FC2ブログ

「地球戦隊ファイブマン」~その2・戦隊作劇、変革の刻~

承前

 2クール目の怒涛の展開その2。それは23話「5くん人形」から登場する「5くん人形」そのものである。物語はドンゴロスの奸計によって文矢と子供たちが作ったファイブマンの人形が強奪。人形へのダメージがそのままファイブマンに入る作戦でファイブマンは追いつめられるが、文矢の機転で逆転につなげる話だ。物語そのものは大した話ではないし、子供たちと懸命に作り上げた人形を壊すまいとする兄弟たちの願いもまたありがちで、取り立てて特別なはしではないのだが、この物語の終盤に驚くべき展開が待っていた。なんとこの5人の人形にガロアの人形を加えた6体に、命が吹き込まれ、しゃべり始めた上、どこからかファイブマンとゾーンの戦いを眺めながら5くん人形はファイブマンを応援し、ガロアの人形ガロアどんはそれを邪魔するというシーンが挿入されるのだ。筆者はこれを始めてみた放送当時、やはり子供に媚びてきたな!と失望を禁じ得なかったし、どちらかといえば開いた口がふさがらなかった。が、TVの前のターゲット児童はこれをどう思っただろうか? 少なくとも子供たちにとっては物語の詳細が分からなくても、ファイブマンを応援するためのインターフェイスとしての5くん人形を受け入れただろうし、その役割をおのずと理解したとは思う。だが大人の目にはさすがにキツい。しかも5くん人形はその後、次回予告のナレーションまで担当し、作品中に傲然と仕事を持つのである。

 ここまでにもファイブマンに関するいくつもの批判を繰り返してきたが、それはすべて放送当時の若かった筆者によるいらぬ指摘だったことは、前回の記事でも指摘した通りだ。だがこの5くん人形は、当時大学生だった筆者を満足させなかったが、その意味も存在理由も今ならわかる。年はとるものである(笑ってください)。

<2クール最後の怒涛!>
 こうして3クールへの布石を打ったファイブマンの物語や設定ではあるが、2クール終盤でもう一つ見逃せない物語があったので、ご紹介しておきたい。25、26話は鹿児島は指宿でのタイアップロケ編。25話は桜島を隕石落下によって大噴火させようと企むゾーンの作戦を阻止する話で、作戦の要である銀河闘士ライオギンが、かつての銀河サーカスの同僚に諭されて、自身を取り戻す感動話だ。

ところが一転26話のタイトルは「九州だョン」である。タイトルからはその内容はまったく想像できない。前回の作戦でも一向にファイブマンを始末できない現場に叱咤激励に来たガロア艦長。だがその直後、ガロア艦長を悲劇が襲う。20年に一度おとずれる銀帝軍ゾーンの「さかさまデー」がやってきたのだ。さかさまデーはゾーンにおける上下関係が1日だけひっくり返る日であり、この日だけはガロア艦長は末端の兵士になってしまう。いつもガロアにこき使われているバツラー兵は、ここぞとばかりにガロアや士官たちをファイブマン打倒に押し立てる。ガロアは一軒を案じ、コガネギンを使って5人を金塊に変えてしまおうとするが失敗。しかも金を主食とするコガネギンは金を失って役立たずとなり、ガロアは作戦にこだわって、コガネギンを連れて金探しに翻弄されるという、一大コメディ編である。すげー設定だなと思いはしたが、何よりガロア艦長役の石川武さんのコメディ寄りの演技が功を奏して、実に充実の1本となっており、ファイブマン好きなら見ておくべき1本だ。

だがこの話を噛みしめるように味わうなら、その前に見ておきたい1本がある。それは24話「のろ亀忍者」である。バツラー兵の能力を向上させ、忍術で小動物に変身させ、社会混乱を狙う銀河闘士バツラーギンの作戦を阻むファイブマンの活躍を描く話だが、落ちこぼれバツラー兵がレミと触れ合うことで心変わりし、ついにはその愛の力でレミに変身し、バツラーギンの野望を挫くも、最後には殺されてしまう展開が待ち受けている。バツラー兵の苦難を、直接肌で感じられる話なだけに、26話のバツラー兵の豹変が実に面白いのだ。

<3クール目の驚愕!>
 2クール目を消化して、「地球戦隊ファイブマン」も夏休みを超えたあたりで、視聴率的にも落ち着きを取り戻すかに見えた3クール目。ところがそこに控えていたのは、2クール目の怒涛をさらに超える驚愕のテコ入れの数々だった。

 3クール目もこれまで同様に子供イジリ回は健在であるのだが、銀帝軍ゾーンの作戦が、地球征服作戦よりもファイブマン抹殺側に傾いていく。3クール目開巻の27話「眠れば死ぬ」は、夢の中に忍び込んで夢を見る本人を夢の中で抹殺する作戦を実行するカマキラーギンの話だ。まるで「ジョジョの奇妙な冒険」の第3部「スターダスト・クルセイダーズ」に登場する敵スタンド・デス13のような銀河闘士の登場で、あわやファイブマンも危うし!と思うのだが、物語のオチは本当に昆虫サイズで夢を操っていたカマキラーギンが、ちょっと大きくて気持ち悪いカマキリとして、子供にボコボコにされてファイブマンは助けられるというお話。

 続く28、29,30話で物語は、夏休み後の子供たちの話題を一身に集めるように、さらに大きく動き出す。
 28話「地獄の合唱」では、甲斐バンドの名曲「ヒーロー」を歌いながら、一人の男が登場する。その名は「シュバリエ」。ガロアの前に戦艦バルガイヤーの艦長だった男。彼は自身の歌を銀河闘士コオロギンと合唱することで音波攻撃を行い、ファイブマンやスターファイブを圧倒する。スターファイブは大ダメージを受けてスーパーファイブロボへの合体が不可能となる。だがファイブマンたちはこの合唱に対抗し、主題歌を大声で歌うことでコオロギンとシュバリエを撃退することに成功する。さらっと書いてしまったが、このシュバリエの登場がファイブマンとゾーンの両方に対して大きな影響を与えていく。シュバリエはバルガイヤーの前艦長。艦長時代は常勝の指揮官であり、一度は引退し退屈をかこっていたが、ゾーンがファイブマンに苦しめられていることを聞きつけ、退屈しのぎに現場復帰する。だが現任のガロアは、自分の地位を追いやる可能性のあるシュバリエを、快く思わない。事実シュバリエはゾーンとは別行動によってファイブマンと敵対している。一方のファイブマンはゾーンだけでも手を焼いているところに、第3勢力となるシュバリエの登場によって、ゾーン側が強化されただけでなく、ゾーンとは別行動をとる別動隊によって翻弄されることになる。シュバリエ自身はそれを知ってか知らずか、ガロアたちとの共闘を拒むように別行動をとる。

 続く29話「合身VS合体」では、ゾーンはついに自身の戦力の強化を図ることになる。シュバリエが連れてきた銀河闘士カニギンがファイブマンを追いつめているところを、割って入ってきたのはガロア配下の銀河闘士アリギンだ。アリギンの攻撃は鉄壁を誇るカニギンの甲羅を侵食していく。そしてカニギンをさらったアリギンは、バルガイヤーの中で合身銀河闘士カニアリギンを生み出した。2体の銀河闘士を合体させて、2体分の能力とパワーを利用しようとするゾーン。ガロアは巨大カニアリギンを前面に押し立て、ドンゴロスやビリオンまで担ぎ出し、一気にファイブマンの基地であるマグマベースを陥落させようと企む。だがゾーンの猛攻をギリギリ防いだファイブマンたちは、ついにマグマベースとスーパーファイブロボを合体させ、最強のマックスマグマを誕生させ、ゾーンを撃退する。大型のプロップを組み立てて、ロボと基地の合体を成し遂げ、その大迫力の攻撃を描き切る特撮シーンが圧巻な回である。

さらに30話のタイトルは「黒ゴルリン」。物語はタイトルとはうらはらに、爆発するたびに増えていく爆弾卵を作り出すイカタマギンを引っさげて、シュバリエが街を蹂躙し始める。次々に増えていく爆弾に手を焼くファイブマンは、新たな技「ファイブボール」によってイカタマギンを撃退する。巨大戦に移行したとき、シュバリエが呼び出したのは、銀河闘士を吸収再生せずに単独で攻撃する「黒ゴルリン」を呼び出した。アーサーの機転で、スターファイブとファイブロボによるタッグマッチを制するファイブマンだった。こうして少しずつ手の内を明かしていくシュバリエの驚異が、まだまだ続く。シュバリエは虎視眈々とバルガイヤー艦長の座を再び目指しているし、ガロア艦長もまたシュバリエに艦長の座を明け渡すまいと対抗していく。5くん人形のガロアどんですら、黒ゴルリンと戦うファイブマンを応援せざるを得なくなっていくw こうしてゾーンは地球征服作戦よりもファイブマン抹殺へと傾いていく。

 ここまで書いてきて、「おいこら、波のまにまに☆。あれを忘れてないか?」と思っている貴兄もいらっしゃるだろう。そう、戦隊シリーズ初の悪の戦隊「銀河戦隊ギンガマン」のことである。初登場は9話「登場ギンガマン」だ。街で暴れるゾーンを蹴散らして、銀河戦隊ギンガマンを名乗る5人のエイリアンが現れる。人々は彼らをヒーローとして受け入れ、そこにゾーンの企みがあることを知る由もない。だがTVがギンガマンたちを取り上げた番組から発せられる催眠電波によって、人々を操る作戦に気づく子供によって、その企みは明るみとなり、ファイブマンたちに撃退されるという物語だ。女性TVレポーターがどこかの声優さんであるのはネタとしておいといて、この話で登場したギンガマンは、この話でだけ主役であったが、その後は幹部の後ろ、バツラー兵の前といった位置づけの連中だった。なんとなくいて、なんとなくファイブマンにやられて退場する。キャラクターがあるだけバツラー兵よりややマシってレベルの扱いだ。その扱いが固定し始める。28話に初登場したシュバリエの合唱団として登場するのである。こうしてギンガマンはシュバリエ直属の配下という立ち位置を、改めて与えられたのである。だがそれ以外に付記することがないので、ここまでほったらかしました。てへw

<キャラクターを浮き彫りにする物語>
 「地球戦隊ファイブマン」の物語は折り返しきて、明らかにその質が変わってくる。地球征服を企む敵・銀帝軍ゾーンの驚異から子供たちを助けることは、すでに織り込み済み。だがゾーンの地球征服を推し進めるためには、ファイブマン抹殺が一番の近道と知ったゾーンは、積極的にファイブマンおよび星川兄弟の抹殺に動き出す。これによって、市井の子供たちの入り込む余地が圧倒的に減じ、星川兄弟やゾーンのキャラクターが見えてくる物語が増えてくる。その中で星川兄弟は、生き別れてしまった、宇宙のどこかで生きているであろう両親の行方を探し出そうとする話や、バルガイヤーの初代艦長シュバリエの登場により、現艦長ガロアとの確執が物語の背景に動き出す。物語の多層構造が、ファイブマンの物語に輝きを与え続けるのである。

 31話「あぶない母」は偽物の星川母を生み出すことによって、星川兄弟を混乱させ、さらには兄弟をおびき出して抹殺しようと企む話だが、この話によってゾーン側の情報収集の結果、星川母が宇宙のどこかで生きている可能性が浮上する。先のグンサーの時に、星川博士の生存が期待されたことよりも高い確率で、母の生存が確認されたことになり、星川兄弟はなんとしてもゾーンを打倒して、両親の捜索に行きたいのである。そう、ゾーンの打倒、地球の安全確保は、そのまま星川兄弟が両親探しに旅立つ日へのカウントダウンでもあるのだ。

 32話「学、死す」では、シュバリエ率いる合身銀河闘士ワニカエルギンが、長兄・学の誕生日パーティーをしている星川兄弟の目の前に現れる。ワニカエルギンは時間を操ることで、ファイブマンの攻撃を避け、さらに時間を止めて攻撃を重ねてくる。さしものファイブマンもこれには手も足も出せない。ついには長兄・学が本当に殺されてしまう。悲しみに暮れる4人とアーサー。兄弟の精神的支柱であった長兄・学を失って、なすすべを知らない兄弟たち。長女・数美は残された家族を失うことを恐れ、ゾーンに敗北宣言をしようとするが、他の兄弟たちはそれを良しとしない。だが数美は兄弟の静止を振り切ってゾーンへと走り、ワニカエルギンの下僕となる。これによって気を良くしたワニカルギンは、シュバリエにも歯向かうようになる。シュバリエとの確執によってワニカエルギンの栄養素であるダイヤモンドの供給が立たれてしまうが、数美は宝石強盗をしてまでワニカエルギンのためにダイヤモンドを確保しようとする。しかしシュバリエによってすでにダイヤモンドは押さえられていた。数美はワニカエルギンに提案する。時間を巻き戻せるのなら、星川学を殺した時間まで戻せば、ダイヤモンドはまだシュバリエに抑えられていない、と。その言葉を鵜呑みにしたワニカエルギンは時間を戻す。そして学が生存していた時間まで巻き戻し、学は無事生還する。だがワニカエルギンはダイヤモンド不足で力を出せない。こうしてファイブマンは数美の機転で逆転し、ワニカエルギンを蹴散らして、学の誕生日パーティーをやり直す。

 33話「必殺裏返し」では、仲間の不甲斐なさに業を煮やしたガロア艦長が、しびれを切らして動き出した。ガロアは最強の合身銀河闘士ゴリワシギンを誕生させる。だが背中合わせのように合身したゴリワシギンは街中を暴れまわるが、その最強の力をあきらかに持て余しており、シュバリエにも失笑される。だがゴリギンの破壊力とワシギンの風の力によって、暴れる術を覚え始めたゴリワシギンは、徐々に被害を大きくしていき、ついにはファイブマンまでも撃退する。だが長兄・学の発案でメンコ遊びを覚えたゴリワシギンは、巨大化してまでも学にメンコ勝負を挑み敗退する。この結果、ガロアは艦長の座を追われることになる。

 ここにきて「地球戦隊ファイブマン」という作品の輪郭が見えてくる。ゲストの子供をインターフェイスにすることなく、ファイブマン自身やゾーンの面々のキャラクターを前面に出すことで、物語を語り始める。かつての作り手が手掛けてきた子供番組としての「手法」の一つをあっさりと捨て、これまで1年間の物語を畳むための方便として使われてきたキャラクター主導の物語を主軸におき始めたのである。このやり方を圧倒的に推し進めた結果として、物語のほとんどから子供の存在を排除して、テーマを設定してそれに準じる形で物語を紡いだ次作「鳥人戦隊ジェットマン」は、その結晶でもあるのだ。つまり「地球戦隊ファイブマン」は作劇の面でも明らかに80年代的な作風から90年代へと変化していった、ブリッジ的な作品であることが伺える。

 すでにファイブマンの記事も2回目。本当なら2回で終わるはずだったのに、完全に筆が滑って3回目に突入しようとしている。相変わらずまとめるのがへたくそな筆者ではあるが、どうにも取り上げるトピックが多いのだから、仕方がない。できる限り取り上げたいし取りこぼしたくないので、申し訳ないがもう1回書かせていただくことにする。次回でファイブマンは全力疾走のまま、最終回まで突っ走ります! 星川兄弟の両親はどうなる? バルガイヤーの艦長は誰の手に? グンサーの行方は? そして星川先生たちの教え子は? 以下、次回。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
50歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitterやってます!

カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
namima2のつぶやき
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
リンク(リンクフリーです)
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
FC2 Blog Ranking
フリーエリア
blogram投票ボタン
ブロとも一覧

あにめにゅ~す の あににゅ

分水嶺★真央ちゃんで浄化

素足のアイドル達

有名人の珍言・名言集

宮廷アリス

TOY BOX
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

[FC2 Analyzer] http://analyzer.fc2.com/ -->