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池田憲章さんとアイアンキング

 右のプロフィールをご覧いただければおわかりのように、そもそも私は特撮オタクである。最近のブログはアニメを主体として書いているせいもあって、自分でも時折忘れそうになるのだが。小学生低学年までは、一般の子供達同様、浴びるようにこの手のテレビを享受してきたが、成績が下落しはじめた中学年ぐらいから、母親の教育的指導により、テレビが見られなくなる。このころオンタイムでの視聴はほとんどできていない。唯一残された視聴方法は、母親が帰宅するまでに、夕方の再放送を見ることぐらいであった。またその時間は夕餉の支度もあり、母親も大目に見てくれていたからだ。ところが夕方の再放送がなくなると、私の中の特撮成分やロボットアニメ成分が欠乏していく。やがて中学2年ぐらいになると成績もだいぶ安定し、かなり自由にテレビを見ることができたので、オンタイムの視聴も可能になったのだが、その間の欠乏感を埋めたのは、アニメ誌やムック本だった。

 特に老舗「アニメージュ」や「アニメック」がお気に入り。私が特に好きで愛読していたのは、アニメック誌上で展開していた、池田憲章さんによる「日本特撮映画史 SFヒーロー列伝」の連載記事だった。現在でも本誌を所蔵し、持っている記事はすべてコピーをして、何度も読み返した。昔の特撮作品のスチールを掲載したり、その記事を読めるなんて事、当時ではほとんどかなわなかった。だから夢中で読みあさっていた。そして行く内に池田憲章さんの名前を幾たびも拝見することになる。たとえば朝日ソノラマ(なくなっちゃったけど)のファンタスティックコレクションシリーズや、徳間書店のロマンアルバムシリーズ、そして「宇宙船」誌での特集記事の数々だ。特撮好きの多くは、こうした記事たちに支えられて、やや考古学的なアプローチでこの道に進んだ人も多いのではなかろうか? だからビデオなどがまだ高価であったり、レンタル店でもなかなか並ばないマニアな作品だったりと、直接的な視聴は叶わないまでも、こうした池田さんや(毎度申し訳ないが)氷川竜介さん(別名をいくつもお持ちであるので、知らずとも触れている可能性が高い)、会川昇さん(ライター時代の彼の書きぶりは、やや高圧的に感じた)などが書かれたアニメや特撮の記事で、こうした作品群に間接的に触れていたのだ。

 だからその期待は、現在のようなDVDでかなりの作品が視聴できる時代まで、持ち越しとなる。そして小金をもった大人になることで、それは現実としての悲劇を呼び起こした。

 私の場合、その悲劇は「アイアンキング」のDVD-BOXを買ったときに発生した。
 大学院を卒業し、東京の企業に就職し、それなりに小金を持ち出したころだ。まだ時代はLDが全盛の時代だ。大学時代にプレイヤーはなくてもキカイダーのLDーBOXを購入した経験を持つ私は、小金の魔力によりLDプレイヤーを購入し、時代の便利さを謳歌していたのだが、やがてDVDへの変革の時代がやってくる。そしてついにデジタルリマスターによるウルトラシリーズのDVD化と同時にプレイヤーも購入し、ついに我が家にもDVD時代が到来する。もちろん私のソフト購入力は衰えをしらない。だからつい新宿の紀伊国屋の1Fで見つけた「アイアンキング」のDVDーBOXに手を出したとしても、だれもそれをとがめることはできないだろう。遡ること数年前、すでに隔月刊となっていた宇宙船誌上で、池田さんは、アイアンキング特集をぶち上げていたのだ。おぼろげな記憶、そして郷愁。なんとも表現しづらい想いの中で、ビデオレンタルにもならばない幻の作品として、紹介されたその記事は、特撮フリークであった私の脳裏に焼き付いた。そしてその熱き池田さんの筆致は、作品を全肯定しているし、何より作品を評価する美辞麗句に満ちていた。それはいつかソフト化したときに見てやろうという気持ちを喚起させる、その記事を読んだ私には、まるでチャームの呪文がかかっているかのように見えたのだ。そして悲劇は、アイアンキングのDVDを見た、その夜に起こった。

 あれ? そんなにおもしろいか、これ(笑)?

 この感想自体は、ある意味誤解なのであるが、当時の私にとっては、まだアイアンキングの魅力を理解できるほどの脳みそがなかったのだ。派手な光学処理のウルトラシリーズや、それこそ派手なアクションとスーツを見せるメタルヒーローシリーズに慣らされた私にとって、アイアンキングの良さを理解するには、まだ修行が足らなかったのである。だから同時に、宇宙船の記事を書いた池田さんを、ついに嘘つき呼ばわりしたことも白状しておく。それほどまでに期待を裏切られたと思い込んだのだ。

 アイアンキングは、1972年から約半年にわたって放送された特撮ヒーロー番組だ。製作は宣弘社、放送はTBSである。
 物語は日本制服をねらう組織と戦う、国家警備機構の凄腕、静弦太郎と霧島五郎のコンビの話である。本編のヒーローはあくまで人間の弦太郎であるが、それをサポートするのが、霧島五郎の変身するロボット・アイアンキングというわけだ。アイアンキングの活動時間は1分間、それも活動後には多量の水の摂取が必要となるから、戦闘後の霧島五郎は、いつも水筒や川の水をがぶがぶ飲んでいる印象がある。なにより印象が強いのは、軽妙な弦太郎と五郎のやりとりだ。当世の大スターであった石橋正次さんと、かつての日活スターの浜田光夫さんのコンビである。現在の特撮がぽっと出の若手俳優が演じるのとは明らかに異なるその演技は、見る者をぐいぐいと物語に引き寄せる強い力を感じる。役者の力量により作品が左右されることを、あらためて実感できるだろう。そんな芸達者な二人が、日本中を珍道中しながら、悪を倒していく股旅もののスタイルも珍しい。そして特筆すべきは、ゲストで登場する女優たちが、彼らに絡むことで、ドラマに深みを与えていることだろう。こればかりは同時代の人間でなければ納得しづらいだろうが、岡崎友紀さん(なんたって18歳)や坂口良子さん、ウルトラマンAの南夕子役だった星光子さん、仮面ライダーの緑川ルリ子を演じた森川千恵子さんなどが出演し、時には弦太郎に冷たくあしらわれ、時に五郎に同情され、やがて弦太郎とのラブロマンスを演じていた。
 なにより弦太郎たちの敵となる組織がまたハンパではない。日本の先住民族の末裔であり、現政権を打倒しようと企む「不知火族」、不知火一族が倒れた後に現れ、同じく現体制を打倒する目的の「独立幻野党」、そして虫型に巨大化する「宇虫人タイタニアン」だ。特に不知火族については、全26話の脚本を担当した佐々木守さんの思考が、もろに出ている。先住民族である不知火族が、現政権である大和民族に打倒され、迫害された歴史観は、ウルトラセブンの「ノンマルト」にも通じるものだ。そういった自分のアイデンティティを不確定さを露呈させた物語は、「ウルトラQ ザ・ムービー」にも通じるところがあり、現代社会になじめなくなった先住民族の末裔たちは、星の光の中へ帰って行くというストーリーが、何か割り切れないゆがみを感じさせながら、さわなやか余韻を残す物語として完成させていくことになる。
 特撮フリークはどうしても特撮部分にこだわりがある。だからアイアンキングというタイトルを見たときに、ウルトラマンのようにアイアンキングが颯爽と登場し、あらゆる技を駆使して敵ロボットや怪獣と戦うものだと思い込んでいた。だが実態は、なんら決め技もなく、必殺技もないようなアイアンキングが、弦太郎による敵怪獣の退治を待つためだけに、巨大怪獣を押さえ込むだけであったのだ。これこそ本作のプロデューサーである橋本洋二さんのねらいであり、冒険であったのだが、私にはその意味が正確に理解できなかったのだ。まったくお恥ずかしいし、青いと言わざるを得ない。

 いまでこそ主人公二人の軽妙なやりとり、敵組織に見えるほの暗い脚本家の思惑、弦太郎の無類のかっこよさなど、見るべきところをわきまえれば、本当に楽しめる作品であることをわかってはいるが、いまから10年ほど前には、むしろ宇宙船の記事を書いた池田憲章さんを逆恨みし、DVDを奥の方にしまい込んだものだし、「池田憲章にだまされちゃいかん」などと吹聴していたものだった。池田さん、ごめんなさい。それほど池田さんの文章には惹かれるものがあるし、ある意味で本編よりもそのすばらしさを雄弁に語る筆致には、ほかのライターの皆さんにはない魅力であると、いまでは考えている。

 そんな私の思いを代弁するように、小黒裕一郎さんがご本人が主催するサイト「Webアニメスタイル」にて、池田憲章さんに関する記事をお書きになっている。

http://www.style.fm/as/05_column/365/365_210.shtml

 そもそもこの記事は、小黒さんが毎日1つのお題を設定し、その作品について書かれている。小黒さんがご自身で見てきたアニメ作品の思い出や、現在ソフトで見直したりした記事が楽しく書かれているので、毎日欠かさずチェックしているHPである。
 今回は池田さんについて語られている記事であるが、「原稿に力がありすぎる」というのは、上記のような実体験をもつ私としては、非常に実感できる言葉である。まさにそのとおりであり、時に作品を超えてしまうほどのパワーに満ちている。それはおそらく作品への「愛情」だろう。小黒さんは「作品へのラブレター」と書かれているが、本当にそうだと思えるのは、先の「SFヒーロー列伝」を読み返して思う事だ。この記事の書き方について、アニメック誌上で池田さんが語っていたことがある。まず制作スタジオを訪れ、残っている脚本やフィルムをチェックしてから原稿に望むのだという。アイアンキングのような26話の作品でも、98話もある「仮面ライダー」でも、その手順は変わらないという。その作品への思いがあふれすぎて、1回で終わる予定の原稿が、数回になってしまったこともあるのは、やはり原稿の締め切りに、チェックが間に合わなかったせいだろう。手間が変わらないのなら、原稿に起こす時間にまで影響することは自明の理である(ライターとしてどうか?という話は別にして)。やがて隔月の連載になってしまうのだが、それでも我々読者は、池田さんの研究熱におびた記事を楽しみに待っていたのである。

 わたしがこうしたブログを書くきっかけの1つは、間違いなく池田さんの「SFヒーロー列伝」である。このように作品を地に足をつけて見て、その感動を不特定の誰かに伝えられたらという熱をおびた想いが、確かに存在する。アイアンキングも小黒さんの記事も、そんな自分の執筆動機を再度思い出させるきっかけになってくれた。ありがたいことだ。

 ええと、池田さん、嘘つき呼ばわりしてごめんなさい。
 願わくば、あの「SFヒーロー列伝」が、どこかの雑誌で再開し、また1冊のムックとなってくれることを、切に願っている。アニメック掲載当時には、なかなか難しかったようであるが、まだ無理なのであろうか?


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コメント

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No title

アイアンキングに関しては池田さんの「列伝」と、切通さんの「怪獣使いと少年たち」で先に知識があったので楽しく見ることができました。
現在の世界=現体制に支配された世界、
現体制(支配者)を倒そうとする者達=悪の組織、
現体制(支配者)を守ろうとする者達=正義の味方、
正義の味方=現体制(支配者)の番犬。
という図ができてしまう、
だからこそ、弦太郎と五郎のコンビは超兵器も持たず、組織の支援も権限も無く
相手と比べても決して有利ではない、最低限の戦力で戦うヒーローになった。
そんな趣旨でしたか。個人的には大好きです。
やはりヒーローは助けを得られず、孤独に戦って巨大な悪に
勝利してほしいと願ったりします。


No title

ヒーローは孤独ですよね。その異能故に孤独であり、誰も頼ることができなくても一人で戦う姿というのが、ヒーロー像の1つのあり方だとおもいます。でもね、アイアンキングに関しては、書物で読んでおきながら、最初は理解できなかったっていう、まぬけなお話。なさけないね。

SFヒーロー列伝復活したらバロム1やイナズマンなどもやってもらいたいですか?

No title

アミーゴ今野さま

 コメントありがとうございます。
 復活して連載を再開してほしいというより、当時の紙面を復刻して、1冊にまとめてもらいたいなとは思います。
 アニメックのバックナンバーを古書店で買いあさっておりますが、それでも初期のいくつかや、アニメックとなる以前の雑誌における連載などは、現在なかなかお目にかかれないので、どうにか読んでみたいなと。

 連載当時は、ビデオが出始めのころではありましたが、それでも現在のようにDVDやネットで映像が見られる状況ではなかったゆえに、貴重な誌面だったと思います。池田先生が今書くのであれば、どんな記事になるのかは気になるところではありますが、その役割はおのずと異なることでしょう。でも作品に込められた熱量を伝えていることは間違いなく、いま読みなおしてもその熱量は失われてはいないと感じます。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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