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「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」~大怪獣祭りと共存~

 2019年に見ておかなければいけなかった映画を、積み残したまま年を越してしまった。これよりしばらくは積み残し映画を、いまさらながらお楽しみいただこうと思う。
 さて今回は2019年5月に公開された「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」だ。レジェンダリーのモンスターバースシリーズの映画は「ゴジラ」「キングコング 髑髏島の巨神」に続き3作目。前作は髑髏島という場所に限定して、人間たちと共存するキングコングを描き、外の世界とは隔絶した限定的な場所では、人間と巨大生物が共存できる道筋を開いたとすれば、1作目の「ゴジラ」ではどうしたって共存できるとは思えないゴジラとムートーの戦いを描いているのだが、さて本作では人間と怪獣たちはどんな関係を築いていくのだろうか?

<概要>
 ゴジラとムートーの戦いの5年後。巨大生物の存在が明るみとなり、同時に怪獣たちを調査してきた秘密機関モナークの存在も明るみとなる。世界の注目と非難をモナークが一身に集める中、一人の女性科学者エマは5年前のゴジラの戦いの中で息子を失った悲しみを胸に秘めたまま、一つの計画を実行に移そうとする。エマは怪獣と交信するための装置「オルカ」をもってモスラの幼虫とのコンタクトに成功する。だがその成功の刹那、環境テロリストの強襲にあい、エマは娘のマディソンと共に謎の組織に拉致され、モナークの研究所の一つは壊滅する。

 これを聞いた芹沢博士は、オルカの初期開発者であったエマの別居中の夫・マークに協力を要請し、対応を協議する。マークもまたエマ同様に息子を失ったゆえにゴジラを強く憎んでいたが、芹沢ら研究メンバーによって解明されたゴジラの回遊コースを見て、さらには海上のモナークの研究所に現れたゴジラの姿を見て、ゴジラの移動先にオルカがあると確信。つまりはエマたちもそこにいると判断し、南極のモナーク基地へと移動する。だがそこには氷漬けにされたモンスターゼロと呼ばれる怪獣が眠っていた。環境テロリストとエマは、モンスターゼロを蘇らせてオルカでコントロールしようとしていた。だが復活したモンスターゼロは、行動を開始したゴジラと交戦。モナークの航空母艦アルゴの攻撃で、怪獣たちは一度姿を消す。

 南極でエマと出会ったマークによれば、エマは環境テロリストたちと協力し、計画的にモンスターゼロを復活させたという。信じがたいエマの行動に動揺を隠せないモナークの一同の前に、エマからの声明が届く。それは「人類によって破滅に瀕している地球環境は、怪獣たちの破壊によって再生する」というものであった。その直後、メキシコの火山から翼竜型の怪獣ラドンが復活。現地住民の避難にあたったアルゴだったがラドンに追われ、移動してきたモンスターゼロにラドンを仕向けたが、ラドンは海中の没し、続けて現れたゴジラがゼロと戦うことになる。大乱戦となる二大怪獣に向けてアメリカ軍は新開発のオキシジェン・デストロイヤーを発射。ゴジラは生体反応が消え、死んだと思われる一方で、ゼロは生き残り、時を同じくして世界中の怪獣たちが目を覚ます。世界が絶望の淵にある中、モナークのアイリーンの調査結果から、ゼロは「ギドラ」と呼称される怪獣で、太古の時代にもゴジラと交戦していた可能性があり、ギドラは宇宙からやってきた外来の怪獣であり、地球環境を破壊するだけの存在であることが示唆される。エマもこのことに気づき始めており、自分たちのプランが破綻したことで、事態を収拾しようとするが、それを受け入れない環境テロリストたちとエマは決裂することになる。

 その時、中国から幼虫からモスラが羽化し、ゴジラとの接触を図ろうとする。瀕死となったゴジラはバミューダ海域での自分の巣で体を休めていたが、ギドラの活動を考慮すれば、即時復活は急務。そこで芹沢博士は核弾頭を自らの命と引き換えに起爆して、ゴジラに核エネルギーを与えて復活させる。アメリカはボストンを舞台に、ゴジラ、ギドラ、ヒドラ、モスラが一堂に会し、果てしない戦いを繰り広げ、アメリカ軍はゴジラとモスラを支援するために共闘する道を選択する。四大怪獣と人間たちによる死闘の行方は?

<ゴジラの位置づけ、共存という命題>
 はたして公開直後にこの映画がどのように扱われたか? 賛美と同じぐらいの批判を浴びたことだけは記憶に新しいところ。筆者は結局劇場で観ることが叶わなかったから、BDでの視聴となったのだが、やはりというか今回も劇場で観るべきであったと、後悔した。少なくともこの映画が、パニック映画や災害映画のメタファーとして作られた作品ではなく、見まごう事なき「怪獣愛」にあふれた快作であることだけはひしひしと伝わってくる。怪獣だけを見るならば、この映画の怪獣バトルの楽しみ方は、間違いなく怪獣ファンの観たかったものであるのは疑いない。2001年に劇場公開された「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」での怪獣たちの立ち位置を入れ替えてある感覚は筆者にもあるし、エマとマークのゴジラへの怒りが、ギドラの破壊活動を前に薄れていってしまうあたりの呑気さは否定しようもないが、別に目くじらを立てる必要もない程度の話だ。

 ただし、ゴジラという怪獣だけを見るならば、またも難しい立ち位置に立たされていると感じないわけにはいかない。前々作でのゴジラの立ち位置が、人類側にとってどう転ぶかわからなかった緊迫感は、本作の冒頭部にしかなく、芹沢らモナークの主要科学者たちが怪獣たちとの共存を声高に叫んでも、すぐには納得しづらい。5年の間に研究が進み、ゴジラの歩いた後に自然環境が回復する事象が報告されてなお、ゴジラの核エネルギーはどうした?と言いたくなる気持ちを押さえられないわけだ。どれだけゴジラを愛して、ゴジラを人類の味方にしようとも、ゴジラが核エネルギーという存在を背負っている以上、人類と相いれない存在である事情だけは変えようがない。もちろん核エネルギーを、人畜無害なクリーンエネルギーのように描く愚は、被爆国である日本で生まれたキャラクター「ゴジラ」のアイデンティティを奪うものであるから、ゴジラの移動した後に自然が回復するという事情が、頭の中でつながってこないのは、どうしたって無理からぬことである。結局このアイデンティティを引き受けたのは芹沢博士であり、オキシジェン・デストロイヤーがミサイル攻撃で無駄に消費されてしまったのと違い、自らの命でゴジラを復活させるあのシーンは、なんかこう、心が複雑に揺さぶられたシーンだった。

 結局のところ、芹沢の言っていた「人類と怪獣の共存」という命題は、ギドラという共通の敵を目の前にして、「敵の敵は味方」的な解釈として消化されてしまい、ゴジラによる自然環境の回復という側面は、補足あるいは蛇足にすぎない。そうすると本質的に怪獣と共存する人類というビジョンそのものは、あくまで芹沢やモナークの科学者の絵空事じみてしまう。本作での出来事の後日談的な映像が、映画のラストに見せつけられても、どうしてもゴジラの出自である「水爆大怪獣」とコンフリクトを起こしてしまい、原爆を使用して大戦を終わらせた事実から目を背けたいという誤魔化しにも思えてしまう。そも怪獣とは人類と共存できるものではなく、地球環境の中での敵対関係という大きな枠組みの中で、せちがらいせめぎあいを続けるしかない。作り手である怪獣ファンが、このポイントに想いを致せないかぎり、ゴジラは水爆大怪獣の出自から逃れることも突き詰めることもできない、安易にさわってはいけないコンテンツであることは、「ゴジラ」(1954)が孤高の傑作である証明でもあるのではないか。

<大怪獣、大暴れ!>
 もうね、ゴジラ関連の作品を扱う場合、どうしてもこのポイントだけは書き残しておきたくなってしまい、またかと思われるかもしれないが、自論を展開してしまったが、だからといって本作が駄作やつまらなかったかと問われれば、それは違うのですよ。だって、これ、怪獣映画ですもん。怪獣ファンが作った、怪獣を縦横無尽に暴れさせて、その破壊のカタルシスを楽しみ、4大怪獣が激突し、命をかけて鎬を削る大激闘を描いている映画なのだから、怪獣ファンとは言いがたい筆者でも、この大迫力のバトルシーンを見ては、心拍数が跳ね上がり、鼻息荒く大興奮したのは事実なのである。この怪獣たちが暴れるシーンが、本当に見ごたえあって、上記のことが心からどうでもよくなる気持ちよさにあふれていた。

 音楽的にも本家日本の楽曲に準拠しているのも嬉しかったが、幼虫のモスラの暴れっぷりが、まずは大好きだ。卵から孵り幼虫の上半身だけを動かしてギャーギャー攻撃してくるシーンの気持ち悪さは、のそのそ歩いて糸吐くだけの日本のモスラとは隔世の感がある。そして羽化して蛾の形態になったときの、あまりに巨大な羽と、神々しいばかりの輝き、そしてラドンとのバトルで瀕死になりながらも、とどめの一撃をくれる度胸満点の戦い方にしても、胸をぐっとつかまれた気がした。筆者は平成期のモスラ3部作を見ていないので、どうしてこれほどまでにモスラ愛があふれてしまったのか、まったく理解できないが、平成ゴジラシリーズのモスラの位置づけを想起させる位置づけが、何とはなしに好ましいと思えた。

 なんにせよ、本作での千両役者はギドラである。筆者は本作のわりと序盤から登場し、物語のけん引役として劇中で悪役を引き受けるギドラの役者っぷりには、キングギドラを見直したといっていい。これは「ゴジラ ファイナルウォーズ」のモンスターXへのオマージュなのか、序盤は「モンスターゼロ」と呼称されて登場する。厚い氷に閉じ込められていた姿は、キングギドラも金星の文明を滅ぼした宇宙怪獣の出自を剥奪されたのかと思って、ちょっとだけ憤慨したが、さにあらず。ギドラだけは外来種として地球環境を破壊するだけで、ゴジラら地球出自に怪獣と対立関係にあるという。そのくせ圧倒的な強さに、台風と見間違うがごとき雲の渦に身を隠して雷と共に移動する素敵さ! 筆者が楽しかったのは、翼となる両腕を四つん這いになって使い、地上を這いずりまわるシーンがあまりに強烈で、あんなに気持ち悪いキングギドラは見たことがないと、大興奮した。そして何より、世界各地で復活した怪獣たちにかしづかれて、怪獣たちを睥睨し勝ち誇るギドラの姿は、何よりカッコよかったし、本作の悪役としての威厳があった。

 いろいろとネットを徘徊してみると、劇中に名前だけ登場する怪獣たちがいるが、その怪獣たちには、世界各地の神話に登場した怪物や神々の名前が当てられているという。劇中でも説明されているように、怪獣たちの登場は、あくまで神話として残されており、人類の記憶からはほとんど失われていった記録の中にした存在しない。それを環境の変化や人類の余計なちょっかいで復活してきた事情は、「帰ってきたウルトラマン」における怪獣の登場と何ら変わりなく、そのあたりは人類の危機感が怪獣となっている皮膚感覚が、こういうあたりに反映されているのは、いずこも同じなのだと思える。

 ラドンが火山から復活した件も、筆者はだいぶんわくわくした。ラドンが阿蘇山から登場した「空の大怪獣ラドン」(1956)を見ている身としては、やはり火山とラドンの組み合わせはテッパンでして。かねてからゴジラと共闘関係にあるラドンであるが、平成シリーズでの「ゴジラVSメカゴジラ」(1993)では、メカゴジラに叩きのめされたゴジラを復活させるためにエネルギーを与えて力尽きるという役回りで登場する。本作ではその役割はモスラへと移行したが、むしろゴジラと敵対関係としてモスラと激突するシーンは圧巻である。フジ三太郎に月見そばはよく似合うというが、飛行する怪獣は空での大激突がよく似合う。

 さて最後に控えしは、ゴジラ御大である。モナークの海中基地での回遊途中の大咆哮といい、より鋭角的に研ぎ澄まされた背びれ(ミレニアムシリーズのゴジラを思い出させる)の威圧感といい、あいかわらずの(渡辺謙さんいわく)マッチョな体型で腰高で強靭さを感じさせる太ももや二の腕の質感がたくましい。人間を守るようなそぶりもなく、ひたすらにギドラ打倒を目指して行動する、目標設定に従順なゴジラさんは、今回むしろ安心感があり、人間の思惑をぶっ飛ばしてなお安定感がある。ブレがないからこそ、ゴジラはゴジラ然としている。破壊、そして巨大。何より威圧的なまでの神々しさ。前々作をBDで何度か見返して、あのゴジラを見慣れた目には、もはやあれでいい、あれがいいと納得してしまう。そのゴジラがオキシジェン・デストロイヤーの1発で瀕死になってしまうのは、あくまで「ゴジラ」(1954)に準拠してのことであるが、あの悪魔的な兵器がアメリカ軍の開発した新兵器としての登場は、なんとも歯ごたえがない。これもやっぱり本作の否定的見解の要因ではあるが、この際は置いておこう。こういう軽い扱いができるのは、本作が日本人の手によらないゴジラ作品である証左でもある。日本人ではこんな軽いノリでの扱いはありえないだろうし、あの状況からゴジラの天敵デストロイアが生まれて、後続作品へとつながる可能性でもない限りは、こんなもんだろうと思っておく。そして本作の白眉である、地球の空洞があるバミューダ海域でのゴジラの巣にて、芹沢博士の手によって復活を遂げるまでのドラマは、もう少し盛り上げても誰も咎めはしないだろうに、意外とあっさりとしてものなのが、今さらとなっては残念な部分か。正直、あの芹沢のやり方では、ゴジラの復活までは見届けられないので、芹沢にゴジラの復活を見届けさせてあげたかったとは思う。それでも、あのシーンでゴジラファンの日本人が、何をか感じないわけにはいかないだろう、泣くまではいかなくても、あそこで日本人が地球環境を破壊するギドラに対抗する最終手段としてのゴジラの復活に賭けた姿は、日本人として少しだけ誇らしい。渡辺健さんで本当によかったと、心から思う。

 「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は、日本の東宝がゴジラ映画を作らない現時点では、これ以上ないって程に最高に怪獣映画している作品だ。ゴジラの自然環境回復への手がかりである一方で、最後の最後で環境テロリストが買い付けたギドラの首というフックは、後続の作品への福音だろう。絵的にはゴジラとキングコングの対決が予告的に表れているし、そのための伏線もちりばめられていた。マーベルといいD.C.といい本作といい、クロスオーバー映画シリーズは、見続けていくことでその楽しさも面白さも追求できる。こうなるとこのシリーズ作品がどこまでいくのか、50歳という年齢の現実を前に、ただただ長生きがしたくなる筆者でした。皆様、どうかお体ご自愛くださいませね。
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