魅惑のロボットファンタジー~ダンバイン・ガリアン~

 7月に発売された「ドラゴンクエストIX」。コミケに行けば、ものすごい数のすれ違い通信ができたとか、日常でも1日の電車通勤で数十のすれ違い通信ができて、地図をもっらたとかいう話を聞く。それにしてもこの数たるやすごい。ニンテンドーDSの通信機能で、ゲームに付加価値をつけるのはいまや当たり前のことらしく、遡ればDS初期の「ニンテンドッグス」なんかでもやってたようで。個人的には「どうぶつの森」でのすれ違い通信が記憶に残っている。っていうか、コミケカタログには、毎回このネタが載ってる。今度の冬には「ドラクエ」に変わるんだろうな。
 さて「ドラゴンクエスト」は、ゲームとしてビックタイトルであるし、「魔法と剣」を主軸とする、典型的なファンタジーの世界で展開されるRPGだという。ゲームに疎い筆者にとっては、ニュースなどで流れる、店頭に行列をなすファンの映像のみが脳裏に焼き付いている。一方映画界では数年前にファンタジーの元祖「ロード・オブ・ザ・リング」が公開、先行する「ハリーポッター」シリーズを猛追し、3作目ではついにアカデミー賞を獲得する。この時期にCGの技術が飛躍的に進歩するかたわらで、CGと相性の良い素材としてファンタジーが注目され、「ナルニア国物語」やら「パイレーツ・オブ・カリビアン」など、ファンタジー映画がもてはやされた。その流れの源流の1つが「ドラクエ」であろうし、もう一つは「マジック・ザ・ギャザリング」などのトレーディング・カードゲームやテーブルトークRPGなどのゲームだろう。とかくファンタジーはゲームとの相性がいいらしい。

 ではひるがえって、アニメとファンタジーはどうだろう? その手がかりを、今回取り上げる2作品から模索してみたい。「聖戦士ダンバイン」と「機甲界ガリアン」は、ともにサンライズが製作したロボットアニメである。ダンバインは1983年から、ガリアンは1984年からの放送だ。またダンバインの監督は富野由悠希氏、ガリアンは高橋良輔氏であり、ともにサンライズのロボット物を数多く手がけた監督であり、サンライズにとっては最大の功労者である。その二人がそろってほぼ同時期に、「ファンタジー」という素材を背景に、ロボットものを製作したことは、何かしらの意味が見いだせる。それは「ガンダム」と「ダグラム」で展開した「リアルロボットもの」として包括される作品に対して、すでに新しい道が見いだせなかったことだろう。売れるロボットのデザインをする人間が限られているのなら、せめて背景となる世界観だけは作り込まないといけないだろう、という判断が働いたのではないだろうか?

 またストーリーを取り上げても、二人のファンタジーへのアプローチの違いが見て取れる。「ダンバイン」では、異世界「バイストン・ウェル」というファンタジー世界を仕立て上げ、魔法も剣もある世界に、昆虫に似た容姿のロボットを持ち込んだ。それはファンタジー世界に、「科学」という名の「術」を持ち込むことで、新しいファンタジー世界の秩序を構築しようと試みた。しかしその新たな「術」は、ファンタジー世界と相容れず、ファンタジー世界での物語の破綻をまねく。ダンバインの世界では、中途妖精フェラリオの女王・ジャコバ・アオンにより、バイストン・ウェルにあるすべての機械が、地上に放り投げられる。それにより、バイストン・ウェルの世界で行われてた戦争や企みごとなどの悪しき意識は、地上へ放り投げられることになる。ファンタジーの世界を完全に消し去ろうとすることで、すべての物語に決着をつけ、最後にファンタジーの部分をチャム・ファウという一人の妖精に託して幕を閉じたのだ。

 「ガリアン」では、この世界の中世のような世界、「剣と争い」が主軸となる世界にロボットを持ち込んだ。そのロボットはやはり中世の騎士を連想させる容姿で、甲冑が基本となっている。そんな世界で、国を追われたさすらいの王子が、悪い王様をやっつけて、国を取り戻そうとする、いわゆる「貴種流離譚」の一形態の物語の様子を見せる。しかもこの世界のロボットは、すでにその世界では失われてしまった技術であり、ロボットは発掘物である。また科学技術はすべてこれらの技術に起源を同じくしているという。ところが後半で明らかになる事実は、この世界では失われた技術は、過去の文明人が破棄した技術であり、破棄した文明人は、高度な文明を有する宇宙の連合組織の中核を担う人間達であったこと。またこの世界を征服した王様は、実は罰を受けてこの世界に流された、連合組織の科学者であったのだ。彼がこの世界を征服したのは、ただ元の世界に帰りたいがためであったというオチだ。

 両方の作品ともに、監督の思想が現れているとも言える物語である。だが共通しているのは「ロボット」は、ファンタジーの世界では、外来の技術であることだ。そして本来的にファンタジーの世界は、「ロボット」の存在を受け付けないのだ。またどちらも最終的には、ファンタジー世界は揺るぎない世界観を有しているが、そこに生きる人間達には、罪をかぶせられたような「魂の救済」しか残されていないことだ。「ガリアン」では人間の現在としての闘争心を、自分の生まれ故郷に復活させるために、その罪を背負ったまま、マーダルは故郷に帰る。「ダンバイン」では、すべての争いの種をなくすために、最後の1兵までも殺し合って浄化される世界を描いた。それは「イデオン」で魂となって救済されても、どこかに残された人間の原罪を、あらためて問われたような物語の結末であった。

 つまるとこ、ファンタジー世界を題材にとっても、その世界の中では物語の収拾がつかなくなり、結果として「人間の業」を落としどころとするしかなかったのである。これは画面的な迫力や、これまでのような近未来を設定するような世界観ではない世界で、ロボット物が作れるかという試金石ではあった。だが実態はファンタジー世界とは相容れないロボットが跋扈する世界で、人間側のドラマでたたみ込むしかなかったという事実が浮き彫りになる。「剣も魔法」も関係なし。これは「ドラゴンクエスト」などのファンタジー物の物語と比較するとよくわかる。目的はこの世界に君臨する悪と戦うことだ。だが物語の主軸は、旅をする本人達の装備やパワーアップ、それにまつわるエピソードだ。けっして「戦争」や「王権復活」ではない。冒険そのものに意味があり、悪を倒すのは目的ではあるものの、同時に自分たちのステータスアップのための手段でしかない。つまりここでも「大きな物語」としての役割はなりをひそめ、「小さな物語」が複数に平行して存在し、消費されることにのみ目的を見いだすということになる。まさに「動物化するポストモダン」な語り口となる。

 結論としてファンタジー世界にロボット物は相性が悪い・・・・・と言いたいのだが、実はサンライズは、まさに「剣」と「魔法」と「ロボット」を融合したアニメを製作することで、その答えを改めて問い直すことになる。その作品についてはあらためて取り上げることとする。また同時に「バイストン・ウェル」という世界については、富野監督が愛着をもって作品化している作品群がある。いずれその一端をになう「オーラバトラー物語」がアニメ化されることも期待している。つまりファンタジー世界とロボットという取り合わせについては、まだまだ研究の余地を残しているジャンルであるとも言える。とりあえず今は、現況の映画界に先んじて、ファンタジーに注目していた偉人が、日本のアニメ界にいたことを誇りに思うことにしようではないか。


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