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仮面ライダー(新)~その1・ライダー復活の時~

 筆者が小学生時代を過ごした70年代末から80年代初頭、テレビ業界ではリバイバルブームが巻き起こっていた。テレビ黎明期のアニメである「鉄腕アトム」は80年に、ロボットアニメの草分け「鉄人28号」も同じ80年に「太陽の使者 鉄人28号」として復活している。また1979年に放送されたアニメ「ザ・ウルトラマン」の人気を受けて、翌80年には「ウルトラマン80」が製作され、特撮作品でもにわかにブームが到来していたのだ。これらリバイバルブームの先鞭をつける形で放送されたのが、今回取り扱う「仮面ライダー(新)」であり、ブームの火付け役を担っていたと考えていい。本作の製作経緯として多くの書籍に残されているお話として、1975年(昭和50年)に終了した「仮面ライダーストロンガー」以降、シリーズの継続はない状況下で、1978年のテレビマガジン誌上において、仮面ライダーに登場した怪人の特集をしたところ、読者である子供たちに大反響となったという。そもそもテレビマガジン誌ではウルトラマンのウルトラ怪獣やゴジラシリーズに登場した怪獣などの特集を繰り返していたから、その一環として特集を組んだと思われるが、最初の仮面ライダーシリーズが放送していた当時に見ていた子供たちが、少し大きくなったところでこれらの魅力ある特集記事を読んだとしたら、子供たちはどれほど歓喜しただろう。実際に誌面を見ていない筆者でも、そう思う。そして歓喜した子供たちの人気の後押しを受けて、「仮面ライダー(新)」の製作を後押しした。こうして本作は、以前のシリーズを制作したスタッフの手によって、「仮面ライダー」は再びコンテンツとして日の目を見ることになる。

新たなスタートを切った「仮面ライダー(新)」は、かつてのライダーが多く客演する作品として知られているが、作品開始当初は「仮面ライダー」を踏襲する形でスタートしている。では何を踏襲して、何を改めたのか? このポイントを明確にするために、前回「仮面ライダー」初期の13話を振り返ったのである。

<大空の戦士の誕生>
 作品の製作経緯やら概要を前段で書いてしまったので、すぐに第1話のお話に触れてみようと思う。
 ハングライダーで空中滑降中の大学生・筑波洋(演 村上弘明氏)は、複数台のオートバイに追われている乗用車を発見し、ネオショッカーから逃げ出した志度博士(演 田畑孝氏)を助け出したのだが、その間に洋の仲間たち4人はネオショッカーの怪人カメレオジンに惨殺されてしまう。死んだ彼らを看取った洋は、憤って志度博士を探し出そうとする。そして謎めいた女性に導かれて志度博士と彼の隠れ家で再会した洋は、博士の口からネオショッカーの存在を聞く。だが隠れ家を強襲したカメレオジンによって、洋は瀕死の重傷を負わされる。日に5人もの若者を死に追いやろうとしてしまった志度博士は、その悔恨からカメレオジンに一つの相談を持ち掛ける。洋の人体改造である。その場に現れたネオショッカーの幹部ゼネラルモンスターの指示によって洋の改造が始まる。そして改造が完了した洋は、実験中に自ら変身方法を見つけ出し、ついに改造された体となってカメレオジンに戦いを挑み、これを倒す。そして洋は志度博士とともに、ネオショッカーとの戦いに身を投じることになる。

 この1話は仮面ライダーの誕生経緯そのものが物語となっている。本郷猛がその才能と能力を買われてショッカーに拉致されたのと違い、筑波洋はアクシデンタルな事情で、志度博士とネオショッカーに巻き込まれるように改造されてしまう。結果的に筑波洋が優秀な人材であったことと、人格的に正義の側に与する性格が、仮面ライダーとなる道を選んだことになる。1話を見ても続く2,3話を見ても、本郷猛にあった改造人間としての悲哀の要素は、筑波洋には感じられない。また物語当初から3年前に洋の両親は事故で死んでおり、家族を失った悲しみからも逃れている。これは「仮面ライダーV3」や「仮面ライダーX」にあった、肉親への情を契機とする復讐にかられることなく、正義に側に与する意志のみで正義を志している。悪へのアンチテーゼとして誕生した「仮面ライダーアマゾン」とも、自ら改造を志願して改造された「仮面ライダーストロンガー」でもない方法論で正義を志している筑波洋の姿は、ある意味で巻き込まれ方であるにも関わらず、その正義の志は一見すると説明も脈絡もない。共通するのはあくまで悪の組織に改造されていながら、悪のくびきから脱して正義を志す点であり、筑波洋はそのありようがすでに「正義の人」であったわけで、キャラクター設計がそも70年代にあったヒーローの呑気さの空気がまだ蔓延しているともいえる。だが思い返してみてほしい。「仮面ライダークウガ」(2000)の五代雄介はどうだったか? 「仮面ライダーオーズ」(2010)の火野映司はどうだったか? 物語の理由や事情ではなく、物語の過程によって仮面ライダーになることになった平成ライダーの姿は、実のところ70年代にすでにあった「すでに正義の人としてある」キャラクターの進化発展形だと考えることもできる。もちろんそのオリジンが筑波洋であると言い切るつもりはないが、少なくても仮面ライダーシリーズにおいては、後の萌芽が本作にあると見てもいいかもしれない。

 1話で見逃せないポイントとして、洋がどうやって変身ポーズを会得するか?という点だ。変身前の状態で戦闘員アリコマンドとの戦いのさなか、アリコマンドの頭をつかみながら、その手をぐるっと回す様子を見て、志度博士が「それだっ!」と叫ぶシーンは、なかなかに胸アツなシーンで、変身ポーズがシステム化されていた一文字隼人の2号ライダー以降、初めて他人から手ほどきを受けて初変身を果たす仮面ライダーを描いたことになる。もちろん本郷猛の1号ライダーの、バイクに乗ってベルトの風車に風を受けて変身するといった変身過程を克明に見せていくのとも違うし、変身ポーズを会得するために特訓した後の「スーパー1」とも違うわけで、ここは本作を特徴づけるポイントといっていい。

 そして1話にして登場する飛行能力「セイリングジャンプ」と、2話で初登場となる愛機スカイターボを使った体当たり技「ライダーブレイク」の見せ方もまた、他作品と差別化される本作の特徴である。飛行能力である「セイリングジャンプ」は設定上「重力低減装置」による能力であるが、地球上で自らにかかる重力を低減させると(浮くならわかるが)、なぜ滑空あるいは飛行できるのかはわからない。だがアップにも耐えうる飛び人形を製作し、実景との合成で表現される飛行シーンは、本作で初投入された東通ECGシステムにより、それまでの合成以上に見ごたえのある飛行シーンとなっている。もちろん今の目で見れば、なんてことはない映像ではあるが、東通ECGがその後の東映ヒーロー作品にも当たり前に登場するシステムであるので、その先鞭をつけた作品としても記憶にとどめておきたい。

 また本作で使用された菊池俊輔氏の楽曲が収められた「組曲 仮面ライダー」のジャケットにも使用されている「ライダーブレイク」は、敵のアジトや人質が囚われている廃工場にライダーが突入する際に多用されていく荒技であるが、この「ライダーブレイーーークっ!」で敵地に突入することで、敵地潜入や潜入前の段取り芝居に時間を割く必要がなくなっている。そう考えると、実に豪快な荒技であり、物語上の時間短縮にもつながるし、なにより戦いのファンファーレ的な効果も狙える、楽しい演出といってもいいだろう。

<ネオショッカーの狙い>
 さて本作の敵であるネオショッカーである。これまでのライダーシリーズの悪の組織同様、姿を見せない声だけの大首領の存在があり、その配下に幹部であるゼネラルモンスターが配置され、日本支部にて指揮をとっている。1話のカメレオジン、2話のクモンジンと、生物と人間の能力的な融合を目指した改造手術によって改造人間を生み出すあたりは、かつてのショッカーと同じであるし、肉体的あるいは能力的に優秀な人材を拉致したり、志願者を募ってみたりして人材を集めている。2話冒頭ではゼネラルモンスターの指揮によって、合成する動物の選択をしてみたり、それに見合う人材を決定したり、果てはクモンジンというコードネームの決定までゼネラルモンスターが行っており、幹部とはいえゼネラルモンスターの指揮権は多岐にわたっていると考えてよさそうだ。だがそんなお偉いさんであるゼネラルモンスターであるが、1話では筑波洋の死の場面に居合わせて、志度博士に譲歩して洋の改造を許可したり、2話では洋をとらえたクモンジンを退けて洋と直接会話したりしている、なかなかに腰の軽い人物である。

 その2話でゼネラルモンスター自身が語ったところによれば、ネオショッカーの目的はあくまで人口抑制にあるらしく、地球上の人口爆発によって食糧難になること危惧して、人類を優秀な人材だけを残して数を減らすことが目的らしい。食糧難を予測するなら、どうして食糧増産の道を選ばないのか?とか、優秀な人材をわざわざ改造しなくてもいいんじゃないかとか、改造人間がある程度増えていけば、それだけで食い扶持が増えてしまうなら、やっぱり食糧難になるんじゃないかとか、つっこみどころはたくさんあるが、とりあえずそういうことらしいw ただこれって「アベンジャーズ」シリーズに登場したサノスと同じエコテロリストなんじゃないかって思うのだけど、自らの指パッチンで全宇宙の人口を半分に減らしたサノスに比べれば、規模が小さい上にやり方が遠回りすぎる気がするネオショッカーである。

 さてそのネオショッカーの怪人であるが、クモンジン、カメレオジン、コウモルジンといったように、最初期は「~ジン」という名称で統一されており、仮面ライダー初期の「~男」を彷彿とさせるネーミングセンス。またタイツ地のスーツに揃いのベルト、上半身を中心にデコレーションされ、マスクの怪奇さに重点を置いている点は、往時の仮面ライダーと何ら変わらない雰囲気を醸し出している。このあたりはむしろ原点回帰を意識している点かもしれない。「仮面ライダーブラック」に登場したゴルゴムの、ストレートすぎる怪人像に到達するまでの、不気味さの通過点といっていい。面白いのは、特に初期の怪人に顕著ではあるが、改造素材としての動物の目と、改造される素体である人間の目が、両方あることが共通している。別に頭が頭の位置になくても、手足が無駄に多くの本数なくても、動物の目と素体である人間の目が両方あるだけで、これだけ気持ちが悪いのだ。しかも人間の目が素体の目の下に、デザインとして紛れ込んでいる印象が強い。動物側の目に目を奪われていると、その下に人間の目を発見した時のおぞましさよ。二度見するほどの驚愕と恐怖。これが初期のネオショッカー怪人の怖さの秘密の一端である。最初の仮面ライダーのように、夜に活動しなくても、ネオショッカーの怪人は昼の日中の太陽の中ですら気持ちが悪い。むしろ体色は明るい傾向があり、暗い場所での撮影には不向きであるから、夜の暗さがない分、怪奇性は薄まっているのだが、それだけに怪人のデザインセンスが、群を抜いて怪奇性をあおっている。またかつてはライダーの必殺のキックを受けて盛大に爆発していた怪人たちであったが、本作の初期ではまたもや技術や見せ方によって怪奇的な消滅方法を採択している。アクションも技の見せ方も格段のアップデートした本作だが、特撮や撮影技術で、倒された怪人たちが消滅する。これもまた怪奇性を狙った原点回帰だろう。

 ゼネラルモンスターについては、物語についてお話する際にするつもりなので、今回は触れずにおく。前回の盛大な前フリによって、「仮面ライダー(新)」の初期の説明がしやすくなったわけで、話の通りがよくなったと自負している。今回はあくまでもスカイライダーの初期の設定と見せ方について触れたので、次回以降は物語について順を追って語ってみたい。なにせ全54話という長丁場であるが、あと3回ぐらいで終わるかなと、自分のまとめ能力にも期待してみたりして。ましてや昭和の日を目前に控えて、はたして4月中に終わることができるか、はたまた夏まで持ち越してしまうのか。またれよ以下次回!
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