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機動刑事ジバン~その2・2つの母性の物語~

承前
 以前の「その1」で、「いくつかのエピソードを除けば、だいたい同じ話が繰り返されている。」と書いてはみたものの、そんなことは百も承知で観ている特撮ファンとしては、それでもワンパターンに陥らない脚本上の努力が、初期1クール+αには垣間見えることを指摘しておくべきだろう。
 バイオロンの作戦自体は、劇中を見る限り同時多発的ではなく、単発の犯行が繰り返されていると見るべきだろう。その作戦でイニシアティブをとるのは個々のバイオノイドなわけだが、このバイオノイドがおおよそ人間に化ける能力をすべからく持っており、人間社会の中で準備を行い、人間社会に紛れるように暮らしている。ギバの命令一下で作戦が実行に移される段階で、バイオノイドはその正体を現して行動を始めるが、そこをセントラルシティ署の面々やジバンが発見し、事件が明るみに出るわけだ。2話ではバイオノイドの変身能力をフル活用した犯罪だったし、3話でおばけ野菜を作っていたドロノイド、恐竜の卵のありかをずっと探し続けていた6話のハゲタカノイド、土地の買い占めを行っていたのは8話のモグラノイドで、彼らは巧みに社会に紛れ込んでいたのだ。 一方で要人誘拐を担当した5話のタコノイドといい、7話でギバウイルスをまき散らしたのは、ある少女が大事にしていた人形が人間化したものだった。そうかと思えば、他人の研究を横取りしたり邪魔したりといった、子供じみた作戦もギバの犯行には多く、10話や16話などがこれにあたる。こうしたそれぞれの作戦を担うバイオロンのバイオノイドであるが、作戦とバイオノイドの素体となるモチーフの動植物にはこれといった関連性はないあたりも、バイオロンの作戦の特徴といえるだろう。

<衝撃の展開!>
 こうしてバイオロンの犯罪を処理している分には、「機動刑事ジバン」という物語はこれまでにも多くの特撮ヒーロー作品がそうであるように、平坦な物語だったのである。ところが17,18話でいきなり物語は急展開することになる。

 その前に11話にて語られたジバン誕生秘話を振り返っておこう。11話「少女と戦士の心の誓い」にて、ジバンの秘密を両親に隠している心苦しさに耐えきれなくなったまゆみを諭すため、直人がジバンになったいきさつを過去の資料からひも解く物語となっている。ギバによって次々と引き起こされる謎の事件、金塊が奪われ、研究施設が襲われ、要人が暗殺される。その背後にドクター・ギバとバイオロンの存在を嗅ぎ取ったまゆみの祖父である五十嵐博士は、警視庁の柳田と共に「ジバン計画」を進めていた。だが「ジバン計画」を嗅ぎ付けたギバはウニノイドを送り出し、まゆみの目の前で五十嵐博士の暗殺を謀る。降りしきる雨の中でウニノイドに襲われるまゆみと五十嵐博士を見つけ助けに入ったのは、セントラルシティ署の若き刑事、田村直人であった。だが必死の直人がウニノイドを撃退してみせたのもつかの間、直人は落命してしまう。その亡骸を見て五十嵐博士は決断する。進行中のジバン計画の中核たる機動刑事ジバンの素体に、勇気ある青年・田村直人を使うことを。瀕死の五十嵐博士は柳田とまゆみのサポートによって直人を素体としてジバンを作り上げる。だが予定されていた起動プロセスに対して起動しないジバン。五十嵐博士の余命いくばくもない。悲しみに暮れるまゆみの頬を伝う一筋の涙が動かぬジバンに触れた時、ついに機動刑事ジバンは起動する。在りし日の祖父との思い出を胸に、まゆみはジバンの秘密を守ることをあらためて誓うのであった。

 ここで不思議なのは、ジバンが起動した日から本作の第1話までの間は、ジバンもバイオロンも何をしていたのだろうか?ということだ。どうみても1話がジバン対バイオロンの初戦であり、1話以前に二者が遭遇していた様子はない。だがこの物語上の空白の時間に、バイオロンとジバンの双方が1話で活動を開始するまでに、何があったかを想像するのは、物語心中派の特撮ファンにとっては、背筋がぞくぞくするほどの快感だろう。起動したばかりのジバンは十全に機能を活用できる状態にはなく、田村直人の姿に戻ることもなくひたすら訓練に励んでいただろう。実戦投入されるその日まで訓練を繰り返したことだろう、一方のバイオロンはといえば、複数体のバイオノイドが実戦投入され、犯罪を実行してきた。だが五十嵐博士を急襲したのはウニノイドだ。ウニといえば高校の理科の時間を思い出してほしい。カエルとならび細胞分裂の学習に一役買う生物であり、生物化学の実験には欠かせない生物種でもある。つまりこのウニノイドは、ギバが最初に誕生させたバイオノイド1号だった可能性がある。とすればこのウニノイドはバイオロン活動初期にギバがもっとも手塩にかけて育てたバイオノイドかもしれず、1話以降に登場したバイオノイドのひな形である可能性もある。つまり時間空白でバイオロンはバイオノイド製造の研究をさらに進めていたかもしれないのだ。19話冒頭に登場する手のひらサイズの小瓶に入った「怪物の元」が登場し、これの争奪戦を繰り広げる話が19話の骨子であるが、この「怪物の元」の製造研究こそが、1話までの時間空白の正体かもしれない。

 そして迎える17話。物語冒頭はかなり呑気な日常を見せる五十嵐家の人々と直人の交流が描かれるのであるが、いつのまにか買い物から帰宅していたまゆみの母親は、アゲハノイドに入れ替わっており、5話以来再登場のハリーによって直人に異変が告げられる。ドクター・ギバはかつての五十嵐博士暗殺の経緯からまゆみが怪しいとアタリをつけ、まゆみを拉致してジバンの秘密を聞き出すことを画策。だがギバは同時に別の研究開発に没頭していた。アゲハノイドによって妻をさらわれた五十嵐は困惑する。そこに登場したのは警視庁の柳田で、彼は五十嵐の父である五十嵐博士が、対バイオロンにと研究開発を進めていたジバン計画のあらましを説明するが、直人の正体とまゆみの持つジバンの秘密については説明しなかった。そんなとき、両親に秘密にしていたことで自分を責めていたまゆみの心の隙をついて、アゲハノイドはまゆみの拉致に成功する。それを追って3大メカとともに出動するジバン。まゆみは母を助けるために、自分が持っている秘密を理由に母の解放を懇願するが、マーシャとカーシャはギバの作戦通り二人をそのままアジトへと連れていこうとする。だがそこに立ちはだかったのはジバンだ。だがそんなジバンをこれまでにない強力な攻撃が襲う。それはギバが誕生させたジバンキラー・マッドガルボであった(ここまで17話)。激しい、実に激しい激戦の中、マッドガルボの攻撃によって体の各部が破損し、満足に動けないまでに負傷したジバンであるが、新兵器ダイタロスの一撃でマッドガルボを一度は退けることに成功する。だがまゆみはバイオロンに連れ去られたままだ。ハリーも手伝ってまゆみの捜索に必死になるジバンと三大メカ。同じ時、まゆみはヒトデノイドによって記憶を除かれたうえで殺されそうになっていた。それを止めたのはハリーである。マーシャとカーシャに破壊されてしまうハリーは最後の連絡でまゆみの居所を報告。ジバンたちはバイオロンのアジトへと急行する。ダイタロスによる空中攻撃によってアゲハノイドを下したジバンだったが、ここでギバの悪魔の作戦が牙をむく。なんとまゆみの爆弾をセットして、ジバンと再会を喜び合うタイミングで爆破し、ジバン抹殺を計ろうとする。だがその作戦自体を知るまゆみは、マッドガルボをはじめとするバイオロンたちが撤退したにもかかわらず、ジバンに近づこうとしない。あまつさえまゆみはジバンの伸ばした手を避けて、足を滑らせて滝壺へと転落して行方不明になってしまう。事情を知らない直人は、まゆみの不可思議な行動に困惑しながらも、ただひたすらにまゆみの行方を追う。秘密基地に戻った直人に襲い掛かったのはバイオロンから放たれたミサイル攻撃であり、五十嵐家は木端微塵に破壊されるも、地下のジバン基地は事なきを得る(18話)。

 続く19話の冒頭で、直人はまゆみの心情を思いやるも、爆弾の事情を知らないために、まゆみの真実を知ることはできない。一方柳田はハリーを助け出し、サポート端末であったボーイと合体させ、ハリーボーイとして再誕させる。ジバンの秘密基地はハリーボーイの登場によってまゆみの抜けた穴を埋めることができたが、直人の心は埋まらない。これまで色の濃いサングラスをして表情を隠していた柳田が、普通に眼鏡をかけてハリーボーイの誕生を無理にぎこちなく喜んでいるあたり、警察もまゆみの行方を追っているとはいえ、あまりに直人に対して理不尽にすら映る。この柳田という人物が、何をか謎を握っていることが、そこはかとなくわかるシーンなのだが、演じる石濱朗氏が本質的にやわらかな印象を与えるあたたかな微笑みをもつ男性俳優であるため、サングラスがどうにも無理しているようにみえる。そのあたりの謎については次回にゆずるが、この柳田という人物が19話を始め直人と何度となく対立しながら、厳しく直人に接する姿は、本作にかけている父性の部分でもある。この後の物語の展開においても要注目の人物だ。

<バイオロンの母性、その正体は?>
17話終盤に初登場し、続く18話でジバンを圧倒したマッドガルボ。デザインを担当した雨宮慶太氏のインタビューによれば、もっと正統派の悪役にするつもりだったらしく、声も女性の声を当てるとは予想していなかったという。だが翻ってマッドガルボを見れば、ジバンキラーとして誕生した経緯から、全体のシルエットがジバンに似ているから、突起物の少ないデザインになっているのだが、胸部の変形した乳房を思わせる突起物といい、腰がくびれている上に、臀部および太ももに張りがあり、全体的なシルエットはやはり女性を想起させる。名前にしたところで、往年のハリウッド女優であるグレタ・ガルボからとられているのは明白である。サイレント映画からトーキー映画時代初期に女優として活躍し、もはや神格化されてもいるグレタ・ガルボは、第二次世界大戦前にすでに引退してしまった女優でもある。そこから名前を取ったキャラクターが、母性を与えられている。OVA「ジャイアントロボ THE ANIMATION」に登場する国際警察機構の使用する飛行母船の名前にも「グレタ・ガルボ」の名前が付けられているが、こちらにも「母」船として母性が顔をのぞかせる。つまりハリウッド女優の祖としての母性のようなイメージが付与されて、こうした二次創作に名前が使用されていることがわかる。翻って考えてみれば、マッドガルボこそはバイオロン、ひいては「機動刑事ジバン」という作品の母性を司っていると考えてみるが、どうだろうか?

 筆者がそう判断するには理由がある。この「機動刑事ジバン」という作品には、明確な母性の部分が根本的にかけているのだ。たとえば直人の近辺の人物を見ても、まゆみの母以外に母性と呼べる人物が存在しないが、18話で早々に退場してしまう。セントラルシティ署の面々にしても洋子先輩と直人たちの上官としての女性管理職以外に女性の登場人物がいない。しかも母性と呼べる懐の深さを見せる人物もいないのだ。一方バイオロンにしたところでひどい有様で、マーシャとカーシャはあまりにも母性としては出来が悪い。となると、ジバンをサポートするまゆみが作品の母性を司っている可能性があり、彼女が18話で記憶喪失になり直人が彼女を探しているという物語の縦軸は、失われた母性を取り戻そうとしながら、母親のくびきから放たれた少年が青年としての成長を果たして、最後に母性を司るまゆみを取り戻す。しかも母性そのものではなく、最終的に残された直人とまゆみの関係性によって直人=ジバンの成長と自立が完結する仕組みの物語ととらえることができる。

 一方でマッドガルボを得たバイオロン側は、マッドガルボを強力な母性とその能力によってギバとともにバイオロンを牽引していく。だがこれはギバの子供がえりを誘導し、マーシャとカーシャにしてもマッドガルボの指揮下にいるとすれば、マッドガルボを母とする母系家族であると見ることができる。とすればマッドガルボの母性によって堅固な疑似家族となったバイオロンは、マッドガルボから親離れすることができない、成長のない集団となってしまう。事実、後に登場するクイーンコスモなどのカンフル剤がない限り、ジバンと渡り合えない状況が生まれてしまえば、一度の敗北にもめげずに立ち上がる成長過程の青年であるジバンは、パーフェクトジバンとなってふたたび疑似家族の驚異となるしかないのである。物語に帰趨はさらなる次回にゆずるが、このように「機動刑事ジバン」という物語は、母性を求めながらもその過程で成長が約束された青年と、母性のくびきによって成長を否定されてしまう疑似家族の対立の物語だと解釈できる。もちろん物語の帰趨がどうなるかは自明の理なのだ。

 さて思い返せば解説上はまだ19話。どうしよう、このままだとこの記事、全4回になる可能性が浮上してきた。ジバンの物語上の母性の行方は、さらなる先の展開によっておそらく説自体が補足されていくだろうことが予測されるが、それが本作の最大の魅力では断じてない。バイオロンはさらに愉快な側面を見せてくるし、物語はバラエティに富み、もっとバトルやアクションに魅力があるし、さらなるジバンのパワーアップやそれにまつわる物語、そしてまゆみと直人の物語としてさらなる展開を見せる。まだまだ面白くなる「機動刑事ジバン」である。以下、次回!
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