FC2ブログ

「機甲創世記モスピーダ」~その2・進化と闘争のタペストリー~

承前

 本作に関してよく取り沙汰されるのは、OPの映像の面白さだろうか。本作のOPの演出は、故・金田伊功氏が担当している。かねてより金田氏の演出するOPには定評があり、「サイボーグ009(新)」、「超電磁マシーン ボルテスV」、「銀河旋風ブライガー」「ふしぎ遊戯」といった作品のOPでも知られている。何が?と問われれば、カッコいい、としか形容しようがないのだが、タイミングにしろ、止め絵にしろ、大胆な解釈によるパースのつけ方、爆発や光線などのエフェクトなど、そのすべてが独特で、現在の目で見ても素晴らしいOPの数々だ。まさに異能という他はない。本作のOPに関して、スタッフの証言によれば、「設定画だけでよく作ったものだ」と言わしめている。つまり設定画をそのままセルに書き起こし、コンテに従って他の作画と組み合わせることで、あの傑作OPが出来上がっているというのだ。確かにOPの映像をよくよく見れば、現在発売中の「エンターテインメントアーカイブα 機甲創世記モスピーダファイル」(ネコパブリッシング)にも掲載されている設定画に酷似した絵が見られる。メカニックのほとんどは設定画から書き起こしているのがよくわかる。冒頭のモスピーダによるバイクチェイスのシーンの、めまぐるしく入れ替わるバイクの動きにドギモを抜かれるが、ラストあたりのレイやスティックたちの目の前で爆発する山に、宇宙の飛び立つ光の鳥だ。このあたりの作画の感じは、劇場作品「幻魔大戦」のラストバトルのシーンに酷似していて、よくよく時代を感じさせてくれる。金田OPはどの作品でも、いちいち止めながらソフトで視聴すると本当に面白いので、オススメです。

<インビット、進化の兆し>
 物語の冒頭からしばらくは、インビットの占領下におかれた地球の現状を、スティックをインターフェイスとして紹介している。前回も書いたように、ポスト・アポカリプスな状態となった地球で、残された人々の心はひどく荒んだものとなっている。そんな中で、火星に生きる人々も、地球に残る人々も、インビットが侵略者である以上のことを、誰も知ろうとしなかったのかは計り知れない。だが少なくても物語の上では、レイが自覚的にこのことを無視しているように見える。1話で登場し、すぐにスティックと会話を交わした上で、どういうわけか意気投合し、行動を共にするようになったレイ。前回も書いた通り、レイには他のキャラクターにあるバックボーンがない。どこまでも軽く、軽薄で調子のいい若者のようでいて、サバイバル術を身につけ、一人でこの世界で生きてきたレイには、処世術すら身につけて、他のメンバーとも上手くやることができる、柔らかなで開明的な思考を持っている。そんな彼だからこそ、インビットの謎も敏感に感じ取ったのだろう。

 最初にレイがその勘どころを発揮したのは、9話「ロスト・ワールド遁走曲」である。今夜の野営地を決めるにあたり、周辺を調査していたレイ、スティックとミントの3人は、インビットに追われて深い穴へと落ちていく。だがその穴の中に広がっていた世界は、地球上の地質時代の歴史に刻まれた、さまざまな時代の動植物が混在する、不可思議な世界だったのである。レイたちはこの話の最後にこの不可思議な空間を抜け出して事なきを得るのだが、その空間の意味を、レイだけは見抜くのだ。この空間はインビットの実験場で、インビットは地球という環境に適応するために、かつての地球に繁栄した動植物を再現し、それをトレースすることで、一族が地球環境に適応するために実験していたのではないかと推察するのだ。その後、ミントに乗り移ったインビットの女王レフレスの言葉によって、人類は進化の過程にある生物種であるという言葉を聞くレイは、自分の推察が真実である確信を持つに至る。

 さらに続く10話「戦場のレクイエム」において、人間型インビットであるアイシャが初登場するのだが、ファーストコンタクトを行ったのはレイなのだ。アイシャと名付けられるのは次の11話「遠い希望のララバイ」でのことだが、10話の中でアイシャに亡きマリーンの影を見たスティックは、3話のラストで女性であるイエローの同行をあれほど拒んだくせに、あっさりアイシャを同行させるのだ。

 このアイシャが本作の物語を畳むためのキーマンであるのだが、それがわかるのはまだ後の話。この時点でアイシャは、インビット部隊の接近を最初に感知し、彼女自身の頭痛によってそれを知らせる役目でしかない、頭痛の件もあり、直接には戦闘に参加しないため、一見すると足手まといでしかない。続く12話「要塞突破ブギ」にて、ついにレイやスティックたちは、インビットの要塞の中に突入し、カニ型のインビットの中に、素体が入っていることを知る。つまりカニ型のあれはインビットそのものではなく、インビットが操縦しているメカ(パワードスーツ)なのだ。さらに13話「砂嵐プレイバック」では、不可思議な夢を見るレイが、夢の中の不思議な体験から、インビットは何らかの理由で故郷の星を追われて、新たな故郷として地球を選んだが、自分たちの体が地球環境に適応できないために、よりよく地球の環境に適応するように進化をしようとしていると推察する。このように、インビットの進化への道標は、あくまでレイの推察でしかないのだが、物語上は真実として進行するので、レイの洞察力といよりも、物語の進行上、その役割をレイが担っていることが伺える。

 ではインビットは物語の中でどのような進化を遂げていくのか? 端的に現れているのは、メカニックとして登場するカニ型のメカだ。つまりところこのカニ型のメカは、インビットが中で操縦するのと同時に、素体を守り、地球環境へ適応するためのパワードスーツでもある。設定上は「バトル・ウォーマー」と呼称されている。
物語の最初期に登場したのは宙に浮いているタイプの「イーガー」とパープルに黒のラインが入る「グラブ」という2種類だ。スティックたちが主に機体中央部の目を狙って攻撃し、やっと活動不能にできるほど強固な外殻で、破壊されると中から緑色の粘着質な液体が飛び散る。この緑色の液体自体が、インビットの素体の死体なわけで、設定によれば酸素に触れると浸透圧と酸素の毒性で死んでしまうらしい。さらに物語が進むと、「ガーモ」という人型の機体が13話から登場する。レフレスによってグラブがガーモへと進化するシーンがあり、この時点ではまだバトル・ウォーマーを戦闘に特化して強化する方向性の進化を促しただけで、地球環境適応のために進化したのではないらしい。

そして16話「トラップ・レゲエ」の冒頭において、さらに進化した「ゴース」という機体が登場し、さらに素体のインビットも人間と遜色ない体を有し、ほぼ地球環境に適応する体を得るまでになる。それがバットラーとソルジイの2人だ。もう1体ファイドというのも出てくるが、それはさておき。それまでははっきりとしない存在だったレフレスですら、物語終盤では頭髪のない女性の姿となるが、身長は10mほどの大きさで、人間体とはやや異なる姿だ。こうしてインビットは着々と地球環境に適応するために、進化をしてきたのであるが、そのインビットの適応を阻むのが、地球人類なのだ。だがレフレスの言葉によれば、地球人類はまだ進化の過程にあるという。それは人類の姿を模したインビットもまだ進化の過程にあるということなのか、はたまた地球人類は地球環境に適応しきれていないということなのか? 二つの種族の、地球を巡る戦いの物語はまだ途上なのだ。

<仲間たちの肖像>
 本作の人気の一端を担っていたのが、イエロー・ベルモントだ。11話にあるように、軍人狩りを逃れるために、助けてもらった女性のアイデアで女装し、女性の発声も練習した後、女性シンガーとしてデビューし、各地でライブやステージを披露する。イエローの声優は故・鈴置洋孝氏と松木美音さんという女性アーティストが担当し、ステージで歌うときは松木さんが、それ以外の男性声は鈴置さんが演じられている。このキャラクターが素晴らしいのは、女装するに至った過去のエピソードの陰影の深さもさることながら、放送当時の80年代の日本において、男女の性差を楽々と越えてくるジェンダーフリーを見せることだ。劇中スティックがわざわざ言葉に出すように、「女性は足手まといだから仲間にしない」と言われて、あっさり女装を解いて仲間に加わるときの、あのさっぱりとしてきっぱりとした態度。スティック以上に仲間たちに配慮する心配りのできる大人としての自覚もよし、それでいて22話「ニューヨーク・ビーバップ」のように、歌や文化に対する信頼から、絶対に歌うことを捨てない真摯さも彼の魅力だろう。ジェンダーにこだわらない考え方があればこそ、人間でありながらインビットのソルジイに心を寄せていく展開もまた、彼の人となりを表すエピソードだ。

かつて発売されていたOVA「LOVE LIVE ALIVE」という作品があるが、イエローのコンサート風景を追いながら、イエローの回想として物語をダイジェストで魅せていく作品で、イエローというキャラクターの人気のほどがうかがえる。また本作には3枚のLPレコードが発売されており、1,2枚目は音楽集なのだが、3枚目は「ライブ・アット・ピットイン」というタイトルがついており、イエローのライブ録音の体裁をとっているアルバムとなっている。アルバムでは歌の合間のMCを男性声でしゃべっており、本編最終回以後の録音という設定かと思われる。お客さんをいじったり、飛び入りのゲストシンガーを派手に紹介して見せたりと、楽しいアルバムになっている。

 もう一人、本作で絶対に触れねばならないキャラクター、それはフーケ・エローズだ。年齢にして弱冠16歳。元暴走族の副ヘッドで、6話のように、敵対組織とのタイマン勝負に負けたことをきっかけに、想い人であったヘッドを見限り、街を出て一人でつっぱって生きてきた過去を持つ。物語によれば彼女がタイマン勝負をしなければならなかった事情は、敵対組織が仲間を急襲し、フーケの加勢に行くことができなかったためで、6話では敵対組織に一泡吹かせて、スティックたちとともに街を立ち去ることになる。

フーケの何がいいって、16歳の若さで、どこか達観したような思考で物事を見ており、男の事情に深く立ち入らないし、どこか古臭い感じのする女性なのだ。そのくせレイを相手にすると、レイと子供じみたやり取りをしてみたり、いちゃこらするシーンもあって、根なし草のレイがやけに突っかかるのがフーケであるのも、年齢や出自に親近感がわくからなのだろうか。最終回にてインビットに立ち向かう際、互いにかばうような思いやりを見せ、最後にはともに旅立っている。15話「仲間割れのバラード」は、スティックたちの関係性や絆が深まる、キャラクターの関係性としては非常に見どころのあるお話であり、この話を境に急接近するレイとフーケは、最終回を見れば、落ち着くべきところに落ち着いた感じがして、妙に納得してしまう。

なお脚本の富田祐弘氏が何かのインタビューに答えたところによれば、マクロスのミンメイは「松田聖子」、フーケは「中森明菜」をイメージして書いていたという。中森明菜のイメージは、あまりにも「少女A」や「1/2の神話」などに偏ったイメージだろうが、両作の脚本を書いた氏による二人の少女評は、実に言い得て妙である。なお前述のアルバム「ライブ・アット・ピットイン」では、フーケがほんの一部MCを務めた上で、「愛の小石」を披露している(まあ歌はお察しw)。MCの中でレイへの想いを吐露する箇所があるが、素直に言えないフーケの言葉の裏を読めば、レイに対してどれだけの信頼をおいているのか、如実に感じられて、妙にむずがゆいw

演じる土井美加さんは、当時「マクロス」では早瀬美沙役、「聖戦士ダンバイン」ではマーベル・フローズン役で名をはせた女性声優で、メインヒロインではなくサブヒロインを演じながら、筆者の中ではメインヒロイン以上に記憶に残る演技を披露する声優さんであったため、いまだに筆者のリビドーを刺激し続ける、罪な女性なのである。

<物語の行方、インビットの進化と決断>
 14話「ミントの結婚行進曲」のラストで、チームを離脱して、村の希望ある少年と結婚するミントだが、続く15話の終盤で電撃離婚の末にチームに復帰する。前述の通り、15話はチームとしてはターニングポイントとなるお話で、インビットに追いつめられて古い地下鉄に閉じ込められたスティックたちが仲間割れするお話だ。彼らのメカニックのエネルギー源であるHBTに反応するために、常にインビットに追われる生活は、メンバーに過度なストレスを与えており、特に気の弱いジムは、いつも時間に追われるメカニックの整備と相まって、軍人として命令口調のスティックと衝突することになる。かつて第一次降下隊として地球に降りながら軍人としては何も果たせず、しかも食い扶持を稼ぐために軍人になったジムにとっては、スティックたちとのレフレックス・ポイントへの旅路は、ストレスでしかなかったわけだ。これを機に不満が爆発し、フーケもまた離脱しよとする。

劇中3話でチームに加わるフーケだが、フーケがそれを宣言するシーンもなく、なんとなくチームに加わったフーケにとってみれば、スティックに同行することにさして意味はないわけで、フーケと話すレイも止めようとはしない。なおこの時、レイはフーケがイエローかスティックを好きだからついてきているといった、恋愛脳的な勘違いを見せるが、その実、フーケに気があるレイもおだやかではいられなかったのであろう。フーケはチームを気に入って同行しただけで、どこか男気あふれる感じなのだが、レイはデバガメにも程がある邪推をもって、フーケの心境を推察しようとしたらしいのが、実に面白い。結局レイの機転で地下鉄を脱出した5人だが、それぞれがそれぞれの役割で脱出したことを顧みて、チームワークを取り戻し、結局は元の鞘に収まるというエンドだ。

 前述のように16話冒頭で進化したインビット、バットラーとソルジイが登場。16,17話はこの二人がスティックたちを追いつめていく過程で、ソルジイがイエローと出会うシーンが登場する。ここで敵対行為にならず、互いに美しいと認識したイエローとソルジイは、互いの存在を意識し始めることで、インビット側に変化がもたらされる契機となる。また16話で南米を出て、チームは北米大陸に上陸する。
18話はまたも第一次攻撃隊の生き残りの老人たちのお話で、街外れに墜落した戦艦の中で暮らしていた老人たちが、スティックたちと出会うことで、軍人としての役目を思い出し、インビットの要塞に特攻することで、スティックたちに逃走ルートを示して死んでいくエピソードだが、このラストで月基地から第三次攻撃隊が準備に入っていることを知る。雪の中の放棄された街で一休みしてみたり(19話)、ミントの過去に触れながら、ミントの誕生日を祝うついでにインビットを撃退してみたり(20話)、北米大陸を北上し、確実にレフレックス・ポイントへと近づくスティックたち。

続く21話「殺しのアルペジオ」ではレニー・ボーイという名の軍人専門の殺し屋が登場する。たまさか合流した他の降下チームと共に、レニー・ボーイを倒すためにモスピーダで出かけていくスティックたち。それ以前にたまさかレニーと行きあったレイとフーケは、彼が殺し屋だと知らずに怪我をしたレニーを助ける。その時レニーの右半身が機械化されているのを見ても、深く詮索しないフーケだったが、襲撃してきたインビットがレニーの指示で撤退する様を見て、レイはレニーを問い詰めるが、軽くあしらわれてしまう。だがフーケは知る。レニーの右半身はインビットの実験体として切り取られ、代わりに機械の体を取りつけられた上、軍人100人の命と引き換えに半身を返すというのだ。雨の降りしきる中、ついにまみえるレニーとスティックたち。追いつめられるスティックの前に立ちはだかるフーケはレニーに殺されることを覚悟する。だが生き残りのインビットの攻撃に巻き込まれ、帽子を残してレニーは死んでしまうという物語だ。

この話が無残なのは、インビットはおそらく人間という種を知るために、レニーを利用したのだが、インビットにしてみれば貴重なサンプルであるレニーの半身を、たった100人の軍人の命のかわりに返すとは思えない。それはインビットが卑劣なのではなく、単にインビットが如何に人間の細胞や進化に強く興味を持っていたかという話であり、なかば自暴自棄になっていたからこそ、レニー・ボーイの悲しさも際立つ。前回の話の通り、ポスト・アポカリプスの世界で、これほどまで悲劇的な人間が、本当にレニーだけだったとは思えない。スティックの敵は、なにもインビットたちだけではなく、インビットの支配によって心を脅かされてしまった悲しい人々もまた、戦うべき相手だったことになる。

続く23話の冒頭、インビットの女王レフレスが語るシーンがある。それによれば、インビットが地球に降下して以来、地球環境に適応するために、あらゆる手を尽くしてきた。その結果、人間体こそがこの星で生きる最適な形態であることを知り、さらに人類の精神的メカニズムを学ぼうとしているというのだ。つまり前回登場したレニーにしても、人間の生体組織を手に入れて人間の研究をしていたが、それも最終段階に達しており、インビットは人間の精神を学ぼうとしているのだ。

そんな中、レフレックス・ポイントに集結しつつある軍人は総勢約2000名。レフレスはそのことごとくを抹殺するよう命令を下す。生き残りの軍人の中で、従軍カメラマンであるシノブは、シンクロトロン砲をインビットから隠していたが、スティックたちはそれを逆に囮に使い、インビットたちをおびき出して殲滅する作戦に賭ける。作戦は成功するが、人間型のインビットが緑色の血を流して死んでいるのを見る。だがアイシャもまた怪我をした腕から緑の血を流しているのだ。この時点でアイシャがインビットだと発覚する。

そして迎える第三次攻撃隊は、まず先遣隊としてすでに降下したスティックたち残存勢力によって、レフレックス・ポイントを内部から攻め落とす作戦を決行する。作戦にあたりスティックはレイとフーケとミントに別れを告げる。軍人でない3人に感謝しながら、彼らは3人をおいてレフレックス・ポイントの内部へと侵攻する。一方アイシャは出撃前のバットラーとソルジイに、人類との対話を提案する。揺れるソルジイに対しすげないバットラー。レイとフーケはたまらずスティックたちに加勢するために飛び出していく。そこで二人が見たのは、春と秋の自然が混在する不可思議な世界だった。お構いなしにインビットの攻撃はレイたちを襲う。スティックやイエローも戦っている。そんな彼らの前に、エネルギー体となって現れるアイシャは、彼らをレフレックス・ポイントの中枢へと導いていく。ついにレフレスのもとへと辿り着くレイやスティックたち。そこでアイシャが語るインビットの秘密。それはかつての故郷を失い、「レイトー」の導きに従い地球へ到来したという。インビットはこの星で静かに暮らしたいと願っていたが、この星の先住民である人類は、「シャダウ」に囚われており、この地球環境を破壊しようとしていた。インビットは@シャダウ」を否定する種族であるため、人類を排除し、地球環境を再生するために戦っていたというのである。ならば互いに歩み寄り、対話によって打開策を切り開くべきだと問いかけるアイシャだが、レフレスはそれを否定する。すでに第三次攻撃隊は地球に近づきつつあった。(24話)

だが宇宙での戦いは熾烈を極め、互いの損耗は激しいため、共倒れの危険性まで帯びてきた。業を煮やした攻撃隊は、レフレックス・ポイントはおろか地球環境を破壊してしまう荷電粒子ミサイルの発射準備をはじめる。だが過去2回の攻撃を退けたレフレスは一歩も引こうとしない。焦るイエローたち。バットラーを倒しに出撃したスティックは、撃墜されるもアイシャに助けられるが、インビットを憎むあまりアイシャを退ける。そんな荒んだスティックの心を、見透かしてなだめたのはレイだった。そう、もはや誰もがわかっていたのだ。敵はインビットではない。「戦い」そのものが憎しみの連鎖を引き起こし、その連鎖を断ち切ることができない限り、悲しみは広がり歴史を重ねてしまうことを。それはインビットの考える良き進化ではない。再三のアイシャやイエローの訴えに従い、レフレスはついに地球を退去し、次なる星へと移動する。その位置を定めるために時間を稼ぐレイやスティックたち。そして荷電粒子ミサイルが発射され、地球も危ういというタイミングで、レフレスらインビットは数多の光となって宇宙へと飛び立ってゆく。荷電粒子ミサイルを消滅させて。こうして地球は救われ、人類はふたたび地球へと戻ることができるようになったのだ。(25話)

<戦いはだれのために>
こうして「機甲創世記モスピーダ」の物語は終了し、エピローグとしてイエローのコンサートを背景に、それぞれがそれぞれの道へと再び歩みだすところで、物語は終わりを告げる。スティックは火星へと帰り、ジムは地球に残り、レイとフーケはともに走り出す。イエローはカミングアウトして終幕となる。

 結局ところ、インビットと人類の戦争は、地球の自然環境を取り戻したいインビットと、環境破壊を進める地球人類の、互いの事情を知らなかったが故の相互不理解により起こった戦争だといえる。とはいえ人類を知らないインビットにとって、自分たちの住みかである地球環境を破壊しつつあった人類の状況が、信じられないものだったろう。地球環境の敵である人類を滅ぼして、地球の首座にインビットが変わることで、地球環境がよみがえるのなら、それを免罪符として人類を抹殺することをよしとする。本来「シャダウ」を否定するインビットがわざわざ「シャダウ」を持ち出して人類と敵対する理由だ。しかもインビットの進化の過程でバットラーを進化させていることから考えても、インビットは「シャダウ」を優先的に進化に組み込もうとした。それは人類の精神的な情報を手に入れたことによってバットラーの進化が促されたのだとしたら、この罪は人類が背負うべき罪だろう。むしろインビットは人類と接触すべきではなったかもしれない。

 だが戦いは戦いを産む負の連鎖を正しく理解したインビットの女王レフレスは、結果的に地球を放棄して、新たな大地へと旅立つことに決めた。それこそ直面している戦いの負の連鎖を断ち切るための方法だからだ。だが地球人類はその業から逃れることができないまま、本作の放送から40年以上が経過しようとしている。今のところ地球人類は、この星以外では生活できない生命体である。インビットのように地球を旅立つことができないのなら、インビットのように「シャダウ」を否定するしかないのだが、闘争という名の「シャダウ」もまた、人間の業だと理解するとして、この世界の国同士の、人同士の闘争はなくなる日が来るのだろうか?

<でもねw>
 約40年ぶりの視聴で、中々に楽しい視聴だったが、それでも問題がないわけでない。ただこういった話は、どうやら80年代アニメ作品の特徴のような部分もあって、それ自体を全否定するのは、あの時代を生きたものとして少々気が引けるのだが、(たぶん見ないだろうけど)お若いかたが本作を何かの事情で見る際の言い訳ぐらいは残しておきたいと思い、書き残しておく。

 まず説明が不十分でわかりにくい。これは前々回に扱った「超時空世紀オーガス」でも言えたことで、この時代の作品に共通して言えることかもしれない。特にキャラクターの名前のテロップがない。また見ていると、セリフも理由もなくチームに合流しているフーケあたりをみていると、流れはわかるが台詞が欲しいし、そのための尺が足りてないのだ。このあたり最大の理由として考えられるのは、当時数多く出版されていたアニメ誌だ。設定や物語、キャラクターの名前や性格設定まで掲載してあり、情報誌としての側面が強かったのだ。それゆえ、どの雑誌を見てもそこそこ同じ情報が載っているし、アニメファンはほとんどが何らかの形でアニメ誌を目にしていたから、基本設定を本編で見せるような段取りを本編中でやるのは、なかなかに野暮ったかったのだろう。だがその作品の情報をカットして真摯に見れば、やはり説明不足を感じてしまう。ほぼ80年代の弊害ともいえる。

 本作を最初から見ていると、スティックが最初に南アメリカ大陸のどこに降下し、レフレックス・ポイントがどこにあって、どんなルートでポイントに向かっているのか、考えたことはないだろうか? これも「オーガス」の時に指摘したことだが、説明用の地図がないのだ。それでも本編に一度だけスティックたちが移動したルートが出てくるシーンがあるが、それに確証が持てるキャラクターはレイとフーケだけだ。とはいえその1回だけで放送中に見逃した人がいれば、理解できるものでもない。また劇中ニューヨークやカリブ海が出てくるため、なんとなく位置関係がわかる回もあるにはあるが、少なすぎるだろう。あるいは劇中に実際の土地の名前をもっと出してもよかったと思うのだが、ゆえにロードムービー的には見どころが薄いのではなかっただろうか。

 3段変型の可変戦闘機にオプションパーツ。可変バイクとパワードスーツ。すでに侵略されてしまった地球となぞの異星人。異星人の侵略動機と環境破壊。ポスト・アポカリプスの世界で生き残った人々など、SF的要素にあふれた本作は見どころも多い。なんでも本作の関連作が、当時の設定スタッフによって準備中だとのことで、前述の関連書籍にも設定画が掲載されている。同じ世界観を共通する作品であるから、これを機に本作をご覧になるのはいかがだろうか。金田伊功氏の作画によって著名はOPであるが、楽曲やOPだけでなく、本編もまた楽しんでほしい作品です。

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
50歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitterやってます!

カレンダー
09 | 2020/10 | 11
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
namima2のつぶやき
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
リンク(リンクフリーです)
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
FC2 Blog Ranking
フリーエリア
blogram投票ボタン
ブロとも一覧

あにめにゅ~す の あににゅ

分水嶺

素足のアイドル達

有名人の珍言・名言集

宮廷アリス

TOY BOX
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

[FC2 Analyzer] http://analyzer.fc2.com/ -->