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「ウルトラマンUSA」~特撮を描くアニメ~

 更新が遅れましたが、みなさま明けましておめでとうございます。本年も当ブログをよろしくお願いいたします。ぬる~く更新をお待ちいただければ幸いです(てへ)。

昨年末にアニメ・特撮界隈を大変にぎわせた作品「SSSS.GRIDMAN」。巨大さを演出するのは、徹底したローアングルと迫力ある構図であることが明確に示された。比較対象としてのミニチュアセットを立て込むことなく、絵で表現できるアニメの手法で、巨大特撮で表現されるべき絵作りを別のもので置換していく。特撮ファンとしてもアニメファンとしても、その画面作りそのものが痛快で爽快だった本作は、双方の現場で話題になるべくしてなった作品だと思う。

 円谷プロが監督の打診を受けて本作を世に放ったわけだが、円谷プロはアニメと特撮という二つの創作世界の垣根を越えた挑戦を続けてきた経緯がある。70年代の「恐竜探検隊ボーンフリー」(1976)や「恐竜大戦争アイゼンボーグ」(1977)、「プロレスの星アステカイザー」(1976)などの作品におけるアニメと特撮の垣根を取っ払った作品を手掛けている。だが結果的に見れば、アニメで描かれるシーンと特撮で描かれるシーンをそれぞれで製作し、フィルムの上でつなぎ合わせることで作品ができている。そして1979年には「ウルトラマン」をアニメで製作した「ザ・ウルトラマン」が放映されるにいたる。メカも破壊も巨大も怪獣とヒーローの格闘も、すべてアニメで描いたのだ。この作品は80年代初頭に起こるリバイバルブームの先鞭をつけ、かつてのヒーローである「鉄腕アトム」「鉄人28号」は再度アニメ化され、「仮面ライダー」もスカイライダーが誕生し、ウルトラマンも今度は特撮作品として「ウルトラマン80」が放送される運びとなる。そうした意義を思い起こせば、特撮が垣根を越えてアニメへとなだれ込むタイミングというのは、双方の世界にムーブメントを起こすだけのパワーを秘めているのかもしれない。現に平成仮面ライダーのスピンオフ作品が、舞台で上演されると聞くにおよび、「SSSS.GRIDMAN」にもそうしたパワーがあったのかもと、感慨深い。もちろんこうした企画そのものは数年前から準備されたモノであり、それぞれが連動しているとは考えにくいのであるが、それでも同時多発的に発生している事実は看過しえないだろう。

 さてウルトラシリーズが海外で展開をした「ウルトラマンG」(1990)、「ウルトラマンパワード」(1993)に先鞭をつける形で公開されたアニメ作品「ウルトラマンUSA」もまた、そんなパワーを秘めた作品だったのかもしれない。HDリマスターされたBDの発売からはだいぶ遅れてしまったが、今回は改めて本作を取り上げたい。

<作品概要>
 ハンナ・バーベラといって、イマドキのお若い人にはなじみがないかもしれないが、「チキチキマシン猛レース」や「大魔王シャザーン」といった、かつて70年代にテレビ東京系列で放送された「まんがのくに」などに材を提供した作品群の名前ならピンとくるひとがあるかもしれない。そのハンナ・バーベラと円谷プロが手を組んで製作されたのが本作である。原題を「ULTRAMAN THE ADVENTURE BEGINS」という。その原題が示す通り、本作はあくまでも物語のプロローグであり、TVシリーズへの展開が期待されていたのだが、それはかなわなかった。とはいえパイロット版として製作された本作は1987年に全米で放送される。日本では1988年4月に劇場公開される。同時上映はウルトラマンとウルトラマンAのTVシリーズから1本ずつが選ばれ、その幕間に「ウルトラマンキッズ」による紹介映像が入る形で進行した。BDにはその「~キッズ」のアニメも収録されている。

 物語は宇宙の片隅で起こった異変から始まる。惑星が爆発し、そこから地球へと降り注ぐ隕石群。それに追随する3つの光も地球に飛来する。同じ時、アメリカで空中スタントに挑んでいたアメリカ空軍のエースパイロットチーム「フライング・エンジェルス」は、アクロバット中に巨大な光に包まれて事故に会うものの、パイロットであるチャック、スコット、ベスの3人は傷一つなく生還する。不可思議な事件は3人を現場から遠ざけることになる。しかし彼らが受け取った謎の電報により再び集結した3人は、自分たちの事故の原因を知る。M78星雲の星・ソーキンは怪獣惑星であったが、謎の爆発によって消滅。ソーキンに住んでいた怪獣たちが隕石として放り出されてしまう。ソーキンを管理していたウルトラの一族は、3人の勇者を派遣した。その3人のウルトラマンが事故の時に3人を救い、同化したのだという。謎の老人ウォルター・フリーマンに導かれ、3人はラシュモア山に居を構え、「ウルトラフォース」を名乗り、隕石から現れる怪獣たちに戦いを挑む。

 植物型の怪獣は再生力が強く、腕や触手を落としてもすぐに再生する。ロボットのように見える怪獣は、硬い鋼の体で守られた本体こそが弱点だった。雪山から現れた怪獣は小さく弱々しい怪獣だったが、ウルトラマンたちの手によって救われる。そして最後に現れた怪獣はエネルギーを得ては巨大化し、ウルトラマンたちを圧倒していく。普通なら怪獣1体にウルトラマン一人という構図が順当であるのだが、本作では3人のウルトラマンそれぞれに活躍の場を順番に用意しつつ、最強の大怪獣を相手に3人のウルトラマンで対応する物語の流れは、とても小気味良い。逆三角形の上半身に筋肉が盛り上がって曲線を作る長い下半身のバランスは、着ぐるみではなかなかなしえないシルエットを作り、人間を超越している反面、筋肉信仰の強いアメリカ人のメンタリティに訴える何かがあるのかもと疑ってしまいそうになる。ベスの光線技の段取りの見せ方もいいのだが、本作の見どころは3人のウルトラマンの肉弾戦そのものだろう。怪獣とがっぷり四つで組んでみたり、触手に囚われて苦しんでみたりと、特撮ではどうしてもアップにしづらい場面を、アニメらしくアップと引きの画で構成してしまうのは、アニメの専売特許でもある。力の入った作画に力の入った画の演技が相まって、見ているこちらの拳も握りしめてしまうほどの力の入りようだ。

 さらにもう一つの美点は、本作のメカニックだ。本家ウルトラシリーズにおいても特捜隊のメカはシリーズの魅力の一つであるし、マーチャンダイジングを観点からも重要なアイテムだから、力点が置かれるのも無理はない。かつて「ザ・ウルトラマン」でも大型機スーパーマードック号や2種類の小型機のプレイバリューの高さを知っている身としては楽しみにせざるを得ない。翻って本作を見ると、3人が乗る小型機はカラーリングこそ地味ではあるが、主翼の変形が目を引く。さらには怪獣に対するヒット&アウェイを決めるシーンの引き、寄せ、引きのコンビネーションは、特撮ではなかなか表現しえない画であるから、小型機の攻撃シーンもまた見どころの一つとなっている。また大型機のマザーシップは線が細く、「ウルトラマンA」に登場するタックファルコンを思い出させるが、主翼後部に取り付けられているブースターによって垂直離着陸ができる性能を持っている上、3人のウルトラマンを乗せて大気圏外へ運搬できるほどのパワーを秘めている。また3人の乗る小型機も搭載しているし、終盤では力尽きようとしているウルトラマンたちにエネルギーを補給したりと、なかなかに大活躍を見せる印象深い機体となっている。しかもこうした魅力ある機体が、特撮とは異なるアニメの手法で演出されていることを念頭に置けば、こうしたメカニックが活躍するシーンですら魅力あるものになっている。

<説明してくださ~いwww>
 あのォ~、前述のようにほめるような美点がけっこうあるのはいいのだけど、その反面、子供向けだからなのか、ハンナ・バーベラだからなのか、抜けてるポイントはかなり多い。そもそも後にウルトラマンになる3人の事故が偶発的な事故なのか、予定されていたことなのか、そのあたりがものすごーく曖昧なのだ。3人の上官であるクーパー将軍が、なんとなく知っていそうな感じもほのめかされているのだが、だとしたら後半に登場する怪獣攻撃隊の将軍に事の詳細が知らされていないのも気になる。だいたいにして「ウルトラフォース」の装備がいつどのようにして設立されていたのかもよくわからない上、ウォルター・フリーマンなる謎の老人が、なぜチャックらをウルトラマンと断定したのか、どのようにして「ウルトラフォース」を立ち上げたのかもまったく説明がなされていない。話の進行を見る限り、考えた奴が負けなのだと思い込んで画面に集中しようとすればするほど、どうしても物語のバックボーンが気になってくるのに、見ていてもそれを解消する手掛かりもない。その意味ではまったくの説明不足であるのだが、ハンナ・バーベラだもんなァと思えば納得するしかない。

 ウルトラマンの一人、明らかに若いスコットは、初戦を勝利で飾った後で街中で群衆に取り囲まれ、うっかり自分の正体を話してしまいそうになる。映画「ファンタスティック4」に登場するヒューマン・トーチっぽい自己顕示欲もあるし、そこで自分の功績を非難した女性科学者スーザンにカマかけてみたりと、ウルトラマンとしての秘密保持と自己顕示欲にはさまれている若き男性像を見せているのだが、見ているこっちとしてはなんだかモヤっとしてしまうあたりが、本当にすっきりしない。アメコミ・ヒーローの中には「アイアンマン」みたいに自身の出自をはっきり知らせるタイプもいれば、群衆の前に素顔をさらしながらもクラーク・ケントのように人目を避けるタイプもいる。このあたりのメンタリティは日米で明らかに異なるのであるから、このつじつまの合わなさは脚本上の日米スタッフの衝突と無理解が含まれているように思えるのだが、うがちすぎだろうか。

 「シン・ゴジラ」以降いよいよ嫌いになってきた阻害要因としては、地球外生物とのコンタクトを目指す科学者集団が登場する。このうちの女性科学者スーザンは前述の若きウルトラマン・スコットと恋仲に発展していくのだが、その過程で怪獣との対話を試みることを約束させられてしまう。その一方で年長のチャックは、これをこともなげに否定し、怪獣とは相いれず、戦うしかないとうそぶくくせに、雪山から現れた小怪獣ズーンは、危険なしと読み取って宇宙へと逃がしてやる。このあたりの心変わりがあまりにもあざやかなので、いよいよもって説明がほしいと思ってしまう。なお阻害要因である研究員たちは、怪獣とのコンタクトや保護を名目としながら、怪獣にストレスを与えるような実験施設まであり、これまた研究なのかどうか疑ってしまいたくなる。このガバガバっぷり、さすがに今の目で見ると、なかなかにキツい。長年きちんと見たいと思っていた筆者ですらドン引くレベルだ。どうしたものかw

<そういやあね、>
 この作品の頭にスタッフがクレジットされているのだが、その中に「ジェフ・シーガル」って名前があるのですよ。この名前、どれだけの人が覚えているかわかりませんが、あらためて説明しましょうね。
 「ジェフ・シーガル」は「スターウォーズV 帝国の逆襲」の初期脚本(あるいはプロットだったか)に名を連ねた人物という触れ込みで、「サイボーグ009 超銀河伝説」という東映作品の製作に参加。ところがよくよく調べてみると、件の「帝国の逆襲」のスタッフロールには名前がなく、結果として「超銀河伝説」を駄作たらしめた主犯のように言われているお方なのだ。実際には本作の設定部分にいくつか指摘をして変更を促した程度で、主犯と間では言えないのだが。それでもこのお方がハンナ・バーベラ側のスタッフとして、本作に名前を連ねているのだ。かつての所業を知っている身としては、ちょっとギョッとする話で、この方と本作の関わり方がものすごーく気になるところだ。いやもちろん、本作がこうなったのはジェフのせいだなどといい立てるつもりもないのだが、本作に名を連ねる「ジェフ・シーガル」なる人物が、あの「ジェフ・シーガル」なのかもはっきりしない。もやっとするわぁw

 正直申し上げて、こんなにツッコミどころ満載の作品だなどと思っていなかったので、景気よく年明け一発目のネタに選んでしまったのだが、真摯に作品を見ると、きちんと状況を見極めるウルトラマン、ウルトラマン側に意思を乗っ取られていないタイプのウルトラマンと人間の関係性、科学者スーザンの去就の帰結として、やがてウルトラフォースへの招聘の道が開けたことなど、真面目に書こうと思えばなんぼでも書きようがある作品でもあったので、そこはそれ、お笑い側に振り切ってしまったのは、筆者のせいです、ごめんなさい。真面目な考察は別の識者にゆずるとして、筆者はここで筆をおく。先の「SSSS.GRIDMAN」との比較として、巨大さや緊張感漂う怪獣と巨大ヒーローのバトルの画作りについて、参考のすべき点もあったろうし、圧巻のローアングルと引きと寄せの見せ方の巧みさは、「SSSS.GRIDMAN」へとつながっている感じも確かにある作品なのだ。そうしたテクニカルな話もあっちらへんに放り投げて、これにて年始のあいさつとさせていただきます。どうかみなさま、本年も当ブログをよろしくお願いいたします。
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
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アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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