りによる操演が主軸であるため、まだ重力の束縛から逃れられない。モチーフや主舞台が似ていても、こうした技術革新を取り入れられない限り、日本の特撮では「STAR WARS」で活用されている、いわゆるSFXには乗り越えられない壁がある。それを十二分にわからせてくれる作品ではある。ただし筆者にとっては、物語序盤から終盤まで登場し、そこかしこで活躍を見せてくれた宮内洋氏が活躍した作品であり、その部分で十分に特撮作品としての価値がある。個人的にここ重要!

<東映は宇宙でチャンバラ!>
 さて東宝に先を譲ったが、時代劇や任侠映画でならした東映もこの花火に参戦することになる。メガホンを取ったのは名匠・深作欣二。さて深作欣二監督といって彼の監督作品がいくつ思い出されるでしょうか? 70年代なら「仁義なき戦い」シリーズ、80年代なら「魔界転生」「復活の日」「蒲田行進曲」「上海バンスキング」「里見八犬伝」、2000年代なら「バトルロワイヤル」シリーズなど、TVでも「必殺仕掛人」「キーハンター」「アイフル大作戦」など、時代劇のみならず現代劇でも傑作を残した監督だ。惜しくも2003年に他界され、遺作は息子・健太氏によって監督が引き継がれたことがある。撮影に当たっては綿密にリハーサルを行うことがつとに有名で、画面の端橋にまで気を配る監督として知られていた。

そんな深作監督が、本作を製作するにあたりモチーフとしたのが滝沢馬琴による伝奇時代劇「南総里見八犬伝」である。安房の国・里見家の姫・伏姫と神犬八房の因縁によって結ばれた8人の若者(八犬士)を主人公とし、彼らが不思議な宿縁によって里見の家に集い、艱難辛苦を乗り越えて里見の家を盛り立てていくという物語。日本映画の黎明期から題材として選ばれ、いくつもの作品が作られているし、TVでも同じ。NHKでは「新八犬伝」という人形劇もあったほど、日本人には人気でなじみのある素材である。奇しくも1983年に深作監督自身が薬師丸ひろ子・真田広之の主演で映画化している。筆者はこの「里見八犬伝」(1983)に当時大いに入れ込んだ作品で、レンタルビデオやDVDでいまだにリピートして視聴する作品だ。

物語は宇宙の侵略者・ガバナス帝国が惑星大要塞に改造してしまった惑星ジルーシアからスタートする。ガバナスの侵略によってひっそりと暮らすジルーシアの民。その大酋長・キドによって8つの種子が宇宙へと放たれる。それは「聖なるリアベの実」。ジルーシアの伝説によれば、この実を持つ8人の勇者がやがてジルーシアを訪れ、苦しみに喘ぐジルーシアの民を救ってくれるという。キドの孫娘・エメラリーダ(志穂美悦子)と従者の二人は、8人の勇者を探す旅に出る。だがその動きはガバナス皇帝・ロクセイア12世の知るところとなり、追っ手の戦艦が派遣される。
リアベの実は地球連邦のエリア内の惑星に住む若者たちの手にゆだねられることになる。暴走族のシロー(真田広之)とアロン、チンピラのジャック、金持ちの娘・メイア、そして地球連邦軍の怠慢に失望して軍を離れたガルダ将軍の5人である。ふとしたことから難破した宇宙船でエメラリーダたちと出会う5人。ガバナスの侵攻を信じないばかりでなく、臆病風に吹かれる若者たち。一度ならずエメラリーダを裏切る形となった若者たちであったが、追いつめられるエメラリーダたちを不憫に思うばかりでなく、徐々にリアベの実の意味を理解し始めた若者たちは、ついに立ち上がる。そして彼らはジルーシアへの旅程で、ガバナス帝国の正当後継者であるハンスを仲間とする。同じ時、地球の美しさに魅せられたロクセイア12世は、地球への侵攻を開始する。地球側は最新鋭の戦艦を派遣するが、ガバナス艦隊の前に敗退する。新任の地球連邦評議会議長から直々の依頼により、ガルダも立ち上がり、ジルーシアへ大使として派遣される。それは降伏期限引き伸ばしが目的だ。
ジルーシアに着陸した若者たち。彼らはキドたちと合流を果たす。そして惑星大要塞の壊滅には、地下の動力炉を破壊するしかない。だが動力炉の破壊は惑星ジルーシアそのものの破壊でもある。キドたちジルーシアの民にとっては苦渋の決断である。だがあえてそれを提案するキドの手引きによって若者たちは惑星大要塞破壊作戦を決行しようとする。だがエメラリーダの従者・ウロッコの裏切りによってキドや若者たちはガバナス軍に拿捕されてしまう。ロクセイア12世の謁見の間で会する一同。ロクセイアはキドらの処刑をウロッコに下すが、思いとどまったウロッコはロクセイアへと発砲し、大乱戦となる。風雲急を告げるガバナス要塞でロクセイアと一騎打ちを演じるハンス。要塞爆破に向かう若者たち。残る2人の勇者とは誰なのか?

本作の魅力をまず挙げるとするならば、極彩色のSF絵巻とでもいうべき衣装や舞台セットの鮮やかさだろうか。この深作欣二監督作品の独特のセンスとでもいうべき、この色とりどりの衣装やセットのあでやかさは、前述の「里見八犬伝」(1983)や「魔界転生」(1981)、必殺!4 恨み晴らします」(1987)なでもお目にかかれるが、他の作品が時代劇であるのに対し、モチーフが時代劇とはいえスペースオペラ作品でこれほどのあでやかさは、他に類を見ない。

魅力のもう一点は、当時絶大な人気を誇った千葉真一率いるジャパンアクションクラブ(JAC)による派手なアクションだろう。トランポリンを使ったジャンプからのアクションや、軽やかな切り結びと重さの切ろ下ろしの完全なる融合を果たした見ごたえある剣劇、デビュー間もない真田広之というイキのいい俳優によるはつらつとした演技もいいが、熟練の剣劇と軽やかなアクションを見せるハンス役の千葉真一がやはり光る。ハンスとロクセイア12世が切り結ぶ終盤のチャンバラは、やはり時代劇を見慣れた目で見ても心躍るシーンといっていい。

そして何といっても十分にお金をかけたガバナス軍の大戦艦の進撃シーンや、エメラリーダが駆る宇宙帆船の発進シーンの緊迫感、地球艦隊と熾烈な戦いを繰り広げるガバナス艦隊の偉容など、大型プロップと大セットを用いた大規模特撮シーンは、大スクリーンに映える見事な映像に仕上がっている。後にスピンオフ作品であるTV作品「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」にも流用されているシーンのほとんどは、ここで撮影されている。特撮監督を担当した矢島信男氏は、撮影期間50日ほどしかない中での仕事でありながら、後年、本作での仕事で様々な試みができたことに大変満足しているというコメントを残しており、今や矢島特撮の代表作といっても過言ではないほどの出来栄えだ。動力炉破壊のためのチキンレースシーンは、どう見ても本家デス・スター攻略シーンのオマージュであり、むしろ「ジェダイの復讐」における第2デス・スターにおけるメイン・リアクター攻略にも近しいシーンであるから、もはや日米で競っているような感慨に襲われそうになる(間違っている気がしますw)。

実のところ、この作品に対する筆者の印象はあまりいいものではなく、8人の勇者の集合があまりに雑な感じがしていて、シローたち若者たちの物語と、ガルダ将軍の物語の比重があまりに不均等であったり、ハンスの登場が唐突であったり、エメラリーダとウロッコの受難があまりにも長かったりと、キャラクターに対するエピソードの比率がなんとなく不釣り合いな気がする点は、筆者にとって合点がいかない部分である。また最後の大乱戦の時にやっと8人の勇者が揃うことになるのだが、だからといって8人がそれぞれに役割を与えられて、戦いの場での活躍が約束されているとはいいがたい。特にチンピラのジャックの役割がよくわからないし、8人が揃うことでリアベの実の力が解放されるとかでもないので、8人が揃うことに対する動機づけがやや弱いのは否めない。そのあたりはむしろ後年深作監督が撮った「里見八犬伝」(1983)の方では八犬士が勢ぞろいし、連れ去られた薬師丸ひろ子演じる静姫を取り戻すために、玉梓率いる妖怪軍団が巣食う館山城へと向かうシーンは胸アツですらある。

<便乗商法で得たもの>
 さて東宝および東映の便乗商法を駆け足で解説してはみたが、これで得た物とはなんだっただろうか? もちろん両作品ともそこそこの興行成績を収めている作品だから、これによる両社大赤字という事態には至らなかったようだ。本家「STAR WARS」の日本公開に先駆けての公開だったから、SFあるいはスペースオペラの一般認知には一役買ったことは疑いえない。また東宝は「惑星大戦争」以降もSF作品を細々とではあるが扱っていくし、「ゴジラ」(1984)への布石は打たれたことになる。また「宇宙からのメッセージ」はTV版スピンオフ作品「銀河大戦」という作品も生まれた。ともにそれぞれの成功とその後の展開が生まれたことは、記憶にとどめておく出来事だろう。とはいえ、日本におけるSF映画、スペースオペラといったら、このほかになかなか思い浮かんでこない。ないとは言わないまでも、一般大衆に認知はされたがこれ以上の拡大はなかった、と解釈するのがもっとも妥当なところかもしれない。結局TVにおけるキャラクター商売としてゴジラ、ウルトラマン、ライダー、戦隊が展開しやすくなる土壌があり、マーチャンダイジングと連動するアニメが台頭する。単発でのSF映画では、こういったキャラクタービジネスは見込めないから、日本では特撮ヒーローやアニメが奇形的にビジネスとして成長していくことになったわけだ。一方の「STAR WARS」が公開以後着々とファンを増やし、新たなキャラクタービジネスとして展開し、さらには続編の公開が待たれ、続編公開時にはお祭り騒ぎになるほどのストリームを起こしたことを思えば、これはやはり驚異的だと思わざるを得ない。少なくとも日本では「宇宙からのメッセージ」や「惑星大戦争」では継続的な商売にはならなかったし、映画会社としてもそこに商売を盛り込む要素は見つけにくかったのだろう。それだけに「STAR WARS」という作品がいかに稀有な存在であるか、ということが浮き彫りになる事象だったといえる。

だからといってこの2作品に価値がないなんていうのはとんでもない話だ。面白いのは東宝および東映という日本の映画会社が、少なくとも「STAR WARS」を見て、それに便乗するために作った作品でありながら、そのアプローチが基本的なそれぞれの会社のお家芸でせまることによって、この2作品が出来上がったってことが、より重要なのだ。根本的には自社の過去作のリメイク作である「惑星大戦争」は、どこかやはり「緯度0大作戦」に近いテイストがあるし、互いに背景が希薄な対立組織の構造などは、「ゴジラ対メカゴジラ」や「メカゴジラの逆襲」などの侵略SFの呑気さに近い。また時代劇よりもチャンバラ映画の華美荘厳さ、時代劇スターを羅列する俳優主導の宣伝などを得意としてきた東映は、深作欣二監督と「南総里見八犬伝」の着想を得て、「宇宙からのメッセージ」を作り上げる。このややSFチックな画面作りは、後に「魔界転生」や「里見八犬伝」を作り出すと思えば、この作品がいかにエポックだったかがわかろうというものだ。惜しむらくは、その後の展開に恵まれなかったことは前述の通り。だからこそ、東宝および東映が便乗商売とはいえ、ともに自分たちの得意分野を突き詰めて作り上げた作品を、大作として公開したのだから、当時における決定版として両社が送り出した作品なのだ。作品的に内容はどうあれ、時代のエポックとしての輝きがある作品として、記憶にとどめておきたい。
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「宇宙からのメッセージ」の台本

「宇宙からのメッセージ」は台本の初期稿がひどかったらしいですね。
当時スペースオペラを書ける脚本家がいなくて、上がった台本のせりふ回しがまんま時代劇のノリだったらしいです。

それで、当時「キャプテンフューチャー」シリーズや「レンズマン」シリーズの日本語訳で知られた野田昌弘さんが
SFらしいセリフ回しに修正してくれって依頼を受けて手直ししたんだとか。

野田さんの著作「銀河乞食軍団」のあとがきで書いていました。

それくらい当時の日本映画ではスペースオペラやSFって馴染みの無いものだったんでしょうね。

No title

mineさま

 「宇宙からのメッセージ」の初期脚本案は伊上勝氏の手によるものです。
伊上勝といえば、「仮面の忍者赤影」や「仮面ライダー」初期の脚本家。ちなみにその息子は平成ライダーシリーズや「シャンゼリオン」でも有名な井上俊樹氏です。まあ初期脚本案が時代劇だったのは、伊上氏ゆえだと思うので、致し方なさそうな気もしますけど。それでも出来上がった本作は、やっぱり時代劇から抜け切れていないし、時代考証よりも如何にチャンバラとしての見せ場があるかを考えれば、野田大将の脚本修正も、セリフ回しの修正ぐらいしかできなかったんだろうとは思いますよ。

 なんでも後年、この作品がTV放映された際、それを見た小松左京から、野田大将宛に電話が入り、「日本SF作家協会から除名するぞ」とのお達しがあったそうなw

違和感、ですよねえw

> スペースオペラだけがSF見たな論調に違和感を憶えた

記事をご覧いただき、ありがとうございます。
その違和感は至極真っ当なご意見だと思います。
1977年発の「STAR WARS」という作品の、目を見張るムーブメントと、
それに連なる日本の後追い企画という主旨で記事を書くと、
SFというよりはスペースオペラ寄りの話になる上で、
「SF」のブームへとつなげるために、スペオペ以外のSF作品を失念する、という話で。

私のような原体験として当時の記憶を持っている人間にありがちなことと、
笑って見過ごしていただければ、幸いです。

記事中、「未知との遭遇」にちらっと触れているのが、
このことに自覚的であったということでw
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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