カードの力が世界を統べる~ウルトラギャラクシー大怪獣バトル~

 データカードをスキャンさせ、そのデータ同士で対決する図式のゲームが大流行である。その手始めはセガの作った「ムシキング」のヒットだろう。次に「ラブ&ベリー」ときて、女の子にもそのヒットは拡大する。そんな中で登場したのが「大怪獣バトル」だ。現在では仮面ライダーをベースとする「ガンバライド」がこれに続く。ムシキングもラブ&ベリーも、人気のあるうちにアニメ化された。だが「大怪獣バトル」の作品化は難しいと思っていた。それは「ウルトラファイト」という前例があったからだ。「大怪獣バトル」の本質が、怪獣同士のバトルだとしたら、昭和生まれにとって思い出せるのは「ウルトラファイト」である。残念ながらそれは決していい思い出とはいいがたい。だがゲームの本質を理解しながら、ドラマとして再構築したのが「ウルトラギャラクシー大怪獣バトル」である。

 救難信号を受けて惑星ボリスに向かったヒュウガ隊長率いるZAPの面々。だが惑星ボリスは、怪獣が跋扈する怪獣無法地帯となっていた。その惑星でヒュウガたちが出会ったのは、怪獣をあやつって怪獣を倒す、レイという名の青年だった。レイとZAPの面々が、さまざまな困難に立ち向かい、惑星ボリスに残る生存者を救出する。やがて惑星ボリスが怪獣無法地帯になった事情が明らかになり、レイの正体が判明する

 この作品の一番の肝は、なんといっても怪獣同士のバトルだろう。レイが操るゴモラ、リトラ、エレキングの迫力ある戦いが、本作の最大のウリである。特にゴモラの戦い方には目を見張るものがある。第1話で見せる対レッドキング戦では、互いの能力を見せ付けるかのようなシーンが続出する。互いに背中を見せるように回り込み、上体を下げて尻尾で攻撃し、空中で尻尾が交差するシーンや、2話でゴルザにとび蹴りを食らわせるシーン、11話で見せたベロクロンへの前転尻尾アタックなど、あごが外れるかと思うほど驚いた。そしてゴモラの発する超振動波は最大の武器となる。この超振動波は、ゴモラが地底を掘り進むときに、使用していたとされるものである。こうした新しい設定と、「強力な尻尾」という怪獣図鑑に掲載されている情報が融合して、過去のゴモラを踏まえた新しいゴモラ像が完成している。リトラやエレキング、そのほかの怪獣についても同様だ。3話に登場するネロンガが、電気を食う怪獣であることによる物語や、最強の敵として登場するゼットンなど、これまでのウルトラシリーズにおける物語がアーカイブ化されて、活用されている。

 ストーリーの面でもこのアーカイブが意味を持つ。物語の中盤ごろには、惑星ボリスを怪獣の巣窟としたのは、ブルトンにより様々な次元の扉が開かれており、怪獣が呼び寄せられていることが判明する。また唯一生存者が残っているヴィンセント島には、巨岩にウルトラマンが封印されており、残された能力で島を怪獣から守っていたという。つまりこの世界も、ウルトラマンがいた世界と地続きであることが証明されているのだ。すでに第3世代に突入するウルトラシリーズは、過去のシリーズをアーカイブ化する事により、世代を超える方法を手に入れたのでる。それはすでに「ウルトラマンメビウス」において実行されていた手法である。「メビウス」ではGUYSのコンピューターにのみデータとして残されていたアーカイブであるが、今回はカードデータとして登場する。この点については、ゲームとの連動であり、怪獣が登場するたびにカードデータが示される。その内容はかつてウルトラシリーズに登場したときのデータであったり、ゲーム化に合わせて修正されたデータの場合もある。いすれにしてもゲームと連携した映像を見せることで、メインターゲットである子供たちにアピールしたことは疑う余地がない。データ化された怪獣は、操るレイの覚醒により、EXゴモラという別の形態にチェンジすることで、完全に結実する。

 本作で登場する怪獣たちは、たしかにかつて地球に登場し、ウルトラマンたちに葬られた怪獣たちである。その意味では「地球出自の怪獣」であることは間違いない。しかしながらこれらがデータ化しカード化された怪獣であり、自然災害が形となったものではない。ここにはブルトンという怪獣が現れる事情があり、事件性はあっても災害ではない。過去の記事でも述べたように、災害が形となっているような地球出自の怪獣というのは、もうはや存在しないのかもしれない。それは撮影技術と同様に、人間が作り出す物語もデジタル化してしまったからかもしれない。怪獣を「災害の延長」と規定すること事態が間違っているのかもしれない。だが「東京マグニチュード8.0」を見てもわかるとおり、自然災害が引き起こすさまざまな事象は、怪獣が引き起こす事件や災害に匹敵する。「東京マグニチュード8.0」が見せた映像は、人間の想像力が実際の出来事を越えたところにある。ウルトラマンシリーズでわれわれが見続けてきた怪獣災害の映像は、まさに人間の想像力の賜物だったはずだ。いまこそ地球出自の怪獣災害というイマジネーションは、時代に有効だと思うのだが。

 それにしてもこの怪獣バトルは心躍る。キングジョーブラックが合体分離を繰りかえし、敵の反撃を避ける、ゼットンがゴモラにとび蹴りを見舞う、ゴモラがベロクロンにスライディングキックを仕掛けるシーンなど、見ていない人に想像できるだろうか? それを見事に映像化した本作は、デジタルと日本独特の着ぐるみ特撮のみごとな融合という他はない。「ウルトラファイト」もいいけれど、あれを見ていて子供心にもやもやしたものがあったでしょ? かつて子供のころに夢見た怪獣たちのガチバトルを、心行くまで堪能したい。
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