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「真ゲッターロボ 世界最後の日」~この夏に暑苦しい物語をどうぞ~

 筆者ご幼少のみぎり、70年代に花開いたTV特撮作品同様に、男の子の心をつかんで離さなかったのは、カッコいいロボットが活躍するロボットアニメである。その礎たる「マジンガーZ」はおもちゃを含む関連商品の売り上げによっても後押しされて、「グレートマジンガー」「UFOロボ グレンダイザー」へと展開する。「帰ってきたウルトラマン」の放送開始によって、それまでの再放送で飢えを癒してきた子供たちによって「第2次怪獣ブーム」が到来するが、同時期に放送された「仮面ライダー」をはじめとする東映特撮ヒーローをはじめとする変身ヒーローのおかげをもって、「変身ブーム」という側面を持っていた。「マジンガーZ」のヒットの根幹である「合体」とブームによる「変身」。この二つを融合させるべく期待に応えた作品こそが、TVアニメ「ゲッターロボ」であった。

 その後も様々な製作会社によって生み出されてきたロボットアニメは、当然のごとくおもちゃとの連動で企画され、作品がおもちゃの売り上げを左右し、あるいはおもちゃの売り上げによって作品が左右されて打ち切られたりして、主従関係もあいまいなまま群雄割拠の状態を呈していた。そんな折も折、70年代末に登場した「機動戦士ガンダム」の登場によって、ロボットアニメは一つの変換点を迎える。それまでロボット同士の戦闘を「ロボットプロレス」と揶揄してきた層に対して、「侵略戦争」であるとの見解を改めて叩き付けた上で、未来の人間同士による戦争を描くことで、ロボットアニメはリアルなSFであるとの解釈が可能になった。これ以降作り手が意図的に戦争を描く作品は「リアルロボット系」、それ以外を「スーパーロボット系」と区別する展開が待ち受ける。

ゲームシリーズ「スーパーロボット大戦」シリーズでのことである。貪欲に過去作を取り入れ、様々な作品世界を渡り歩きながら、プレイヤーの好きなユニット(ロボット)を使って敵を倒し、ゲームオリジナルの強大な敵を倒す、充実のシナリオとやり応え十分なプレイスタイルが功を奏して、人気のコンテンツになっていく。が、その過熱ぶりはついにオリジナルの作品が、己が枠を超え始めてしまう。劇中の機体パワーアップに飽き足らず、作品オリジナルの新型機が登場する。それが「マジンカイザー」と「真ゲッターロボ」である。だが原作であるアニメ作品や漫画作品を持たない機体は、知名度に問題がある。どちらもエース級の活躍が見込める最強機体であるだけに、過去作や原典を知らないプレイヤーにも訴えたい。そんな作り手の希求にOVAという媒体が応えることになる。80年代のアニメ隆盛期が生み出した、作り手の情熱の発露と商売の原理がスクラムを組んだ故に生み出された、奇形とも思える製作体系と商品展開。表現の上でも自由度の高いOVAは、これらの作り手の欲求と視聴側の欲求を満たしていったのである。ロボットアニメの隆盛から20年を経た90年代末にそれは登場した。その作品こそが「真ゲッターロボ 世界最後の日」(1998)である。

<作品解説>
 さてちょい固めの文章で今回扱う作品のバックボーンを説明してみたが、いかがだったろうか。もちろん枝葉末節がさまざまにあることは十分すぎるほど承知しているし、説明が不十分なのは理解しているのだが、このくらいざっくりと説明した方が手っ取り早く、かつ時代背景が想定しやすいかなと思い、こんな出だしとなりました。前項のような理由で製作に至った「真ゲッターロボ 世界最後の日」だが、バンダイのレーベルであるEMOTIONの15周年記念作として作られている側面もある。

本作の発売前の告知では、本作の監督を務めるのは、「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日」の監督を務めた今川泰宏氏であると告知された。すでに「機動武闘伝Gガンダム」や「ミスター味っ子」などで氏の独特な演出に魅了されていたアニメファンは、ジャイアントロボのOVAシリーズ同様に本作にも期待を寄せていた。だが蓋を開けてみれば、本作の製作途中で今川氏の監督降板の知らせが入ることになる。現在に至るまでその降板理由は明らかにされていないが、当時のアニメファンの下馬評では、ジャイアントロボシリーズ同様に、発売予定日が確定できないほどに製作期間が延びに延びたため、上層部から降板させられたという話や、ベテラン声優を多く起用したり、製作期間の延伸によって製作費の回収が困難になることが容易に予想されたためだとか、「原作クラッシャー」の異名でならした今川氏が、ゲッターロボシリーズの原作を手掛ける永井豪・石川賢両氏と作品の内容でもめたからだなどなど、様々に噂されたことはある。どれも正解のようでいて、どれも違うようであるが、製作費の問題でいけば、本作の販売定価が1話当たり1500円と低価格であった事実を鑑みれば、案外とこのあたりが妥当な線かもしれない。このため、今川氏がきちんと監督を務めた3話までを第1部とし、第1部の事件の13年後を描く4話以降を第2部としている。第2部の監督は川越淳氏。これ以降、川越監督はゲッターロボをはじめとする永井豪・石川賢原作の作品を多く監督することになる。その縁はここから始まったことになる。

<第1部の混沌>
第1部に関しては、今川監督が「ジャイアントロボ」あたりでやっていた伏線と小仕掛けだらけになっており、ゲッター線にエネルギーとしての価値を見出した人類が、その一方でインベーダーからの侵略を受けて、月に巣食うインベーダーを排除。ゲッターロボをはじめとするスーパーロボットは、インベーダー撃退の矢面に立ち活躍した背景が語られた後、悲劇が幕を開けることになる。ゲッター線研究者で活用の第一人者である早乙女博士が、狂気に魅入られたように活動を開始。合わせて排除されたはずのインベーダーもまた活動を再開し、早乙女博士への嫌疑が強くなる一方で、本来早乙女博士は殺されており、殺したのはゲッター搭乗者・流竜馬が、活動を始めた早乙女博士を再度殺害するために、再びゲッターロボに搭乗する。だがかつての竜馬の仲間だった神隼人の暗躍、早乙女が繰り出すゲッターGの大軍団に阻まれ、竜馬は目的を完遂できない。ほどなく現れたカプセルで育てられた號という名の青年と、彼が操る真ゲッター。そして合体して巨大化したゲッターG(真ゲッタードラゴン)の暴走、爬虫類と鬼を模した人造人間たちの攻撃によって、浅間山の早乙女研究所は混沌となる。事態の収束を無理やり図ろうとする国機連に籍を置くかつてのゲッター線開発メンバーは、早乙女研究所に対してミサイル攻撃を敢行。これを阻止しようとかつてのゲッターチームに號も加わって立ち上がるが、時すでに遅し。早乙女博士の真意も、號の謎も、そして竜馬の早乙女殺害の真実もはっきりせぬまま、13年の時は流れ、第2部となる。伏線の回収もままならず、謎が量産された上に、物語がどう転ぶのかも展開が読めない状況下で、はっきりしているのはインベーダーの地球侵略を阻止したい地球人類側の思惑だけ。その思惑すら、キャラクターやその立場、ゲッター線への関わり方によって人それぞれであり、目的を合致させて共闘する姿など微塵もない。かつて「三つの正義が一つになれば、一つの正義は100万パワー」と歌った最初のTVアニメの主題歌のようにはできていないのである。

たった3話しかない第1部は、上記のように混沌しかない。ありとあらゆる謎だけがばらまかれ、その謎が謎を呼び、何一つ確証を得られないまま物語は観る者を置いてけぼりにして突き進んでいく。ひどいのは早乙女博士が狂気に落ちた理由が、ゲッターロボGの合体テスト中に愛娘のミチルが事故に巻き込まれて死んだことに対し、事故という事実にこだわる竜馬に対し、早乙女博士は計画的な殺人であると断定し、互いに一歩も譲らない。話し合いの余地もないのに竜馬は、「このくそじじい!」といって早乙女博士を殺そうとしている。隼人は何かを知っているようで何も語らず、弁慶と武蔵にいたっては完全に蚊帳の外。最初に早乙女博士殺害の現場にいた早乙女元気(後の渓)は完全に心を閉ざしてしまい、弁慶の元で暮らしている。復活した早乙女博士は真ゲッターと真ドラゴンを作り、何をか企んだのはいいが、その目標も目的も明かさないもんだから、結果的に計画の失敗をほのめかして死んでいく。わけわかんないよ、もう!

<とりもどせ!落ち着き!!>
 第1部の13年後となる第2部の世界は、第1部の最後において早乙女研究所でのゲッター線爆発によって崩壊してしまった世界から始まる。あの事件の中でたまさかシェルターに入り込んで生き残った人間たちは、荒廃した世界でも跋扈するインベーダーに手を焼きながら、再びこの世界を取り戻すべく、戦い続けていたのである。そんな世界で「タワー」と呼ばれる地上戦艦でスーパーロボット軍団を指揮していたのは、かつてのゲッター2操縦者・神隼人である。それと知らず車弁慶は生き残った仲間たちを率いて地上の調査をしていたが、インベーダーとの戦いに巻き込まれるような形で、早乙女研究所へとやってくる。そこで弁慶が見たのは朽ち果てたゲッター3と、インベーダーに襲われた渓を助けようとして真ゲッターを操る號だった。弁慶は神と合流するが、渓はゲッター線爆発によって世界の人々から忌み嫌われている日本人の立場を知ることになる。インベーダーの目的は真ドラゴンのゲッター炉心を使って再度地球をゲッター線で汚染することであり、神はそれを阻止して炉心を解体する目的で早乙女研究所にやってきたという。作戦開始される中、先の戦いで破壊されたスーパーロボットを乗っ取りメタルビーストと化したインベーダーも活動を再開。號の指名によって渓とメカニックマンの凱の3人で新生した新ゲッターチームは、真ゲッターロボに乗り込みメタルビーストと戦うことになる。しかしそれはインベーダーの力で復活を遂げた早乙女博士の知るところとなる。謎に包まれた號の出自。早乙女博士と流竜馬の確執を生んだ早乙女ミチルの事故死に起因した謎が明らかになる。號は、早乙女博士と死んだミチルの遺伝子から誕生したクローンであり、渓とともに真ドラゴンの起動キーであったのだ。本来真ドラゴンはインベーダーの復活を止めるべく、人類の希望として早乙女博士によって建造された。その起動キーとなるクローンには、流竜馬や神隼人の遺伝子も提供されていたが、共同研究者であったコーエン、スチィンガーによってインベーダーに汚染されて失敗作(第1部のゴールとブライ)となったという。だが真ドラゴンは號と渓をゲットマシンごととりこんで暴走を始め、さらなる進化を始めようとする。神は暴走する真ドラゴンの破壊に踏み切るが、戦力は整わない。メタルビーストはそれを阻止しようと立ちふさがる。弁慶たちは早乙女研究所の地下で発見した「クジラ」を使って渓たちを救い出すことに成功し、真ドラゴンの進化は阻止される。だが真ドラゴンはその場で転移して消えていく。それを追って弁慶たちは「クジラ」で世界を転戦することになる。

 第2部になると、第1部でまき散らされた謎よりもやっかいなのは、敵であるインベーダーそのものである。逆にそれを際立たせるためにバトルシーンが頻出するのは、OVAとして、単品の映像作品として1話たりともテンションを落とさずにバトルシーンを登場させたことによるものだろう。事情はどうあれ、敵も味方も、見る側の思い入れも拒否してしまった第1部の反省を踏まえ、物語の核心を小出しにしても、ゲッター線爆発によって崩壊した世界をきちんと見せた上で、インベーダーとの対決を主軸において、真ドラゴンのゲッター炉心の解体などの作戦行動を見せたのは、物語の整理を優先したゆえだろう。とはいえ敵インベーダーがとにかく面倒で、生命力はハンパないし、切られようが打たれようが復活するし、大なり小なり人間やスーパーロボットに切りつけてくるわ、ロボットと融合してメタルビーストになったりと、敵として厄介な事この上ない。その上で孤立した日本人の立場の悪さが拍車をかけて、主人公たちの居心地もこの上なく悪いので、見ていて爽快感がないので、見ていてだいぶつらいのね。ついでにいうと、このあたりの作画がとてもよろしくない。このあたりブログの更新が遅れた理由でもある(笑)

 弁慶たちが向かった北極エリアでも、インベーダーによる殺戮が繰り返されていた。極寒の地でやっと復興を始めていたこのエリアには、ゲッター線収集装置を建造し、少なからずゲッター線の除去が行われていた。だが先の戦いで助けた人々はインベーダーに寄生されていた。真ゲッターの登場に合わせて巨大化したインベーダーは人間の意識を残したままゲッター線収集装置を取り込んでいく。人の顔をさらしながら真ゲッターを追いつめるインベーダー。だがそこに現れたのは容赦なく人の顔をつぶしていく黒いゲッター1だった。

一方世界中に出没しては転移を繰り返す真ドラゴン。そんな中でSOSを受信したクジラは一路ニューヨークへと向かうが、案の定インベーダーに強襲される。そんな真ゲッターのピンチに表れたのは、またしても黒いゲッターである。それに登場していたのはあの流竜馬であった。竜馬はゲッター線爆発の爆心地にいながら、時空を超えて月へと行き、うち捨てられたゲッター1を回収して地球へと帰還、インベーダーと単独で戦っていたという。インベーダーとの戦いのさなか、早乙女博士が竜馬に語り掛ける。世界中のインベーダーたちが早乙女の呼びかけで活動を開始し、ある1点へと集まっていく。それはゲッターたちをひきつけ、真ドラゴンを掌握するためのインベーダーの策略だったのだ。太平洋上の火山島で活動を再開しようとする真ドラゴン。ニューヨークでは圧倒的多数のインベーダーを排除するため、クジラのゲッター炉心を使ってインベーダーを一気に葬る作戦で難を逃れる。

一方火山島に集結した神たちロボット軍団は、新兵器ステルスボンバーを作戦投入する。だが早乙女、コーエン、スティンガーの3博士によってついに破壊神として目覚めた真ドラゴンは、地球をインベーダーの安住の地とするために攻撃を始める。ステルスボンバーすら破壊され、駆け付けたブラックゲッターはエネルギーを逆に吸収され、真ゲッターの驚異に脅かされた號は戦闘不能となる。ついには神を欠いた状態で、竜馬と弁慶は真ゲッターに乗り込み、真ドラゴンおよび早乙女博士に戦いを挑む。互いにゲッター線の力で動く者同士でありながら、巨体にモノを言わせて圧倒する真ドラゴン。一方神は乗組員を退避させたタワーで真ドラゴンのゲッター線を吸収する作戦にでる。早乙女博士の企みに気づいた敷島博士はタワーと共に死ぬ。そして神を得て復活したゲッターチームは、ついに真ドラゴン内部へと到達。その中でミチルの幻影におびえる竜馬と神だったが、ミチルの魂は3人を救い、ゲッターチーム対開発チームとの死闘が始まる。そして復活した號の導きによって真ゲッター最強の技・ストナーサンシャインで開発チームは消滅。早乙女は3人に地球と人類の未来を託す言葉を残してついに死んでいく。崩壊する真ドラゴン。だが3博士からコントロールを取り戻した真ドラゴンは、號、渓、凱の3人を乗せ、本来の在り様を取り戻していく。そして地球上のあらゆるゲッター線を吸収しつくし、地球は再び元の青さを取り戻したのである。

だがそのとき、コーエンとスティンガーによって、ゲッター炉心を使用して木星で核融合を起こし、木星はゲッター線の太陽となった。それをめがけて外宇宙のインベーダーが太陽系に来襲する。真ゲッターと真ドラゴン、残り少ない戦力で宇宙へと出る戦士たち。外宇宙での熾烈な激闘。太陽系崩壊が迫る中、コーエンとスティンガーの惑星級のインベーダーとの戦いへとなだれ込み、ついに6人のゲッター搭乗者の心が一つとなって放たれた真シャインスパークによって、ついにインベーダーを消滅させることに成功する。だが時空の割れ目が発生し、その先の空間での未来永劫の戦いに身を投じることを決意した旧ゲッターチームは、號たちに地球の未来とゲッター線を介在しない人類の進化を期待して、さらなら戦いの地へと旅立っていった。

<ゲッター線と物語の熱量>
 竜馬と早乙女博士の確執の元になったミチルの死の真相は、ミチル自身がインベーダーの寄生されたことによる自殺だったのであるが、その真実は早乙女をして次なるインベーダーの侵略を予感させ、真ドラゴン建造への足掛かりになった。しかもその真実を竜馬と隼人の2人とも理解していながら、ミチルの死という表面的な事実から目をそらすように逃げていたところがあり、真実を知らなかった弁慶だけが真ドラゴンの暴走と、それにあわせた地球人類のおろかな選択の被害者としての役割を押し付けられた感じで真実が暴かれていく。早乙女博士はゲッターチームと開発チームの激闘の最後で、まるで改心したかのような言動で、竜馬たちへの道を切り開いたってなことを言っているが、やり方がうっとおしすぎるし、すべてを遠まわしにやりすぎで、全部わかってました感を醸し出したい気持ちはわかるが、なんでもかんでも早乙女に詰め込みすぎな話ではある。

 本作の興味深い点は、こうした広げたいだけ広げた第1部の風呂敷を、本気で畳みに行った川越淳監督の、豪快すぎる手腕が堪能できる一方で、細かい話がどうでもよくなるようなさらなる展開が物語終盤に待ち受けていることだろう。もはや一つの嘘を隠すのに、さらに大きな嘘を重ねるように、ドでかい規模の話を最後の最後で叩き込み、あまつさえ旧ゲッターチームに引導を渡しているところだ。
 原点である「ゲッターロボ」における旧ゲッターチームの存在感は格別で、ゲッターロボのその後の物語でも、「ゲッターロボサーガ」と呼ばれている作品群にしても、早乙女博士とゲッターチームの存在感は常に何にもまして優先されており、ゲッターロボの物語は、彼らがいないと始まらないし、終わることもできない。また原作「ゲッターロボ」の最後に登場する、巴武蔵によるゲッターロボの自爆というエピソードが強烈すぎるのか、本作でもその後のOVAでも、似たようなシーンが頻出する。これが意味するところは、あの原作のシーンがインパクトあるだけに、あの原作から逃れられないということだろう。もちろんオマージュである「トップをねらえ!」の第6話のシーンにしたところで、あの宇宙怪獣とのあまりに激烈な物量戦は、いかな本作の熾烈な外宇宙での戦いでも、抗いがたい出色の出来であることを考えれば、あの偉大な原作の影響下にある作品であることは否めない。どれほどの規模とエネルギーを費やしても、恐竜帝国を追いつめた巴武蔵の死の強烈なインパクトを、それを創作した石川賢の掌を、一歩も越えられない気がしてしまうのである。

 本作では最初に今川監督が取り上げた「ゲッター線」というエネルギーが、どのように人類に未来をもたらすのか?という問いかけからスタートしていたような気がする。それは「ジャイアントロボ」でのシズマドライブという絶妙な設定があってのことだ。かっての自作でエネルギーが人類にもたらす希望と、その裏側にあった悲しい真実。エネルギー問題に託された科学の二面性などの問題提起が、はたして「ゲッター線」にどんな展開をもたらすのか?という点は、本作の発売前から気になっていたように思う。もっともそれ以前にゲッター線にはきちんと織り込まれた設定があって、人類に進化を促した謎のエネルギーであることは織り込み済みな点が、この際は問題点だろう。はたして今川監督はどんな展開を想像していたのかは、今となっては計り知れないが、川越監督はゲッター線に頼らない人類の進化を、人類自らの手で切り開くことこそ至上の価値として物語に幕を下ろしている。人類進化、あるいはエネルギーとしての科学の二面性は二の次とされ、なぜインベーダーがゲッター線で滅ぶのかも、インベーダーが好んでゲッター線の巻き散らかされた地球を根城にしたいのかなど、ツッコミどころはいくらでもある。人類はゲッター線に期待していたはずが、第1部での大災害をゲッター線が演出した後には、手のひらを返したようにゲッター線を忌み嫌っていく。この表現では、東日本大震災を経たきわどい状況下の日本では、この物語の落としどころがあまりにも不明瞭で不誠実に感じてしまう。原子力をある意味で否定しながら、原子力の作る電力を享受し、言うに事欠いて不誠実な原子力技術を他国へ売りつけるこの国の在り様は、はたしてこの物語をあいまいなまま忘れ去ってしまうのか。この部分のけりのつけ方はたぶんこれからも難しい。

 本作を振り返って思うのは、この年の「災害」と国から指定を受けたほどの「暑さ」にも似た「熱さ」だったように思う。竜馬が絶叫し、號が、渓が「チェンジ、ゲッター」と繰り返し叫び、何をしようが倒せない不死身のインベーダーを「ゲッタービーム」の張り裂けんばかりの声で発射して倒した、いつまでも続くかと思われたインベーダーとの戦いの連続。第1部では過去と謎を背景とした渦巻く憎悪だけが、この声に乗せられていたが、第2部は軌道修正してヒーローロボットアニメらしく、無慈悲な敵をなぎ倒す真ゲッターロボの勇姿に声が宿っている気がした。だからこそ他国の人間たちの日本人への憎悪の問題点がコントラストとして浮き上がってくる。バトルの爽快感と背後の人間関係の不具合の不一致が、ちゃんと物語に織り込まれている点は、爽快感の欠如と同時に評価しておきたい。そして旧ゲッターチームによる最後の戦いは、未来永劫続くことがわかり、僕らの未来のどの時点でも、彼らは何者かと戦い続けている。その原動力としてあるゲッター線は、やはり来たるべき未来を人類に示すエネルギーなのかもしれない。

追記
 今回中古で買ったDVD-BOXでの視聴だったが、本作が単品LDで発売された当時、1話当たりの発売単価は1,500円だった。現行のどのアニメ作品の円盤よりも安いのだ。DVDの映像特典にもあるように、本作の最終巻は発売が遅れていた。それだけに最終話の作画も良好で、見ごたえのあるバトルシーンは圧巻である。だがそれと引き換えにしたのは、こうしたアニメ作品の薄利多売は、成功しないという事実だったかもしれない。主題歌2曲が出色の出来だっただけに、この販売戦略の底の浅さが露呈したのか、ただただ残念な話だ。さまざまな作品があるのなら、それに合わせた多様な売り方があるはずだ。その一つの形態が、このような形で失われてしまった。決して悪くない内容だけに、購買者に寄り添えなかったことがまこと残念でならない。
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コメント

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待ってました!!

チェンゲの書き上げお疲れさまです!!
まさか、「一番面倒くさい」って言ってたチェンゲから来るとは思ってませんでした。

OVA3作品の中では、チェンゲが一番好きなんですよ!!(新ゲは1巻しか見れて無いけど・・・)

第1部は作画も謎も盛りだくさんに詰め込まれてますよね。
ゲッター1の合体シーンは見所の一つだと思います。
以降のゲッター作品(ゲーム含む)での合体に対するスタンダードになってますよね?(表面が鱗みたいにパリパリなるやつ)

第2部に入ってからはブラックゲッター登場の辺り以降の展開が好きで、特に旧ゲッターチームVS開発チームでの「悪いな、俺達は目をつぶってても・・・」の所とか大好きなんです!!(漫画が原典としてありますけどね。)

監督が途中で変わったのもゲッター線の影響ですかね?(打ち切りや掲載紙の休・廃刊を大体しますもんね)

「チェンゲ」って略すんですねw

ちんたらさま
 コメントありがとうございます。
 私は夏休みの宿題や面倒くさいことはできる限り先に終わらせたいタイプの人間なので、「チェンゲ」からスタートしました。このあと「ネオゲッター」と「新ゲッター」を、間を置いてからやりますので、お楽しみに。単純な俯瞰でいけば、今川監督ありきで面倒くさく作られた「チェンゲ」があり、そこからわかりやすさを旨とした「ネオ」があって、川越監督と石川賢の趣味が一致した「新」といった趣かなと思ってます。
 おっしゃる通り、TVアニメ「ゲッターロボ」にあった問答無用のゴム変形は、本作のように解釈されまして、これがスタンダードになりました。これにあわせたような不完全変型のおもちゃが、当時ありましたが、あきらかにやりすぎでした(買ってませんけどw)あの変形システムは、無理に再現しない、アニメならではと思えば、アニメはやっぱり素敵なメディアだと思ったりして。
 先述の通り、LDで買って見ていた当時、話の展開にあまり乗り切れなかった思い出があって、謎解きもうとおしくって好きになれず、長年放置気味の作品でしたが、今回の再視聴でやっとスッキリしまして、なかなかにスーパーロボットしてる第2部は、じらされながらも楽しんで視聴できましたね。完全に思考が入れ替わりました。最終回あたりは数回見返しましたが、あれを真の意味で理解できるには、まだもう少し時間がかかるかな?といったところです。

 リメイクの話でいけば、光子力はあんなに真っ当なエネルギーなのに、どうしてゲッター線はこんなに面倒くさいんですかね。石川賢ってすげーと思いますよ、ほんと。監督まで後退させちゃうんだもんw

ありがとうございます!!

私の周囲では「チェンゲ」「ネオゲ」「新ゲ」で通ってます。

チェンゲに原作っぽいバイオレンスさがあり、ネオゲはTV版の様なわかりやすさ、というか王道ロボットアニメらしさが強く、新ゲは原作のバイオレンスさに他の石川賢漫画の要素を加えた作品と言うのが私の感想です。(新ゲは1巻しか・・・)

あの不完全変形、確かにやり過ぎでしたね。実際に手にとって変形させてみたい気はしてたけど、あれに一万五千円も出そうとは思わなかったですし、やっぱり変形後のデザインが・・・
仰る通りあの変形は再現不可能ですね。逆に、そっくりそのまま変形できる物が出るならいくら出してでも欲しいですね!!

石川賢迄ゲッター線となった今、この面倒臭さを解明する事は出来ないんでしょうね(泣)

こちらこそ、ありがとうございます!

ちんたらさま
 再びコメントいただき、ありがとうございます。
 「チェンゲ」は単品商売としては、志半ばで心折れた感じでしたが、その後のスーパーロボット大戦シリーズへの正式参戦を経て、評価はあるていどなされているようで、私としてはそこそこケチをつけても問題なさそうだったので、わかりにくさを前面に出した評となりましたが、いざ書き終えてみると、なんだかもやっとしてるんですよ。たぶんゲッターに対する愛情がたりなかったのかな?って思います。でも論評するなら距離をおかないと、ねえw

 ネオゲッターまではそろっているんですが、「新」が中古で買いそろえようと、探し回って3,4巻以外は確保できたんですけどね。懐具合もありまして、ためらっております(泣)まあレンタルもあるし、どうにかしますけど。

似た状況ですね

チェンゲをしっかりわかるには、今川監督に聞くしかないかと思います(笑)
論評には、距離を置いて客観的に観ないと、私みたいに偏った、支離滅裂な文になっちゃいます!!

私もネオゲは揃ってるけど、新ゲは1巻しか(←何回目だ)
最近、足が遠退いてるけど、行き付けのブックオフ等はなかなか出てこないんで、ネットで買い漁るかなぁと思いつつも、私の懐も・・・
そうしょっちゅう見れる訳でも無いのに手元に置いておきたいから、買う方向でしか動かないんです。

うんうん

ちんたらさま

 手元に置いておきたい、は真実ですよねw わかりますwww
 ま、おかげで部屋の中のソフト類がどえらいことになっておりますけど(泣)
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
50歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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