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「スタートレック」(TOS)・シーズン1~すべてはここから~

 右にもあるように、筆者は「スタートレック・ネクストジェネレーション」が大好きだ。では他のシリーズはどうか?と問われると、すべてを見切っていないので何とも言えない、というのが答えになる。劇場版シリーズもすべては見ていない(ほぼ見たけど)し、「ディープスペース9」はほぼほぼ見ていない。「ヴォイジャー」は古い友人が大阪に暮らしていた時分にビデオでお土産にくれたものをいまだに所持しており、結構繰り返し視聴したので大好物なのだが、全部見たいと常々思っていてなかなかかなわない。「エンタープライズ」にいたっては1話目しか見たことなくって、自分の中の評価すら固まっていない。しかも最大の問題は最初のオリジナルシリーズである「宇宙大作戦」と呼ばれた最初の3シリーズをほとんど見たことがない点だ。子供心に夏休みに見た記憶を思い出しても、ドラマ部分を楽しんだ思い出がなく、セットや衣装、特撮にいたるまで、現在の目で見て楽しめるとは思えないと長らく考えていたせいで、映像ソフトを購入することすら考えていなかった。

ところがである。
つい先ごろ、つぶれる予定のブックオフにて、きわめて安価で全3シリーズを購入することができてしまった。こうなると俄然やる気が出てしまう、安易な筆者である。基本的な資料を引っ張り出し(資料だけはそろえている)、いざ視聴となると、これがやっぱり面白いんだな。その理由についてはおいおい書いていくことにするが、実に簡単で安易な理由で、これまで勝手に遠ざけていた「TOS」を順次視聴していくことになった。どうやって記事にしようかと悩んだが、シーズンごとに扱うのが手っ取り早そうなので、筆者が面白いと思ったエピソードや、資料から拾った話などを交えて、楽しく記事を書いていこうと思う。そう、筆者の大好きな一大宇宙叙事詩は、ここから始まったのである。

<作品の概略すら、省く>
 本当の本当に、作品の概略については細かい話は省きます。だってwikiにも他のサイトにも、それこそ書籍を当たればいくらでも出てくる話で、いまさらこの辺境ブログで語るまでもないから。それでも今後話を進めるにあたって、押さえておいていただきたい情報だけは乗っけておきますので、より興味を引かれた方は、どうぞ思う存分ご自身の手で資料を漁っていただきたい。

 そも「スタートレック」は1966年から1969年にアメリカで放送されたSFドラマ。西暦2200年代、我々地球人の住む銀河は、いくつもの惑星系に住む異星人とコンタクトに成功し、惑星連邦を組織していた。連邦の宇宙艦隊に所属する探査船U.S.S.エンタープライズ号の船長ジェームズ・T・カークは、優秀なクルーと共に5年間の調査航海に乗り出す。この5年間のカークの航海そのものが最初のシリーズである「スタートレック/宇宙大作戦」の3シリーズである。アメリカの映画・ドラマのプロデューサーであるジーン・ロッデンベリーが創作した「スタートレック」の世界、それは地球上から貧困や戦争が駆逐され、偏見や差別もなく、貨幣経済が一掃されている世界で、人類は富や欲望ではなく人間性の向上を目的として働く社会となっている。それはロッデンベリーが60年代に夢想した理想の世界のありかたであり、その高潔たるSF的世界設定と、SFマインドあふれる宇宙船のデザインやドラマは、アメリカのみならず世界中のSFファンの心を鷲掴みにした。そんな彼ら熱烈なファンを「トレッキー」あるいは「トレッカー」と呼ぶ。最初の放映での視聴率は低く、人気に火がつくには根気強い再放送が必要で時間はかかったという。

日本では1969年より吹き替えにより「宇宙大作戦」というタイトルで放送開始。全3シーズンが放送されるには、放送局の変更(「宇宙パトロール」というタイトルで放送)が必要だったが、日本でも放送直後から人気を博した。世界中にファンを増やした本作は、後にジーン・ロッデンベリーの手によってセカンドシーズンが企画されたが実現しなかった。だが1977年に劇場公開された「スターウォーズ」によって状況は一変する。1979年に本作の劇場版が公開。衣装もセットも特撮もすべて新規に作り直され、TV同様のオリジナルの俳優を迎えて、カーク船長たちは新たな公開に乗り出すことになる。このTOSオリジナルクルーでの劇場版は都合6作品を数え、惑星連邦の仇敵であったクリンゴン帝国との和平条約が締結されて、TOSの時代は終わりを迎える。1991年のことである。

その一方アメリカでは、1987年より「スタートレック・ネクストジェネレーション」(TNG)が放送される。TOSと劇場版シリーズの人気に後押しを受けて、時代をTOSの80年後に設定し、エンタープライズ号のデザインもクルーも一新された、まったくの新しい航海の物語が創作された。全7シリーズが製作されたシリーズは、さらに「ディープスペース9」「ヴォイジャー」というスピンオフ作品を製作されるにいたる。またTNGにも劇場作品が、都合4作品が公開され完結している。物語世界では2300年代の話だ。

TNG時代の劇場版2作目「ファーストコンタクト」では、本編で登場したボーグが地球圏に襲来したが、ピカード艦長のエンタープライズ号の活躍によって撃退するも、ボーグは地球の過去にさかのぼり、ボーグに帰順させようと企む。それを阻止するためにエンタープライズがタイムトリップした先は、ゼフラム・コクレイン博士が開発した初期型ワープエンジン搭載型の宇宙船でワープを成功させ、同時に地球人とバルカン人のファーストコンタクトがなされた2063年だった、という物語である。この宇宙開拓時代の先駆けとなる歴史的事実を扱ったスタートレックの物語は、ついにTOS以前の時代の物語を創作するに至る。それが「エンタープライズ」である。さらに現在放送中の「ディスカバリー」は、TOSの10年前という時代設定となっている。こうしてスタートレックの世界は、一つの時間軸の上で広がりを見せている。またリブート作品となったJ.J.エイブラムス監督による「STAR TREK」は3作品を数え、これもまた別のタイムラインの物語ではあるが、正史として扱われている。

<ちょいと思い出話>
 長くなるなあと思いながら、少しだけ思い出話させてほしい。
 筆者がTOSに出会ったのは小学4年生のころだったかと思う。知り合いの年長者がこの作品の大ファンで、夏休みに私のところに遊びに来て、再放送されている本作を一緒に見たのが最初だった。小学生の頭にはまったく理解できなかったから、そのSF性もドラマの質も判断できなかった。その後中学生になるころ、この作品のファンを自認する友人2人に出会った。当時ちょうど劇場用作品の2作目が公開直前で、二人とも興奮して当時の私に話かけてくれたのを今でも覚えている。

実際の劇場用1作目に出会ったのは、ちょうどその時だ。たぶん日曜洋画劇場とかゴールデン洋画劇場だったかと思う。5年間の調査航海の後、大幅に改修されたエンタープライズ号。再びの地球の危機を前に、かつてのクルーが結集し、エンタープライズ号が宇宙ドッグから乗り出すシーンの特撮に、心から感動した。そして物語が意外な方向に転じた後、地球を脅かそうとしている驚異の正体が、かつての太陽系探査機のなれの果てだった事実に驚愕した。80年代はまだTVシリーズの再放送の機会が多く、深夜枠であれば70年代に放送されていたアメリカドラマの再放送を見ることもできたが、それでも「サンダーバード」に比べれば、関東地方でのTOSの再放送の機会はなかなか訪れない。中学生の頃の筆者は劇場用1,2作目の感動をどこかに置き忘れ、TOSを積極的に振り返ろうとはしなかった。

 高校大学とお金のなかった時代、やっと安価になったレンタルビデオを利用しては、やっとレンタルで出回るようになったウルトラシリーズや東映作品をむさぼるように見ながら、特オタ、アニオタとして順調にキャリアを重ねた筆者であったが、大学院を卒業するころに急激に気になり出した存在が「新スタートレック」の放送だった。大学時代に住んだ高知県では放送していないが、東京ではフジテレビで土曜の深夜に放送されており、ファンの多い大阪地区からはずいぶんと遅れた放送だったと聞く。

大学院を卒業し、東京で社会人として働き始めたころ、今は亡き模型誌「Bクラブ」の1コーナーを担当していたのが、当時OVA「ジャイアントロボ・ジ・アニメーション」や「機動武闘伝Gガンダム」製作中の今川泰弘監督だった。彼は自身のトレッキーとしての遍歴をあますところなく披露し、そのページで新スタートレックの素晴らしさを語り始めたのである。「宇宙船」以外の特撮専門誌などなかった時代、Bクラブはライト目の特撮好きには重要な情報源である。この今川監督の記事の影響が大きく、大学院を卒業し東京に戻ってから見始めた「新スタートレック」にすっかり魅了される。それも初めて観た回が第3シーズンと第4シーズンをまたぐボーグ侵攻の話なのだからたまらない。にわかトレッキーはあっという間にイチコロだった。だいたいそんな理由でTOSを見ずにTNGを愛してきた筆者が、今さらのようにTOSを視聴しているのである。そのあたりをご了解ただいた上で、以下の記事もお楽しみいただきたい。

<2本のパイロット>
 ご存じの通り、アメリカのドラマの多くがそうであるように、本作にもパイロット版が存在する。通常プロデューサーがTV局に対し企画書を持ち込み、その製作の許諾を得るために、作品の基本設定や構成の確認や、作品の方向性やドラマの雰囲気などをTV局側がチェックするために、先行作品としてパイロット版が作られる。日本でもアニメ映画のパイロット版や特撮作品のパイロット版など、映像ソフトに特典として収録されて残されているものが多いから、聞いたことがある方も多いだろう。そしてそのパイロット版は、場合によっては一部修正を施されて1話として放映されることもある。日本の特撮番組の場合、お金がないので1話をそのままパイロット版として製作し始めてしまう場合が多く、1,2話をもってパイロットとすることもある。

 「スタートレック」の場合、このパイロット版が2本存在する。ここがまず面白い。しかもそのパイロット版がお蔵入りしているかといえばそうではなく、最初に作られた第1パイロットはそもそもキャストが異なるため、過去の話として本編に挿入され、かつての冒険の真実を暴き出す複雑な裁判物語に再構成された。そもそも製作されたパイロットは、実に観念的でわかりにくく、ジーン・ロッデンベリーの意向には沿ってはいたが、TV局側が難解であるため敬遠したそうだ。だが本作はより簡潔に、より具体的に作品の方向性を示すべく、第2パイロットの製作を命じられ、それを持ってシリーズの製作が開始されたという。これ以降話数に関しては、現行で発売されているDVDなどの映像ソフトの話数に準拠する。

 第1パイロットは、本来なら完全にお蔵入りするはずだった。スポック以外のキャラクターやキャストが、本編とは異なる作品だったからだ。ところが本作のスタッフは、それを本編に対してさらに過去の物語として位置づけた上で、過去の証言VTRのような形で本編中活用する。それが11,12話「タロス星の幻怪人」(前後編)の2話連続の物語である。カークの前任者であるパイクから連絡を受けるエンタープライズ。だが連絡を送ったはずのパイクは事故により半身不随の状態だ。パイクをエンタープライズに乗船させたカークだが、エンタープライズは渡航禁止とされているタロス4号星へと針路をとっていることが判明。進路を設定したスポックはエンタープライズ船内で、簡易裁判にかけられることになる。裁判によって徐々に明るみになるパイクとタロス4号星の秘密。惑星連邦は、かつてパイクによるエンタープライズの冒険によって、タロス星に住む住人たちが強力な超能力を持っており、その力によって人間に幻覚を見せる能力があることを知る。惑星連邦はその能力を悪用させないために、渡航禁止としていたのだ。心優しいスポックは、身の危険を冒してまで、半身不随のパイクに幸せな余生を過ごしてほしくて、タロス星人とともにカークを利用していたというのだ。だがスポックの心情に納得した惑星連邦は、パイクの渡航を許した、という物語である。パイロット作品として作られた内容からはだいぶ修正が加えられて、スポックの優しさや忠義心に焦点を当てた感動作となっている。

 第2パイロットである「光るめだま」は、磁気嵐に遭遇したエンタープライズ号の中で、体に異変が生じたゲイリーは超能力を身につけ始め、エンタープライズに騒動が巻き起こる話だ。こうした異能の持ち主によってエンタープライズが危機に陥る物語は、第1シーズンの中にもいくつか存在し、2話「セイサス星から来た少年」27話「二つの宇宙」などがこれにあたる。だがこの種類の物語の極めつけはなんといっても22話「宇宙の帝王」だろう。遺伝子操作によって生み出された優性人類カーンが登場するこの物語は、睡眠状態で宇宙船に乗せられて宇宙に放逐されていたカーンをエンタープライズが確保。カーンを目覚めさせることによってカーンはエンタープライズ乗っ取りを企む物語で、ファンの人気も高いと聞く。この物語の後日談が「スタートレック2 カーンの逆襲」であり、復讐を環椎させたかに見えるカーンは、ついにカークではなくスポックを死に追いやる結果になる物語だ。劇場版しか見たことがないなら、ぜひとも本話だけでも見ておいて損はない。

<エピソード、盛りだくさん>
 上記のような紆余曲折を経て製作が開始された「スタートレック」。本国での第1話は「惑星M113の吸血獣」だ。惑星M113に生活必需品を運び込むために上陸したクルーだが、2人のクルーが無残に殺害される。その犯人は塩を糧とする異星人であり、塩を得るために様々なクルーへと姿を変えて、エンタープライズ号へと乗り込んでしまう。ドクター・マッコイのかつての恋人の姿をした異星人を、マッコイは撃ち殺さねばならなかった、という物語だ。1話目にしてホラー寄り、しかもタイトル通りに血を吸うのではなく、人間の体内の塩分を狙うというSFホラーだ。「スタートレック」という作品が、こうした宇宙の深淵に潜む未知の存在とのコンタクトに主眼を置いており、その結果競合するのか闘争となるのかは相手によるのだが、少なくても見た目だけで判断したりはせず、調査・研究の結果として危険の有無を判断する手順が、まことに科学的であることが、何よりSF的だと思える。なにより侵略宇宙人などを見慣れた目には、やはり目新しいものに映る。

 スタートレックの物語には、ある類型があり、先の1話のような謎解きから浮かび上がる犯人が未知の生物であり、こうした外的要因によってエンタープライズ号そのものや、クルーが脅かされるタイプの物語は、19話「怪獣ホーンとの対決」26話「地底怪獣ホルタ」などがある。こうした物語のエンディングは、未知の生物を受け入れるか受け入れないかで大きく分岐する。受け入れられなければ一方的に生物を倒して終わるし、逆に受け入れてしまえば、共存の道を探る。

 敵対勢力であるロミュランとの対決を描く14話「宇宙基地SOS」や、クリンゴン帝国の侵略を描きつつ、それを阻止しようとカークとスポックが奮闘する26話「クリンゴン帝国の侵略」は、惑星連邦と敵対関係にある惑星国家との闘争の物語であり、14話では宇宙での戦闘を描きながらも、互いに有効兵器をつぶされているために、まんじりともせずににらみあう様が表現された、手に汗握る展開が楽しい。一方でクリンゴン帝国による他惑星侵略をカークとスポックが目の前で見ることによって、クリンゴンの非道さを主張したように見えるこの物語は、実は侵略された惑星の住民が、人類よりももっと高位な存在であり、闘争のおろかさを正面から描いた話だ。「非暴力・非服従」のスローガンをそのまま映像化したような物語はいささか拍子抜けであるが、設定上地球上から戦争が根絶されたはずの世界に生きたカークが、クリンゴンとの戦いに積極的なのは、どうも彼の性格に問題がありそうな気がしてきた。

 「新スタートレック」で初登場し、後にさまざまなエピソードを生み出す装置に、「ホログラムデッキ」というものがある。一定空間内にホログラムによって別世界を生み出してしまうシステムで、この時代のレクリエーションや教育用に活用されているものだが、こうした新しい装備がなにかしらの事件を引き起こすきっかけを作る物語がある。5話「二人のカーク」は、本作における最新設備である「転送装置」の不具合が別人格のカークを生み出してしまい一騒動起こる物語で、後のホロデッキにまつわる事件のパイロットのような作品である。

 あまりお堅い話ばかりではしんどいので、愉快な話も紹介しておこう。15話「おかしなおかしな遊園惑星」は部下とともに上陸した惑星で、クルーの身の回りに不思議なことが起こり始める。それはまるでそれぞれの娯楽を具現化したような出来事で、カークとスポックは不信がるが、実はこの惑星の異星人によって、休暇中の人間の頭の中を具現化する遊園地を作っていることを知り、カークたちはそのまま休暇を楽しむことにするという内容だ。いつも神妙な顔つきのバルカン人・ミスター・スポックが、抑制された感情をあらわにする物語として24話「死の楽園」が有名だ。エンタープライズが調査のために訪れた惑星に自生している植物の胞子をあびたスポックが、抑圧されてきた恋心を開放する。その胞子がエンタープライズの中にも蔓延する。カークはスポックを胞子の影響から解放するために一計を案じる、というもの。見どころはやはり恋するバルカン人だろう。

 筆者も大好きな映画「スタートレック ファーストコンタクト」はタイムトラベルもので、エンタープライズE型の中で艦を守るために奮戦する物語と、ゼフラム・コクレイン博士の偉業を助ける話が平行して描かれる快作だ。エンタープライズのクルーが時間に干渉する話は度々描かれているし、その結果が常に明るい結果をもたらすとは限らないのが、このパターンの物語の特徴で、その萌芽がすでにシーズン1にも見られる。19話「宇宙歴元年7・21」はうっかり20世紀にタイムスリップしてしまったエンタープライズが、その実態を隠そうとするあまり、接近してきた空軍機を傷つけてしまう。パイロットを保護したカークたちは、エンタープライズによる時間干渉をなくすため、空軍の記録を抹消するために奮闘するという話だ。未来の技術を総動員して後始末にかかる一同の姿は、まるで「スパイ大作戦」さながらの緊張感に包まれるが、一方でメンバー間のウイットに富んだやり取りも忘れがたい1作だ。

逆に悲しい結末を迎えるのが、ファンの間でも名作と名高い28話「危険な過去への旅」だ。些細な医療事故をきっかけにマッコイが暴れ始める。自身が害されるのをおそれて転送装置で近隣惑星に上陸したマッコイは、「永遠の守護者」という名の機械生命体を通って過去の地球へと向かってしまう。マッコイによって歴史は変わり、エンタープライズすら消えてしまった状況下で、カークとスポックはマッコイが過去の地球でしでかした時間改変を元に戻し、マッコイを取り戻すために「永遠の守護者」へと入り込む。1930年代の地球はマンハッタン。そこで民生委員のエディスに助けられた二人は、マッコイの行動を先回りする。そんな中で恋の落ちるカークとエディス。しかしスポックはエディスの2つの未来を予見する。事故で死ぬ運命と生きのびて時間が改変される運命だ。カークは交通事故で死にゆくエディスを助けようとするマッコイを妨害しなくてはならない。そのつらい仕事を、胸が張り裂けんばかりの感情の中で遂行しなくてはならないカークの心情、いかばかりか。だが作戦は成功し、時間は元に戻る。マッコイも正気に戻り、元の世界へと戻っていく、という話だ。ラストの独特の寂寥感は、確かに名作たりうる貫録を感じるし、時間干渉とその因果関係がはっきりと示されているのが物語として素晴らしい。開明的であり理知的なエディスが、心を開いてカークを受け入れる度量の広さもさることながら、やはりかと思わせるカークのくどき、徐々にエディがカークに魅せられていく過程がなかなかにドラマティックであるだけに、ラストの悲しみが心に染み入るようだ。

筆者はどんな事件にも顔を突っ込み、責任ある船長の義務をほったらかしてでも上陸してしまうカークという印象が長いこと好きになれなかったし、この女たらしのようなカークの性癖も、カークを受け入れがたい理由の一つだった。だが、この話を見て感じ方が変わった。カークは何も登場する女性を魅了しているのではなく、見ているこちらの願望充足のためにできる限り視聴者をも魅了する、シンボルとしてキャラクター設定がなされていたことに気づいた。だからこそ船長の責務をほったらかしてでも上陸して、物語に関わっていこうとするのは、その魅力を最大限に生かすためなのだと気が付いたのだ。でも筆者はそうやって前へ前へでていこうとする芸人がどうも得意ではない。そう考えると、艦の中にいながら現場を統括し、それでも主人公として物語を牽引するかに見えるピカードの父性の魅力に魅入られてしまう。カークの若さゆえの行動力よりも、父性と責任感に裏打ちされたピカードの行動規範のほうが、まだしも筆者にはしっくりくるのは、翻しようのない事実だと思うのだが、ではなぜカークの物語がこうやって見ていられるのだろうかと思えば、カークとスポック(たまにマッコイ)のバディものと考えると腑に落ちる。まあカークが前線に出ている間は、エンタープライズのクルーたちは置き去りなわけで、やっぱり問題は多々あるが、クルーがしっかりしているのでいいのかなとか。

<シーズン1の特徴>
 ここまでまだ取り上げていな話もあるのだが、ここで一旦まとめておきたい。シーズン1はどんな特徴があるのか? 一つは1シーズン全体がこれから長きにわたり継続されるシリーズのパイロットであるということだ。それゆえに物語のバリエーションが多岐にわたっている。その内には、後のシリーズの物語に影響を与えているものや、そのひな形のようになっている物語も多々存在する。パイロットなのは何も物語だけではなく、登場キャラクターが固定するまでに1シーズンを消費したともいえる。カーク、スポック、マッコイの3人やウラはほぼ固まっているが、カトウやスコット、チェコフなどはシーズン1の中で登場し、キャラクターとして徐々に固定していった。カークの個人秘書的な役割のジェニーは、シーズン途中で出たり入ったりして、固定しきれなかった。そしてカークの女たらしが、意外なほど少なかった。これも固定しきれていない。物語のバリエーションが豊富であるため、カークのお約束などなくっても困らなかったのかもしれない。

 個人的に思うのは、シーズン1の中で消費された物語の中に、パイロットが2本含まれていることが、本作の物語のバラエティに大きく関与しているのではないかということだ。1本目がジーン・ロッデンベリーの観念的なSF物語が先行した作りだとすれば、2作目はSFエンターテイメントとしてわかりやすい。このジーン・ロッデンベリーの両端となる観念的な物語とエンタメよりの物語の間に、シーズン1の物語はすべて吸収されるとすれば、わかりやすいだろうか。逆に言えばキャラクターが際立って物語を動かすのは、後のシーズンでのことで、まだまだ手探り状態のシーズン1は、純粋にSF物語のバラエティと面白さを堪能できる作品群だったとは言えまいか。こうして下地が出来上がりつつある「スタートレック/宇宙大作戦」は、後のシーズンでキャラクターを生かした物語が創作されることで、さらなるバラエティを獲得していく。それは手探りの状態からファンの人気に後押しされるようにドラマが作りこまれていくようになる道程であり、人気に火がつく序章だといえる。

筆者はこれから残りのシーズンの視聴に入るが、もちろん別記事のための視聴も控えているので、空いた時間をやりくりしながらゆっくり視聴しようと思う。したがってシーズン2,3の記事がいつ出来上がるのかは、まったくの未知数。ただし、筆者が想定する今後控えている大ネタのためには、TOSとその時代の劇場版シリーズは避けて通れない作品群なので、必ずやここ2年の内には記事を上げるつもりです。でないといつまでたっても大ネタがやれないので。ってなことで、この記事を気に入ってくれた方は、どうか気長にお待ちくださいませ。
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プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
48歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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