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2018見逃し映画考・その2~アメコミヒーローたちの去就~


「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」
 日本では3月に公開された、マーベル・シネマティック・ユニバースに連なる作品である「ブラック・パンサー」を未見のまま、本作に進んでしまった。正直に告白すれば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」2作品についても未見なので、本作の最凶の悪役であるサノスやガーディアンズに登場するガモーラとサノスとの関係性など、細かい点はよくわからないけれど、それ以前のシリーズの知識を総動員してみる分には、十分に楽しめた。

 筆者はマーベルやD.C.のアメコミヒーローの実写映画を見るたびにいつも思うのだが、こうした映画を見ていると、つい声を出してしまいそうになる。本作でも終盤にソーが地球に帰還して参戦するシーンではやっぱり声が出たし、物語やアクションの盛り上がりを見ては声が出る。ハルク・バスターが攻撃を受ければ痛みでうめき、サノスの軍隊にやられたマーベル・ヒーローズを見れば涙する。そんな感情を掻き立てられるシーンが連続するこの映画を、もし劇場で見ていたとしたら、まわりの観客に奇異な目で見られることだろう。海外の劇場では観客の心の赴くままに歓声を上げたりするらしいが、日本ではそんな風習はない。だからこその家庭用視聴環境なのだ。遠慮なく声を出すことができた。それは本作の楽しさの本質であると思う。

 本作の前日談である「マイティ・ソー バトルロイヤル」が、あっけらかんとした娯楽作であったが、宇宙船で故郷に帰ろうとしていたアスガルドの一族が、サロスの船団に襲われ、アスガルドの民が全滅したところから物語は始まる。なんとか逃げ延びたハルクは、まるで地球に危機を告げるメッセンジャーのように地球に戻るが、それまでの経緯を知らないハルク=ブルースは、アベンジャーズの現状を知って嘆くしかない。地球では解散したアベンジャーズが苦しみもがき、宇宙ではソーがサノスを倒すための武器を作るためにガーディアンズと協力、無理やりタイタンへと連れてこられたアイアンマンとドクター・ストレンジそしてスパイダーマンは、来るべきサノスとの戦いに準備を怠らない。戦力不足を痛感し、かつての庇護組織が当てにならないと知ったキャプテン・アメリカは、ブランク・パンサー率いるワカンダの国力に協力を依頼。あらゆる場所での戦いがあらゆる時と場所を超えてつながりあう。だがサノスはそうしたヒーローたちの努力を蹴散らすかのように進軍する。

 この物語のラストで、サノスは目的を遂げ、6つのストーンを手に入れてしまい、その能力は人類の半数を死に至らしめることにより、バランスを図ることになる。本作のプロデューサー曰く、エコ・テロリストだとのことであるが、その生死の選択にサノスがまったく関わっておらず、全くの無作為である点はこの際評価したいのだが、それにしても乱暴にすぎる話で、サノスがどれほどの説得力を持って目的を果たそうとしているかは、義理の娘の命を奪ってでも石を手に入れるなどのエピソードから、それとなく伝わってくる。とはいえ有限な資源を有効活用するために、資源を使う人類を半分抹殺するってのは、やはりやりすぎで、資源をシェアするという発想がない。それは一見争わずに少ない資源を有効活用する方便に聞こえそうだが、資源そのものがシェアされないのであれば、争って奪う思考しか残されていない。とうことは、戦争を否定しているわけでもなさそうで、宇宙を含めて人類の半分を淘汰したサノスが、資源を求めて戦争する人類の様を見たら、さぞかしがっかりすることだろう。そう思考を進めれば、サノスのしていることは、まこと余計なお世話なのである。

 注目すべきはアイアンマンとスパイダーマンのスーツのレベルアップだろう。スパイディの背中から伸びる蜘蛛の足は、アメコミで知らずに見ていると、気持ちのいいものではないのだが、これがスターク・インダストリの技術的フィードバックと考えると、防御や移動、アームの代わりなど多様な手段として便利に活用されているのを見ると、さすがと言わねばなるまい。ナノスキン化されたアイアンマンスーツは、装着者を常に守っている状態だから、トニー・スタークが如何に無防備な状態を嫌い、いつ何時も外敵からの来襲を危惧してきたかがわかるのだ。だがその行き過ぎた思考そのものがキャプテン・アメリカとの亀裂を生み、シールドを弱体化させ、妻であるボッツの心配を助長させていることを、気が付いていながらどうしようもない、という落としどころのあらわれである気がして、いっそスタークが気の毒ですらある。

 「シヴィル・ウォー」であまりに厳しい現実に直面したマーベル・ヒーローズは、本作で再び手を取り合う形をとった。それは消極的な策でしかないのではあるが、それでも彼らが再会し、手に手を取り合い、互いのピンチに助けに入る姿を見れば、目頭が熱くなる。これまでのシリーズを見続けてよかったと心から思える瞬間だ。もっとも亀裂の原因となったソコヴィア協定が、なんとなく有名無実化している感じもあるし、最大の決裂であったアイアンマンとキャプテン・アメリカは、まだ再会すらしていない。この二人の和解のシーンも、これからのシリーズのお楽しみになるだろう。あっさりスパイダーマンを見殺しにしてるあたり、増え続けたマーベル・キャラの人員整理か?と勘ぐってしまいそうになるが、スパイダーマンなんてビックネームを見殺しにするはずもなく、これはさらなる続編への大きな布石になっていることを期待したい。

「バットマン:ダークナイト・リターンズ」
 前項でマーベルを扱ったので、本項ではD.C.というわけではないが、買っておいて長い事ほったらかしていた作品を見ていこうと思う。本作の原作となる「バットマン:ダークナイト・リターンズ」がフランク・ミラーの手で発表されたのが1986年のこと。奇才ティム・バートンの手によって実写映画で「バットマン」がヒットしたのが1989年であり、1997年の「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」まで4作を連ねるシリーズとなった。またクリスチャン・ベール主演でリブートした「バットマンビギンズ」の公開は2005年。こちらも2012年の「ダークナイト・ライジング」まで3作品(「ダークナイト・トリロジー)と呼ばれる」が公開されるシリーズとなっている。陽性でユーモラスでもあり、すでに古典の域に達していたコミックのバットマンは、フランク・ミラーの手によって、ダークでハードな世界観に一変する。原作の「ダークナイト・リターンズ」のシリーズは、現在に至る、社会問題を孕み、シリアスでドラマティックなアメコミの原点ともいえる傑作であり、この作品なくして現在のマーベル・ヒーローズの映画もなかったといえるかもしれない。

 物語は相棒ロビンの死を契機に引退していたバットマンことブルース・ウェインが、愛すべきゴッサムの街が再び犯罪者の手にまみれるのを目の当たりにし、新たなる相棒である女性のロビンを仲間にして、再びゴッサムの街にバットマンとして立ち上がる姿を描いている。苦難の末に街を荒らしまわるミュータントの親玉を倒し、再び活動を再開したジョーカーと対決し、ついにジョーカーを殺すに至るが、それはゴッサムの街を超えた問題性を孕んでおり、ついには大統領命令を受けたスーパーマンとの対決となる。

 本作のアメリカ本国での発売は2012年。日本では2016年(Part1/2に分割で発売)で、タイムラグにもほどがあるが、おかしな訳で吹き替えされるより、字幕で安心できたりもする。筆者も遅れに遅れて2018年に見ているのだから、誰に文句を言うこともできないが、逆に楽しかったのは、本作にあるシチュエーションのいくつかが、「ダークナイト・トリロジー」や最近のD.C.映画にも登場することが発見できる。例えばPart1の終盤に登場したミュータントの親玉との戦いは、「ダークナイト・ライジング」に登場したベインとの戦いを思い起こさせる。またジョーカーとの死闘というシチュエーションそのものはシリーズ2作目「ダークナイト」の基本構造そのものであるし、バットマン対スーパーマンの手に汗握る対決とその結末は、「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」を思い起こさせる。

 そのバットマン対スーパーマンの対決は、コミック発表当時であれば、夢のような対決なわけで、ファンにとっては手に汗握る内容なわけだけど、その後の「バットマンVSスーパーマン」と比較すると、対決に至る流れの違いが要注目ポイントだ。映画では対決の間にレックス・ルーサーの策略があり、スーパーマン側の要人を誘拐して人質をとる。その間にルーサーはドゥームズデイの誕生を促すのだが、一方のバットマン側は、「マン・オブ・スティール」における事件の顛末によって被害をこうむっていたり、系列会社の社員がひどい目にあったりしていて、互いに誤解が生じる状況が、ルーサーの存在によって出来上がってしまう。それをワンダーウーマンが仲裁するあたりが本作の肝なわけだが、一方本作での対決は、ゴッサムを本気で影から守ろうとする年老いたバットマンと、アメリカへの忠誠を誓ったスーパーマンの、イデオロギーの対決となっている。この対決前にソヴィエトとの戦争を継続しているアメリカは、スーパーマンの力によって戦争を有利にしていたが、敗戦必死のソヴィエトが核ミサイルを使い、一時的にスーパーマンは活動停止になってしまう件があり、アメリカという国とスーパーマンのつながりの深さを印象づけるエピソードが挿入されている。キャプテン・アメリカの出自と違い、スーパーマンはアメリカに縛られる理由などどこにもないし、国の事情に干渉しないのがスーパーヒーローのお約束だったはずが、あえて首を突っ込んで、わざわざバットマンを倒しに来る律義なスーパーマンが堪能できる。もっともスーパーマンを利用する大統領の顔も、けっしていい顔のキャラクターではないので、このあたりはやはり悪意的なものを感じてしまうようにはなっているけれど。

 映画「ローガン」の年老いたウルヴァリンにしてもそうだが、引退を決め込んだヒーローたちの去就って、なんとロマンにあふれた素材なんだろうと、思わなくもない。バットマンに関しては、「バットマンフューチャー」っていう作品があって、体が動かなくなったブルースの代わりに新世代のバットマンが活躍するアニメシリーズがあったりして。年老いたブルースは彼の後見人であり、上司でもあるのだが、歴戦の勇士は良質な上司となるわけではないことが証明されたりして、これはこれで興味深いシリーズで、どうにか全編みたいものだ(国内では完全版なさそうなので)。
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