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「忍者キャプター」~その2・忍びの技と撮影の匠

承前
 「忍者キャプター」の物語は基本的に悪の忍者の企みを蹴散らす、正義の忍者の戦いの物語である。1話の段階から敵忍者である風魔党の党首・風魔烈風が成そうとする作戦は、日本征服のために行われる。1話では国防省の局長の娘を拉致し、国防省の武器弾薬を奪うことだったし、2話では飛び火術をミサイルロケットとして開発させ、大量破壊兵器として使用するために科学者を拉致する作戦。3話は金庫破りに宝石泥棒、4話は石油産出国の要人暗殺、7話は原子力発電所を襲撃してエネルギーの奪取、8話は水道水にウイルスを混入させての東京都民抹殺、10話は巨大ダイヤ「人魚の涙」の強奪、11話は毒ガスによる人間支配計画、12話は誘拐と身代金要求、13,14話では隠された財宝のありかを示すキーアイテムの強奪と、ここまで上げた限り、規模の大小や計画の対象など、もののみごとに主旨一貫性がない。一応風魔烈風の言を借りれば、資金源を確保したり、征服のために具体的な行動を起こしたり、作戦前の準備だったりと、関連性がありそうで、やっぱりどう見ても一貫性がない。

 逆に5話と9話は直接的にキャプター抹殺を狙った作戦であるが、これが連続するのではなく、思い出したように作戦行動を起こしているあたりが、やはり思い付きで行動しているようにしか見えないのだ。まあ70年代の東映ヒーロー作品の特徴でもあるが、こういった主旨一貫性のない作戦行動は、やはり最終的な目的達成には至らないので、風魔忍軍の日本征服が成功しないのは、キャプターの活躍のおかげというよりも、首領・風魔烈風の無計画性のなせる業なのではないかと疑いたくなる。だが、この無計画性が逆に対象を選ばず、無計画に無頓着に対象を絞らせない風魔の事件の数々は、天童無人のような思慮深い人物でも容易に予想できない不気味さがあり、かえって風魔忍軍の怪しさや不気味さを黒く輝かせている。

<物語の行方>
 風魔が頭領・風魔烈風が1話で最初に日本征服を掲げた時、アジトに並ぶロウソクは13本だった。このロウソクは「風魔13人衆」の命を示しており、その一人がキャプターに倒されたり、追いつめられて自害して果てると、ロウソクは消えていく。毎回の終盤で風魔烈風がさも悔しげに「風魔××、果てりかァ~!」「風魔○○、死ぬるかァ~!」と叫ぶお約束は、少なくても当時小学生だった筆者の周りではちょっとした流行のギャグだった。

 1話一人の13人衆の見当だと、13人衆で13話になるわけだから、さて13話に何が起こるのか?という予想は、当時の小学生だった筆者でもわかること。続けて見ていけば必ず13話目に何事か起こることは子供でもわかるわけだ。こういう先の見通しの明るさもまた、「忍者キャプター」や忍者もののお楽しみだろう。「影の軍団II」なども同じ感じ。本作の脚本のほとんどを執筆した伊上勝氏は、「遊星王子」(1958)の脚本でデビュー。「隠密剣士」(1962)や「仮面の忍者 赤影」で忍者ブームの立役者となった脚本家である。時代劇、スパイものといった作品や「仮面ライダー」まで手掛ける幅広い作風の脚本家であったが、特に忍者ものに関しては造詣が深く、「忍者キャプター」は氏にとってはうってつけの素材だったに違いない。

 そして迎える13話にて、最後のロウソクである13人衆の最後の一人は、実は三位一体の忍者だったというおどろきの展開を迎える。天魔、地魔、人魔の3人は、莫大な財宝のありかが秘められている月輪の鏡と日輪の鏡を付け狙う。この鏡を巡ってキャプターと争奪戦となるのが13話14話だ。しかも活劇らしく、13話終盤で風魔天地人の3人に追いつめられ、火忍キャプター7が崖から転落し、行方不明となる展開が待ち受けている。さらに一命を取りとめた大介を助けた人物は、天地人が追っている日輪の鏡の管理者であり、月輪の鏡を奪われて殺された忍者も、管理者の一族として鏡に縛られた宿命を持つ悲しい一族だったのだ。だが残された2人の娘の未来を案じる大介の言葉に、一族の長は折れて日輪の鏡を大介に託す。無事に天地人から鏡を取り戻したキャプター。だが天童無人は2枚の鏡を破壊し、一族は秘宝の呪縛から解き放たれる。天童無人、なかなか粋なじいさまだ。

 さて13人衆を失った風魔烈風は、さらなる配下を呼び寄せる。消えた13本のロウソクが消えると、新たな4本の赤いロウソクが登場し、まんじ谷から派遣された4人の忍者・風魔鬼四天王が登場する。ただし四天王が有機的に連動して動く話ではなく、要人暗殺、海外支援金の強奪、偽札による社会混乱、カブトムシを使って子供たちを操る作戦と、御多分に漏れず、いきあったりばったりな作戦を展開するのみだ。その後風魔は「あやかし三行者」「風魔五道人」と繰り出すが、やはり単発的な作戦行動を見せるだけで、いくつかの作戦行動を並列的に実施したり、ブラフを巻いたりする情報戦に持っていく気配もない風魔。もっともやけに被害者の既知が多い敬太や、偶然事件に行きあう大介といったキャプター側のキャラクターの、事件察知能力をほめた方がよさそうだ。あるいは事件に巻き込まれる真田巡査をほめるべきか(笑)。

 19話の冒頭ではキャプターそれぞれの日常が紹介されており、物語の導入となっている。キャプター1三郎兵衛は天堂家の掃除にいそしみ、キャプター2左近は大学の水泳選手でありながら、水泳教室で子供たちに水泳を教えている。キャプター3マリアは花嫁修業中だそうだが、料理の出来はお察しらしい。この頃からメシマズ属性ってキャラクターとして確立されていることがわかる話だ。キャプター4団はレスリングの選手(本人曰く裏芸なんだとか)らしく日々トレーニングに励んでいる一方で、その腕力を生かしてアルバイトをしているそうだが、力が強すぎて失敗も多いとか。画面で見る限りこの失敗は自分自身も危ういので、ドジっ子属性とかではすまされない。土忍といえば変身後も本人が演じているので、メンバー内部での体格差がもろにでているのは、スーパー戦隊ではなかなか見られないポイントだろう。キャプター5昇が不思議で、設定上はキャプターのメカニック担当で、高校生のはずなのだが、フィルムの上では電気屋でのアルバイトしか映っていない。キャプター6敬太は中学生。ひよっこの忍者かと思いきや、21話では天童無人にして「敬太ほどの術者」と言わしめていることから、決して少年忍者と侮るなかれ。足手まといで時折思い出したように活躍する青影さんとは出来が違うのである。最後にキャプター7の大介は大学院生で超電波エネルギーを研究する長沢博士の助手を務めている才人である。とはいえそもそも風魔にいた忍者なのだから、長沢博士の助手を務めていた事情も、風魔烈風による手練手管だった可能性だってあるが、逆に言えば長沢博士の研究の素晴らしさゆえに平和利用を志した大介が、風魔を見限るタイミングを見計らっていたと考えてみるのも一興かもしれない。なんにせよ、各人そんな忙しい日常の中で、風魔の企みを看破し、時に単独で、時に力を合わせて風魔忍軍に立ち向かうキャプターなのである。忙しいことこの上ない。

 散発的な作戦に比べて、敵の風魔忍者自身はどんどんキャプターの強敵になっていく。あやかし三行者が登場する19,20,21話。19話では風魔がつけ狙う超電波エネルギーの研究成果を奪うため、研究者の息子の親友に風魔忍者を2年前から配置する、気の長い作戦を見せる。だが長い時間に育った親友同士の想いが事件を解決に導く。続く20話がちょいとやっかいだ。三行者の一人乙姫は、かつて江戸城内を混乱させた女性で、そもそもは楽器を奏でる名人であった。その能力に目をつけた風魔は、彼女に薬を盛り、その手で奏でる音で人々を操り悪事を働かせる力を与える。これによって混乱した江戸城を収めるために、天童無人の先祖が彼女を切り捨てたという因縁話があり、それを逆恨みした乙姫は巻物状のピアノ鍵盤を使って子供たちをかどわかし、残りの鍵盤にキャプターを閉じ込めて恨みのピアノを完成させ、人間たちを操って社会を混乱させようという作戦だ。無人から因縁話を聞いたキャプター一同は乙姫に同情的であったが、悪意の上で動く乙姫を止めるため、情を振り切るキャプターたちであった。

 風魔烈風はついに切り札というべき忍者を呼び寄せる。22話から登場する風魔五道人だ。まずカラカサ道人を押し立ててお化け屋敷に入り込んだ子供たちを催眠術で操り、爆弾を持たせて街を破壊しようと企むが、今は無き小山ゆうえんちでの激闘の末、キャプターはカラカサ道人を下す。その際、強力な催眠術を解くために、火忍は自らの足を傷つけるしかなかったほどの強敵だった。続く23話に登場するニュードォ道人には東京で働く一人娘がいる。その娘がキャプターによって人質にとられたと、ニュードォは烈風に騙されてしまう。実際はその逆だったのだが、烈風のやり方に納得しかねたニュードォは里に帰ることになる。番組始まって以来の生存敵忍者である。24話では人々を操り悪事を働かせる地獄笛の争奪戦となる。だがその笛を母親の形見として持つ少年から奪うことができない大介たち。笛を狙うハガクレ道人は母親に化けて子供から笛を奪い、キャプターたちを笛で操ろうとするが実は、という物語。

 そして25,26話にて物語は大きく展開する。これまでキャプターとの戦いで死んでいった部下たちのロウソクを見ながらやけ酒をあおる風魔烈風。次なる五道人であるカマイタチ道人は風魔烈風の実弟だ。最後の頼みの綱で烈風はキャプター抹殺をカマイタチに依頼する。天堂家に入り込むカマイタチは敬太に毒を持って操り、敬太の父を殺したのは大介であると吹き込んで、大介抹殺の刺客にしようとする。カマイタチを追って大介は逆に大けがを負ってしまう。寝こみを敬太に襲われた大介は事なきを得るが、敬太はカマイタチの毒に侵され、余命いくばくもない。敬太を助けるために紅百合草が必要だが、そのありかを知るのは風魔烈風一人。烈風に人質にされたキャプター1,3と、大介が団と取り押さえたカマイタチ道人と交換するため、烈風の誘いに乗る。激闘の末キャプター1は取り戻せたが、キャプター3が人質のままカマイタチを開放してしまった。大介は風魔のアジトへと侵入し、そこでカマイタチと一騎打ちとなる。残るキャプターは無人とともに風ヶ岳へと向かい紅百合草を手に入れようとするが、一人また一人と烈風の巧妙な罠に落ちてしまう。一人烈風と対峙する無人。そこに風魔のアジトでカマイタチと共に死んだと思われたキャプター7が3を助け、残りのキャプターも駆けつける。6人のキャプター相手に一歩も引かない烈風であったが、無人の放った杖にマントを封じられた烈風は、キャプター7の放つ必殺の火炎陣にて爆死! ついに風魔忍軍を倒すことに成功した。

<五道人最後の一人は誰か?>
 風魔最後の刺客・風魔五道人はカラカサ、ニュードォ、葉ガクレ、カマイタチの4人だけ。では最後の一人は誰だろう? だれでも思いつく答えの一つは風魔烈風自身だと思う。別に深く考えなくてもそうでしょ?と思うかもしれないが、風魔烈風の必殺技を思い出してほしい。26話のラストで天童無人の杖によってマントと共に動きを封じられた烈風が一敗地に塗れることになるが、烈風がキャプターを追いつめていた技は真空切りだった。刀を出し入れし、まるでその唾鳴りの衝撃で見えない風を操り切りつける技のように見えて、実態はおよそ長いマントによって発生した衝撃波だったのではないかと推測するが、こういう切りつけるような衝撃波を「かまいたち」という。そう烈風の技はいわゆる「かまいたち現象」を技に昇華させたものだ。としたら五道人4人目のカマイタチは、本来は烈風だとしたら?(カマイタチの技がちっともかまいたちらしくない) カマイタチの名前が、烈風が風魔の頭領になるのと同時に烈風の弟が譲り受けたものだとしたら?

 五道人のそれぞれのキャラクターを見ると、烈風に対し同列に見える。特にニュードォなどは烈風に義理がないとまで言って勝手に里に帰ろうとしている。となれば、風魔五道人とは風魔忍軍を統べる5人であり、その第一人者が風魔の頭領とするならわしだったのではないか? 1話において風魔の頭領となった烈風が、日本征服を企図して立ち上がったのは、五道人の一人であった頭領が何らかの理由で死んで(もしや烈風による暗殺か?)、このタイミングで烈風は頭領となり、烈風の弟がカマイタチの名前を次いで五道人になったのではないだろうか。

劇中に登場するように、風魔にも後継者育成に余念のない忍者塾があり、風魔の忍者の郷もある。烈風が死んだ今、風魔は犯罪組織としては瓦解したが、五道人の生き残りであるニュードォあたりが指揮を取り、風魔は草の根(日本中に隠れ住む忍者)として生きていくのだろう。烈風亡き後、静かに暮らしてほしい風魔一族である。

<忍者の技と特撮の技>
 ここまで「忍者キャプター」の前半を見てきて思うことがある。筆者は特撮作品好きであるが、高校の部活で8ミリフィルムの映画をいくつか撮影していたことがある。ここからもう少し踏み込んでいたら、うっかり映像関係の専門学校にいっていたかもしれないぐらいにはのめり込んでいた。その筆者が見ている限り、本作で表現されている忍術の数々は、あまりにも基本的な撮影の手練手管で作られていることがわかる。

 人が消えたり現れたりという現象や変わり身の術などは、あくまで撮影の止めで、演者をそのまま残して対象を出したり消えたり見せる古典的な方法だし、風貝飛ばしなどでは撮影しているフィルムの逆回転撮影が多用されている。ジャンプして高いところへ移動するシーンでも多用されている。術の効果で2種類の映像をカットバックで交互に見せたり、忍者の不可思議な動きを表現するためにコマ撮りする。これらはカメラ自身に備わっている技術であり、方法論は我々が使っていた8ミリフィルムも、映画を撮影する16ミリもなんら変わらない。爆発や雷忍キャプター1の電気縄の花火を使った火花の効果、人が消えたり、実態がないように見せたり、火炎陣などの二重露光、土忍キャプター4の土棒殴り効果である被写体をゆがませる鏡を使ったトリックなど、本作に登場する忍術のシーンに登場する特殊効果や撮影方法は、はるか昔に確立されている撮影技術でしかない。そうした我々アマチュアでも知りえる方法論であるが、そのタイミングや露光、爆着、撮影の段取りなどの妙はプロとしての最上級の仕事が光るのが、この「忍者キャプター」をはじめとする忍者ものの醍醐味でもある。

かつて円谷英二氏は、ミニチュアを大きく精巧に作らせる一方で、撮影の方法論で如何に見映えよく、それらしく、巨大さを失わずに撮影するかに意を砕いたという。ワイヤーで上方から物体を釣ることで飛んでいるように見せる当たり前の技術を、極限まで研ぎ澄ますことで、あたかも戦時中の航空機のドッグファイトが目の前で行われている臨場感と緊迫感を出すために、時間と手間を惜しまず撮影に打ち込んだとか。そうした技術の先にワイヤーアクションやCGがあることを念頭に置けば、CG全盛の現在でも70年代のTV特撮が楽しめるに違いない。そこにあるのは特撮にかけた人々による技術の共演であり、知恵と技と努力の結晶なのであるから。

今回は前半まで振り返ってみた。そして次回は怒涛の後半戦に突入し、新たに登場する甲賀忍軍を相手に奮戦する忍者キャプターの物語を追いながら、本作の魅力に少しでも迫ってみたい。43話で3回分の記事かあ。もう少し短くしたほうがいいよなあ、とか思いつつ、削る努力を放棄する筆者であった。ではまた次回!
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
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