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アニメと特撮の境目~戦え!!イクサー1~

 ここのところ自分でもいやになるほど昔のOVAを見ている気がする。その理由はやはりOVA黎明期にほとんど見ていなかったからだろう。テレビで放映されているわけでもない作品群だから、手を出すにあたっては勝負をするしかない。しかも勝算のない勝負をだ。現在はDVDでまとめて見ることができる。まったくいい世の中になってくれたもんである。

 さて今回取り上げるのは、以前取り上げた「ゼオライマー」同様、平野俊広監督による作品である「戦え!! イクサー1」である。美少女がゲテモノの触手に脅かされながら、地球の壊滅をたくらむ悪の組織と戦う話だ。イクサー1とは、ビッグゴールドが操るクトゥルフという組織に作られた戦闘用の人造人間であるが、ビッグゴールドに反旗を翻し、宇宙を股にかけて戦っている戦士だ。物語は地球に侵攻したビッグゴールドが、その配下のクトゥルフの戦士に、イクサー1抹殺の命令を下すところから始まる。そして人知れず地球を護って戦っていたイクサー1は、加納渚(かのう なぎさ)というイクサー1とシンクロできる唯一の少女と共に、敵を撃退する。これに対してビッグゴールドは、イクサー1に対抗できる人造人間を誕生させる。クトゥルフ達とイクサー1との戦いは熾烈を極める。その戦いの中で、加納渚は戦う意味を見いだして、イクサー1と心を重ねていく、という話。

 物語の開巻当初、加納渚という少女の日常が描かれ、徐々にその日常が犯されていくところが描かれている。理由は彼女はイクサー1がシンクロする少女だからであるのだが、その映像には、まったく理由が描かれない、いやもう立派なほど説明がない。その内ぐちょぐちょした触手をもつ怪物に襲われそうになる渚を、イクサー1が助け出し、なし崩しにバトルシーンに突入する。そうこうするうちに、敵ロボットが地球に飛来する。町を蹂躙するロボットに、見かねた地球防衛軍が虎の子の秘密兵器「Fuji1号」を繰り出してくるが、見事なほどに役に立たず、撃墜されてしまう。そしてイクサー1はイクサーロボを登場させ、敵ロボットを撃退する事に成功する。
 その戦闘シーンにはかの「渡辺宙明」先生の音楽がかかる。そこまで音楽担当の名前がわからないにもかかわらず、一発で宙明先生の楽曲であるとわかるそのすごさ。筆舌に尽くしがたい。

 平野監督は、やりたいことをやりたいようにやっているように見える。それにしてもこの特撮作品へのオマージュの捧げ方は尋常ではない。渚が襲われるシーンでは、「仮面ライダー」やら「怪奇大作戦」などで、何も知らない市井の人々が襲われるシーンに酷似しているし、イクサー1のレーザーブレードは、だれがどう見たって「宇宙刑事シリーズ」だろう。ましてや宙明サウンドが後押しをする。また異空間に突如として放り込まれた渚が、次々に襲われる場面で、理由もなく問答無用に場面転換するのは、「宇宙刑事」シリーズではよく使われた手法だ。そういう意味では、彼女が襲われる理由がまったく描かれる様子もなく襲われる事実は、受け入れやすいのだ。
 イクサー1が倒した相手の縁故者が、次の敵になるというのは、「忍者もの」ではよく使われる手法だ。「仮面の忍者赤影」や「忍者キャプター」の脚本家だった伊上勝氏にとっては、十八番の展開だ。そして防衛軍の「Fuji1号」の発進シーンやその装備には、「ウルトラシリーズ」などの円谷特撮や、「ゴジラ」シリーズの東宝特撮の影響が伺える。あのパラボラ式のメーサー殺獣光線など、もう笑うしかない。

 ビックゴールドは、イクサー2という第2の刺客を送り込む。衣装はイクサー1のものを黒くしたイメージだ。そしてイクサー1の妹だという。そしてイクサー1を倒すためだけに存在しているというではないか。口笛を吹くような曲に乗って登場するイクサー2。
 「私を甘く見るなよ、イクサー1」
 「立て、私は弱い奴が嫌いだ」
 「それでこそお姉様、殺し甲斐がある」
 ハカイダーじゃん!
 まごう事なきハカイダーの写し身がそこにいるのだ。もう絶句である。ウィキを読むと、平野監督はイクサー2をハカイダーのイメージでデザインしたといっているらしいが、イメージもへったくれもない、まんまやんけ。

 ただこうした特撮オマージュだけがこの作品の見るべきところではない。それは特撮でなにが表現されてきたか、逆に特撮ではなにができなかったのかを明確に書き分けられているということだ。現在ではCGなどの映像技術により、その差はだいぶ埋められているようだが、この「イクサー1」が製作された20年以上も前の時代では、これが限界だったのだ。
 まずクトゥルフの怪物たちの触手表現だ。このヌメヌメとした溶液をたらしながら、グネグネとのたうつ触手の表現は、特撮で表現するのは難しかったはずだ。まあそれを実写でできたとして、よろこび勇んで活用するのはアダルト方面だろうけど。
 球形のエネルギーに囲まれて渚が落下するのを防ぐシーンなどは、これも特撮ではできまい。落下の状態からエネルギー球体の中で人間の体の姿勢を変えるということは、現在のワイヤーアクションでもやりにくいだろう。
 そしてイクサーロボと融合する渚が、なんの理由もなく全裸になるところは、やはり特撮では手を出しにくい範疇だろうと思う。イクサーロボ自身も、間接から除く接合パイプ類が、やけに触手チックであるので、こうした表現もなかなか特撮ではやらないだろう。随所にグロい表現がなされているが、ロボットだろうとクトゥルフだろうと、容赦なく切り刻むイクサー1である。切り刻んだ切断面には、すべてグチョグチョな映像がはさまれる。これも特撮ではむりな表現だ。

 こうやって見ていくと、「イクサー1」という映像そのものは、特撮とアニメという映像表現の境界線にあり、その2つの架け橋になっている作品として見ることもできる。逆説的に言えば、それは今後特撮が目指す映像表現の方向性を目指しているし、アニメはこれからも特撮の手法やカメラアングルをいくらでも取り込むことができる。残念ながら活躍の場がなかったFuji1~3号も、もう少し尺がもらえたならば、大活躍するシーンが見られたかも知れない。せめて1984年「ゴジラ」に出てきた「スーパーX」程度の活躍があってしかるべきであったろう。こうした指向性は結果的にガイナックス作品の十八番となっていくし、「学園特捜ヒカルオン」なんていう、どうみてもまんまな企画ものまでOVAとして制作される温床となる。

 もう一つ特筆すべきは宙明サウンドの完成である。イクサー1そのものは1985~87年の制作だ。そのころ渡辺宙明氏は、「宇宙刑事シャイダー」の楽曲を完成させ、「巨獣特捜ジャスピオン」「時空戦士スピルバン」と、「ギャバン」から数えて5年続投する。その最末期がイクサー1の音楽制作期に相当する。これ以後特撮作品からは離れてくのだが、その一方で平野監督は次作「ダンガイオー」でも起用することになる。イクサー1の楽曲のモチーフは、スピルバンやジャスピオンにも影響されているようで、耳になじんだ人ならすぐにわかる。ある意味でこの時期に宙明サウンドは完成の時を迎えたといって言い。その後も仕事を続ける氏の音楽には、やはりこれをと求める声が大きいのだろうか、やはりすぐにそれとわかるモチーフで作られているが、けっして色あせることはない。近年多くの作曲家達が物故する中、いまだに現役である渡辺宙明氏には、まだまだ現役でがんばってもらいたい。

 なんにしても、「絵」でも「音楽」でも「表現」でも、見る者を飽きさせずに引っ張り込む本作の魅力は尽きない。今ではすこしくどいと思われがちな、平野監督のキャラクターと、奥様の垣野内成美さんの作画も、大張正己氏の書くロボットアクションも、当時は最先端の映像だったはずだ。やはりタイムラグなくこれを見ておくべきだったと、反省することしきりである。私にとっては、胸の奥につかえた小骨のような作品だ。今のこの時期を逃してはいけないような気がして、心が急いているのを感じる。


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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
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アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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