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ルパン三世・グッバイ・パートナー~アメリカとAIと電脳歌姫~

 かつて劇場版「ルパン三世 ルパンVS複製人間」において、ルパンの良き相棒・次元大介がのうたまうに、

「長ぇこと、モンローとハンフリー・ボガードのファンだったが、今日かぎりだ!」

 マモーことハワード・ロックウッドの行方を捜すアメリカ大統領補佐官の尋問に堪えかねて、次元が言い放った言葉なのだが、本作が公開された1978年のころでも、すでにアメリカという国はフィクションの世界では当たり前に悪役だったなぁと思う。78年といえば自民党福田政権の下、日中平和友好条約の締結を目前に控え、日本はアメリカの軍事的庇護の下で、すくすくと経済成長をしていたころだ。1991年のTV-SP「ナポレオンの辞書を奪え」では、湾岸戦争後の経済的紛糾を治めるために、ルパン帝国のお宝を狙うG7に参加する世界の首脳陣が送り出す多国籍軍を相手に大立ち回りを演じるルパンを描いたが、その頭目がアメリア大統領だった。日本人はアメリカという国について、あまり良い感触を持っていないようで、少なくても「ルパン三世」というフィクション作品の世界では、悪役を演じる場合が多い。もっとも当のアメリカ人にしたところで、現実の国のトップがロクでもないことを知っているようで、アメリカのアニオタさんたちも一定の理解を示してくれているようだ。

 そんな中での今回のルパンSPは、ルパンの良き相棒・次元大介が、ついにというかまたもルパンの敵に回るというお話。多くルパンファンは、またかよ、あるいはそれがどうしたという感想を口にしたとかしないとか。もうね、ルパンが死ぬとか銭形が死ぬとか、そういう煽り文句は聞き飽きてるんだよねぇ、とかブツクサいいながらも、見ちゃうんだから、ルパンファンは律儀だよねえwww

<見たらわかる、アカンやつやんw>
 ルパン三世TV-SPは、第1作「バイバイ・リバティ・危機一髪!」を除いて、日本テレビの映画枠「金曜ロードショー」の中で放送されてきた。2作目「ヘミングウェイ・ペーパーの謎」以降毎年夏の風物詩となったこの作品群は、放送季節の移動もありながらも、2013年で24作を数え、その後2016年の「イタリアン・ゲーム」と2019年の本作と、間が空いてしまった。その間には「峰不二子という女」やTVシリーズ第4作や劇場版「次元大介の墓標」や「血煙の石川五右エ門」が公開されていたから、TV-SPの間にも作品は送り出されていたわけだ。ましてやガソリンやカードローンなどのCMキャラクターにも起用されて、結果的にルパンを見ない年なんてほとんどなかったりする。これほど長きにわたり好き勝手に使いまわされたキャラクターもそういないだろう。しかも使いつぶされている感じがしないのも、起用する側にとってもうれしい誤算だったはずだ。

 さて今回のルパンさんは、例によって派手な盗みを働いている裏で、なぜかルパンを追っていた銭形が逮捕されてしまうところから始まる。メディアによれば、ルパンがこれまで多くの盗みを成功させてきたのはICPOの銭形による協力があってのことであり、その協力者として銭形はアメリカ警察に逮捕されてしまったのである。それゆえに楽勝で盗めてしまったことで、完全に腑抜けになっていたルパンの前に、コンバット・マグナムではない銃を突きつける次元大介。メディアの挑発に乗って巨大な人造ダイヤモンド「タイムクリスタル」の盗みを約束するルパンは、五右エ門と共に海底深くの施設へと潜っていく。五右エ門の活躍と自身の奇策によって、なんなくタイムクリスタルを盗み出したルパンであったが、別行動をしていた次元と合流するやいなや、五右エ門は睡眠ガスで眠らされ、ルパンは次元に射殺されてしまう。次元はルパンたちを裏切ったのか? 次元はタイムクリスタルを、次期大統領候補と目されているロイ・フォレストの元へと運び込む。ロイが拉致してきたショパン・コンクールを目指す少女アリサを人質にとられ、次元はロイの下で働かされていたのだ。タイムクリスタルは、現大統領の庇護の下で製造した量子コンピューターを起動させるための鍵だという。だがタイムクリスタルを組み込んだ量子コンピューターは起動しない。タイムクリスタルはルパンにニセモノとすり替えられたのである。ロイの命令で次元は再度ルパンを狙おうとするが、ルパンは留置されていた銭形を味方につけて行動を開始していた。ロイの企みは、量子コンピューターを完成させて世界中のコンピューターをハッキングし、その手中に収めて世界を支配することだ。ルパンはロイの企みを挫けるか? そしてルパンと次元の対決の行方は?

なーんて書いてみたりしましたが、今回もいつものTV-SP通りに、迫力に欠けるのよねえ。どうしてこうコンピューターを使うやつって、小物が多いのかしら? そも完成させた量子コンピューターが他者へのハッキングが可能であるということは、逆もまたあり得るという点に思いを致さない時点で、頭が悪い。現実の世界を照らしてみても、ハッキングが犯罪を構成するゆえに法律が整備されている1点を見ても、ハッキングした内容が犯罪者になるに見合うものかどうかを比較しての判断が、ハッキングの可能性を減じている効果が狙えるからこそ、ハッキングはされる可能性があると考えるのが道理である。ただしこの量子コンピューターが稼働し、オペレーション・インターフェイスがエミルカという名の女性型のAIになるのだが、これが終盤に歌い始めた時点で、どうみても初音ミクでした。まあ方向的には「マクロスプラス」のシャロン・アップルの方が近いかもだけど。しかも歌によって「人間も捨てたもんでなし」と改心してしまう件の、なんとあっけないことか。ただしこの量子コンピューターがフル活動し始め、世界の困窮エリアに物資を届けた形跡なんて後付のエピソードだけは心地よい。人間よりもAIのほうが人間を心配してくれているなんて、せちがらいにも程があるけど、ちょっとだけホッとする。

そして次元大介のエピソードとしてはたはり薄味であり、序盤からルパンに渡しているジッポ・ライターの時点で、次元はルパンに自分を止めてみろといっているようなモノだ。次元は自分の行動の不可解さを、あからさまにルパンに示しているし、ルパンは全力でそれを受け流しているのが序盤の海辺でのシーンなわけで、次元の異変を察知はしても、それをおくびにも出す素振りがないルパンこそ一枚上手といえるだろう。さて今回次元のネックになっているのが人質にされている少女なわけだが、この少女の出自が次元の動きを掣肘できることを視聴者が知るタイミングがやや遅くて、もやっとする部分がある。過去の次元のシーンが散発的に登場するが、この挿入タイミングがあまり効果的ではない。これは構成上のミスといってもいいレベル。これから同じ川越淳監督の「新ゲッターロボ」について書こうというのに、なんだか心配になってきたw

<記号論からの脱却>
ただし、筆者としては及第点だなと思う点が1つだけある。「~Part5」の時にもちょっとだけ触れたルパン以外のキャラクターの記号論というやつだ。
劇場版1作目である「ルパンVS複製人間」では、ルパンはマモーという怪人と対峙する。その対決やポリシーといったものがルパンとマモーとの対決で比較されることによって、これまであらわにならなかったルパンの本性をむき出しにする。ルパンのキャラクターが際立つが故に、次元や五右エ門といった脇のキャラクターが目立たなくなり、記号論となる。だがその記号たちはそれぞれらしいセリフを聞かせることで、忘れえぬシーンを形成していく。第1作目はあくまで記号論の考え方を立証する作品ではあっても、次元も五右エ門もキャラ立ちはしていた。

2作目である「カリオストロの城」ではやはりルパンはカリオストロ伯爵と対峙し、クラリスと向き合うことになる。作品の出来は最上の出来ではあっても、次元も五右エ門も極端に活躍の場が少なく、それをメタ的に表現しているシーンすらある。記号論をさらに推し進めるように記号に徹した次元や五右エ門、不二子や銭形に至るまで、記号としての役割を存分に果たしながら、記号の域を超えないまま台詞を発している。だがそれすらも魅力的に見えるからこそ、「カリオストロの城」という作品は名作たりえていると思うのだ。

その一方で本作はどうだろうか? 「Part5」でもその傾向はあったが、本作においても次元や五右エ門の記号論とは相反する立場をとっているように思える。特に次元をフューチャーしたことで五右エ門の活躍が多い本作では、彼ら2人が記号論的ではないことは明らかだし、それぞれがそれぞれの動機で動いているのは台詞だけではなく絵でもわかるようになっている。だがその分だけルパンと敵対する人物の描写が薄い。そしてその分だけ物語は膨らまなくなっている。それはもちろん尺の中で見せるべき次元の過去のエピソードがあるが故に、時間を割かれているからだ。「バイバイ・リバティ」でも「ヘミングウェイ・ペーパー」でもルパンたち3人が常に一緒にいないことは、TV-SPではお約束になっているから、互いの知らない時間の間にそれぞれの事情が発生していることは、誰にでも想像できる。そうした3人の書き込み故にルパンの敵対勢力が薄味になるのは致し方ない。これ以外のTV-SPでも、これが繰り返されることになる。ルパンたちを記号論を脱して描こうとするが故に、悪党の書き込みが小物になり、それだけに最後の盛り上がりに欠けるというのが、TV-SPではよくあることだった。今作もこれにならうものであり、その意味で次元にも五右エ門にも等しくスポットが当たっていたのはいいことだった。まあ例によってルパンが対峙するべき悪人の存在が希薄だっただけに、極薄の薄味にはなってしまったが。それにしても、ルパンにはこの2パターンしかないのだろうか?

<僕にもルパンの脚本は書ける?>
 ここからは完全に私信になるのだが、前回「ルパン三世 Part5」の記事にコメントをいただき、わたくし波のまにまに☆がもし次のTV-SPを考えるとしたらどんな話になるのか?というあたりを書いてみたい。
 以前のTV-SPの記事でも書いたと思うのだが、ルパンが盗むお宝がどうにも歴史上の人物に寄りすぎていて、SFやオカルトっぽい話がないと思うのだ。でも「ルパン三世」っていう物語自体は、「ルパンVS複製人間」のクローンにしても「バビロンの黄金伝説」の宇宙の黄金にしても「DEAD or ALIVE」のナノ金属にしても、オカルトやSFの領分に踏み込んでくると、ちょいと面白いのだ。なのでこちら方面へと足を向かせたい気持ちがある。それでこんな話を思いついてみた。

 ある日、次元と共に自身のお宝コレクションを整理していたルパンは、その中にあった一つの古い手帳に目をつける。その手帳は、家族も顧みず、祖父の盗品を売って金にして、冒険に日々を費やした父親、つまり「二世」が残したものだった。その中に記されていたリストには、考古学的、あるいは歴史学や博物学的に意義のある物品が記されていた。お宝としてはあまり意味のないものばかりだったが、その日を境にルパンはこれらのものを博物館から盗み出すことに没頭しはじめる。だがそれらの展示物の一部が偽物であることが発覚すると、それらのホンモノを保管している大富豪の好事家や大国の考古学セクションにアタックするルパン。警戒厳重な上、世界の崩壊を望む謎のカルト集団まで登場して争奪戦を繰り広げることになる。アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、日本、オーストラリア、メキシコなど、あらゆる場所で技術を駆使して盗みを働くルパンだが、次元も五右エ門も盗む理由も知らせずに動くルパンから、少しずつ距離を置き始める。だが孤独に盗みを続けるルパンに助力する一人の考古学者がいた。彼こそは「レイライン」の提唱者アルフレッド・ワトキンスの血縁者であり、遺跡とレイラインが失ってしまった本来の力を発揮するために必要なキーアイテムが、ルパンの父親が残した手帳に残された物品であったことを知っていた。彼はレイラインの実在を世間に認めさせたい一心でルパンに協力しているという。盗んで集めたキーアイテムを、元の場所に返すルパンと考古学者。最後の一つである、イギリスMI5の保管庫から「ストーンヘンジのキーストーン」を盗み出そうとしたとき、考古学者がルパンを裏切ってキーストーンをもって逃走する。しかも例のカルト集団によって保護されるように。考古学者の正体、彼こそはカルト集団の長にして資金元でもあり、レイラインの力を開放して世界崩壊を成し遂げようとしていたのだ。来る満月の夜、ストーンヘンジにキーストーンを戻せば、すべての遺跡のキーアイテムが揃うことになる。そこでレイラインの力は解放されるはず。だがそこに立ちはだかるのは、ルパン三世とその一党。激しいキーストーンの争奪戦。レイラインの解放されし力の正体とは何か?

 あ、これ面白くなさそうwww
 しかもものすごく過去作のよくないところマネてるし。それにしても筆者は漫画「スプリガン」が好きなんだなって、思いを改めました。私にルパンの脚本なんか書けません。あしからず。
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コメント

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おお、スケールが大きい!

いやいや、十分面白そうじゃないですか!

ルパン二世のネタつながりで木戸千恵子(「ナポレオンの辞書を奪え」)の再登場とかあったら・・とかつい妄想してしまいましたよ。
て、いうかTV-SPで過去作の後日談とかやらないのはなんででしょう?「天使の策略」は当初「燃えよ斬鉄剣」の続編として企画されたという話は聞いたことがありますが。

ところで、今年2019年はTV-SP第一作「バイバイ・リバティ・危機一髪!」が放送されてからちょうど30年。

(「バイバイ・リバティ」・・私が初めて見たのは山田康雄さんの追悼放送のときでしたっけ。そのとき一度きりだったけど、今でも細部をおぼえてます。出崎監督の作品だから独特のロマンティックな香りを放っていて・・自由の女神をグランドキャニオンまで運んだり、五ェ門の登場はアラスカを走る列車の中だったり、人類滅亡の危機にあの次元が冷や汗をかきまくってたりね。ああ、後一作出崎監督のルパンを見たかったナア。キャラデザを杉野昭夫さんで。)

話が横道にそれましたが、波のまにまにさんにちょっとお尋ねしたいことがあります。この30年間に作られたTV-SPは26本。それら全てにランキングを付けてみようとかって思いませんか?いや、もちろん上位は初期の作品と「ファーストコンタクト」になってしまうと思いますが。
新たに記事を起こすのが厄介なら、このコメント欄でも構わないのですが・・・ご一考願えますでしょうか?(^〇^)

ありがとうございますと、ネタばらし

いんふぉめーしょんさま

 コメントありがとうございます。ちなみにレイラインの力の正体は、

  地球規模でちょとだけ気温が下がりますw

 つまりですね、地球全体の平均気温が下がることで極地の氷が増え、海水面が下がり、温暖化の影響を減らし、海面上昇によって危機に瀕している地域の陸地面積が増える、と。考古学者くんが地球崩壊とかって言ってるけど、実はたいした力でもなんでもなくって、太古の人々はこいつを使って自分たちの文明を生きながらえさせるためにリセットしてたって話で。次元や五右エ門がルパンから離れていったのは、真実を知らずに地球崩壊を信じちゃったせいであり、そんなことをルパンが望んでいないことを悟って、最後のドンパチまでにルパンの元に駆けつけてくる、っといったお話でしたw

 ね、つまんないオチでしょwww

 さてリクエストがありましたルパンSPのランキングですけど、そも順位をつけるのが苦手な上に、客観的な点数による評価もやりづらそう。しかもところどころ見た記憶が飛んでいる回もあって、それを思い出すために時間をかけて見直しする必要もありそうで、どうか年末までお待ちくださいw ルパンSPならランキングつけてもあちこちから文句言われなさそうな気がしてて、いつかやってみたなとは思っていたんですが、順位は作ったら作ったで順位だけが独り歩きしそうで、それも怖いんですけどね。パート4も劇場版もあるので、気長にお待ちいただければ幸いです。でも必ずやりますのでw

ついでに

ご質問があった、「続編を作らない事情」ですが、監督スタッフがそこまで継続的ではないからでしょうね。「ナポレオンの辞書」以降、故意に様々な監督に声をかけて作品ごとに違うテイストを出しているSPなので、そも成り立ちが単品であるためだと思います。他の監督たちも別の監督作品を承る作品を作るのは、癪に障るのかめんどうくさいのか。

 だからこそパート5での再登場は、にやけてしまいますよね。

面白そうじゃ、あ~りませんか!!

ご無沙汰してます!!

念願の(?)スマホを入手したので、早速カキコ。

まにまにさん案のストーリー、いいんじゃないですか!?

骨子がしっかりしてるし、ルパンらしいオチもあるから、後は監督、脚本家がどう魅せてくれるかですよ。

いんふぉめーしょんさん、そう思いませんか?

だめですってw

ちんたらさま
 コメントありがとうございます。
 持ち上げてもダメですってw
 こういう話の場合、キャラクターよりも背景を書くのが大変で、場面や場所が変わるごとに背景の設定を書きこまなくてはいけないので、採算が合わないんですよ。だからルパンの移動が派手なのって、「マモー」の時だけでしょう? あれ実はそういう意味でもお金かかっているって、聞いたことがあります。なので、予算計上の時にダメだしされて、企画そのものが通らないって話ですよ。しかもオチが大したことないもんwww ぜっーたいにファンから怒られる奴やないですかw もしこの話を本気で考えるなら、コメント欄でオチばらしたりしませんしねwww
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
48歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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