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仮面ライダー(新)~その2・Gモンスター 恐怖の正体!~


承前
 本作における仮面ライダーは、「スカイライダー」と呼称される。もちろん前回にもご紹介した重力低減装置による「セイリングジャンプ」という飛行能力ゆえだが、このセイリングジャンプが番組開始当初から足かせとなっていく。考えてもみてほしい。本来ライダーの移動手段はオートバイである。それが空を飛んでしまったら、オートバイに乗る理由がなくなってしまう。でもオートバイに乗るから「ライダー」のはず。しかも本作の特徴の一つである「ライダーブレイク」はオートバイによる荒技だ。仮面ライダーはスーパーバイク・スカイターボに乗る必然がある。つまり本作を特徴づける二大項目である「セイリングジャンプ」と「ライダーブレイク」は、二律背反の関係にあると見ていい。事実、本作のアクションを担当した岡田勝氏の弁によれば、このセイリングジャンプの能力を、ライダーのアクションに含めることに苦慮したというし、「ライダーブレイク」が物語展開的に有効であることは前回説明した通りだ。結果的に「セイリングジャンプ」自体の使用は、話を追うごとにどんどん目立たなくなる。

<初期の物語>
 1話は前回解説した通り。2話はスポーツ選手として著名な若者を拉致して、改造人間の素体にしようとするネオショッカーの作戦をライダーが阻止する話だ。拉致された青年は野球と勉強を頑張ったにもかかわらず大学受験に3度失敗したため、自暴自棄になっていたが、献身的な年下の弟とライダーの説得で更生する話。
 3話は拉致した子供たちから血液を抜き取り、その血液を使って毒ガスを作り出すネオショッカーの作戦を挫く話。この物語に絡めて、臆病でいじめられっ子の少年が、勇気を出すことの大切さを洋から教わることで、いじめられっ子を克服していく話が添えられている。
 また5話では旅客機ごと乗客となっていた科学者を拉致するネオショッカーだったが、科学者の一人娘の必死の想いに答えるライダーが、彼女を背負ってのセイリングジャンプでネオショッカーのアジトを暴き、拉致された人々を助け出す話。めすらしくセイリングジャンプが有効活用された一方、乗客が拉致された島で戦うライダーは、むりやりスカイターボを呼び出すシーンがあり、冒頭で説明したセイリングジャンプとライダーブレイクが、完全にコンフリクトしてしまった話だ。ここまでのネオショッカーの作戦は、改造人間の素体となる人間や重要人物の拉致であり、まだ社会混乱を狙った大規模破壊作戦は姿を見せない。すでに汎世界的に広がりを見せる組織であるはずのネオショッカーだが、物語開巻当初のネオショッカー日本支部は、まだ下地固めの時期だったのかもしれない。
 だが一方で6話にして仮面ライダー抹殺に動き出す。病院の看護婦に化けたキノコジンは、体の悪い少女を見舞う洋に近づき、暗殺の機会をうかがっては毒を盛ったり、胞子を散らして幻覚を見せたりといった方法で、洋を追いつめるといった趣向の物語で、キノコジンの胞子によって幻覚を見た洋が海に入っていく姿は、撮影の過酷さを思い知らされる。

 ここで本作の最初期のエピソードで、見逃せないお話をご紹介しよう。それが4話「2つの改造人間 怒りのライダーブレイク」というエピソードだ。この回に登場する怪人サソランジンは、要人暗殺用の改造人間ではあり、普段は人間の女性・美也の姿をしている。ネオショッカーに拉致されて改造されたことで行方不明になっていた美也だったが、とある大学教授の暗殺のために行動を開始したところを、たまさか通りがかった洋に見つかるのだが、同時に美也の妹にも見つかってしまう。妹の必死の説得にも応じない美也を不審に思った洋は大学教授を暗殺から守るために行動を開始するという出だしでスタートする。サソランジン=美也にはゼネラルモンスターによって仕掛けが施してあり、美也の持つペンダントによって操られていたのである。つまり美也自身は一部の記憶を消された上で、ゼネラルモンスターのコントロール下で暗殺を繰り返していたという。妹の気づきによってペンダントをいぶかしんだ洋は、ペンダントを破壊することで、一時的に美也を取り戻すのだが、ペンダントの破壊と共に消された記憶もよみがえってくる。自意識を取り戻した美也は、改造人間として自分が侵してきた暗殺を悔い、自殺まで図ろうとするも、洋に制止される。そして洋は美也に自らも改造人間であることを明かす。これに勇気づけられた美也は、同じ改造人間としてネオショッカーと戦うことを誓い、サソランジンの姿でゼネラルモンスターに襲いかかるも、アリコマンドたちの矢を受けて絶命してしまう。その姿を見て悲しみと怒りに震える仮面ライダーは、ゼネラルモンスターを追いつめる、というお話だ。

 このエピソードで重要なのは、前回でも書いた通り、本作で薄れがちであった「改造人間としての悲しみ」をエピソードの中心にあえて据えることで、本作がかつての「仮面ライダー」の地続きの物語であることを印象付けた点だろう。実社会に溶け込んでいるとはいえ、改造人間としての筑波洋はやはり孤高な存在であり、絶対に元の体に戻ることができない点においても、他の人間とは相いれない。実のところそれを他人が知ったところで、どうしてやることもできなければ、わかってあげることもできない、圧倒的な悲劇なのだ。美也が改造人間であったからこそ、その正体を惜しげもなくさらす洋の想いは、美也を悲しみから救いたいという願いだっただろうが、その一方で洋自身も美也という同志を得てうれしかったに違いない。だからこそ、サソランジンが惨殺されたことで、洋の苦悩と怒りと悲しみが、強敵であるはずのゼネラルモンスターを、あと一歩のところまで追いつめたのだ。なお、4話の中で洋はゼネラルモンスターを倒したように考えているが、どっこい生き延びていて、次回にもちゃんと顔を出して洋をせせら笑っている。

 一方第4話の裏を返したようなエピソードも存在する。第8話「ムカデンジンの罠 謎の手術室」というエピソードである。ネオショッカーに新たな改造人間の犠牲者が生まれようとしていた。だが改造手術の開始直後に事故が発生し、被験者はなんとか逃げ延びる。その男の名は進藤誠。脱走者となった誠は、ネオショッカーの悪事を未然に防ごうと、一人奔走するが、誰にも相手にされない。たまさか行きあった洋は、脱走者として殺害されそうになった誠を助けることになる。そして誠の事情を知った洋は、自分の正体を証し、二人でネオショッカーのアジトを強襲するために出かけていく。誠の導きによってアジトへと潜入する洋は、そこで数多く存在するネオショッカーの改造手術室の一つを発見し、破壊しようとする。だがそれはゼネラルモンスターが洋に仕掛けた巧妙な罠であり、誠の正体こそ、すでに改造されたムカデンジンであったのだ。そんな巧妙な罠を看破した洋は、逆撃に転じてムカデンジンを倒す、という物語だ。
 ここでも洋は改造人間、あるいは改造実験の被験者に対して限りなく優しいし、同情的である。しかも自分の正体を安易にバラしてしまう。この話の最後の肝である誠の正体に、洋がどうやって気づいたのかは、説明がないので何とも言えないが、心優しい洋があのまま罠に落ちてしまってもおかしくない、ギリギリの展開であったことは否めない。ネオショッカーの方もよくしたもので、洋の優しさを理解しての罠であるから、執拗に洋の優しさに付け込んでくる。本話は4話と対をなすエピソードとして記憶にとどめたい。

<スカイライダーの魅力>
 いまさらで申し訳ないが、ここで本作の主役であるスカイライダーの魅力について、少しだけ語ってみたい。さらに語るには、パワーアップ後に改めて。
 全体にシックな色遣いのスカイライダー。濃い緑を主体にしたカラーリングに、胸から腹筋にかけてのこげ茶色のボディ。胸よりもやや明るい茶系の腕部、肩側にやや伸びる蛇腹状のアーマーが目立つ。そんな中に真っ赤に映えるマフラーで、このマフラーは飛び人形では首元からかかと付近まで伸びる長いものだが、劇中ではさほど長くはなく、楕円形のマダラ状の模様が施されている。

 マスクは濃い緑よりもさらに暗い緑を基調とし、銀のクラッシャー(口)に赤い大きな目、額にシグナルと触角が施されている。この触角がユニークなのは、デザインした石ノ森氏の意匠を存分に取り入れており、かつての仮面ライダーのようなアンテナ状のものではなく、先に向かってやや太くなり、先端も赤く丸くなっている。また目の下にある隈取上ののぞき穴は、マジックミラーになっているため輝度が高い。以前の仮面ライダーのようにクラッシャーの部分で上下分割するマスクではなく、前後分割であるから、クラッシャー部分も自然とデザインが反映されている。マスクのもう一つの特徴は、左右両サイドに3つずつある太めのスリットと、後頭部の形状がストンと下に落ちており、バッタやイナゴの意匠がきちんと取り入れられている。これに類似するものを探すと、「仮面ライダーBlack RX」の後頭部だろうか。本作の公開当時から、スカイライダーはバッタではなくイナゴをモチーフにしているということだが、昆虫にさほど詳しくない筆者は、バッタとイナゴの何がどう違うのかわかりかねるw

 ライダーのメカニカル部分を代表する変身ベルトであるが、回転する風車を中心に、そのまわりに凹凸が施されており、かつてのライダーベルトよりもやや複雑なデザインが秀逸だ。そして本作の特徴となるセイリングジャンプを可能たらしめる重力低減装置が腰の両サイドにセッティングされ、上方に折りたたまれているスイッチを両手で下げることで起動し、スカイライダーを大空に羽ばたかせる。

演じる中屋敷鉄也氏の長い手足と細身ではあるがたくましい体躯によって力強く表現されるアクションの数々は、かつてのシリーズの歴代のライダーを演じてきた歴戦の勇士の姿の相似形であり、決してかつてのライダーの劣るものではない。そしてまた人間体を演じる村上弘明氏の長身で細身の体躯に、長い手足の印象は、まさに変身の前後で一体感がいや増すシルエットであった。演じる村上弘明氏はこれがデビュー作であり、大学在学中のデビューであったという。かつてのトーク番組で本人が語ったところによれば、主役デビューとはいえ俳優としてのギャラもまだ安かったため、ショッカー役の皆さんにはずいぶんと食事をおごってもらったという逸話が残されている。

そんな村上氏が演じる筑波洋という青年は、前回でもお話した通り、完全に善意と正義の人であり、これっぽっちの邪気もないように見える。ヒーローとなる以前からヒーローとしての資質を持っている青年だが、善良であるがためにコメディセンスにはやや乏しい印象を受けるし、他人を信用しすぎるきらいがある。前項でも説明した通り、容易に自分の正体を明かしてしまうあたりにも、一点の曇りもない正直さゆえに、8話の脚本の前提になっているようにも見て取れる。正義と善良さに持つ中に、仲間たちに見せるやわらかな笑顔と、ネオショッカーを憎む怒りの表情。この二つのコントラストが完全に人物の中に同居する、それが筑波洋の最大の魅力だろう。

<見た!Gモンスターの正体>
 13話まで登場した志度博士は、14話冒頭でネオショッカー対策会議に出席のために海外へと渡航し、代わりに志度博士の知り合いである「谷源次郎」という人物が登場する。この谷源次郎が、かつての立花藤兵衛と同じ役割を演じ、本作に続く「仮面ライダースーパー1」へと続くことになる。この谷源次郎さん、初登場となる14話では黒のトレンチコートに身を包み、ちょっとしたエージェント気取りでネオショッカーの捜査を進めていたが、喫茶店のマスターである普段は、明るい元気な中年男性であり、筑波洋の大学の先輩でもあるという。14話ではネオショッカーの作戦を未然に防いだり、15話ではアオカビジンの弱点をライダーに教えたりと、なかなかに活躍の場がある。

 このあたりからネオショッカーもライダー抑止を視野に入れながら、大規模な破壊作戦を展開し出す。9話ではスポーツ選手、11話ではスポーツ少年たち、12話ではクリスマスを過ごすおじさんたちなどを次々と誘拐し、あいかわらずの人材確保に励んでいたネオショッカーであるが、10話では石油コンビナートの爆破、13話では原水爆規模の爆弾を使っての東京爆破作戦、14話では猛毒細菌を風船に乗せてばら撒く作戦、15話では物体を溶かすアオカビを使って大地震を起こす作戦などを実行しては、ライダーに見つかって未然に防がれている。こうしてスカイライダーは着々と勝ち続けることになるが、その一方のネオショッカー、あるいはゼネラルモンスターは負けを強いられていくことになる。もちろんネオショッカーの大首領もこれを見逃さない。16話冒頭でゼネラルモンスターは、大首領からついに「赤目の贈り物」を贈られる。それはネオショッカーの最後通告のしきたりであった。ゼネラルモンスターはかねてより招聘した人体改造のスペシャリストであるプロフェッサー・ドグによって改造されたゴキブリジンを使い、殺人ゴキブリによる大量殺戮作戦を発動させる。もちろんスカイライダーによって作戦自体は未然に防がれるが、ゴキブリジンは対ライダー用に改造されており、ライダーの必殺キックをはじめ、ライダーの繰り出す様々な技をものともしない。だがゴキブリジンの強靭な体の秘密を知ったライダーの機転によって、ゴキブリジンは打倒される。そこにゴキブリジンもろともライダーを葬り去ろうとする新たな怪人の姿が。それはゼネラルモンスターの真の姿であるヤモリジンであった。そしてヤモリジンとの最後の戦いは、風雲急を告げていた。

 続く17話「やったぞ!Gモンスターの最後」を迎える。スカイライダーの能力計算に余念のないプロフェッサー・ドグ。そのすべてを計算したことで、ゼネラルモンスターの体は最強となる。ゼネラルモンスターはライダー抹殺のための罠をしかける。シゲル少年を人質に街中にライダーを引きずり出したヤモリジンだが、ライダーとのバトルの中で撤退する。その後、喫茶ブランカに現れたゼネラルモンスターは洋の仲間を拉致し、人質交換をタテに洋をヤモリ谷へと誘い出す。そして人質となった洋はバイクに引きずられ、他の人質もまたゼネラルモンスターの手に落ちた。だが一瞬のスキを突いてヤモリジンのムチで縄を切り、洋は脱出に成功! 大きなダメージを受けた仮面ライダーだが、スカイターボでのネオショッカーバイク部隊とのバイク戦を制す。勢い人質を助けようとしたライダーに、ヤモリジンは爆弾を投げつけて、人質ごとライダーの抹殺を計る。だが爆発の余波で怪我をするも一命を取りとめた人質たちを助けたライダーは、怒りと共にヤモリジンとの一騎打ちへとなだれ込む。激しいバトルの末、キックでとどめを刺されたヤモリジンはゼネラルモンスターに戻り、ライダー共に自爆しようとする。その時、虚空からの稲妻一閃! ゼネラルモンスターを撃ち、木端微塵となる。そして聞こえてくる声は、ネオショッカーの新幹部・魔神提督による、ライダーへの宣戦布告であった。

 ネオショッカー日本支部 初代大幹部ゼネラルモンスターはここに滅びた。途中死んだかと思われるほどにライダーの猛追を受けたが何とか逃れた後、衣装のマイナーチェンジを行い、左腕を義手にして登場する。左目を隠す眼帯には初登場時からすでにヤモリがあしらわれていたし、古くは狼男がゾル大佐の正体だったことを知っている子供たちにとっては、ゼネラルモンスターの正体はヤモリの改造人間だろうとは予想がつく。だがこのゼネラルモンスターなる人物、劇中では初期17話までと登場期間が短いが、かなり記憶に残る幹部キャラクターだったように思う。もちろん演じる堀田真三氏の怪演もさることながら、初期には長めの指揮棒をもってライダーを追いつめた人物でもある。ところが作戦を振り返ると、大規模破壊作戦を指揮するのは怪人に任せっきりだし、本人がしゃしゃり出てくる話は、ライダーを罠にかける話や改造人間の素体選びとか、そんな話の印象が強い。とすれば、このゼネラルモンスターの日本支部での役割は、日本支部を軌道に乗せるために、破壊活動などは怪人に任せることで、人材を確保していくことに専念したのではないかと推察できる。だとしたら、ネオショッカー日本支部の礎を築いたのは、まちがいなくゼネラルモンスターその人であり、その功績は讃えられてしかるべきである。ところが、前述の通りのこの仕打ちである。人材確保に東奔西走したゼネラルモンスターは、大首領から見限られて、自身が不必要な人材として抹殺されていったのである。これはまったくもって不憫極まりない話。漫画「新 仮面ライダーSpirits」でももう登場は見込めそうもない。まあ幹部交代劇がなんとなく2話連続で描かれただけでも、多少は救われたのだろうか。

 まだ前半に満たない17話までしかお話していないのに、すでに2回分を消化してしまった。どうにかして残り2回でスカイライダーを終わらせたいのだが、魔神提督登場後の18話以降は、シリーズのテコ入れ策が目白押しであり、触れておきたいお話もてんこ盛りなのだ。全54話の内の、まだ17話。しかも今回は劇場版の「vs銀河王」にも本文で触れようかと思っているのだが、このボリューム大丈夫かな? お願いですから、ついてきてくださいね。またれよ、以下次回!
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