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「機甲創世記モスピーダ」~その1・ポスト・アポカリプスの人間たち~

 2020年の夏。みなさまにおかれましては、コロナ禍の中でどこにもお出かけできない状況下で、大変心苦しいのではあるが、それでもほんの心の慰めに、中野へ行ってまいりました。目的はとある展示会を見に行くためである。その展示は「機甲創世記モスピーダ展」だ。東京におけるオタクの聖地の一つと目される中野ブロードウェイの中にある「墓場の画廊」さんにて行っていた展示会で、7月31日~8月12日まで開催しておりました。展示内容は本作の設定資料の数々と、あとはグッズ販売でしたが、変形バイクのモスピーダやらレギオスのプラモデルが数多く販売展示しておりました。また8月11日には「エンターテインメントアーカイブα 機甲創世記モスピーダファイル」(ネコパブリッシング)が発売。プラモデルの作例写真を前半に、後半に多数の設定資料が掲載されている書籍であった。展示会でも書籍でも、かつてのモスピーダを製作していたメンツによる新作の構想が発表されており、コンテンツとしてはこれが目玉なのだろう。そんな状況下で、この作品を取り上げずにはいられないですねってことで、今回から「機甲創世記モスピーダ」を扱います。いやまったく単純すぎて、申し訳ないw

<作品解説>
 「機甲創世記モスピーダ」は1983年10月から84年3月まで、フジテレビ系列にて放送していた作品。製作は老舗「タツノコプロ」とその子会社である「アニメフレンド」。アニメフレンドはタツノコの子会社でありながら、独自の作品製作も行っていたが、この頃は韓国での作画作業の発注が主であり、当時常駐していたスタッフの仕事は韓国から送られてきた作画の修正だったというから、その仕事の内容も推して知るべし。とはいえ、現在のアジアにおけるアニメの隆盛を見るに、こうした働きかけも大いに影響していた可能性もある。放送当時から、本作の主要メカであるレギオスが、人気作「超時空要塞マクロス」に登場する可変戦闘機バルキリーと同じように3タイプに変形することがやり玉に挙げられていた。そうはいっても本作もマクロスも、海外展開の中で「ロボテック」という作品として統合されており、レギオスはバルキリーの後継機種として登場するという。しかも日本発のアニメーションとしては異例の大ヒット。日本国内よりも海外で評価の高い本作である。

 2050年に謎の生命体によって侵略を受けた地球。人類はその生命体を「インビット」と呼称し、戦い続けてきた。だが数多くの戦いを経て、多くの人類は火星へと逃れ、わずかな同胞を残したまま、地球はインビットの制圧下におかれてしまう。さらに2080年に地球奪還を目的に大部隊を編成してインビットに挑んだが、人類は負けてしまう。その3年後、第二次攻撃隊が組織される。すでに火星にて生まれた次世代が多く参加している。部隊の若き士官であるスティックは、恋人のマリーンに求婚し、OKを取りつけていた。作戦開始前の部隊長の命令は、地球に降下したら北アメリカにあるインビットの本拠地レフレックス・ポイントを目指すようにとのこと。そのために前回の作戦にはなかった新兵器が搭載されているという。その一つ可変戦闘機レギオスにて降下シャトルを先導するスティック。カニのようなフォルムのインビットの攻撃を受ける中、数多くのレギオンを輩出して、一人でも多く地球に降下させる攻撃隊。スティックと降下艇は一気にレフレックス・ポイントに向けて降下する。だがインビットによって特殊加工された大気圏によって、異常をきたしたレギオスと降下艇は制御不能となる。後続部隊も次々とインビットによって撃墜される中、スティックの乗っていた降下艇も撃墜されてしまう。スティックはどうにか地上に不時着。マリーンの想いを胸に、雨の中、悲しみに暮れるスティックだったが、レフレックス・ポイントを目指すため、可変バイク・モスピーダにまたがり走り出す。初めての地球の広さに、驚きを隠せない火星第二世代のスティック。一方撃墜された別の降下艇の中でモスピーダを見つけたレイ。インビットに襲われるレイは、スティックによって助けられる。しかも人型のパワードスーツへと変形したモスピーダの機動力や攻撃力を生かして戦うスティック。レイに状況を確認しようと質問するスティックだが、地球生まれで地球育ちのレイとは相いれない。だがマリーンからもらったペンダントをみて悲しい顔をする訳ありげなスティックに興味を持つレイだった。(1話)

 こうしてスタートした本作だが、物語の冒頭から驚きの展開を見せ、視聴者の興味を引くには十分な出だしだ。まず宇宙からの侵略者インビットによって、すでに地球は侵略されてしまっている。それが2050年の出来事で、火星や月で力を蓄えた人類は、その30年後に第一次攻撃隊、その3年後に第二次攻撃隊を組織してインビットに戦いを挑む。だが結果は惨敗であり、地球には逃げ遅れた人々と、地球に降下できた軍人が、インビットの勢力下で細々と暮らしている状態だ。時に2083年。つまりインビットの襲撃から33年が経過し、火星でも第二世代が育っている状況だ。そんな地球を知らない火星生まれの第二世代の若者が、本作の主人公の一人、スティック・バーナードである。作戦に失敗し、フィアンセを戦いの中で失い、失意の中で地球に降下したスティックは、それでも上官の命令に従い、インビットの本拠地と目されている、北アメリカ大陸にあるレフレックス・ポイントに向けてモスピーダにまたがり走り出すことになる。1話でレイ、2話でミント・ラブル、3話でイエロー・ベルモント、ジム・ウォーストン、フーケ・エローズを仲間とし、6人でレフレックス・ポイントを目指すことになる。

スティックは部隊やマリーンを失った悲しみを背負い、ミントは結婚相手を探し、ロードムービー的な物語であるが故、出会っても別れることもしばしばだ。チームの最年少13歳であるミントは、20話によれば家庭を顧みない両親によってさみしさを囲う少女であり、それゆえに結婚相手を探しているらしい。ジムもイエローも第一次攻撃隊の生き残りであり、それぞれに過去がある。フーケにしてもかつて暴走族の副ヘッドであった過去がありながら、チームを捨てた過去を持つ不良少女で、この即席のチームは、それぞれがなんらかの喪失感を抱えたまま、スティックにつき従っている。唯一物語の中でそうしたバックボーンが描かれないのがもう一人の主人公レイであるのだが、wikiによれば、放送当時に発行されていた小冊子には、母親をインビットに誘拐されたが故に、レフレックス・ポイントを目指しているという裏設定があるのだが、レイが劇中それを口にすることがないばかりか、スティックと意思疎通を行った形跡もない。なんというか、根なし草な感じのレイである。それでも軽い感じがしてもサバイバル術に優れ、チームのムードメイカーであるレイや、にぎやかなミントによって、喪失感だけでなく若者らしい勢いのあるチームであるのは間違いない。

<メカニックの魅力満載!>
 本作の魅力の一つは、なんといってもメカニックだろう。本記事冒頭で露骨なバルキリー変形すると揶揄した可変戦闘機「レギオス」だが、筆者の感覚でいけば、それはあまり否定語ではない。筆者はメカ好きなので、どうしても変形機構が気になるので、あらためて戦闘機形態のアーモファイター、中間形態(いわゆるガウォーク)のアーモダイバー、そして人型のアーモソルジャーと3形態に変形する機構をつぶさに見ると、その最大の違いは腕部の取り扱いにある。最初の「超時空要塞マクロス」に登場したバルキリーは、機体下部に中央に肩および腕部が格納されており、この位置はレギオスでも同じなのだが、中間形態のガウォーク形態時の腕の登場の仕方が問題だ。バルキリーは、機体横方向にスライドして外側に現れるが、レギオスでは後部にスライドしてから機体上部へとパタンと折れることで移動し、さらに翼部を下に折りたたむのに合わせて機体サイドへと肩が移動する機構になっている。(あ、わかりづらくてごめんなさい)こういうのってプラモデルでも機構が簡略化されたり、変形がプラモデルオリジナルになっていることがあるから、劇中の映像をつぶさに観察しないとわからないから、プラモと映像を両方見て初めて納得できる変形機構だ。これが「トランスフォーマー」だと、その変形機構を追うのがそもそもバカバカしい作業なので、それほど注視しないのだが、このバルキリー変形はメカデザイン担当の苦労がしのばれるポイントであり、メカ好きにとってはたまらないポイントでもある。

 また変形機構の面白さは、本作のメインメカである変形バイク「モスピーダ」にもある。こちらの変形機構も面白いが、比較対象が「メガゾーン23」の可変バイクぐらいしか思いつかない。それでも変形してロボットになるのではなく、あくまで人間を強化するバトルアーマーになる点が、本作の白眉の一つである。しかも作中ではモスピーダでインビットに立ち向かうシーンが数多く登場する。スティックたちが3話でジムが整備していたレギオスを手に入れることで、数多くのインビットに対して、ミサイルの一斉攻撃で撃滅することができるようになり、モスピーダ対インビット、レギオス対インビットもアーモファイターによる空中戦やアーモソルジャーによる銃撃や格闘など、戦闘シーンにもバラエティが発生している点は、本作のバトルシーンを盛り上げる面白さを物語っている。特に序盤に多く登場するサイズ感の違うモスピーダ対インビットの戦いは、苦戦を承知の中で果敢に戦うスティックたちと、インビットの弱点となる目を狙う作戦の見せ方など、充実したバトルシーンが演出されている。

<ポスト・アポカリプスの世界の人類>
 さて肝心の物語ではあるが、これもwikiにある通り、柿沼秀樹氏や荒牧伸志氏などのメカデザインなどのチームは「娯楽戦争映画」の世代であり、富田祐弘氏ら脚本家チームは「西部劇映画」であり、本作にはそのどちらもが反映されたものになっているため、柿沼氏はインタビューに答えて、「要素がバラバラ」であると断じている。特に柿沼氏は本作を「ノルマンディ上陸作戦」のSF版として構想しており、「占領下の村々を敵から開放しながら、敵本陣へと進撃する歩兵中隊の話」を描きたかったという。確かに完成作品を見れば、インビットに占領された地球に降下してきた青年が、仲間を増やしながら徐々に敵本陣へと迫っていくという筋立ては、変化していない。だがその途上の物語は西部劇のような物語が散見される。例えば3話「真昼の決闘コンサート」や21話「殺しのアルペジオ」は西部劇よりだし、5話「ライブイン・強奪作戦」や12話「要塞突破ブギ」などは戦争ものよりだろう。フーケの過去が暴かれる6話「突っ張り少女ブルース」は日本映画の不良ものの定番っぽい筋書きだし、イエローの過去に触れる11話「遠い希望のララバイ」は映画「カサブランカ」を想起させる内容だ。これをして要素がバラバラか?と問われれば、そういう味付けなんだと解釈すれば、別に問題点でもなんでもなく、作り手としては思い通りにはいかなかったことがしのばれるエピソードでしかない。だが、モチーフとして選ばれた「戦争映画」や「西部劇」だけでなく、多彩な映画をモチーフとしていることがわかるだけに、筆者のような映画好きな人が見ると、それなりに楽しめる作品なのかなとは思う。

 さてこの作品がよりSF色の輝きを放つ最大の理由は、単なる侵略SFというだけでなく、本作がすでに侵略されている状況から始まっていること。物語の進行上、主人公たちが訪れる街々が侵略者によって生活が脅かされており、街それぞれの都合によって、主人公たちに理不尽な展開が待ち受けていることだ。「終末もの」あるいは「破滅もの」として定義されるこれらのSFジャンルは、「ポスト・アポカリプス」と呼ばれる。このポスト・アポカリプスの状況下の地球で、人々の生活を脅かすインビットの存在により、どこの街も降下部隊の生き残りである軍人たちを冷たくあしらうばかりか、自分たちの保身のために、軍人狩りをしたり、軍人の情報をインビットに報告して自己保身を図る人々が散見され、そういった人々との軋轢が、本作の肝となっている。

 2話「失恋少女のマーチ」に登場する湖に浮かぶ街を筆頭に、3話「真昼の決闘コンサート」、7話「亡き勇者のラグタイム」など、これらの物語に登場する街の人びとは、インビットの支配下に置かれ、自分たちの自己保身のためによそ者を極端に嫌い、軍人が来ればインビットに売り渡すといった具合だ。もちろん彼らにも一理ある。火星に逃れた人々ではなく、彼らは逃げ遅れて地球に取り残され、自分たちの生活を守るために、自己保身を図るしかない。もちろん訪れる軍人たちに対して含むところはないが、生活の安定のために、軍人を売り渡してでも自分の身を守るしかない。とはいえ疑問もある。インビットに与したとはいえ、それで何か報酬があるわけでもない。見返りはあくまでも自身や家族の安全だけなのだ。だから実態としては、インビットの支配下の街は、いつ暴動が起こってもおかしくない状況なはずで、もし何らかの理由でインビットの支配下から逃れることができれば、状況は一変するはずなのだ。だができない。その強大さこそがインビットの力の支配なのだろう。

 7話「亡き勇者のラグタイム」ではジムがアルフレッドという老人に会うために、とある街に立ち寄るのだが、誰もアルフレッドを知らないという。どうも何か隠しているらしいと嗅ぎ付けたジムは、悲しい事実を知ることになる。かつて武器をもってインビットに戦いを挑んだ街の人々だが、武力での反抗は何も生まないと知ったアルフレッドは、それを止めようとして街の人々に殺されたというのだ。たまさかスティックの乗るレギオンとインビットの戦いの余波が街に及んだとき、街の人間は武器をジムに渡す。ジムはその武器をもってインビットを撃退するというお話。
続く8話「ジョナサンのエレジー」では、火星にいた時にスティックのあこがれであった軍人ジョナサンが、実は裏でインビットと取引をしており、優秀な軍人はインビットに殺させることで自己保身を図っていたことが発覚する。だがそれは軍人狩りによって命の危険にさらされたかつての降下部隊の軍人たちが住む街を守るためでもあったのだが、物語の終盤にジョナサンが死んでしまう。それを知らない街の人々は、まだジョナサンの威光にすがって生きていたが、そんな街をインビットの大群が取り囲んだところで物語は後和時の悪い終幕をみせる話だ。
11話「遠い希望のララバイ」では、街の実力者が大金と引き換えに、雪山を超えるルートの書かれた地図を渡す話があるのだが、そのルートの先にはインビットの基地が多数あり、人間は誰も山を越えられない。つまりその男はインビットを種に詐欺を働いていたのだ。だがそうやって得た大金も、一人の女性のために手を染めた犯罪であり、その女性こそ、かつてイエローを助け、女装することで軍人狩りをやり過ごしたきっかけを作った女性で、家ローの思い出の女性だったのだ。最後は男が大金をはたいて買ったレギオスをインビットに投げ出すことで、女性への愛の深さを示したのである。

先の文章にもあるように、本作がノルマンディー上陸作戦を下敷きにして、支配下に置かれた街の人々を開放しつつ敵地を目指す物語であるがゆえ、スティックたちが通りすがった街では、なんらかのインビットとの戦闘が行われるが、その街がインビットから解放されたかどうかまでは、それぞれの話でも異なるので何とも言えないが、ほぼほぼ解放されてはいない。だから彼らはスティックたちがどれだけ正義を説こうとも、自分たちの生活を守るためには、インビットに軍人を売るし、自己保身するだろう。いわゆる「水戸黄門」のような世直し旅ではないから、ロードムービーの体裁をとってはいても、その街の根本的な問題はまったく解決せず、スティックたちはできるだけ先を急ぎ、レフレックs・ポイントに急ぎ、インビットの本拠地を叩き潰すしかないのだ。だがスティックたち軍人の敵であるインビットにも、地球を侵略した事情があったのだ。次回は物語終盤に触れながら、インビットの侵略目的について考察していきたい。以下、次回。

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コメント

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No title

見てましたモスピーダ。得体の知れない敵インビットだとか、他の作品なら主人公ポジションのレイがサブ的位置で、逆にサブ的位置になりそうな軍人のスティックが主人公ポジだったりして色々意表をつかれた記憶があったりします。あとyoutubeの「【ゆっくり解説】機甲創世記モスピーダ」の登場キャラクター評が的確すぎて笑えますhttps://www.youtube.com/watch?v=Fsh1R7p2zVw

見ましたw

うめさん
 この動画、記事を書き終わった後で見ました。確かに、正鵠を射ている評ですよね。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
50歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
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特撮は主食、
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後期必殺を好み、
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