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「ビーストウォーズ メタルス」~その2・これでいいのだっ!~

 メタルス8話で初登場したランページ。その登場があまりに唐突な印象だったのではないだろうか。登場時になぜか自身のスパークをメガトロンに握られており、スパークの周囲に小さな檻のようなものに包まれて、メガトロンがこれごとスパークを握ると、ランページが苦しむというお仕置きができるのだ。この経緯が描かれるのが「映画版ビーストウォーズスペシャル 超生命体トランスフォーマー」(1998)として劇場公開された中の1編「CG版ビーストウォーズ メタルス」という作品だ。なお併映として公開されたのは、「CG版ビーストウォーズ 激突!ビースト戦士」とアニメ版「ビーストウォーズII 超生命体トランスフォーマー ライオコンボイ危機一髪!」の2作品で、「ライオコンボイ危機一髪!」では破壊神マジンザラックとの戦いで危機に陥ったライオコンボイたちに、ゴリラコンボイが時空を超えて駆けつける最大の見せ場で話題になった作品だ。なお「激突!ビースト戦士」は前作「ビーストウォーズ」の終盤の物語を再編集した作品となっている。そのため「CG版メタルス」の冒頭部につながるよう構成されているのだが、物語はないに等しく、面白楽しいシーンばかりで構成されており、これだけでも楽しめる1本だ。

 チータスが発見した大きな救命ポッドは、エネルゴンに激突。その表面には「X」が刻まれていた。コンボイの話によれば、スタースクリームのクローンを使って不死身のサイバトロン戦士を作ろうとした。だがあまりに暴力的であったため、ポッドに閉じ込めて宇宙に流そうとしていたという。そこに急襲するワスピーターとブラックウィドー。戦いのさなかにエネルゴンの暴発によって爆発したポッド。一方爆発によって遠く放り出されたシルバーボルトとブラックウィドーは、ポッドに戻ろうとする道中、その距離を縮めていく。そしてポッドに戻るとそこで二人が見たものは、破壊されたタランスの体と、狂暴なトランスフォーマーであるランページであった。シルバーボルトの危機に駆けつけるコンボイとチータスは、ブラックウィドーと共にランページをなんとか撃退する。身動きできないランページの元にメガトロンがやってくる。メガトロンはランページの不死身のボディを再生し、スパークを取り除いて手中に収める。こうしてメガトロンはまた一人部下を手に入れた。(メタルス劇場1)

<爆誕!パワードコンボイと新たな使命>
 最高潮に危機が訪れた12話を承り、のっけから勝ち誇るメガトロン。やっと駆けつけたメタルスコンボイたちは、破壊された初代コンボイの頭部を修復する作業に取り掛かる。だが修復に当たり、初代コンボイのスパークを取り出さないと危険だが、彼のスパークはサイバトロンのリーダーの証である「マトリクス」と一体化している。マトリクスを体内に引き受けるメタルスコンボイは、その強大なエネルギーに苦しみながら、その体を変化させ、ついにはパワードコンボイへと変化する。追撃してくるメガトロンを、その圧倒的なパワーで撃退するパワードコンボイはメガトロンを追う。メガトロンはランページに指示して、サイバトロン基地である宇宙船の破壊に向かわせていたが、コンボイの活躍むなしく、宇宙船は破壊されてしまう。コンボイは頭部を修復された初代コンボイにマトリクスを返還し、時間は元の流れに修復された。だがいつまたメガトロンが初代コンボイを襲撃するかわからない。パワードコンボイたちは、アークの周囲に破壊された宇宙船の一部を持ちよって新たな基地とし、新しい仲間ブラックウィドーも加えて、新たな戦いに備えるのだった。(13話)

 こうして幕を開けたメタルス後半の怒涛の展開は、ゴールデンディスクの秘密が最大に機能した回でもあり、十重二十重に巡らされたメガトロンの罠が実に小気味良く展開した話だ。どうしても爆笑吹き替えに目や耳を奪われがちではあるが、どうしてどうして、策略家のメガトロンの本領発揮のお話で、その物語の展開にドキドキさせられた。
 この12、13話の連続話で気付くことがある。アークに眠る先代トランスフォーマーたちは、総じて現行のトランスフォーマーたちと比べて体のサイズが大きい。劇中ではサイバトロンとデストロンという呼称で省略してはいるが、実はトランスフォーマーの世界では世代交代が進んでいる中でダウンサイジングが行われていた可能性もある。いや、本作における惑星エネルゴンと呼ばれた地球の生き物にサイズを合わせた可能性もある。ということは、本作におけるメタルスコンボイやメガトロンなどのサイズは、我々人間とほぼ同等ということになる。とするとゴッツンコやらハチやらクモやらは、あまりにでかすぎるので、実物を見たらさぞやきしょい…w

 13話で初お目見えとなったパワードコンボイは、完全に変形トイを意識したデザインで、トランスフォーマーの変形ラインからも大きく外れている。しかも元のゴリラのデザインからも逸脱しているので、これだけ見るともはや何を抽象化しているのかわからなくなるほど。でもビーストウォーズの中で最もメカメカしいデザインの上、4種の変形ができるプレイバリューの大きさで、当時の人気商品だった。ロボット、ビースト、ジェット、タンクの4モードも魅力だが、腕に取り付けられているパーツを取り外して連結し、盾になるギミックが最高にイカしている。変形自体もさして難しさはなく、問題は他のキャラクターのラインナップに比べてあまりに大きいことだけ。ジェットモードの際に現れるコックピットには、トイにはなにも入っていないが、劇中ではスパークが入っている。

 コンボイが初代コンボイを助けるために、マトリクスを取り外して自分に一度収納する場面を見ていると、やはり映画「トランスフォーマー・ザ・ムービー」でのマトリクス継承シーンや、ロディマス・コンボイ誕生のシーンを思い出して目頭が熱くなる。制作サイドもこの映画を一つのエポックと思って、オマージュシーンを入れ込んでいるようだし、筋立てもトランスフォーマーの歴史に手を入れる覚悟の強さが感じられて、やはりこうした製作サイドの気概を見ると、グッとくるものがある。

 13話後半はサイバトロン基地が激戦の舞台となる。ランページが先回りしてサイバトロン基地の土台を破壊し、一度はパワードコンボイによって救われたかと思ったが、ランページの放った一発が決め手となり、基地は半壊しながら谷底へと落下する。だが落下した宇宙船のコックピット部分を移動させ、アークの側に設置。コンボイたちの目的は、アークに再度攻撃を仕掛けようとするデストロンによる歴史の修正からアークを守ることになった。コンボイたちの戦いは、それまで守戦一方であるが、この惑星エネルゴンと呼ばれる地球で、彼らが成すべきことを知らなかったが故の守戦であったから、これ以降は目的もはっきりと見えてくることで、物語の核も見えやすくなってきた。

 前段のお話によって、急接近したシルバーボルトとブラックウィドーは、めでたく
カップリング成立となり、ブラックウィドーはサイバトロンの仲間入りを果たす。裏切り者枠としてのダイノボットの後釜に座ったことになるが、ダイノボットもブラックウィドーも、ともにゴールデンディスクに触れたキャラクターなのだ。原語版でどういう扱いなのかは知らないが、彼らの裏切り行為にディスクの情報が大きく関与していることだけは確かだといえる。少なくても13話でブラックウィドーがアーク内の機器コントロールを担っていることを考慮すれば、ディスクに収録されていたデータには、アークをコントロールする情報が収められていたのだろう。

13話でメガトロンもブラックウィドーも、初代コンボイのことを「コンボイの先祖」という言い方をしているが、前作「ビーストウォーズ」の記事にも示したように、本作に登場するトランスフォーマーたちは、旧TVシリーズに登場したサイバトロン(オートボット)とデストロン(ディセプティコン)とは異なるグループのトランスフォーマーで、サイバトロンはマクシマルズだし、デストロンはプレダコンなのだ。「コンボイ」の名称がかつての英雄の名前として利用されているだけで、直接的な縁故関係があるわけではない。そもそもの初代コンボイの名は、原語では「オプティマス・プライム」であり、本作でのコンボイは「オプティマス・プライマル」という名前なのは、オタやファンの間では有名な話で、このあたりの区別は歴然とある(映画「ビースト覚醒」でも受け継がれている名前)。吹き替えの日本版では、このあたりのややこしさを解消するために、無理やり無視している設定だが、歴史に干渉する時間改変SFとしては、血縁や縁故関係ではなく、サイバトロン勝利の歴史を改変することに、物語の落としどころとしてこだわっておきたい。

こうして新たな仲間も加わり、主人公は盛大にパワーアップして、物語は新たな展開を迎える。前回のお話で指摘し損ねているが、タランスの正体が実はジャガーが忍び込ませていた工作員だったことも驚愕な事実であったが、そんなタランスは、ジャガーが退場してもまだ何をか企んでメガトロンとは別の行動をとっている。まだまだ怪しい不確定要素のままなのだ。これから新戦士も増えて、ますます面白くなっていく。
続く14話はリミックスなので、ここでは無視します。バナナで腹抱えて笑いたい人向けね。声優無法地帯をお楽しみくださいw

<おかえり&はじめまして>
 15話ではさらなる戦士が登場する。デプスチャージだ。彼はプロトフォームXことランページを追って惑星エネルゴアにやってくる。デプスチャージはコンボイと既知であり、彼らを恨んでもいる。デプスチャージはそもそもセイバートロン星のコロニーの警備隊長であったが、プロトフォームXによって壊滅させられたコロニーの生き残りだった。必死の追跡の結果プロトフォームXを追いつめ、ついには逮捕したデプスチャージは、プロトフォームXのスパークを消滅させることを提言したが、セイバートロン星の議会はそれを良しとせず、プロトフォームXはコンボイたちに引き渡された。本来はコンボイたちの手によって宇宙へと流されるはずだったが、メガトロンらのゴールデンディスク強奪と逃亡によって、前作冒頭の事件へと発展したため、プロトフォームXの処分は見送られた上、この事件に巻き込まれてランページとなって解放されてしまったわけだ。デプスチャージはコンボイたちとは相いれないとはいえ、デストロンをこの惑星で追うことになる。続く16話では13話で谷底へ落ちたサイバトロンの宇宙船からラットルがシールド装置を回収する話だが、デプスチャージの突出によって作戦は失敗。シールド装置はデストロンが奪って利用することになる。

 17話ではメガトロンがエイリアンの装置を改変し、ランページのスパークを利用してダイノボットのクローンであるトランスメタルスダイノボットを誕生させる。まるで白骨化した恐竜のような見た目のダイノボット。その誕生を目の当たりにしたデプスチャージとチータスは、装置の核を奪うことに成功するも、チータスは装置に囚われてしまい、異常をきたした装置は大爆発を起こす。ぼろぼろになりながらも逃げ延びたチータスは、装置の余波によって変調をきたし、自分を押さえられなくなっていく。デプスチャージはメガトロンに捕縛されて、抜き取った装置の核のありかを問い詰められるが、そこに現れたのは謎の存在は、雄叫びを上げながらメガトロンたちをねじ伏せていく。続く18話で基地に帰ってきたズタボロのチータスは、夢の中でまで自分の身に起きている変化を恐れていた。デプスチャージを詰問し、チータスに起きた事情を聞いたコンボイは、チータスとともにダイノボットらと接敵。戦闘はチータスがトランスメタルス2へと変化してダイノボットらを撃退。スパークを調整してもとの心を取り戻す。

 19、21話はブラックウィドーがフューチャーされている。サイバトロン陣営に加わったブラックウィドーだが、ラットルらからは相変わらず裏切り者扱いされている。調べてみると、彼女のシェル・プログラムに手を入れることができないため、サイバトロンにマーキングし直すことができないという。コンボイとライノックスの会話を立ち聞きしたブラックウィドーは、サイバトロン基地を逃げ出すが、逃げ出した先でダイノボットと遭遇し戦闘となる。体が破損してもランページのスパークの自己修復機能によりすぐに立ち上がるトランスメタルダイノボットに、次第に追いつめられるブラックウィドーは一計を案じ、救援に来たシルバーボルトを攻撃することで、裏切りをほのめかす。ブラックウィドーの持つアークのアクセスコードを欲しているダイノボットは、一瞬の隙を突かれて撃退。ブラックウィドーのプログラム書き換えは本人の意思次第だとコンボイから聞いたブラックウィドーは、シルバーボルトとともにサイバトロン基地へと帰還する。17話でデプスチャージが捨てたトランスメタル・ドライバーの核を拾ったブラックウィドー。21話では自身をメタルス化するべく奮闘していた。だがシルバーボルトによって邪魔される。これが契機となり命の危機にさらされたブラックウィドーは、シェル・プログラムを中枢回路から切り離す手術を受けることになる。そこにデストロンが攻撃を仕掛けてくる。しかもタランスは彼女のシェル・プログラムに仕掛けを施しており、攻撃によるシステム不全もあり、ブラックウィドーは絶命したかに思われた。しかし怒りに燃えたシルバーボルトの前に現れたのは、トランスメタル・ドライバーの不思議な力によってメタルス化したブラックウィドーの新たな姿であった。

 23話ではエイリアンによって惑星エネルゴンから拉致されていたタイガトロンとエアラザーが、合体した姿・タイガーファルコンとなって登場。度重なるメガトロンの行動によって時空を見出されてきたエイリアンは、タイガーファルコンを送り込み、デストロン基地を壊滅させてしまう。だがかつては仲間であったコンボイと対立し、あくあまでデストロンを追うのは、タイガーファルコンにエイリアンの魂が宿っていたからだ。メガトロンではなく、ジャガーを送り込んできた三長老に従属するタランスは、タイガーファルコンの中にあるエイリアンの魂とともに爆発四散。タイガトロンとエアラザーのスパークを取り戻し、コンボイたちの元へと戻ってくることになる。

 こうして後半になってデプスチャージ、トランスメタルスダイノボット、トランスメタルス2チータス、メタルスブラックウィドー、タイガーファルコン(さらにはドラゴンメガトロンも)と、新キャラつるべ打ちとなっている。「ビーストウォーズ メタルス」はリミックス話2話を含めて、地上波オンエア上では全26話となっている。実質上の最終回は25話なので、先のタイガーファルコンの登場は、終盤も終盤での登場になる。いわずもがな、これはトイの販売促進のための展開なわけだが、それでも物語の終盤にかけても新キャラを出してくる、この商魂たくましいとはこのことだろう。

 面白いことに、すべてのキャラクターの出自が異なっていることで、これまで救命ポッドが惑星エネルゴアに落ちてプロトフォームが周囲をスキャンしてビーストモードを選択して再誕する流れを踏襲せず、むしろそれを逸脱することで物語の展開につなげているのが、「メタルス」のお話の巧みさだろう。前作「ビーストウォーズ」はどちらかといえば平坦になりがちだった新キャラ誕生の物語に、大きな起伏をもたらすカンフル剤こそが新キャラの役割であることを、まざまざと見せつけてくれる。9話のトランスミューテイトのように、機能不全の状態で再誕して、どちらの陣営にも所属できなかったトランスフォーマーの悲しみを描いてもいるので、これもお話として伏線が張られている証拠だろう。特に9話のトランスミューテイトと劇場版1作目のランページ誕生経緯を伏線として、デプスチャージが登場してくる流れや、惑星エネルゴアでの実験を邪魔されたエイリアンが再登場し、前作終盤であれだけの驚異を見せつけておきながら、その後はなしのつぶてだったエイリアンが、かつて自身が拉致してきたタイガトロンとエアラザーを合体させて送り込んでくることも物語として大きな伏線だったデプスチャージがコンボイたちとも相いれない性格設定や、当人たちのスパークを失って登場したタイガーファルコンなどの性格設定も、物語の展開に大きく寄与している。

<人類との絆>
 前段でビーストウォーズの劇場版1作目のお話について触れたが、メタルスに関してはもう1作劇場版が製作されている。デプスチャージ登場編とシールドプログラムの争奪戦を描いた15、16話のあと、トランスメタルダイノボットが誕生する17話の間にある話で、原題で「Cutting Edge」というお話をベースとし、冒頭部にコンボイがメタルス化し、さらにパワードコンボイとなった経緯を手短に説明しながら、キャラクターの紹介までして見せる。本編8話で、メガトロンは人類発祥となった谷を攻撃し、人類の誕生を阻止しようとしたが、その作戦はダイノボットの奮闘と犠牲によって阻まれた。この話で救われた人類は、着々と進化し、村を作って集団生活を営むまでになっていた。それを襲うのは、メガトロンによって機械化された恐竜サイバーラプターだった。そこを救助したコンボイたちは、ブラックウィドーとチータスに命じて、人類の子供ウナとチャックを村に届けさせる。デストロンはブラックウィドーたちを強襲。同じタイミングでサイバトロン基地に攻撃を仕掛ける。ブラックウィドーに芽生えた正義の心がウナたちを守り、基地はデプスチャージの加勢で事なきを得る、というお話(メタルス劇場2)。

 TV版8話以降の物語で話題にならなかった人類が、この劇場版2作目で再び話題になる。しかも20話では、ウナとチャックはサイバトロン戦士たちと顔なじみになっており、この刷り込みが後のアニメ版トランスフォーマーにおける人類とトランスフォーマーの親和につながっていくと思えば胸が熱くなる。同話はエネルゴンを使った強力なディスラプター砲の建設に、メガトロンが拉致してきたウナを使って砲を完成させる話だが、ウナの機転と活躍で事なきをえる話だ。歴史が混乱しそうなお話だが、お話の前段で「てこの原理」をチータスがウナとチャックに教え、それを利用してディスラプター砲を破壊するウナの行動が、後の人類の活動につながるのかと思えば感慨深い。谷で狩猟生活をしていた人類が、やがて武器を作り出し、デストロンにも果敢に立ち向かう姿は、確かにたくましくもあるが、この勇猛果敢さが後の人類の中から消し去ることができない闘争を見た想いもして、心苦しいシーンでもある。我々はトランスフォーマーから戦うことを学んだのだとしたら、ちょっとぞっとする話ではないだろうか。

<恋のさや当て>
 劇場場2作目には、もう一つトピックがある。このお話でウナたちと行動を共にしたチータスとブラックウィドーが急接近しているのだ。チータスがトランスメタルス2になった18話終盤で、チータスのトランスメタルス2化した姿に、もっとも興味を引かれていたのは、ブラックウィドーだった。この時、ブラックウィドーの褒め言葉を、チータスは満足げに聞いていたのだが、ブラックウィドーはそもそもシルバーボルトと恋仲だった。だから劇場版2では、シルバーボルトが始終不満げな表情でしゃべっている。完全にやきもちを焼いているのである。もっとも後にブラックウィドーがトランスメタルス化する21話を見れば、ブラックウィドーがなぜチータスを気にしていたのかはおのずとわかるのだが、少しだけシルバーボルトがかわいそうだと思うのは、なにも筆者だけではないだろう。当のチータスもまんざらではない様子なのだが、この表現や演出が何ゆえ成立するかをひも解くと、最近復刻された「ビーストウォーズユニバース」(ソニーマガジンズ)にもあるように、チータスの性格がティーンエイジャーとして設定されているからだ。先の本によれば、「直情的でいたずら好きな、落ち着きのないエネルギーの毛玉」と表現されている。そしてまた2度のメタルス化によって、血気盛んな若者だったチータスは「以前より強い自負心と独立心をもった”青年“へと、若干の成長を遂げた」と書かれている。そう、この恋のさや当ては、ブラックウィドーのトランスメタルス化による、サイバトロンへの書き換えのみならず、チータスの成長をも促す結果となったのだ。それまでのチータスなら、ブラックウィドーに言い寄られても、相手にもしなかっただろう。だが彼はトランスメタルス2になった経緯を経て、精神的な成長を果たし、ブラックウィドーの異性に反応できるようになった。これを成長と呼ばずして何と呼ぶ。

<倒せ!デストロン>
 さてここからが終盤の盛り上がりとなる。まず22話ではふたたびアークヘと侵攻するデストロン軍団は、コンボイの体内に小型メカを打ち込んでコントロールし、サイバトロンを制圧。メガトロンの目的はコンボイ同様に、初代メガトロンのスパークを急襲してパワード化することだった。まんまと初代メガトロンのスパークと合体しようとしたメガトロンだったが、その様子を見てタランスはクイックストライクを焚き付けて反乱を企てる。苦しむメガトロンをマグマへと沈め、勝ち誇るタランスは、アークの爆破するために自爆装置を起動させる。そこへマグマから現れたのはドラゴンの顔も凛々しいドラゴンメガトロンの赤い異形だった。ブラックウィドーの機転でコントロールを逃れたコンボイはメガトロンと対決。一方アークのデータに従って自爆はブラックウィドーによって解除されて事なきを得る。そしてタイガーファルコンが帰還し、タランスは滅びた23話を経て、最終決戦へとなだれ込んでいく。

 突如としてコンボイがアークの中で手にいれた「契約の書」を読んでいるところからスタート。ビーストウォーズの終結は間近だと告げている。基地の破壊やタランスの死などにより、戦力ダウンしたデストロン軍団。メガトロンはタランスの洞窟へおもむき何をか探し始める。そして見つけた地下道は海へと続いており、メガトロンは巨大な宇宙船を発見する。一方インフェルノとワスピーター、クイックストライクの3人は、人類の村を次の基地とするために攻撃を仕掛けていたが、ワスピーターがこれを拒否したため破壊される。タランスの洞窟へと侵入したコンボイたちは、メガトロンの発見した宇宙船が、かつてアークを撃墜したデストロンの宇宙船ネメシスだと知る。その強力無比の破壊力をメガトロンが手に入れることを阻むため、行動を開始するサイバトロン。すでに斥候として海に潜っていたデプスチャージは、ランページと激しい戦闘となる。エネルゴンをエネルギーブレードに変えながら、互いに一歩も譲らず、一騎打ちの果てに倒れるデプスチャージとランページ。(24話)

 再起動した戦艦ネメシスをつかって地上を砲撃するメガトロンは、ネメシスの中で見つけた「契約の書」を読み上げ、勝ち誇る。一方復活したトランスメタルスダイノボットは、デプスチャージが破壊されたために、デプスチャージのスパークから解放され、異変を感じていた。タイガーファルコンは単身ネメシスに挑むも、ついに力尽き破壊される。タイガーファルコンやデプスチャージの死に、メガトロンへの怒りを募らせるコンボイは、仲間たちと共にアークを使ってネメシスに対抗しようと試みる。メガトロンはネメシスを使ってインフェルノたちが攻撃を仕掛けた人類に攻撃しようとする。だがトランスメタルスダイノボットはかつて人類を守って戦った時の記憶がフィードバックし、メガトロンの攻撃を止めようとする。だがついに攻撃をしかけるメガトロンは、その攻撃でインフェルノやクイックストライクも巻き込んでしまう。さらにネメシスはトラクタービームとフュージョンビームでアークを引き上げて粉砕しようとする。単身突っ込むコンボイは、ネメシスに入り込み、メガトロンに戦いを挑む。ライノックスたちはアークを起動させようとするが失敗。だが戦いの趨勢を卑怯なものとして認識したトランスメタルスダイノボットは、アークに残されたある秘密を、サイバトロンにダウンロードする。防戦一方のコンボイは窮地に陥る中、アークに残されていたシャトルが動き出す。フュージョンビームの発射命令に背くダイノボット。そこへシャトルで艦橋に突入するライノックスの助けによって、ネメシスはついに墜落して破壊。ダイノボットは破壊され、メガトロンは捕えられ、シャトルの背に括りつけられた。こうしてコンボイたちサイバトロン戦士たちはセイバートロン星へと帰還する。地球にはワスピーターが人類とともに暮らしていた。(25話、完)

 こうして大激闘の幕は下りた。よくファンの間で話題になるのが、トランスメタルスダイノボットのことで、本来のダイノボットの記憶を持たないトランスメタルスダイノボットが、なぜダイノボットの記憶を取り戻したのか?が問題になるのだが、これも先述の「ビーストウォーズユニバース」の中に書かれている。じつはロストエピソードとして「DARK GLASS」というお話があり、この話の中で、ダイノボットへ友情を感じていたチータスが、基地に残されていたダイノボットの記憶データのディスクを発見し、トランスメタルスダイノボットに、そのデータをダウンロードしながらも、新旧2つの人格のせめぎあいによって、古い人格が否定されたため、ダイノボットがサイバトロンへ帰艦することはなかった、というエピソードがあったのだそうだ。つまり25話における彼の変節は、ランページの破壊によってランページのくびきを逃れたトランスメタルスダイノボットが、ダウンロードされて残されたかつてのダイノボットの人格を引きもどしたことによって、サイバトロンの正義を取り戻したという話なのだという。

 激戦につぐ激戦は、デプスチャージとランページの相打ちを皮切りに、タイガーファルコンの破壊、クイックストライクとインフェルノの無駄死になど、トランスフォーマーたちの死が描かれている。普段なら再生カプセルに入って元通りになるはずが、すでに基地機能を失ったデストロンにはその機能が失われ、あまりに苛烈な攻撃と戦闘に、2体のサイバトロン戦士が天に召されたのである。アニメ版でもこれほどの死傷者がでる話があった記憶がない。つまりビーストウォーズがどれほどの激戦だったかは、これだけでもお分かりいただけるだろう。ましてや24話のデプスチャージとランページの一騎打ち、ドラゴンメガトロンが誕生した23話でのパワードコンボイとの激闘や25話での戦闘を見ても、本当に盛り上がる迫力のバトルシーンは、やはり見ごたえがある。そして戦いが終わった後のささやかなお笑い要素としての、メガトロンが屋根に縛りつけられたり、人類に崇め奉られているワスピーターの幸せそうな表情と、こうした演出も心憎い。

 これまで何度も書いたが、トランスフォーマーの新シリーズとして始まりながら、どこか独立した雰囲気で観ていたら、あれよあれよという間に最初のアニメ版トランスフォーマーの前日譚だったという秘密が明かされ、時間の流れをひっくり返そうとするデストロンと、時間の流れを守ろうとするサイバトロンという対立構造になった本作は、脇の甘さもありながら、なかなかに激渋なSFを堪能させてくれた作品であった。時間や空間を越える技術(劇中ではトランスワープテクノロジーという言い方か)がどういったものなのかははっきりしないが、少なくても我ら人類よりもはるかに進化したセイバートロン星の科学技術は、人類では不可能とも思える領域を軽く超えてくる技術を持っているのだと、理解するしかない。そして意気揚々とセイバートロン星へと帰還するコンボイたちは、さらなる仰天展開の物語へと足を踏み入れることになる(バナナは無視してねw)。これ以降は次回に譲るが、この興奮のまま今は26話のリミックスで笑わせてもらいながら今はここで筆をおこう。
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
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後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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