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「機動戦士ガンダム TV版ストーリーブック」~お世話になりました~

今回はちょっとだけ趣向を変えて、古い書籍の書評をしてみたいと思う。まあ書評といっても、ケチのつけどころなんかない古い書籍で、今回はその書籍に感謝の意を申し述べたいと思い、本記事を書き始めている。さてその書籍であるが、1981年3月に刊行を開始した「機動戦士ガンダム TV版ストーリーブック」である。この書籍名を読んでピンッときた方は、それなりの年齢だとおみうけする。筆者がこの本に初めて触れたのは、小学6年生になる直前の春休みに、たまさか立ち寄った駅の売店で見かけた時で、親にねだって買ってもらったのが最初だ。この本はTV版「機動戦士ガンダム」(1979)の全43話を、全4巻で構成している本だ。1シーンを一コマとして掲載し、一コマごとに作中の台詞や状況のキャプションがつけられており、物語を再構成している。

上記の構成を読んで、いろいろ思い出すむきもあるだろう。80年代に流行した形態の本で、フィルムブックなどと呼ばれるものもあり、当時は劇場用映画やTVアニメもあるし、アニメ誌でも毎号連載として一つの作品をとりあげて、まるで漫画の紙面のように作品を再構成しているものもあった。発売されていたものでいえば、「風の谷のナウシカ」「機動戦士ガンダム劇場版」「AKIRA」など、枚挙にいとまがない。文庫サイズで「ルパン三世 カリオストロの城」を全6巻で構成したものもあり、1シーン1ページとなっており、1シーンが迫力ある画面として見るものにせまる名著であった。

 本書を見ると、カラーのページでは各話の各シーンが、あますところなくページいっぱいに展開され、しかも名シーンのオンパレード。表紙を開いてすぐは大河原邦夫氏や安彦良和氏による折り込みポスターが掲載されており、お得感がすごい。後半のモノクロページには、設定資料が掲載されており、それぞれの巻に登場したキャラクターやメカニックの設定資料が収められている。当時、ケイブンシャから発売されていた手のひらサイズの大百科シリーズも、子供のころの筆者には、設定好きなだけに重宝した。大判のロマンアルバムシリーズなどもあったが、シーンはあくまでピックアップであったため、画面だけで物語を再構成していたのは当時は本書だけだった。

 「機動戦士ガンダム」という作品を、深読みを承知で読み解くにあたり、各シーン単位での力強さを感じざるを得ない。どうしても見逃してしまう短いシーンも、本書にてすくいあげてもらったことで、見直すことができないシーンを見直すことができる。発売当時はまだビデオデッキの普及率が低く、我が家にもまだない時代の話だ。しかもレンタルビデオ店もなく、大きな繁華街の大型書店のはじっこで、所在なさげに売られていたアニメのビデオカセットを、うらめしげに眺めるしかなかった頃のこと。筆者はこうしたフィルムブックと、カセットテープで録音したTVの音声とともにこれらを所持することで、初めてその作品を「自分だけのもの」にすることができたと実感したものだ。本ブログでは毎度よく出てくる話だが、ラポート社より刊行していたアニメ誌「アニメック」誌上で連載されていた、池田憲章氏による「日本特撮映画史 SFヒーロー列伝」が、どれだけ貴重な記事だったか。それを思えば、アニメのフィルムブックとカセットデッキでのTV音声の録音は、筆者にとって神器にも等しいアイテムだった。もちろんそれは80年代中盤にて我が家に導入されるビデオデッキによって置き換わっていく。だがそれまでの長年の飢えや乾きは、こうしたアイテムによって癒されていたのである。

 本書をあらためて振り返ると、各シーンについているキャプションを読み進めるだけで、物語が再構成できるのは、匠としか言いようがない。1コマにつけられているキャプションの文字数は決して多くはない。それでも必要最低限の文字数で、次のコマへと移動させ、物語の連続としてキャプションを読ませていく。これがどれだけ至難の技か。毎度物語の解説に余分な情報を入れ込んでしまうクセのある筆者にとっては、この文字数制限の中でのキャプションの難しさに、心底感服してしまう。誌面を構成するにあたり、本来のフィルム(コピープリントですけどね)にハサミを入れて切り出していく、この面倒極まりない作業を、全43話分やってのけているのだ。もう本当にそれだけで恐れ入る。高校生時代に8mmフィルムで映画を作っていた身としては、フィルムにハサミを入れる快感と喪失感は格別のものだから、さぞ大変だったろうと思う。

 実のところ、ガンダム放送当時にサンライズから出版されていた「機動戦士ガンダム記録全集」という本が似たような構成の本としてあったが、中学生当時の筆者には、なかなか手が出ない高価格なシロモノだった。だがストイックなまでに各話のシーンや物語に注力し、製作サイドのスタッフやキャストのインタビュー記事などをすっぱりと切り落として、作品に密着した印象の強い誌面作りは、現在の目で見ても好感が持てる誌面だと思う。しかもフィルムブックの体裁の書籍がほぼ絶滅してしまった今となっては、各話ストーリーが短い文章で掲載されていたとしても、これに勝る各話解説などないのだから、この本がどれだけ当時のファンに愛されたかは、推して知るべしだろう。それがなんと当時1冊950円。今となっては安いといわねばなるまい。

 再放送でも見逃してしまった7話「コアファイター脱出せよ」や11話「イセリナ、恋のあと」18話「灼熱のアッザム・リーダー」などを補完したのは、この本だった。再放送だって見逃せば、次はいつになるかわからない。もうそれだけで感謝することしきりである。その後にTV版の視聴のお供に、劇場版とのシーンの対比にも、この本は大変役立つ本で、いまなおその価値はいささかも減じてはいない。誌面構成として印象深いシーンや、情報量が多いシーンの場合は、コマの大きさが変わる。だからといって他のコマの大きさを奪うことなく、誌面がカチっと構成されている感じは、几帳面な編集各氏の人柄まで伺える。実は劇場版ガンダムや劇場版イデオンも、まったく同じ紙面構成が採用された本がある。古本屋での今後の出会いを楽しみにしつつ、いつかそろえてみたい。この本の奥付には、発行者の名前はあっても、編集スタッフの名前がない。人づてに、この本は氷川竜介氏の仕事だと聞いたことがある。氏のアニメや特撮に関する記述を読むに、それは多分事実なんじゃないかとは思うのだが、真実はどうなんだろうか?
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
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