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逸脱!見逃し映画考~タイミングずれの作品たち~

 これからご紹介する映画2本は、もはや2018年作品ではなく、単に筆者が積みっぱなしでほったらかしていた作品だ。したがってタイトルから2018年もなくなったわけで。

「007 スペクター」(2015)
 シリーズが大好きな筆者にとっては、次回作にもダニエル・クレイグが続投するという話に心から喜んだが、前作「スカイフォール」にて、あまりにもジェームズ・ボンドという人間の人となりにメスを入れてしまったことについては、ちょいとばかり懸念があった。本作「スペクター」においてもその傾向が顕著だとの事前情報があったため、興味をひかれるよりも心配が先に立ってしまい、BDを買ったはいいがついついほったらかしてしまった。

 物語序盤はお祭りに騒ぐメキシコでの大乱闘。その見せ方の面白さ、アクション、破壊のカタルシス、その派手さ加減など、どれをとっても一級品! ダニエル・ボンドの面白さを見せつけるのだが、一転して物語は廃業に追いやられようとするMI6が、ボンドの活躍の陰でその立場を危うくしているという展開が待ち受け、見ているこちらの機先を制するように「あはは、そうだよねー」と落ち着かせてくれる。Mに問い詰められても真実を応えるそぶりを見せないボンドは、前作で死んだ前任のMの遺言ビデオに従って動いていた真実が発覚。物語が進むうちに新任Mにマネーペニー、そして開発担当の奇才Qを担ぎ出して、たった4人のMI6が難敵に立ち向かうラストまで見せきってくれるあたりは、実に痛快な筋立てだ。

 かつてのシリーズ、特にショーン・コネリーやジョージ・レイゼンビー、ロジャー・ムーアといった昭和の時代におけるボンドの敵であった「スペクター」が本作で復活を果たす。もっとも本作における組織「スペクター」は、かつてのようにテロリズムによって世界を混乱に陥れたり、国家を脅して資金調達するなど、やることはどうやらあまり変わらない。だがそのために地保を固める過程で、これまでにクレイグ・ボンドの3作品に登場した悪役は、すべてスペクターに連なるとしている。本作のボンド・ガールであるマドレーヌですら、「慰めの報酬」に登場したミスター・ホワイトの娘なのだ。

 スペクターのNo.1であるブロフェルドの登場も本作のトピックである。ブロフェルドといえばかつての作品で幾度となくボンドと対立し、時にボンドの最愛の花嫁を射殺したり、時に替え玉ふくめてボンドに射殺されたりしていながら、後にブロフェルドと思しき人物が再登場するという宿敵なのだ。本作におけるブロフェルドは、幼き日に両親と死に別れたボンドを世話した男性の息子であり、ボンドとは兄弟のようにして育ったという経歴を持つ。前作「スカイフォール」に登場したボンドの生い立ちと合わせて、やはりルーツにさわる感じがちょいとばかり引っ掛かる。ただし本作において顔に怪我を負い、足まで負傷しているので、次作では車椅子での登場の準備はできたわけだ。そういう意味において、リブートを意識して着々と準備を進めてきたクレイグ・ボンドシリーズは、ここにきて原点回帰とも思える展開が見えてきた。砂漠に向かう列車内での暗殺者との死闘、ローマでのカーチェイス、砂漠の中のクレーターにある巨大な情報収集施設と大爆破などなど、シリーズを見続けてきた人なら、どこかで既視感を感じるシーンも登場するあたりも、そのあたりを意識してなのか。さてさてこれでシリーズを全て見終えた筆者は、次なる作品を見る準備ができたことになる。長大なシリーズでありながら何となく連続性を保ちつつ、なんとなく演者が変わるたびにリブートを繰り返すという世界でもまれにみる稀有なシリーズは、まだまだ世界のために戦い続けるジェームズ・ボンドを追い続けるわけだ。過日亡くなった佐々淳行氏が、日本にも007のような諜報組織が必要だとの言葉を残しているが、まあこの国に諜報機関があろうがなかろうが、それが公になるわけもないのでねw

 ブロフェルドといえば、ジョージ・レイゼンビー主演の「女王陛下の007」でのテリー・サバラスが印象深い。このテリー・サバラスが「戦国魔神ゴーショーグン」に登場するグドサンダー隊のトップのモデルだったりと、こちら方面ではとみに有名な方ではあるが、映画の方ではボンドの最愛の花嫁を襲撃する悪辣さを見せたり、ボブスレーでボンドと直接対決するアクティブさを見せる。その意匠が取り込まれているのか、本作のブロフェルドもアクティブである一方で、これまでの幾人もが演じたブロフェルドの印象がちらつく、あまりにも適役と言わざるを得ない配役だ。ついでに言えば、このシリーズのパロディで有名な「オースティン・パワーズ」シリーズでも、オースティンと悪役ドクター・イーブルが兄弟であるという設定が出てきており、どっちがどっちのパロディだか、わけがわからなくなる話があったりして、もうw

「インクレディブル・ハルク」(2008)
 緑の巨人・超人ハルク。かつて日本のテレビでオンエアされたハルクは、人間でありながらもその力と緑の肌で迫害される異端者の姿を映し出し、視聴者に憐憫の涙を喚起させる物語で好評を博した。もちろん70年代の作品であるから、その特殊効果には限界がある。社会のエッジに立たされた緑の男の悲しい物語は、現代でも通用するのか、アメコミの映像作品として、何度か映画化されている。
 最新の技術によってマーベル・シネマティック・ユニバースに連なる作品として製作された本作は、「アベンジャーズ」へとつながるように製作されているのだが、主演の俳優が異なる点は、この際無視しておきたい。

 物語の冒頭、ハルク誕生の経緯がごく短い時間で語られる。本編に入ると逃亡したブルース・バナーはブラジルに潜伏。感情をコントロールし、ハルクに変貌しないようsyに日々を暮しているところに、些細なことをきっかけに潜伏先がロス将軍に知れてしまう。さらなる逃亡の日々を余儀なくされるブルースは、自分の身に起こった異変を治癒させるため、協力者のもとを訪れる。だがロス将軍はハルクを生み出したスーパーソルジャー計画を勝手に再開し、自分の部下を使ってあらたなる超人を生み出していた。ロス将軍の追撃は、ついに二人のハルクの対決を促す、という物語。最後にはトニー・スタークが登場し、「アベンジャーズ」につながるおまけつき。

 本作はハルクの出自に関するエピソードの掘り下げはほとんどない。これはハルク誕生の経緯が、キャプテン・アメリカのスーパーソルジャー計画の再現によって誕生したことに変更されており、マーベル・シネマティック・ユニバースに連なるように手が加えられているからだ。そのかわり、ブルースが協力者によって自分のハルク化を治癒することに専念する一方で、ロス将軍のスーパーソルジャー計画再現への執着として、第2のハルクともいえる「アポミネーション」の誕生と対決が主軸になっているからだ。それゆえ、筆者のような老害がよく知っているTV版「超人ハルク」のような悲壮感とはかなり異なる印象になっている。できるだけ世捨て人のように俗世を離れて暮らしたいブルースが、ハルクをどうにかしてコントロールしておきたいという思いと裏腹に、ロス将軍は自身の保身と執着のためにブルースを追い続けるという関係性と、それに伴うバトルがあるだけで、ドラマはほとんどない。興味深い点は2つ。一つはミスター・ブルーと呼ばれるブルースの協力者が、もののみごとに破たんしている点と、アポミネーションとなるイギリス軍人の想いの正体だろうか。

 前者協力者の思考については、科学の二面性と、科学者の倫理観が問われているように思う。ブルースのハルク化する血液の存在は、ミスター・ブルーことスターンズ博士をしてどちらに転ぶ可能性を示しながら、容易に自身の倫理観を破綻させる魅力に満ちていることはわかる。だが血液の有効利用を治療に転用する利用方法を模索することと、自身が有名になることへの欲求が、本来両天秤であるはずが、すべてを手に入れようとする思考にいたったとき、彼の倫理観はもののみごとに破綻した。その破綻は結局自分自身の保身へと変わり、アポミネーションの誕生を促す結果となる。科学者は高潔たれなどと説教を垂れることができるほど、筆者は高尚な人間ではないが、越えてはならない一線、壊れてはいけない倫理観など、自分の心にセーブをかける方法論を、人は知るべきである。だが行き過ぎた興味が、時には壁を突破する何かに置き換わることも、我々は知っている。

 イギリス軍人ブロンスキーは39歳という年齢。この年齢が問題だ。現役の最前線軍人でありながら、その年齢ゆえに限界を感じていたことが、劇中うかがい知れる。イギリスが彼をアメリカに派遣した理由もそのあたりだろう。最後の一花、という言葉が、誰の頭にもちらついただろう。だがその一花が、ブロンスキー自身が思いもよらない方法論で、怪物化することで兵士としての矜持も忘れ、ハルクとの戦いに身を投じることになる。しかも任務すら忘れてしまい、怪物化した自身の力を試したいがために、ハルクと同じ力を得る方法論を迷わず選択する。力への過信。39歳という年齢がもう一度取り戻したいと願った力は、こんなハルクのような力ではなかったはずなのに。実のところ、スーパーソルジャー計画の魅力の一端がここに現れている。もちえない力、年齢や老いで失われた力を取り戻したい。またその力を与え、その力を統率して戦果を得たい。ブロンスキーの願いは直接ロス将軍の願いにもリンクしてくる。だがロス将軍の願いは、いまや自己保身と証拠隠滅なのだ。ブロンスキーがアポミネーションとなった途端、二人の共通の願いと思われたものは亀裂が生じ、ロス将軍は自己保身と娘の生存のために、アポミネーションを銃撃することになる。

 要約すると「インクレディブル・ハルク」という物語のポイントは、科学者の破綻と軍人たちの破綻の物語だといえる。この二つの破たんに干渉されて、ハルクことブルース・バナーは大変迷惑したことだろう。もっとも「マイティ・ソー ラグナロク」を見終わった今となっては、そりゃこんなひどい目になった地球からおさらばして、自分が力のままわがままにふるまえる世界で安住したいと願っても、無理からぬことなのではと思わせる。もっともそういった欲望全開の願いは、ブルース自身の抑制の効いた思考が許さないのだろうが、なにせハルクとなったままで長い事いたことになってるからなあ。そういう意味ではハルクにとっては、アベンジャーズにいたところで居心地がいいとはいえないのかもしれないけれど、ハルクをブルースの意識の下におけるかという命題は、常にハルクというキャラクターに付きまとうことになる。それは今後のアベンジャーズ・シリーズに登場するシークエンスの一つなのだろうけど。
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