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「ビーストウォーズリターンズ」~その2・闘争の果てに~

前回までの話の中で、筆者が引っ掛かった点が一つある。果たしてセイバートロン星に有機体を取り戻す必然があったのだろうか?ということだ。ベクターシグマにしろオラクルにしろ、原初のトランスフォーマーを生み出したわけだが、その事実は惑星から有機体を排除する動きではなかったはずだ。そも有機体の体を持った人類がいたはずのセイバートロン星が、なんらかの事情で機械生命体を生み出し、それが繁栄した結果があるだけで、この過程で有機体を排除する理由はなかっただろう。事実、劇中で示されているように、セイバートロン星の地下には、有機生命体の化石が発見されており、有機生命体はなんらかの事情で絶滅はした。だとしたら、セイバートロン星から有機体を排除したのは、だれあろうトランスフォーマーたちなのだ。つまりこの物語が揶揄しているのは、地球上で他の生物種を絶滅させている人類への批判なのである。

 13,14話の連続話で、コンボイたちがしきりに口にしている「バランス」とは、機械生命体と有機生命体のバランスであり、共存のことである。そう考えを進めると、メガトロンやタンカー(ライノックス)が目指す有機体を排除してこの惑星を支配する、というお題目は、我々地球人類に対する揶揄だし、有機にせよ機械にせよ、有機体を排除することで失われてしまうものがある以上、どちらか単独では生存しえないことになる。メガトロンともあろうものがなぜそんなことに気づかないのか? 筆者は不思議で仕方がない。何より彼らの持つ魂ともいえる「スパーク」の存在こそ、自身の原初のありようは有機生命体である証拠でもあるのに、メガトロンは自分自身から有機体を排除しようと躍起になっている。それは確かにビーストウォーズで持ち帰った有機体の排除ではあるのだが、同時に自分自身のオリジンの否定でもある。そんなメガトロンの自己否定が生み出した欺瞞と醜さが、続く話を紡ぎ出す。

<失われるものと取り戻すもの>
 14話の戦いの結果、一度は敗北したメガトロンは虎視眈々と復活を狙っている。スラストとジェットストームを仲間に引き入れようと説得をしていたブラックウィドーたちに襲い掛かったのは、ワニ型の赤い翼竜サヴェッジだった。サヴェッジから逃げる途中に出会った狼型のトランスフォーマーであるノーブルは、セイバートロン星の悲劇を逃げ切った仲間だと信じたナイトスクリームは彼に同族意識を持つが、コンボイたちと追いつめたサヴェッジは、彼らの前でノーブルへと変身する。(15話)ノーブルはなぜかメガトロンの居城に向かっているが、その目的がわからない。だが失われたスパークを探すために、コンボイらとともにメガトロンの居城へと足を踏み入れる。だがそれこそがメガトロンの罠であり、スパーク回収ケーブルをノーブルに起動させて、ノーブルの体内からメガトロンのスパークを抜き出した。スパークはメガトロンヘッドへと辿り着き、ついにメガトロンヘッドは起動を始め、機能停止していたヴィーコン軍団がまた復活する。(16話)

 ノーブル=サヴェッジはドラゴンメガトロンが変化した姿だったわけだが、メガトロンはこの形態を経て自身のスパークを抜き出すことで、自分の体に残る有機体を排除しようとしたわけだ。ノーブルの狼のような姿が、かつてのメガトロンのどの過程で入り込んだ情報なのかは気になるところだが、どうもドラゴンメガトロンの形態がサヴェッジの姿に似ていることを考えれば、ノーブルの狼の姿は、裏コード的な情報だったのかもしれない。とはいえどうして15,16話の2話もかけるような面倒くさい過程を経ないと、メガトロンは有機体情報を分離できなかったのか?と考えると、これもまた不思議でならない。とはいえノーブルの姿こそメガトロンのスパークに残った最後の良心だとしたら、メガトロンの気持ちは、仲間や部下がいても彼の深謀遠慮は誰にも理解されず、自身の立案する作戦すら成功しないことで、デストロンの中でも孤立していたため、実は臆病で寂しさを囲うキャラクターだったのかもしれない。

 続く17話では、ブラックウィドーの念願かなって、シルバーボルトが復活する。ラットルの開発した装置と有機の泉の水を使い、ジェットストームはついにシルバーボルトのスパークを取り戻す。18話ではシルバーボルトが仲間に戻って沸き立つサイバトロンの一同。だが心浮かない顔のシルバーボルトは、メガトロンに操られたとしても、戦いの快楽に酔っていたことを後悔しているのだ。だが時同じくしてメガトロンヘッドから伸びた機械の触手は、サイバトロン戦士にウィルスを感染させ、仲間割れを起こす。その様子をみてほくそ笑むメガトロンは、コンボイとの対話の中で決定的に決裂する。それはメガトロンが目指す支配という名の調和と、コンボイたちが目指す自由意思による調和は、相いれないということだ。サイバトロン戦士はウィルスを克服する。

 19話は植物型トランスフォーマーであるボタニカが初登場。セイバートロン星に帰ってきたボタニカの乗る宇宙線は、メガトロンの攻撃を受けて墜落。助けに入ったコンボイたちは、最初ボタニカになる前の植物生命体に翻弄されるが、コンボイは生命体をリフォーマットすることでボタニカに戻る。彼女の能力はタンカー軍団を全滅させるほどだが、彼女はコンボイらが育成を始めた果樹園に科学者として専念し、戦いには参加しないと意思表示する。一方でメガトロンは失われたタンカーらの代わりに、新たなスパークを仕込んだヴィーコンを誕生させる。オブシディアンとストライカである。彼らの連携によって追いつめられるコンボイたち。有機体の水に触れたボタニカは、セイバートロン星の悲劇の実態を知り、コンボイたちの危機に駆けつける。そしてスパークを使って悪巧みするメガトロンの野望に立ち向かうことを約束するボタニカであった。(20話)

 19、20話では、本作の最末期に登場するキャラクターがこぞって初登場する回で、前作同様、おもちゃ売らんかなの動機によって最後の最後まで新キャラが登場してくる。正直オブシディアンとストライカのデザインは、先行して登場していたタンカーやスラスト、ジェットストームがどこか多面体的で単純な線で構成されていたことを考えればやけにおもちゃ的で、どう考えてもデザインにおもちゃ屋さんのデザイナーが入って出来上がったものだし、変形シーンがやけに細かく見せていくのも、そのせいではないだろうか。

一方ボタニカは、シリーズ初の植物型のトランスフォーマーであり、表情こそやさしげではあるものの、その姿は異形そのものであり、本作のキャラクターデザインの異質さを、ある意味で代表するデザインではあるものの、本作の最後に登場したキーとなるキャラクターでもあり、有機体を復活させたいオラクルにとっては、願ってもない存在だ。正直メガトロンとコンボイがどちらつかずのボタニカを奪い合う展開も想像していたが、科学者として植物に親しんできた彼女にとっては、機械による支配を目指すメガトロンではなく、果樹園を作ってセイバートロン星に植物を取り戻そうとしていたコンボイの仲間になるのも必然なのだ。その意味でもその立ち位置が揺らがない、わかりやすいキャラクター配置だと言える。そう、これはブラックウィドーやダイノボットのような裏切りの展開や、それによる葛藤などを描いていた前シリーズまでとは明らかに異なる展開で、メガトロンは徹底的に悪として孤立するように設定されてもいる。その一方でブラックウィドーとシルバーボルトの恋人たちが復活したり、ノーブルを生き残りの同志として仲間意識が芽生えるナイトスクリーム、ボタニカがラットルの中が終盤で急展開したりするのとは対照的なのだ。

さてボタニカが有機体の泉に触れたことで、セイバートロン星の悲劇の実態が明らかになった。言葉や台詞ではなく映像として見ると、最大の原因はトランスワープ中に逃げ出したメガトロンが、過去のセイバートロン星にたどり着いたことにより、コンボイらのいないセイバートロン星を蹂躙したことで歴史が改変されたのである。とりあえず劇中のネタ晴らしもなければ説明もないので、そうだろうとしか言えないが、それを想像するだけのネタはきちんと提示されているので、疑う余地はないだろう。だからメガトロンがセイバートロン星に放ったウィルスが、本来どんな効果を持っていたものかを知る由もなく、メガトロンが劇中で使った他のウィルスとの差異もよくわからない。だが少なくても本作の物語の取っ掛かりではあり、なおかつボタニカの行動動機にもなるので、抑えるべきポイントだろう。

<相次ぐ激闘、そして>
21話以降もメガトロンはコンボイたちを罠に掛けては、自分の都合の良いように立ち回り、戦いを有利に進めていく。コンボイたちはメガトロンの行動の真意を測りかね、後手に回るから振り回されっぱなしになる。21話ではメガトロンはコンボイからオラクルのデータを盗むことに執着し、かつてセイバートロン星に繁栄し、今は地下に埋もれたトランスフォーマーの街で、初代コンボイのホログラムの立像に擬態してコンボイに接近する。だがコンボイは逆にメガトロンからトランスフォーマーたちから抜き取られたスパークのありかをダウンロードすることに成功。スパークを取り戻そうと行動を開始する。(21話)コンボイたちはメガトロンヘッドに侵入し、スパークを開放しようとするが、メガトロンは自身の赤いスパークを開放し、その中に他のスパークを取りこもうとする。メガトロンはさらなる進化を求め始めた。止めに入ったコンボイたちをとらえ、彼らのスパークまで抜き取ろうとした時、自身の記憶すら消えたノーブルが現れ、サヴェッジへと変身。自身のコンプレックスでもあるサヴェッジを攻撃するメガトロンだが、逆激に転じたサヴェッジの攻撃と、ナイトスクリームの音波攻撃の最大出力によって、メガトロンヘッドは機能停止に追い込まれる。ノーブルの犠牲によって、コンボイたちもスパークも救われたのである。(22話)だがヘッドから赤いスパークは逃げるように消えていく。赤いスパークは戦勝に浮かれているサイバトロンの前では、破損したメカに乗り移り、攻撃を仕掛けていく。一度はラットルの仕掛けた罠にはまり、赤いスパークは小さなフライイングコンピュータに入ってしまうものの、メガトロンとしてオブシディアンとスラストを引き連れ、ヘッドを脱出する。(23話)こうしてヴィーコン軍団をふたたび掌握したメガトロンは、新しいボディを手に入れる合間にヘッドにいるコンボイに攻撃を仕掛ける。ヘッドのバリアを使って攻撃を防ぐものの、エネルギーは底をつきかける。ボタニカはバリアのために大地から離れたために、機能不全となる。ラットルはボタニカをぽポットで射出して彼女を助けるが、これを契機にバリアの周波数を知られてしまい、バリヤが役に立たない。ボタニカは息を吹き返すが、ヘッドは墜落する。(24話)

そして最後の戦いが始まろうとしていた。墜落したヘッドの中で再度合流したサイバトロンたちは、オラクルによるパワーアップを果たし、地下からのエネルギー供給によって戦闘準備を整えていく。果樹園にドリルマシンで攻撃を仕掛けるメガトロン。ボタニカたちは果樹園を守るためにコンボイたちから離れる。少ない戦力が二手に分かれる。丁々発止の激戦の中、ストライカとオブシディアンを排除。だがコンボイたちの前に現れたのは、かつてのパワードコンボイの体を手に入れたメガトロンの偉容だった。(25話)果てしなく続くかと思われたコンボイとメガトロンの戦いは、少しずつメガトロンに傾きかける。しつらえた玉座を前に、セイバートロン星のコアと一つになり、そこでベクターシグマのキーを起動させて、自らの支配を完全なものとしようと企むメガトロン。だがコンボイが放った攻撃は、身の回りを有機植物へと変えていく。植物のツルにからめとられたメガトロンは、コンボイとともにコアへと落下。こうしてセイバートロン星はリフォーマットされ、花が咲き緑あふれる星に再誕する。そしてコンボイを失った悲しみの中、地平の彼方より走り来るスパークを取り戻したトランスフォーマーたちを見て、チータスはビーストウォーズの終結を確信する。メガトロンとコンボイの2人はセイバートロン星再興の礎となり、こうしてバランスは保たれたのである。(26話、完)

こうして2クールにわたる激闘は幕を閉じた。確かにいい話風にお話は終わっているが、コンボイは死してメガトロンを打倒し、ともにセイバートロン星最高の礎として幕を閉じた。そう劇中でチータスが指摘するように、メガトロンもまた「悪」としての役割で、セイバートロン星は新しい時代を迎えたのである。この話で思い出すのは、漫画「るろうに剣心」にも登場した話で、明治という新時代の到来には、つい勝利者として倒幕派の志士たちが取り上げられがちであるが、負けを引き受けた幕府側の人間たちにも、倒幕派と同等の価値があるという話だ。わかる話ではあるが、そもそも前々作冒頭のメガトロンの反乱と逃亡がなければこの物語が発生しなかった。オラクルはセイバートロン星に有機体を取り戻すためのビーストウォーズだったと語っていることから、メガトロンの反乱もこれに組み込まれているとすれば、必然となる。これはどうこねくり回しても堂々巡りなので、これ以上議論しても意味がないだろう。

さて、本作で結論として示された有機体と機械のバランス(調和)とは、どういう意味だろうか? 2023年現在の世界の状況を見て、自然と人間が平和的に共存しているかといえば、そうだと首を縦に振る人はほとんどいないだろう。失われ絶滅する動物種や植物種は後を絶たず、人間が自然環境をほしいままに蹂躙している姿は、オラクルが危惧するセイバートロン星の姿となんら変わりがないだろう。その一方で自然を取り戻す活動も人間側でしている場合もあるが、その活動が報われるのはいつのことだろうか。たまさかメガトロンという強力な因子がいたおかげで、セイバートロン星はリフォーマットすることができたが、どれだけ人間が自然を破壊しても、人間がメガトロンのようにリフォーマットの役に立つとは思えない。つまりメガトロンが作り出したディストピア的なセイバートロン星の姿とは、人間が自然を蹂躙しつくした未来の地球だと見ることができる。いや、そうなるまえに私たちはコンボイやボタニカのように有機体もとい自然を取り戻すために、行動を起こすべきなのだろう。本作の中盤でコンボイががんばっていた、地下の果樹園が一度は失敗しているのを見ると、それでもあきらめてはいけないと、コンボイが励ましてくれているような気がするのだ。生活するのに手いっぱいな筆者ごときの身で、何ができるわけもないのだが、あきらめてはいけないとコンボイは教えてくれているような気がしてならない。

それにしても最終盤に登場したパワードコンボイの姿をしたメガトロンには、本当に度肝を抜かれた。いやかつて一度はみたので、記憶にはあったのだが、それでもあの偉容を見れば、仰天必至なのは間違いない。しかもコンボイとの一騎打ちの激闘は、前作終盤のパワードコンボイ対ドラゴンメガトロンのバトルを想起させ、やはり胸躍るシーンである。
全体に前作に比べてキャラクターの数を制限し、敵のヴィーコン軍団がコンパチであるがゆえに、敵味方の識別がしやすく、戦闘シーンも見やすいのが本作の特徴でもある。とはいえキャラクターのデザインラインはあまりにヒロイックさに背を向けているような気がして、コンボイとチータス以外のサイバトロンはあまりに趣味に走りすぎな気もするし、ヴィーコン軍団は無機的にすぎておもちゃ的に面白いデザインとは言えない。その意味ではおもちゃ的にもお話的にも従来の「トランスフォーマー」とは一線を画す作品となった。海外ではどの程度の認知度があるかはわかりかねるが、少なくとも日本での認知度は決して高くない。この頃のトイをみても、作品に準拠しているアイテムが少なく、その意味でも扱いにくい作品となってしまい、「ビーストウォーズ」シリーズはトイとしても作品としても頭打ちになってしまったきらいがあるのが残念だ。変形合体ロボットとしてのトランスフォーマーはその後も登場するが、状況が好転するのは実写版映画が登場する2000年代まで雌伏の時を過ごすことになる。

改めてリミックスを含めて爆笑吹き替えで本作を観ると、やはり物語の部分で説明が不足している部分は否めない。それでもなんとか重厚で起伏にとんだ物語の面白さを浮き彫りにしたいと思い、こうして6回にわたって記事を紡いできた。それでもやはり爆笑吹き替えに悩まされながらの楽しい視聴であったことは白状しておきたい。いやもう本当に楽しいのだ。おバカでお下品で。でもこれが楽しいのだから、筆者もおバカでお下品なのだ。さあ、みんなで一緒に叫ぼう。イボンコ、ペッタンコwww
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Author:波のまにまに☆
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ピカード艦長が大好物。
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