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宇宙戦艦ヤマト2~その3・「さらば」の愛を肯定する試み~


<ヤマト死闘、そして戦いの果てに>
 コース変更を余儀なくされた彗星帝国。それによって屈辱を味わったズォーダーではあったが、テレサの偉業を讃えることで、逆に帝国のモラルを上げることになる。ズォーダーはついに地球への大攻略作戦を発令。シリウス方面に陣を敷いていたバルゼー提督率いる艦隊は、太陽系へと進軍する。その一報を聞いた地球艦隊司令の土方は、太陽系外周艦隊を急ぎ土星へと集結させ、史上まれに見る大艦隊との決戦に備え、土星を絶対防衛線とする作戦を実行する。それは連邦政府の指揮系統を混乱させる土方の越権行為ではあったが、この一戦に負けたら地球も後がない。一方ヤマトは無理を承知の長距離ワープを敢行し、急ぎ地球へと向かっていた。島は一人任務に打ち込み、余裕がない。テレサへの想いを断ち切ろうと必死だが、雪の助言に自分を取り戻す。そんな折、ガトランティスではデスラーが謀反を起こしてガトランティスを脱出し、ガミラス艦隊と合流する。この一件によりサーベラーはズォーダーに叱責され、デスラーは再びズォーダーとの友誼をもとに、ヤマト撃滅へとひた走る。こうしてこれから始まる戦いの火ぶたは、いま切って落とされようとしていた。(18話)

 一路地球を目指すヤマトは第11番惑星まで戻ってきた。斉藤は以前の戦闘で失った仲間を弔うために、11番惑星に立ち寄ることになる。それは古代の温情であった。だが11番惑星はすでにガトランティス軍の兵站基地となっていた。地上からのミサイル攻撃にさらされるヤマト。さらに後方からは小規模艦隊が迫りくる。甚大な被害を出しながらも、斉藤を回収し、敵艦隊を波動砲で屠るヤマト。一方海王星を通過するバルゼー艦隊に対し、土星宙域に終結を急ぐ地球艦隊。そしてヤマトもついにワープで土星に到着する。こうしてテレザートへの苦難の旅は終わりを迎え、ヤマトは次なる戦いへと挑むことになる。(19話)

 来たるべきバルゼー艦隊との決戦を前に、土方は将帥に語る。敵・ガトランティス艦隊は正面から押し寄せてくると。これに対し土方は敵空母および艦載機の戦力を高く評価し、古代率いるヤマトの奇襲作戦により、空母群を分断することで彼我の戦力差を埋める作戦を立案する。古代は加藤と山本たち戦闘機隊を斥候とし、敵空母艦隊の索敵を開始。地球艦隊の本隊との決戦前に空母群を叩く必要に迫られ、古代たちの焦りは募る。そして真田とアナラザーによって発見された敵空母艦隊は、土星空域の外延部にいた。間をおかずして雷撃機を中心とする攻撃部隊が発艦。ほどなく古代もコスモタイガー隊を率いて勇躍し、敵機発艦前の空母艦隊を叩く!さらにはヤマトの主砲の攻撃によって残存勢力を一掃し、ここに土方が立案した奇襲作戦は成功を見る。(20話)

 まずバルゼー提督率いるガトランティス艦隊と接触したのはヒぺリオン艦隊である。敵艦隊側面からの攻撃を企図し急襲するヒぺリオン隊だが、敵大戦艦の衝撃砲の威力に艦隊は壊滅してしまう。空母艦隊を切り離したことで、短期決戦に打って出たバルゼー提督は、艦隊を突撃隊形に編成して、旗艦の「火炎直撃砲」の威力を持って地球艦隊の中央を突破しようとする。弾道が読めない火炎直撃砲になすすべなく敗退する地球艦隊。拡散波動砲の射程外からの攻撃によって、土方は地球艦隊を転進させる。追撃するバルゼー艦隊。ヤマトが攻撃隊の出撃要請を受けた時、白色彗星がこつ然と姿を消してしまう。一方土星の輪に逃げ込んだ地球艦隊を追うバルゼー艦隊は、コスモタイガー隊の攻撃によって土星の輪に追い込まれてゆく。輪の中で火炎直撃砲が火を噴く!だが直撃砲の熱で一気に蒸発した氷が乱気流を作り、バルゼー艦隊は艦列を乱してゆく。そしてカッシーニの隙間に到達した地球艦隊は、このチャンスに最大限付け込むことになる。一斉射撃によって艦隊のほとんどを失い、敗走するバルゼーの旗艦はアンドロメダを付け狙うが、地球艦隊のさらなる一斉射撃によって消滅する。だが戦勝気分もつかの間、ヤマトの背後に白色彗星が突如現れた!波動エンジンを破損し、ヤマトは総員退艦の状況に陥ってしまう。一方地球艦隊は隊列を組み直して拡散波動砲で白色彗星を撃ち、白色ガスを取り除くことに成功する。だがガスの中から都市帝国が姿を現し、その圧倒的な偉容と兵力をもって地球艦隊を屠ってゆく。土方はアンドロメダを都市帝国へ向けて特攻させる。そして土方は最後に「帝国の下部を攻撃せよ」というヤマトへの伝言を残して散っていく。(21話)

 傷ついた艦体を補修しながら、修理のために一路ガニメデへと向かうヤマト。太陽系内を我が物顔で地球へと進む都市帝国。地球では地球艦隊の敗戦によって逃げ惑う人々で大混乱となる。高みの見物を決め込むガトランティスの首脳陣は、無条件降伏を勧告するために、地球へと使者を送る。戦闘衛星の攻撃をものともせず、地球へと飛来する敵艦隊。連邦政府は和平交渉に望みをかけるが、それを拒否するかのごとく月を攻撃する。その様子を見た大統領は降伏を決断する。一方古代は乗組員と一致団結し、あくまで都市帝国との徹底抗戦を決める。(22話)

 ワープで地球軌道に到達したヤマトの前に立ちはだかるのは、ワープアウトしてくるガミラス戦闘機だ。デスラーがふたたびヤマトに牙をむく。そのころ地球は無条件降伏を受諾し、都市帝国は地球へと降下、海上へと着水する。一方ヤマトは波動砲に逆転の望みを掛けるが、デスラーは機雷を波動砲口の前に敷設させ、波動砲を封じてしまう。一計を案じた古代は小ワープによって機雷を抜け、デスラー艦へ白兵戦を仕掛けることになる。デスラー砲発射の隙を突き、小ワープしてデスラー艦の後部へと激突するヤマト。破壊した穴から空間騎兵隊や乗組員たちが突撃する。そんな中、島は雪と佐渡を助けるために爆発に巻き込まれ、宇宙に放り出されてしまう。副官のタランに促され、退艦しようとするデスラーの前に、負傷した古代がやってくる。宿命の対決、決着の時ついに来たる!(23話)

 デスラー艦の艦橋で対峙する古代とデスラー。ヤマトの実力を誰よりも認めながら、敗北の屈辱を晴らさんがためにだけにヤマトを付け狙うデスラーと、古代はもはや相容れることはできない。銃を構える二人。だが右肩の負傷で照準が定まらない古代は、失血でついには倒れてしまう。そこに割って入った森雪は痛みに喘ぐ古代を抱きしめる。その姿にデスラーは、これまでの己になかった「愛」の姿を見た。そしてデスラーのヤマトへの復讐は終わりをつげ、古代に都市帝国攻略のヒントを残して退艦し、残存艦隊とともに去っていく。無事ヤマトへ帰艦した古代はさらに島を失ったことを知る。メインスタッフを集めて都市帝国攻略作戦の立案に励む一同を前に、雪はデスラーの残した言葉を思い出す。「真上と真下」。そして波動砲をはじめとする攻撃兵装のほとんどを失ったヤマトは、海上に浮かぶ都市帝国に最後の戦いを挑む。そのころ降伏に調印するための施設が船で出発する。調印前にたどり着きたいヤマト。ヤマトの意図を察した使節団は、船を反転させる。壮絶なるヤマトの最後の戦いが今始まろうとしている!(24話)

 コスモタイガーの攻撃によって上部の近代都市の一部機能を破壊された都市帝国。一方海中から侵入したヤマトは都市帝国の下部に魚雷攻撃を見舞う。たまらず浮上する都市帝国。ヤマトはこれを追撃する。地球の希望を担って、再びヤマトが海中より飛び立つ。戦闘機大隊を出して反撃に転じる都市帝国。帝国下部の弱点を探し出そうとする真田。そして新米は爆発にやられながらも、戦闘機射出口を発見する。そして古代は都市帝国内部に突入し、動力炉を破壊する作戦を実行する。古代、真田、斉藤などたった6名の突撃部隊。それをみて慢心するサーベラー以下参謀グループはズォーダーへの報告を怠る。それをみたズォーダーは独断専行と失態を重ねたサーベラーたちを見捨てていずこかへと姿を消す。動力炉近くで真田は足を負傷。古代と斉藤による爆破作戦が決行される。そして古代の援護の下、斉藤が動力炉へと突貫し、ついにたどり着く。古代は真田をつれて艦へと戻る道を急ぐ。そして爆弾をセットしながら、敵の凶弾に倒れる斉藤は、動力炉破壊を成し遂げる。山本、加藤をはじめとするコスモタイガー隊の面々、そして斉藤たち空間騎兵隊の犠牲の上に、ついに都市帝国は機能停止。ヤマトは全砲門を使用して都市帝国を攻撃する。だが都市帝国の中から、あまりに巨大な戦艦が現れる。(25話)

 圧倒的な火力、畏怖すべき偉容。ヤマトはたちまち炎に包まれ、次々に乗組員を失っていく。傲慢な言葉を吐くズォーダーは勝ち誇り、超巨大戦艦の巨砲をもって地球を攻撃する。取り戻したはずの自然や街並みを破壊されていく地球。戦う力はなく、もはやなすすべなし。そんなとき、23話で宇宙に放り出された島を助け出したテレサは、輸血によって死にゆく島を蘇えらそうとしていた。万策尽きた古代はついに退艦命令を出す。そしてヤマトに一人残った古代は、沖田艦長のレリーフを前に懺悔し、ヤマトで敵巨大戦艦に特攻を仕掛けようとしていた。そして艦内に残っていた雪との愛を確かめ合い、ともに敵へと立ち向かおうとする。その時二人の眼前にテレサが現れ、助け出した島を送り届ける。そして余命いくばくもないその体を持って、ズォーダーに戦いを挑むという。そして勝ち誇るズォーダーの前に姿を現したテレサは、巨大戦艦もろとも消滅していく。こうして地球は、ヤマトは救われた。テレサの奇跡によって。ヤマトは傷ついた体を休めに、地球へと帰還する。(26話)

<ズォーダーとデスラー、悪役の人となり>
 前回サーベラーの狭量によってデスラーの自由が奪われたのだが、その後デスラーの機転によってサーベラーを人質に取ることで、再び自由の身となり、ヤマト攻略へと再スタートすることになる。サーベラーの甘言に踊らされるように、デスラーをたしなめるズォーダーの言葉を聞いていると、器量の狭い人間を取り立てて、才覚ある人を遠ざけることで国が傾いていく、まるで「三国志」の漢の国が亡ぶのにも似た印象がある。そうした意味でもガトランティスはいずれ滅びる運命にあったのかもしれない。もっとも「おごれるものは久しからず」のたとえの通り、力におごるズォーダーは、テレサの超能力に屈したわけだから、ことわざや格言というものは真理だよなあw

 さてそうはいってもこのズォーダーさん、「2202」のように軍団の頭目として生まれたわけではなく、それなりに武勲があってあの立場にいるだろうと想像すれば、ひとかどの武将であると推察される。そうでなければデスラーを重用しないだろうし、サーベラーの甘言を入れる以前は、十分以上にデスラーを賓客として扱い、武将として認めてもいたわけだから、当の本人だっておそらくは立派な武将なのだろう。それがそうと見えないのは、登場するとサーベラーを隣において酒をあおっている姿が多く、それとわかる描写が少ないせいもある。また武人でありながら、前線で指揮をとらなかったのも問題がある。やったことといえば白色彗星を地球方面へと進撃させ、その力で周囲をねじ伏せただけ。彗星のガスが取れても、都市帝国の横方向の防御力にモノを言わせて、ゴリ押ししたに過ぎない。こうなうるとデスラーのヒントを元に上下からの攻撃によって弱点を突かれて、強大な力を誇る都市帝国は崩壊していく。このとき、ズオーダーは何をしたかといえば、自身を敗北に追いやったサーベラーをはじめとする首脳陣を切り捨てて、最後の切り札である超巨大戦艦に移乗するという、これ以上ない小人っぷりを見せつける。その後、超巨大戦艦による巨砲の砲撃によって地球を攻撃するのだが、怒りに任せた反撃だとしても、自ら「美しい」とのたまった地球を、わざわざ荒廃させるような攻撃を加えるあたりが、ズォーダーの武人としての限界を感じる。恫喝だけならまだしも、感情に任せて実際に攻撃してしまうとは、サーベラーに負けず劣らずの狭量といっても差支えない。悪人としてはこういうあたりがどんどん小物感が増していくので、巨悪というには人物が小さい。

 さて一方のデスラーだが、物語序盤でさっそうと復帰し、ズォーダーに背中を押されてテレザート方面へと出撃するあたりは、実にカッコいい。「さらば」を見ていた人にとっては、なるほどこうやって復活したんだとわかる説明も入るし、そのエピソードも挿入されている。ガトランティス首脳陣に対し、かつて自身が敗れたヤマトについて、かなりの頻度で注意喚起する姿を見ても、けっして侮らないデスラーの態度は、完全に地球とヤマトの存在をなめきって海戦いるサーベラーら首脳陣とは一線を画すといっていい。まあこれによってサーベラーには目をつけられて、小知恵を回されて左遷されてしまうのだけど、あと一息でヤマトを撃滅できるタイミングで呼び戻されても、まさに堂々とした武人のふるまいでズォーダーと会見しようとする。もちろんサーベラーの横槍によって会見できずに、あらぬ戦線離脱の疑いを掛けられて、投獄されてしまう。ここでデスラーが偉いのは、裏ではなく公式にズォーダーとの接見で、疑惑を晴らそうとする態度である。自分自身に一切後ろめたいところのないデスラーは、裏でごちゃごちゃやってるサーベラーを尻目に正々堂々だ。そのくせヤマトに挑むデスラーの戦法は、瞬間物質輸送機を使っての奇襲が主軸になっている。使っている側がいかに正々堂々としても、使われる側にしてみれば卑怯極まりない奇襲であるから、言い訳のしようがない。「さらば」では白兵戦を仕掛けられたデスラーは、ロボット兵を利用することで、ガミラス星人そのものの命運がつきかけていることを暗示していたが、本作ではその部分は薄められている。だが互いにつぶし合いの白兵戦でデスラーが追いつめられたことを考慮すれば、これもまたガミラス星人が減っていることには違いがない。ところがデスラーときたら、けがで倒れた古代と乳繰り合っちゃう雪をみて、愛の本質を見出して、ヤマトへの恩讐を捨て去り、都市帝国攻略のヒントを残して立ち去るのである。このあたりの引き際もデスラーがひとかどの武人である証拠でもある。ところで本作の古代は、大なり小なり怪我が多いなあ。

<戦術と戦略>
 さて「ヤマト2」の白眉である土星宙域の大海戦。そもヤマトの歴史上における大海戦といえば、1作目のヤマト序盤における「冥王星宙域海戦」だろう。実のところこれ以降本作の土星宙域海戦まで、大規模艦隊戦は一度もない。つまりこの間はヤマトが単独で作戦行動を行っていただけなのだ。ガミラス冥王星基地攻略も、七色星団の戦いも、ガミラス本星での戦いも、本作におけるテレザート攻略戦やデスラーとの小競り合いに至るまで、すべてはヤマトの単独作戦でしかない。そう考えると、この土星宙域海戦がどれほどの規模の戦闘なのかがわかるだろう。この1点だけでも、「さらば」ではうっすらとしか描かれていない地球艦隊の艦隊戦が、本作にて大きく膨らまされて描かれていることは、特筆すべき事項であり、松本零士氏の戦記ものに連なる印象を強くしている。

 土方提督の言によれば、ガトランティス艦隊は、その豊富な物量をもって真正面から戦いに挑んでくると。一方、敵のバルゼー艦隊は、土星宙域の外延部に空母艦隊を切り離して温存し、本体を先行させて土星宙域を侵攻してくる。この時点で物量に勝るガトランティス艦隊が優勢である。その上で、前線配備されている大戦艦の「衝撃砲」、バルゼー艦隊旗艦であるメダルーザに装備されている「火炎直撃砲」という兵器群が存在する。一方地球艦隊は「拡散波動砲」という秘密兵器があり、両軍ともに秘密兵器を温存したままこの海戦を迎えていることになる。

この状況下に対し、なぜ土方提督が土星を最終防衛線に設定したかという理由については、後のお楽しみとしておくが(ネタバレはしてるけどね)、この状況に甘んじることなく、勝利を出来うる限り引き寄せるために、土方が提案したのはヤマトおよび空母艦隊による、敵空母艦隊への奇襲作戦だった。コスモタイガー隊による索敵行動によって、本体から切り離されて温存された空母艦隊をいち早く発見し、敵空母からの敵機発艦前にこれを電撃的に攻撃することで、敵の航空戦力を壊滅させる作戦だ。この作戦の成功によって、彼我の戦力差をようやく縮めることができた地球艦隊は、本隊同士の決戦へとなだれ込んでいく。

最初に接敵したのはヒぺリオン艦隊であり、先の衝撃砲と本隊の物量によって壊滅している。この時空母艦隊を失ったバルゼー提督率いるガトランティス艦隊は短期決戦を目論み、物量で押してくる作戦に打って出たのである。さらには旗艦の火炎直撃砲の奇襲によって、艦列が瓦解し始める地球艦隊は、ここで土星宙域を戦場に定めた最大の理由をもって反撃に転じるため、土星の輪の中へと敗走を装って移動する。土星の輪の中におびきだされたバルゼー艦隊は、勝利を確信して更なる追撃のために火炎直撃砲を放つ。だがこれこそが土方が土星を戦場に設定した最大の理由である「地の利」を生かした作戦であった。土星の輪を構成する氷塊が、火炎直撃砲によって一気に蒸発。これによって周辺域は乱気流に見舞われることで、戦列を乱したバルゼー艦隊は、カッシーニの隙間で戦列を整えた地球艦隊の一斉射撃によって壊滅するのである。

この後、ワープして突如として現れた白色彗星が登場し、地球艦隊の拡散波動砲によって白色ガスを引きはがされるところまで、まさに地球艦隊は勝利を信じて疑わなかっただろう。しかしながら彗星から現れた彗星都市帝国の圧倒的な攻撃力によって、地球艦隊は敗北し、旗艦アンドロメダと土方提督を失ってしまう。「さらば」では描き切れなかったガトランティス艦隊と地球艦隊との一騎打ちは、かように魅力ある艦隊戦として描かれたのである。これ以降のヤマトシリーズでは、大規模艦隊戦は描かれていない。続く「新たなる旅立ち」ではガミラス艦隊と共闘するヤマト対暗黒星団帝国のゴルバとの戦い、「永遠に」ではヤマト対暗黒星団帝国艦隊との戦いがあるが、艦隊戦とはいいがたい。なお「III」では物語の最終回にてガルマン・ガミラス艦隊とボラー連邦による大規模艦隊戦が描かれているが、ヤマトは暴走した太陽制御に必死である。その後「完結編」でもディンギル帝国とヤマトの戦いの一方で、ヤマトに加勢するデスラー艦隊がディンギルの残存艦隊との艦隊戦を制しているが、物語序盤のヤマト率いる地球艦隊は、完全にやられ役でしかなく、ハイパー放射ミサイルからヤマトを守るためだけに出てきたようなもので、艦隊規模も小さい。したがって、事実上、地球艦隊が参戦した大規模艦隊戦は、これで最後となる。そうなると、このガトランティス艦隊との大規模艦隊戦が、如何に貴重で魅力ある艦隊戦であるかがわかろうというものだ。

<後退するテーマ、愛を語る>
 本作が松本零士氏の監督によるものであるがゆえに、本作のプロデューサーである西崎義展氏にとっては、「テーマが後退してしまっている」という印象を持ったそうだ。とはいえ本作によってシリーズは延命し、商売的なフォローもできたことで、続編が作られることになる。ではテーマが後退したとはどういうことかを、映像ではっきり確認することができかといわれると、明確な差が出ているのは、「さらば」物語終盤の勝ち誇ったズォーダーと古代の直接会話の部分だろう。力を誇示することによる愛と平和を真っ向から否定して見せる古代は、人々が互いに愛し合いいつくしみ合う愛と平和を主張する。とはいえ圧倒的な力量の攻撃によってすべての兵装をうしなったヤマトでは、ズォーダーの言葉を否定できるだけの材料がない。それゆえに心の中の沖田艦長との会話を理由に、古代はヤマトでの特攻により超巨大戦艦を破壊し、ズォーダーを打倒する。もちろんテレサの反物質の力を借りてではあるが、このシーンが特攻賛美に見えてしまうために、「さらば」は批判を浴びたのである。だがこのくだりが「ヤマト2」ではまるまる作り直されている。だがそれはテレサの命であがなった、たった1度の奇跡でしかないことは、すでに述べたとおり。その結果としてヤマトは特攻しないで済んだのであるが、その一方でヤマトが特攻することによって観客の目にあふれた涙は否定されてしまったのである。この両極端な結果を示したことこそ、本作が「さらば」の否定語ではなく、肯定してみせた証しではないかと、筆者はにらんでいる。確かに一見異なる結末ではあるが、古代がいう「宇宙の愛」を、具体的に互いが思いやりをもって接する愛として表現したテレサと島の愛として描き、さらにはデスラーの復讐を翻させた古代と雪の真実の愛を見せ、「さらば」での台詞の応酬となった古代とズォーダーのシーンをなくしてまで、そこで語られた「愛」の姿を映像として見せているのだ。これはもう「さらば」の否定語ではない。むしろラストを変えてまで、絵空事に思えた古代とズォーダーの会話内容を、映像として見せた結果ではないかと思うのだ。

 またキャラクターの死をもって、戦争賛美的な言説もあるが、これに関しては「さらば」から「2」での変更点ではなく、その差を極力小さくした理由は、本作の感動の正体が、残酷な現実に否を叫びながらも、抗いようのない現実に対打ちできずに死んでいく、戦時下の若者が無意味に命を散らしていく姿に、現代社会の中で口を閉ざして会社の歯車となりながらも、心の中で言葉にならない否を叫ぶ若者たちをダブらせることで、涙を誘ったわけで、「2202」のパンフレットで福井晴敏氏が書き残したことに相違ない。これはもう共感を呼ぶこれ以上ない方法論であるから、本作でも「2202」でもこの部分は変更できなかったはずで、「さらば」の本質的な部分を改変しなかったのは、本作の感動部分が世代を超えて不変であることの証でもある。

 かつて放送された「超時空要塞マクロス」は劇場版「愛おぼえていますか」として語り直された時、筆者はTV版を否定されたとは思わず、TV版のキャラクターによって、マクロスの物語をマクロス世界で劇場版として作られた物語としてとらえ直した記憶がある、劇中劇みたいなものといえばいいか。現在ではどちらも正史として扱われており、どんな解釈でも可能だろうが、筆者自身はこの劇中劇説を今でも一人で納得している。同じような感覚が「さらば」と「2」の関係にも感じており、正史はあくまで「2」であり、その語り直しが「さらば」という印象が今でもある。もっとも順序は逆なんだけど、どうもこの考え方が頭から離れないでいる。それゆえ語り直しと再演という関係性の中で、「さらば」の否定語としての「2」とは、どうしても思えなかったがゆえに、先のような結論となった。もちろんこれを本文を読まれた人々に押し付けようとは思わないので、大いに否定、あるいはバカにしてくれて結構であるw 願わくば、同じような感慨を持つ方が一人でもいてくれたらなあとは思います(なんか漫画「修羅の刻」のあとがきみたいだw)


追記(2019.08.08)
 本文で書き損じていたことを思い出したので追記しておきます。
 本文では「さらば」と「2」の関係性を浮き彫りにするため、あえてできるだけ「2202」には触れずにおりましたが、本作をみることにより、「2202」はさらに面白さを増します。エピソードの取捨選択や元ネタ探しを含め、何がどこに転用されて、アイデアの源泉になったのかがよくわかるし、「さらば」であり「2」でありながら、どちらのラストをも回避し、「2202」として落着した物語は、何を肯定して何を否定したのかがよくわかります。「さらば」だけを見て「2」を見ずに「2202」を見たのであれば、なおのこと「2」は発見も見どころも多い作品だと思えます。もし「2202」が気に入ったであれば、「さらば」だけでなく「2」も見ておいて損はないと思いますから、何かの機会にぜひレンタルでも配信動画でもいいので、ご覧いただければと存じます。
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
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