パワーレンジャー THE MOVIE(1995)~このタイミングしかないでしょ!~

 この2017年7月より、映画「パワーレンジャー」が公開される。マーベルやDCのアメコミキャラクターが劇場用作品となってドル箱化し、今年も「ソー」や「ワンダーウーマン」の公開が控えている。日本で「恐竜戦隊ジュウレンジャー」が放送されたのが1992年。物語が終了する1993年には「マイティモーフィン・パワーレンジャー」としてアメリカで放送される。変身前の人間が演じる部分はアメリカで撮影し、バトル部分や特撮部分は日本で撮影した映像を使う形態で作られた本作は、大人たちの下馬評を覆し、子供たちに大人気となり社会現象にまでなるに至る。シリーズは継続し、日本で戦隊が新作になると、アメリカでも交代するようにシリーズは継続していき、現在に至る。逆輸入されて日本でも何度か火がつきかけてはいたが、なかなか爆発的なヒットには至らない。このシリーズが面白いのは、日本の監督が現地でもメガホンを取ることもあり、その経験がさらに逆輸入されることになる。またパワーレンジャーのみのアイテムがあり、おもちゃ化されるとなかなかにカッコイイのだ。ホビー誌などでお目にかかるが、実物を見たためしがないし、何より実写で動いているのを見たことがないので、なんとも扱いづらい。「パワーレンジャー」のあらましは、こんなところだろうか。なお今回扱う劇場版はアメリカでは1995年、日本では翌96年に劇場公開された作品で、パワーレンジャーとしては劇場版1作目にあたる。アメリカでの放送では、第3シーズンを迎え、「忍者戦隊カクレンジャー」の要素が入ってきた辺りで製作・公開されている。

<あらすじとか>
 あらすじの前に、ちょとだけ筆者の「パワーレンジャー観」を残しておきたい。「パワーレンジャー」が日本でもちゃんと見られるようになったのは95~96年。戦隊が放送されるよりも前の時間帯で放送されていたのを、録画して楽しんでいた。こちらとしては日本で放送されていたものを知っていて記憶しているので、どうしても話が入ってこないし、日本よりもさらに陳腐化された物語に辟易もしていたが、リタ役の日本語吹き替えに曽我町子さんを拝していたりと気を使われていて、決して見ていて嫌な気分になったことだけはない。視聴率的に難しかったのか、放送は継続しなかったが、後に東映が「日本語吹き替え版プロジェクト」なるものを立ち上げ、「特捜戦隊デカレンジャー」のパワーレンジャー版「SPD」に、日本人キャストが吹き替えに配役されて地上波放送されており、これは毎週楽しんだ思い出がある。日本版とはだいぶ異なる印象のキャストだったから、違和感もハンパないのに、それでも見ていられたのは、キャストの魅力につきるだろう。それでも相変わらず物語の筋が入りにくいのは、悩みの種だった。だからこそ、完全新作で作られている劇場版は、日本撮影分との比較検証が頭で回りにくいため、かなり安心して見ていられたのは、控えめながら本作の数少ない美点の一つであると思う。

 ライアン彗星が地球に近づきつつある。普通の天文ショーだと人々は思っている。だがロード・ゼットは魔女リタ一味を率いて、ビルの建設現場から発見されたカプセルを開放し、アイバン・ウーズを復活させる。アイバン・ウーズはパワーレンジャーたちの司令官にあたるゾードンによって、6000年前に封印されていた悪の権化だという。その復活を阻止せんと戦うパワーレンジャーたちだったが、ゾードンの元に乗り込んできたアイバン・ウーズの攻撃によって、パワーレンジャーたちの装備は使い物にならなくなり、あまつさえゾードンを瀕死に追いやる結果になる。最後の望みを託して、パワーレンジャーたちは、隠されたニンジェッティパワーを求めて惑星フェイドスに向かう。
 その頃地球では、ゼットとリタを封印したアイバン・ウーズの策略によって、子供は享楽にふけり、大人たちは行方不明となる。アイバンは超兵器エクト・モーフィコンを発掘させるための人足として、大人たちは働かされていた。しかも作業が済むと掘り上げた穴に落ちて自殺を強要される。発掘されたのは2体の巨大な昆虫型の銀色の怪物だった。
 艱難辛苦を乗り越えて、ニンジェッティの聖獣の力を手にいれ、力を取り戻したパワーレンジャーは、即座に地球に帰還し、エクト・モーフィコンとの戦いに挑む。聖獣ニンジャゾードを召喚して1体は倒したが、残る2体目にアイバン・ウーズが合体する。自殺する大人たちを目覚めさせるため、子供たちが止めに入る。一方合体したメガゾードで戦いを挑むパワーレンジャーは、ライアン彗星にアイバン・ウーズをぶつけることを思いつく。パワーレンジャーはアイバン・ウーズを倒して死にゆこうとする大人たちを救えるのか?

<わかりやす~いw>
 圧倒的に物語がわかりやすい。ああ、パワーレンジャーってこういう作品だったのかって、きっと思う人は多いだろう。もちろんTVシリーズを踏まえていないと、パワーレンジャー6人の人となりなどわかるはずもない。彼らがどんなエピソードを持って、パワーレンジャーとなり、6人の中でどんな立ち位置で、どんな性格かなんて、これをみているだけではわかりっこない。ないのであるが、見ている内に気にならなくなる。それはバトルシーンの端々に、そうした情報が少なからず盛り込まれており、最低限必要な情報だけは押し込まれているからだ。こういうのは上手いなあと感嘆せざるを得ない。もちろん気が付かなくてもいいし、そもそも知らなくても楽しめる映画ではある。ただ個性といえるほどの肉付けはないから、大人の目にはキツいだろうことは、まあ「パワーレンジャー」なので勘弁なってところだろう。

 こうした筋書きのわかりやすさを手伝っているのは、間違いなく劇場版だけの敵キャラであるアイバン・ウーズのおかげだろう。ものすごーくステレオタイプで、圧倒的にわかりやすい敵としての属性に、甲高い穂積隆信氏の声を当ててるだけで、その個性は本作の中でもピカイチだ。もうちょっとゾードンとの絡みがあってもよかったし、6000年前の因縁が絡んでもよかったはずなのに、その面倒くさい辺りをスパンと切り落としてしまう。またアイバン・ウーズに集中させるために、リタもゼットも閉じ込めてしまうあたりの気の効きようったら。しかも子供を人質にするのではなく、大人の命を引き換えにして子供たちにチャンスを与えるあたりの狡猾な脚本も上手いだろうと思う。

<見せ方の話>
 さて、やっぱりというか仕方がないというか、いろいろと見せ方の問題はある。この際だからCGの作り方についてはあの時代だからということで目をつぶろう。どう見てもラストの巨大ロボットバトルあたりは「ビーストウォーズ」あたりと変わりがない。アイバン・ウーズが乗り移ったためもあるが、あの怪物のフォルムをみてビーストメガトロンを思い出さないとしたら、それは「ビーストウォーズ」を知らないからだろうし、あんな感じのおもちゃを売り出すためにサンライズが作ったCGビデオがあったっけなって、つい思い出したりして。
 物語序盤のバトルシーンで、アイバン・ウーズの作り出した雑兵が、パワーレンジャーのパンチやキックの衝撃で紫色の液体に戻るシーンのタイミングなんか見ていると、結構気持ちがいい。またアイバンのカラス天狗をアイバン自身で消すと、残された羽が大量に舞うシーンで、羽の一部がアイバンの顔にかかるとか、ああいう細かい遊びっぽい見せ方はものすごく好感が持てる。

 んで、何が問題かといえば、う~ん、これはもう戦隊フリークだからこそのツッコミどころなんだろうけどね。パワーレンジャーはそもそも「ジュウレンジャー」なわけですが、それが後続の「カクレンジャー」への移行というのが劇中に行われていることに、つい注目しちゃうわけだ。大目に見て「ニンジェッティ」はいいとしますけどね、忍者装束の胸にエンブレムがついて、ジュウレンジャーとは異なるモチーフが現れる。恐竜と普通の動物ですからね、どう見ても差異が明らかでねェ。ところが、いざ力を取り戻したパワーレンジャーが変身した姿は、元のままだ。これでカクレンジャーのスーツに変わっているなら、なんのツッコミもないのだが、惜しい、実に惜しい。表層的なことを日本語に置き換えると、ジュウレンジャーは忍者装束を着て試練に挑み、ついにはニンジェッティパワーを会得して、ジュウレンジャーに変身する能力を取り戻したことになる。ね、なんかこう引っ掛かるでしょ。まあついでに言うと、ニンジャゾードの顔がねw
 
もう1点、戦隊フリークとして言わせてもらえば、本作でのレンジャースーツには、原典にはない装飾が多分に盛り込まれている。これとて物語上は本編のスピンオフで、パラレルワールド的な話なので、本編とは異なるスーツを使用しての撮影だったろうが、プロテクター的な装飾と、筋肉の盛り付けという部分もあるだろう。これをみれば、アメリカ人の筋肉信仰が根強いことがうかがい知れる。こういう装飾がないことがレンジャースーツの美しさでもあるから、現在絶賛放送中の「宇宙戦隊キュウレンジャー」のスーツの過剰な装飾は、ちょっとやりすぎな感じを受けるのも、理解していただけることだろう。いやまあ、嫌いっていうほどではないけどね。昔見た「未公開映画を見るTV」で放送していた「ステロイド合衆国」という作品を思い出した。作品内で自身の筋肉美を自慢する男たちではあるが、その一方で奇形とも思える筋肉の醜悪さをまざまざと見せつけられた作品だったから、筋肉信仰にはいささかのためらいがある。レンジャースーツの装飾は、最低限が美しい。

 さてついに待望の最新作が今週末にお披露目になる「パワーレンジャー」。宣伝も過剰とは思えないし、スターウォーズみたいな話題作ではないようで、なかなかおっとりした出だしではある。そうはいってもマーベルやDCではないヒーロー映画としての重責は、十分に果たしてくれそうだ。スーツの考え方もロボットの考え方も、どうも今一つしっくりこないパワーレンジャーシリーズだけど、どこかに目をつぶってしまえば、楽しめるコンテンツだとは思う。デートムービーではないジャンルなので、どうか一緒に行く相手を選んだ上で、見終わったと盛大に突っ込みまくって楽しむのが一番よろしかろう。
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