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「超時空世紀オーガス」~その4・SFでお話を畳もう!~

承前

 桂とミムジィは逢瀬を重ね、ついにミムジィは懐妊する。アテナは特異点警護のためにグローマに着任する。ミムジィの懐妊で湧くグローマの人々。だがアテナはこれを認めない。桂は事の重さに思い悩み、一人オーガスでグローマを離れ、オルソンとアテナはこれを追う。だが3人は転移現象に巻き込まれる。見知らぬ世界で3人は流星雨に巻き込まれるが、事なきを得る。オルソンとの会話で、ミムジィを愛しているという桂の言葉に、アテナは幼き日の母の姿を思い出していた。桂の深い愛に気づき始めるアテナ。流星雨が迫る中、転移現象に突入する3人は、元の世界へと戻ってくる。帰還を喜ぶミムジィを横目に、アテナを素直に受け入れられないオルソンだった。(31話)

 お話的にはミムジィの懐妊というトピックがあるだけで、大したお話ではないのだが、特筆すべきは作画がとーっても美しい回で(笑)、正直申し上げて、どのシーンをとっても額縁に入れて飾りたいほど美麗なシーンが数多く散見される回だ。いまひとつ、桂とミムジィの逢瀬を頭っから描いており、本作の1話以上に濃密に書きこまれたベッドシーン(ミムジィの触手の動きとか、もう)は、当時の日曜のお昼にふさわしかったかは、はなはだ疑問が残る。だがこれを見せきってしまう上に、続くミムジィの入浴シーンに浴場で倒れるシーンなど、実に肌色が多めのなまめかしいシーンが続出する。エロアニメを見慣れた目でも、中々に赤面させられるシーンで、現在の地上波環境では、おそらく放送できまい。80年代って、おおらかで確かにいい世の中だったのですなあ、と感慨深くなるお話。

 リーグがチラムの協力によって開発した時空変換システムが完成の時を迎えようとしていた矢先、大特異点=時空震動弾に近づく物体があった。それは20年間の事故で吹き飛ばされたスペースアイランドが、楕円軌道で戻ってきたのである。エマーンとチラムの艦隊は軌道エレベーターへと移動する。海上に出たところで艦隊はムーのロボットに襲われる。桂はオーガスで迎撃。囮となってグローマを逃がす。グローマは低空飛行でジャングルに身を隠すが、そこに現れたのはジャビィの故国だ。喜ぶジャビィだったが、ジャビィの一族は全滅していた。それは相克界がレンズの役割となって猛烈な熱に見舞われるヒーターウォーム現象によって引き起こされた悲劇。これもまた時空混乱がもたらした事象であった。ジャビィはここで骨をうずめる覚悟をするが、桂に説得されてグローマへと戻る。そしてミムジィに問われた桂は、ついに軌道エレベーターへ向かい、時空修復へと決意する。それはミムジィにとっても桂との別れでもあるが、ミムジィも桂の言葉で腹をくくった。そこへムーの一隊が戦闘を仕掛けてくるが、桂とマニーシャの艦隊が追い払う。ジャビィは故国に別れを告げる。(32話)

こうしてグローマは時空混乱世界にいる様々な人にとっての「家」となる。さまざまな人種、種族、国家を越えて、グローマは一つの家族となり、一つの理想世界となる。そうグローマは混乱世界の縮図だったのだ。だから時に争い、時に衝突し、時に融和し、それでも寝食を共にして一つの目的に向かって一致協力する。これこそが共存共栄のあるべき姿だろう。SF設定ごった煮の世界設定は、その真実として、現実世界のあるべき姿を提示していたのだ。このメッセージ性は、おそらく当時見ていた筆者自身でも、ぼんやりと理解していたはずなのだが、いまさらになって見返して、思い知らされた。この物語が32話もかけてもたらした一つの答えが、この話に結集しており、本作に込められた作り手のメッセージはここにきわまる。

時空修復へと決意を固めた桂。オルソンはアテナが気がかりだ。グローマの人々も特異点による時空修復の結果がどうなるのか、計り知れないが、ジャビィは桂とオルソンを信じるという。そして修復後の世界に希望を持てと言い出したのは、他ならぬ大尉である。大尉もまたムーとの戦いを決意し、時空修復のために尽力するという。アテナは改めて特異点警護のためにグローマへと向かう。着任早々、桂と衝突するアテナだが、オルソンもまた時空修復を前に緊張を強いられていた。リーグの装置も完成目前であったが、リーグは自分の設計にない装置を見つけてしまう。どうも胡散臭いと感じたリーグは一計を案じる。そこにヘンリーの部隊が奇襲をかけてくる。単独で迎え撃つアテナ。窮地に陥ったアテナだが、後発の増援部隊に一斉攻撃でヘンリーは死んでしまう。負傷したアテナを見守る桂。桂の優しさは、アテナの頑なな心を少しだけ解きほぐしていく。だが看護に当たっていたモームの調子も思わしくない。モームのエネルギーもつきかけていたのだ。だが桂はそれお気にする余裕もない。一方工作艦ではリーグやチラムの技術者たちが装置の完成を祝う。だがリーグは見知らぬ装置が、外部から特異点を操る装置であることを見抜き、チラム側の本心を見抜く。(33話)

ついにエマーン・チラム連合軍は軌道エレベーターに近づきつつあった。回復したアテナは額の階級章を外し、エマーンの服を着る。それはアテナの変節を示したものだった。シャイナの通信と、やおら開かれるムーとの戦闘。戦いは熾烈を極める。桂とオルソンはわき目も振らずに軌道エレベーターを目指す。ミムジィは戦闘指揮のために身重の体をおしてディモーラで出るが、撃墜されてしまう。一方チラムでは、大特異点にスペースアイランドの衝突の危険性が高まっていた。たまさか森に不時着したモームはミムジィを助ける。それを見つけたアテナは一瞬の逡巡をしながらも、ミムジィを助けるために近づくが、ムーの攻撃で近寄れない。桂をおもんばかって、モームは自らの体にバイパスしてビーム砲を撃ってムーを撃退する。だがその代償にエネルギーを切らしたモームは死んでしまう。ムーの激しい攻撃によって、ついにグローマが落ちる。一方マニーシャの部隊が軌道エレベーターに取りつき、準備を始める。リーグも時空変換装置からチラム側のコントロール装置を取り外すことに成功する。(34話)

ミムジィを抱いたまま軌道エレベーターに到達した桂。マニーシャはミムジィの触手の様子から、出産の時を感じていた。その喜びを全身で表現する桂。尽きることなく増援されるムーのロボット兵。アテナのナイキックが時空変換装置を運んでくるが、ムーの部隊はエレベーター内部で待ち受けており、攻撃を仕掛けてくる。そこに現れたのは、大尉である。一人でムーの大部隊を相手に戦う大尉。モームを思い出しながら、ムーの攻撃に崩れてゆく。リーアとマーイもそれぞれの想いを桂たちに託して、ムーと戦っている。だが相克界との接触部分でもろくなっていたエレベーターは崩壊が始まる。その構造体の落下によってムーのロボットや戦艦を巻き込んでいく。桂とオルソンたちは相克界を突破。スペースアイランドが大特異点に接触するまで、もう時間がない。エレベーターの頂点に到達した桂たち。桂は涙ながらにモームの亡骸を宇宙へと流す。そしてオルソンはアテナと別れ、桂はミムジィと別れる。そしてアテナは桂を父と呼んで別れを告げる。時空変換装置で、スペースアイランドと接触する前に大特異点へと到達する二人。そこで桂たちが見たものは、20年前の事件の渦中にいた自分たちだった。そしてこの状況を整理するために互いに殺し合う4人。そして時空は修復される。それぞれが思い描いた幸せな時空を求め、それぞれの世界、それぞれの時空が、願った人々の世界を創造していく。(35話 完)

<時空修復とはなんだったのか?>
 35話の最後の状況を見ても、そも時空混乱がどうして起こったのか? 時空混乱が桂の願ったものだったのかは、まったく説明がない。わかったことは、時空震動弾の中ではなく、時空震動弾によって20年前の世界から切り出されたような空間(大特異点)に、20年前の桂とオルソンが閉じ込められていた。しかも大特異点から弾き飛ばされた桂とオルソンは、事件の20年後の世界に時間移動して、それぞれの時間を紡いでいった。桂とオルソンが弾き飛ばされた際のタイムラグの理由もない。理由はないけどそうなってしまった、と説明するしかないのだ。20年後の世界において、大特異点の中にいた桂とオルソンは、この時空の異端であったから、時空変換装置で大特異点にやってきた桂とオルソンは、二人を殺して時空混乱の原因を作った20年前の2人を排除することで、本来の時空修復が始まる。本作における時空修復とは、ざっとこういうものであった。

そして修復のなった時空で、驚くべき結果が姿を見せる。桂とオルソンが想像した時空修復とは、それぞれが幸せな結末を迎える世界が併存するのである。子供を抱いているミムジィはシングルマザーになっていたり、別の世界ではエマーン人となった桂とミムジィが子供挟んで笑いあっていたりする。アテナとオルソンが愛し合う世界もあるし、エマーン化したモームと桂が仲睦まじい様子の世界もある。つまり、桂やオルソンが想像する、すべての幸せの可能性が、それぞれの時空として併存するのだ。もちろん混乱世界のように隣接するのではなく、別々の次元のアナザーワールドであるから、それぞれの世界が交わることはない。まこと幸せな世界に見える一方、不都合な部分は別の時空にしてしまうことで切り落とすという、かなりズルい時空修復にも見えるが、それぞれのキャラクターの思い入れした当時のファンたちが、どのラストを選び取っても納得できるように展開されたと考えれば、これはもう十分すぎるほどのファンサービスにも見える。とはいえ、物語の中で桂とオルソンが思い悩んだような、どんな世界へと修復するか?という問いには、全く答えを出せていないばかりか、あるべきところにあるべきものが戻っていく、という修復であっただけで、桂とオルソンの思考が関与する話ではない。むしろそれぞれの幸せな結末ありきで多彩な時空が誕生したと思えば、桂が問題を起こさず、誰も傷つかない世界になった、というのは、本当に時空修復と言えるのだろうか?とは思う。世界は誰かの都合だけで成立しているわけではないから、それぞれの不都合も同時にしょい込むはずで、端的に言えばこの時空修復では、スレイの立場はどこへ行っても桂と衝突せずにはいられない。唯一モームと桂の世界だけは、ミムジィとスレイが結ばれる世界にもある可能性はあるが。アイシャが愛する人と結ばれれば、マニーシャはどうするのか?とか、ツッコミはじめたらキリがない。

<SFでお話を畳もう!>
 筆者は35年以上ぶりの再視聴となった「超時空世紀オーガス」であったが、思うさま楽しんだ一方で、どうして当時本作がなかなか跳ねなかったかの理由が、なんとなくわかった気がした。他のサイトでも書かれていることもあるし、マイナスを覆すほどの美点ばかりでもないので、きちんと指摘だけはしておきたい。

 まず第1にあげられるのは、メカニックの描写の問題だ。ロボットアニメでありながら、その戦闘が主にドッグファイトであった点をみれば、前作「超時空要塞マクロス」の影響下にあったことはうなずける。だが主役メカであるオーガスが人型であるゆえに、格闘戦があってしかるべきで、ほぼ足だけのイシュキック相手の戦闘では、それが楽しめるはずもない。ナイキックが登場するまで格闘戦はお預けとなるのだが、それでもミサイル攻撃を主とするオーガスの兵装では、そういった格闘戦にはなりにくい。メカデザインを担当した宮武一貴氏の弁によれば、味方を曲線で、敵を直線で描くことにこだわりをもってデザインしたため、通常のメカアニメのデザインラインとは真逆のデザインとなっている。それもまたメカの魅力を減じてしまった点かもしれない。2000年を超えた現在の目で見れば、それは卓抜したデザインセンスだといえるし、その変形も動かし方も、現在ではまた違った解釈も成り立つだろうことを想像すれば、現在の方が評価は高いとも思える。それだけに放送当時にはまだ早かった冒険だったかもしれない。

 次にあげるべきは地図や地名の扱いだ。本編の大半はグローマが旅をする物語なので、世界のどのあたりをグローマが移動しているのかがわかると、ロードムービーとしてもわかりやすかったはずだ。特に国の名前が変わってはいたが、土地や地形の名前が、現在のものをそのままフィードバックしている世界でもあるため、その固有名詞を追っていけば、頭の中に地図が浮かぶ人もいるだろう。これにさらに地図や地形図が表示されれば、なおよかったのだが、本作の文芸さんは、そこまで思考が回らなかったのか、あるいは時空混乱世界を、現在の世界にあてはめることを嫌ったのか、地図を示したシーンはごくわずかであった。そも軌道エレベーターがどこにあったのかも、劇中では後半にいたるまでわからなかったはずで、旅をする絵の一方で、場所や地名の概念が薄くなってしまうことが、本作自体をわかりにくくしている遠因かと思われる。

 そして本作最大の問題点はといえば、主人公・桂木桂のぶっとんだ性格設定だろう。現在ならラノベの主人公にもいそう(いや少数派だろうけど)な、女性のしりを追いかけているちゃらんぽらんでお気楽な性格は、たしかに混乱時空世界を渡り歩くには、深刻になりにくい一方で、深刻になりたいときにもなりきれないというキャラクター設定だ。当時のアニメ誌の記事にもそれは作り手によって指摘されており、それは本作の明るさの根源であるばかりか、本作の不謹慎な部分も受け持っているから、身勝手ともとられかねない彼の言動も、視聴者には入れ込めなかっただろう。彼をして、時空混乱を修復するための特異点としての使命を持たされても、物語上ではなかなか自覚しきれないまま、終盤までなかなか腹を決めることをしない。むしろ性格的にはオルソンのほうが主人公に向いているともいえるのだが。これもまた大人気だった前作を承ってのことであり、前作で人気を博した天才パイロットであるマクシミリアン・ジーナス(通称マックス)をフューチャーされたキャラクター(演じる声優も速水奨さんで共通)だけに、当時の流行り廃りとしては仕方ない。だがやはりこの性格ゆえに、物語は跳ねなかったと思わせる部分がある。

 例によって書くが、だからといって本作が見る価値もない駄作であるとは断言できない。その1でも指摘した通り、本作がSF設定のつるべ打ちでできており、世界観も設定も、きちんと練り込まれたSF設定があるがゆえに、放送当時から現在に至るまで、本作はひときわ異彩を放っているとも言える。本編を最後まで見ると、そのSF設定は、本作の隅々にまで行きわたっており、ライト感覚で読めるSFジュブナイルとしての側面があるから、その点では楽しめること請け合いだ。なにせ物語の畳み方まで、きちんとSF設定を踏襲しており、不可思議な光景を現出させ、時空修復をなんでもありの多層世界に書き換えるなど、物語開巻当初には想像もできない驚愕のラストを迎えたのであるから、これをSFだと評価しないものはいないだろう。クセは強いけど、ちゃんとSF。それが本作の味わいだと思う。わりと甘口だけどw

最後になったが、本記事を執筆中、仕事に向かう途中の車上BGMは、ほとんど本作のサントラ盤であった。とかくケーシー・ランキンの歌う主題歌やEDなどが取り上げられがちではあるが、本作の劇伴を担当したのは故・羽田健太郎氏である。順序からいけば、前作マクロスについで本作があり、次に劇場版マクロスへと移行する流れがある。本作のBGMを聞き込んでいけば、劇場版マクロスに使われたBGMの萌芽とも思えるメロディラインに、すぐに気が付くだろう。戦闘時にかかるレギュラーBGMといい、冒頭にかかる時空混乱の説明にかかる曲だとか、サントラ盤に収められた楽曲はさほど多くないものの、本編中で使用頻度の高い曲はきちんと網羅されているアルバムで、聴いているだけで作品世界を身近に感じる良アルバムである。

 本記事を執筆するにあたり、手持ちの書籍類を探してみたのだが、当時のアニメ雑誌におまけでついていた小冊子を見つけて、いろいろと参考にした。その一方で本作に関する資料が少ないことに気が付いた。本作はマクロス以降の「超時空シリーズ」ではあるが、製作会社はあくまで東京ムービー新社なのだが、ムック類はほとんど手元になく、本作自体を含んでいる書籍でも多くて1ページぐらいしか割かれていない。その一方でオーガスやナイキックをはじめとするロボットトイは、意外にも愛好されており、現在でも新規発売のアイテムがあるほどだ。主題歌をはじめとする音楽類の高い評価、ロボットアニメの愛好家によるロボットトイの評価に対して、ロボットアニメ作品としての扱いはやや不遇かと見られる「超時空世紀オーガス」。SF設定のてんこ盛りで、やや説明が不足気味で、劇中だけでは情報を得ることは困難な状況の作品だが、これとて放送中の情報を盛り込んでいる当時のアニメ誌が奇形的に発行部数を増やし、出版各社からいくつもの雑誌が発売されていた時期の作品だけに、こうしたアニメ誌の隆盛も含めた時代のムーブメントの只中にあった作品であることが如実にわかる作品であった。またモーム役の声優さんの声を聴いていると、今現在ならああした少女の甲高い声の女性声優など、掃いて捨てるほどいるのだろうが、あの当時は貴重だったのだと気が付けば、次回ご紹介予定の作品にも登場する少女キャラクターも含めて、女性声優のニーズを爆発的に増やしていく遠因だったのではないかとさえ思えてしまう。さて、次回ご紹介する作品は、なんでありましょうか?
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
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戦隊シリーズをこよなく
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特撮は主食、
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後期必殺を好み、
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ピカード艦長が大好物。
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