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機動刑事ジバン~その1・僕たちの東映ヒーローが見たい!~

 一人語りを許してもらえるなら、筆者は東映特撮ヒーロー作品を愛しているといっていい。円谷巨大特撮ヒーローも好きだが、自分たちが暮らしている空き地や造成地といった場所で戦う等身大ヒーローの作品は、自分たちの世界と地続きである感覚があるからで、その線引きを自分の中にどうやって持ち込むのかという命題は、子供のころからずっと自問自答し続けた命題だったからだ。不思議なことに、作品中で明らかに「今から何年先の未来」とか、「ここではないどこか」とかいわれても、撮影地が小田舎の造成地であれば、錯誤感はどうしようもない。「ウルトラファイト」の不可思議さもこのあたりだと気づけば腑に落ちる。

 現行の東映ヒーロー作品はライダーとスーパー戦隊であるが、「仮面ライダークウガ」によってライダーが復活するまでその位置にいたのは、1982年以降であればメタルヒーローだったのだ。結果論だが、その座はライダーに明け渡したものの、戦隊とのコラボ作品によって「宇宙刑事ギャバン」が復活を遂げ、世代交代を果たした上で、さらにコラボ作品が継続中である。かつて当ブログでも扱った「キュウレンジャーvsスペーススクワッド」でも「世界忍者戦ジライヤ」が実に地味に活躍したり、ニンニンジャーにおいてジライヤが共演したりと、メタルヒーローの復古はもはや“アリ”となったのが、ギャバン復活以降ここ数年の東映ヒーローのトレンドでもある。

 だったら「世界忍者戦ジライヤ」を書け!とおっしゃるのも無理はない。事実筆者もその流れを想定して「忍者キャプター」を書いたのである。またすでに作品内で告知されているように、2019年のスクワッドシリーズでは、レスキューポリスシリーズの登場が決定している。それならレスキューポリスを書きなさいよ! 「特警ウィンスペクター」から3作品書き始めなさいよ!とびびる大木さん並にお叱りを受けること請け合いであるが、ちょいと忘れちゃいませんか? ジライヤとウィンスペクターの間に挟まれて、その橋渡しをしていた作品があることを。そんなわけで、今回は年をまたいで、「機動刑事ジバン」を扱います。えーっと、いろいろ能書き垂れましたが、要はうっかり見ちゃった、てへっ!

<作品概要>
 「機動刑事ジバン」は1989年1月から翌年まで放送された、メタルヒーローシリーズの8作品目にあたる。昭和天皇がこの年の1月7日に崩御。本作の放送開始が1月29日であるので、まさに平成の時を告げる1作だったわけだ。平成最後の年末年始にとりあげるにふさわしい1本である(実にいい加減なものいいであるw)。そも日曜朝9時30分からの放送であった本作は、10話をもってさらに時間枠を移動し、朝8時からの放送となった経緯がある。テレビ朝日系列の番組編成上の問題ではあるが、現在に至るまでニチアサ勢はさらなる早起きを強いられたのである。

 さて「機動刑事ジバン」という単語だけを聞いたら、東映ヒーロー好きならどうしても思い出してしまうヒーローがいる。同社作品である「ロボット刑事」(1973)だ。原作者・石ノ森章太郎が犯罪捜査にいち早くロボットを導入したかどうかは定かではないが、犯罪捜査に協力するロボットとして著名なのはアニメの「エイトマン」(1963)やピープロの「電人ザボーガー」(1974)ってのもある。さらには1982年にスタートした時代のエポック「宇宙刑事ギャバン」をはじめとする宇宙刑事3部作があり、人間だけではない犯罪捜査にヒーローは欠かせない。そんな中、1987年には遠く海を越えたアメリカから「ロボコップ」がやってくる。ポール・バーホーベン監督は、バンダイへの許諾を受けて、ギャバンからのデザイン引用をして上で、ロボコップのデザインが出来上がっている。そしてロボコップの意匠を取り入れて東映ヒーローとして完成した作品が「機動刑事ジバン」ということになる。

 謎の首領ドクター・ギバ率いる犯罪組織バイオロンが活動を開始した。ギバは独自のバイオテクノロジー技術を使い生み出したバイオノイドを利用して、様々な犯罪を起こす。矢面に立つセントラルシティ署の刑事たちの面々。その中に田村直人という男がいた。陽気だがドジで、いつも先輩である片桐洋子刑事に叱責されている彼だが、その正体は警視庁の警視正の階級を持つ機動刑事ジバンである。彼は特殊法規である「対バイオロン法」に従い、バイオロンが関連する特殊事件に挑む。ジバンをサポートするのは天才少女の五十嵐まゆみ。まゆみは直人を「お兄ちゃん」と慕いつつ、自宅に隠された地下のジバン基地からジバンをサポートする。バイオロンの驚異から人々を守り、バイオロン殲滅のために機動刑事ジバンは日々戦うのだ。

<恐怖、バイオロンの怪人たち>
 ジバンの魅力について語る前に、敵であるバイロオロンについて記しておきたい。まだ物語序盤の件で書くので、ドクター・ギバやマッドガルボについては見送るが、まずはバイオテクノロジーを使った犯罪集団であることに注目したい。本作が放送を開始した1989年に以前から「バイオテクノロジー」という言葉は普遍的にある言葉であるが、この言葉が含む「遺伝子」や「遺伝子組み換え作物」、または「DNA」や「クローン技術」といった単語の放つ負のオーラが、バイオロンという組織をして「悪」に染め上げているといっていい。もちろん現在ではこうした技術も先に進み、農業や医療の分野へと裾野を広げて、人間の役に立っているのだが、そこまでの喧伝ができていない1989年当時の日本では、あまりいいイメージがなかったと、今にして思う。もっとも「遺伝子組み換え作物」などには今でも根強く反感イメージが去来するから、当時もいわんをやではあるのだが。

 そんなおぞましいイメージの言葉に象徴されるように、ドクター・ギバの生み出すバイオロイドたちは、実に奇妙で、実に珍妙でいて、人間の恐怖感をあおってくるデザインのものが多い。2話に登場するネコノイドは、爪や部分的にふさふさな毛に猫を象徴させていながら、顔は一つ目で、もう一つの目は腹部にある。猫のヒゲは肩から伸びる柔らかそうな針になっており、位置関係の変更とバランス、そして当たり前のようについている耳でネコと認識できるのが面白い。3話のドロノイドなど、生物でもないモチーフを使って、ただの泥人形ではなく、泥の中から生まれ出てきた印象を強く押し出している。11話のウニロイド、13話のスカンクノイド、15話のオオカミノイドなどといった生物由来のバイオノイドは、その生物的特徴を限界まで突出させたデザインになっており、デザイン画はいい意味で造形する側の苦労を無視しているといっていい(笑)むしろそのデザインに答えた造形スタッフに大賛辞を送りたい。

 かつて「仮面ライダー」に登場する怪人が、一つの動植物をモチーフに、恐怖色を強めるようにデザインされていたことを思えば、より動物側に寄り添ったデザインラインでありながら、さらなる強調と解釈で単一生物怪人は、本作にてさらなる進化を果たしたといっていい。もちろんそれに応える造形技術や素材の進化がそれを支えていることは、現在至る平成ライダーの怪人たちを見ても言えることではある。その一方で先の「ドロノイド」や7話の「カゼノイド」といった直接的に生物的なモチーフを持たない怪人でも、ドロノイドの水晶体やカゼノイドの「風邪のウィルス」や「風(木枯らし)」といったものを造形物として表現していく。もちろんそこにはギバの使うバイオテクノロジーのおぞましさがあり、人型としての怪人へとなりおおせていく不可思議さがあってのことであるから、「機動刑事ジバン」という作品の作品カラーの一翼を担っているのは、まちがいなくバイオノドたちなのである。

 もう1点、ギバの秘書兼行動隊長であるマーシャとカーシャが、バイオロンに華を添えていることに着目したい。演じる女優さんの演技によるところも大きいが、この二人がドクター・ギバおよびバイオロンのおどろおどろしさを薄めている効果を持っていることは、本作をご覧の方なら容易にお分かりいただけるだろう。彼女たちが行動隊長として有能である一方、ギバに宝石にブランド物の衣装やバッグなどをねだるようなおバカっぽさを持ち合わせている点において、バブル経済真っただ中の1989年当時として一目置くべきだろう。優秀だけどおバカw それこそ当時流行したおやじギャル的な部分も含めて、当時の世相にならっているのだ。こうしてマーシャとカーシャのコメディエンヌっぷりに見惚れてしまうことになる。特にマーシャ役の河合亜美さんは、東映作品と縁が深く、1992年の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」では敵幹部ラミィ役で、その筋では有名な方であるからして。

<ヘビィメタルのボディの中に>
 まずはジバンのデザイン面の良さについて触れてみたい。バイオロンと正対をなすシルバーとブルーメタリックが輝くボディに、電飾とギミックが仕込まれている。特に胸から腹部にかけては黒が目立つ配色になっており、ジバンが敵を目の前にして対バイオロン法を読み上げる際に使う電子手帳は腹部からせり出してくる。左胸には警視正のマークが輝く。頭部はバイザーによって比較的シンプルに見える構造だが、バイザーを上げれば細かい装飾が施されているし、バイザーによって大きく赤く光る目やその他の電飾が輝けば、ジバンの電子頭脳が動作したり、ジバンの体に危機を知らせるサインとなる。肩アーマーの先端が下がっていることを考慮すれば、ジバンの行動は先制攻撃よりも堅守防衛に特化した作りだとわかる。これはジバンのデザインの元になっているロボコップを見ても同じだが、ロボコップの戦い方は、自分のボディに相手の銃やライフルの弾を受けておき、相手の位置を正確に測りながら的確に反撃を加えていくものであり、本質的なジバンの戦い方もこれにならっている。つまり敵バイオロンの一斉攻撃を、割って入って両手を左右に大きく広げて受け切るポーズに代表されるスタイルこそ、本来のジバンの戦い方なのだ。右太ももには携行武器マクシミリアンTYPE-3。通常の十手型から銃と剣のモードになる武器であり、剣モードによるジバンエンドによって多くの敵を葬り去っている。

 そのシルエットに突出した部分はなく、スタイリッシュでいてセンスあふれるデザインでまとめられたジバンのデザインは、実にメタルヒーローシリーズの祖である「宇宙刑事ギャバン」にも似ているし、後のレスキューポリスシリーズに登場するヒーローたちにひな形でもある。さらに肩アーマーや頭部の角などを付け加えたら、平成ライダーシリーズの2作目「仮面ライダーアギト」に登場する「G3」にも影響しているだろう。

 もう一つに付け加えるなら、人間体である田村直人のキャラクター設定にも触っておくべきだろう。高身長で細身、さわやかで二枚目で笑顔の似合う好青年。セントラルシティ署の正義感あふれる若き刑事ではあるが、その行動はややドジで抜けている。彼の衣装の多くはかなりおしゃれなスーツ類が最も多いのだが、このあたりのセンスは「あぶない刑事」にならっているという。だがよく見てほしい。田村直人のファッションセンスには2つのポイントがある。1つは体に対して大き目であること。もう一つはサスペンダーの使用である。大き目のダブダブの衣装は、自分の体形にコンプレックスを持つ人が多用するもので、直人が細身の体にコンプレックスを持っていることが伺える。事実セントラルシティ署が毎週土曜日に実施している町内のジュニア野球の練習に参加する直人が、すぐに音を上げて疲れを口にしていることを考えれば、彼の細身の体には体力がないことを情けなく思っているのではないか。もう1つはサスペンダーであり、これもまた自分に自信がないキャラクターには昔からよく使われるアイテムである。イマドキでは「相棒」シリーズの右京さん辺りが使用して、その印象を払しょくすることに一役買っているが、同じ水谷豊がかつて主演した「熱中時代 刑事編」で、水谷演じる主人公・早野が、情けない男を演じる際に、行きつけのバーのママ(演 草笛光子)に勧められた衣装が、ダブダブの衣装とサスペンダーだったのだ。参考にした元ネタは、実はチャップリンだったのだが、本作のEDにおいて、まゆみにカチンコを持たせて直人がチャップリンの恰好をしているのがネタバレになっているという話。いずれにしても人間体である田村直人が昼行燈を演じながら、ジバンとして活躍する様は、「必殺シリーズ」の中村主水を思い出させる。その衣装が古びている特注品だった主水を思えば、直人の衣装はなかなかに恵まれているのだけどねw

さて物語についてだが、頭の16話まではいくつかのエピソードを除けば、だいたい同じ話が繰り返されている。基本的にはバイオロンの犯罪が発覚し、その捜査から直人がバイオロンの手口だと気づく。セントラルシティ署の捜査だけでなくジバンの捜査も並行して描かれ、やがて馬脚を現したバイオノイドとジバンが戦い、バイオノイドをジバンエンドで倒して一件落着だ。
特筆すべきは後にジバンの相棒として大活躍するロボット・ハリーが、5話で早くも登場する。やがて17話にて再登場して仲間になるのだが、その初登場は意外に早い。また11話にてジバン誕生秘話ともいえる過去編が描かれている。後の「特捜ロボ ジャンパーソン」の誕生秘話が17,18話であり、「ロボコップ」のように誕生から活躍まではワンパッケージになっている映画と違い、2クール中盤の盛り上がりに、ロボット自身の出自を持ってきているのと比較すれば、ジバンは1クール終盤でのネタ晴らし。やっぱり背景が見えないロボットって、見ている子供たちが不思議に思うからなのかなあ?と思わないでもない。

怪しく不気味な敵。どこか無縁だと思いながらも、生活に忍び寄るバイオテクノロジーの化け物。それに対峙する機械工学が生み出した光り輝くメタルボディのヒーロー。少女を守りながら協力してバイオテクノロジーで生み出された怪物を倒して平和を守るヒーロー像は、肩の力を抜いて見られる、筆者やあなたがきっと見たかった東映ヒーローの一つとして結実しているといっていい。平成ライダーがヒーローのヒロイズムよりも、ライダーに変身する人間の人間性の多様性によりドラマに深みを与えたり、敵の不気味さも同時に人間性に根ざしていたりして、一筋縄ではいかない、なかなかに厄介なところに首を突っ込んでしまった世界観とは対照的だ。悪を標榜する敵がいて、それを駆逐する正義がいるという安心の世界観は、善悪の二元論をあながち否定できない説得力にあふれている。もう一度言う。筆者やあなたが見たい東映ヒーローは、ここにいる。以下、次回。
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
48歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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