バンクはロボットアニメの華~GEAR戦士電童~

 昨今ロボットアニメが少ないとお嘆きのあなた。わたしも激しく同意します。こう、なんていうか、心から熱くなれるロボット物が見たいやね。めげたってくじけたって、それでも前だけを見つめて走るような少年が、熱い展開のドラマを見せてくれる。暑い夏だからこそ、ホットなカレーが食べたくなるように、熱いドラマが見たくなりませんか? 今回は問答無用に熱くなれるロボット物をご紹介しよう。それが「GEAR戦士電童」である。

 「GEAR戦士電童」は、2000年10月から翌年の6月まで、テレビ東京系列で放映されていた番組である。製作はサンライズ。ある意味でロボット物の老舗であるから、まったくなんの疑問も持たずに見られるでしょ? 当然バンダイのおもちゃとのタイアップ作品であるが、これがまた2000年代に放映されていた物とは思えないほど、そのギミックぶりがイカしている。両手両足にタービンがついており、手足の伸び方向を軸にして激しく回転するのだ。DVDなどのインフォメーションなどで見られる宣伝映像などを見ると、足のタービンを回しながら横方向に移動したり、両足を開いたままでタービンを回転させることで、胴体を軸に回転する映像などが見られる。また顔にもフェイスガードのようなマスクがついており、この開閉ギミックにより、顔の表情が2種類楽しめるようになっている。

 こんなおもちゃロボットで、ロボットアニメがまじめに作れるのかと思っていたのだが、これが本当に面白かったのだ。好き嫌いをするものではない。
 なんにせよ初めて登場するこの「電童」が、初めてこれに乗る小学生の操縦でどこまでやれるのか? それが第1話で描かれている。
 搭乗者は、出雲銀河と草薙北斗の二人だ。自分たちより小さい子供を、敵・ガルファの機獣から守りながら逃げていた二人が、偶然通りかかった町の体育館に隠されていた電童により、偶然パイロットに選ばれてしまう。銀河は熱血少年で、拳法をたしなんでいる、血気盛んな子だ。一方の北斗はおとなしく知的なタイプ。気が合いそうもない二人だが、なんとか敵を撃退しようと試みる。そして二人が乗ったコックピットに貼り付けてあった(なんとガムテープで!)ギアコマンダーを使用して、電童を起動させるのだ。そして地球を護る組織「GERA」の副官である仮面の女性・ベガの指示に従って、戦闘中に歩行訓練から始める二人。敵の機獣を通り過ぎるというギャグまでかましてくれるではないか(ワハハハ)。電童の操縦方法は、操縦者の体の動きにあわせてくれるタイプ。特殊な訓練は必要ないのであるが、技を使おうとするときには、ギアコマンダーに入力してから、電童に指示を与えなくてはいけない。そして二人は初出撃にして、機獣を撃退することに成功する。ここまでが1話の流れ。

 子供がなんで初めて乗るロボットの操縦ができるのかという点は、操縦方法でクリアにしているし、技などもギアコマンダーによる入力式だ。なぜ二人が選ばれたのかについては、正式な回答は劇中にないが、電童自身が、より正義や親愛などの気持ちが強い子供に反応して選んでしまった可能性はある。そして初出撃と初戦闘については、やはりTV版「機動戦士ガンダム」や「マジンガーZ」などと同じような高揚感が感じられる。
 なんといっても電童の両手両足のタービンを使ったアクションがすばらしい。見栄を切ったポーズだと、回転している両手のタービンの反動によって、小刻みに両手が震えているシーンなど見栄えがする。また敵の攻撃を両手のタービン回転で受け止めようとすれば、その接触点で金属同士の摩擦で火花が散る。また両膝を折り、足のタービンで地上を横方向に疾走する姿は、これまでのロボット物で見たことがない迫力をかもしだす。敵の攻撃をよけながらタービンで移動する電童の姿は、「電童」という作品を表現する、メインビジュアルの1つだろう。

 ロボット物の場合、俗に「リアルロボット」と「スーパーロボット」に分類される。これはゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズで登場し、その後定着したロボットアニメの分類である。この分類には諸説あると思うのだが、「ロボットの背景が戦争などで、設定がリアル指向なアニメ」を「リアル」とし、それ以外を「スーパー」とする方法もあるかと思う。ここでは試みとして1つの分類を提案しようと思う。それは、戦闘シーンに必殺技のバンクシーンがないものを「リアル」、必殺技のバンクシーンがあり、見得を切る物を「スーパー」とする、という方法だ。
 「バンク(システム)」とは、同じ作画を使い回すために、それ用の原画をストックしておくことだ。このバンクをうまく活用することで、1話分の作画枚数を減らすことができる。逆に多用すれば相当作画枚数は減らせるが、その回オリジナルのお話の部分は薄くなるという危険がともなう。たとえば「マジンガーZ」のブレストファイヤーの発射シーンや、「コンバトラーV」の超電磁たつまきのシーンなどだろうか。かって「無敵超人ザンボット3」では、富野由悠希(当時は「喜幸」)監督が、再生メカブーストが多数攻撃してくるという話をでっち上げ、これまでの戦闘シーンを組み合わせて、ザンボット3のピンチを描くというはなれ技を見せているが、これはやりすぎな例。電童では、むしろ「勇者シリーズ」や「エルドランシリーズ」での必殺技シーンの趣に近く、その美しく力強く描かれた高レベルの作画に、さまざまなエフェクトが与えられ、アニメを見るものを、最高のエクスタシーに誘ってくれる瞬間だ。

 電童では、以下のシーンでバンクが利用されている。

1.電童やセルファイターの発進シーン
2.データウエポン召還シーン
3.電童自身の必殺技
4.データウエポンによるファイナルアタック

 2のシーンでは、「疾風三連撃」や「閃光雷神撃」などの技の名前が、止め絵にかぶる。この書き文字はボトムズやダグラムの「高橋良輔」監督の手によるものらしい。またデータウエポンの召還シーンなのどでは、当時ではまだ少なかったCGやコンピュータによる作画も採用されており、現在のアニメの過渡期であた様子もうかがえる。だがなんといっても圧倒的な存在感を見せるのは、「1」だろう。

 パイロットの登場シーンこそ省かれているものの、電童の両脇から出てくるブースターを装着、巨大なアームで発進口まで移動させ、チューブ状のトンネルによるリニアカタパルトで海中に射出。海上でブースターをパージすると、電童が吹き上げられた海水の雨の中で空を飛んでいく勇姿がうつる。この発進シークエンスに、英語によるアナウンスがつくのだ。特撮好きにとっては、かつて「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」などで見慣れた光景である。琴線に響かないはずがない。しかも海上に上がった電童が、ブースターをパージして、ふわりと落ちこんだ次の瞬間に上昇する様や、ブースターが両側に割れてゆっくりと落下する様子は、きちんと海水の抵抗と重力すら感じられるではないか。

 さてこのようなバンクシーンにより、電童は魅力的に描かれ、作品の独特な味わいまでも、ある程度方向づけられてしまう。同じように発進する電童でも、回によっては少しショートカットしたりもするし、必殺技が敵ロボットに無効だったりすることもある。こうしたバンクシーンをうまく利用したシーンが続出することで、バリエーションも広がるし、「電童」というロボット自体の多角的な魅力も引き出すことになる。先にも述べたように多用すれば諸刃の剣となるバンクであるが、その利用価値は極めて高い。
 なによりアニメを見ておもちゃを購入したがる子供にとっては、こういったバンクシーンの出来が、おもちゃの売り上げを左右するものだ。どれだけおもちゃの出来が良くても、そのおもちゃがもつポテンシャルを見せてあげない限り、子供にとってもプレイバリューは広がらないだろう。かといっておもちゃにギミックを盛り込みすぎても、番組中で未消化であると、どうしても子供だって見落としてしまうものだ。タイアップの難しさがここにある。ましてやプラモデルの場合など、いわんをやである。「ガンダム」のプラモデルがどうして現在のような素晴らしい商品群に成長したかの理由を考えれば、自明の理であろう。

 その意味では、現在の目で見てもおもちゃに手を伸ばしたくなるような「電童」のバンクシーンである。非常に出来もいいし、なにより単純にかっこいいのだ。まさに合体や必殺技のバンクシーンは、ロボットアニメの華である。いやでも毎回見せつけられるのであれば、こちらも腰を据えて、何度でも付き合おうではないか、そんな気にさせる電童のバンクシーン達である。
 今回はバンクシーンの魅力について話をしたのだが、「電童」という作品の魅力については、まだまったく触れていない。なんせやっと全話視聴できたのが今日だったので、盛り上がってるンよ。そこいらへんはご簡便願いたい。というわけで、次回は「電童」のドラマの魅力について語りたいと思う。よろしくおつきあいの程を。
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