「機動戦士ガンダムZZ」におけるモビルスーツの取り扱い

 理由もなく、なんとな~くガンダムネタが続きます。
 さて「機動戦士ガンダムZZ」という作品を聞いて、どんな印象をもつだろうか? いわく「Zガンダム」の後番組。いわく妙にコメディなガンダム。いわくシャアやアムロが出てこないガンダムなどなど。それもどちらかというと、あまりいい印象ではないのではなかろうか?
 この夏にNHKーBSで放送された「ガンダム宇宙世紀大全」でも取り上げられたように、「ガンダムZZ」は宇宙世紀0088の物語。0087に始まった「機動戦士Zガンダム」の後日談に相当する。背景だけを簡単に説明すると、地球連邦軍内部でティターンズとエウーゴの2派に別れて戦った内乱と、それに乗じたアクシズの三つ巴の戦い、いわゆる「グリプス戦役」が「Zガンダム」の戦いである。諸悪の根源となったティターンズの頭目・パプティマス・シロッコがカミーユの手で倒されたことにより、グリプス戦役は終結する。このとき地球連邦政府にはすでに統治能力はなく、混乱した地球圏に堂々と乗り込んできたのが、ハマーン・カーンが率いるアクシズあらためネオ・ジオン軍だ。エウーゴの残党となったブライト率いるアーガマは、地球圏の治安維持を目的に、ネオ・ジオン軍と交戦状態に入る。ネオ・ジオン軍は地球にまで手を伸ばし、和平を名目に実質地球はハマーンに屈服する。ところがネオ・ジオン内部でも内乱が発生する。その反乱の頭目であるグレミー・トトは、ハマーンが準備していたミネバの変わりの傀儡だったはずが、ザビ家の血がそうさせたのか、反乱に踏み切ることになる。ZZガンダムを得たアーガマ隊は、ハマーン軍とともにグレミーたち反乱部隊を鎮圧する。その後ZZガンダムのパイロットで覚醒したニュータイプであるジュドーは、ハマーンと一騎打ちを演じ、これを倒すことで戦争は終結する。これを第一次ネオ・ジオン抗争と呼ぶ。まあ、ほとんどの人が釈迦に説法だろうけど、一応おさらいね。

 物語世界に没入すれば、この時代のモビルスーツ(以下、MS)はアナハイム・エレクトロニクスによるMS生産が主流だった0087の時代に、ネオ・ジオン製のMSが加わることで、様々なMSたちが跳梁跋扈する時代となった。特にネオ・ジオン製のMSの多くは、ニュータイプ用に特化されたり、形状を人型に特定しないもの、試作機が戦場に投入されたものまであり、そのバラエティさは0087の時代以上に花開いてみせる。
 逆に物語を離れた視点で見ると、戦争物語に始終し、ロボットものとしての見せ方を失った前作「Zガンダム」の反省点を踏まえ、よりロボットものらしく、よりプラモデルを売るために、数々のMSが生まれてきたといっていい。それはMSV(モビルスーツ・ヴァリエーション)というプラモデルでしか展開していない機体が画面に登場したり、後半のタイガーバームコロニーで、旧型の水陸両用MSが活躍するシーンでも顕著に表れている。だが「ガンダムZZ」に登場したMSたちは、まるでカンブリア爆発のような勢いをもって画面に登場し、消えていったのである。特にネオ・ジオン系列のMSには、デザインだけでも話題に事欠かないものが多い。

 ネオ・ジオン系列のMSの特徴は、内蔵武器だろう。手持ちのビームサーベルなんかも使用するが、ミサイルポッドやメガ粒子砲を内蔵しているタイプが多い。「ズサ」は物語初期にマシュマーが騎乗していたので、覚えている人も多いだろう。ずんぐりむっくりした機体ながら、内蔵したミサイルポッドに加え、オプションパーツにまでポッドをくっつける過剰さだ。この過剰なほどの武装は、手足にオプションをつけて戦闘をこなした「ザク」系列とはまったく異なる設計思想になる。単眼なのは同じだが、これだけでもネオ・ジオン系列のMSが、ジオン軍のものと異なることがわかる。この「ズサ」は、背部にブースターをつけることで、単独での大気圏突入能力を持つ。この能力も過剰だ。しかもこの変形パターンは、アーガマ隊にあった「メタス」の変形によく似ている。ということはグリプス戦役後に、アナハイムからネオ・ジオンに鞍替えした技術者がいた可能性だってある。

 「ガザ」シリーズは、アクシズ時代にとりあえず数をそろえるために製造されたMSと言われている。コンセプトは技術力を見せつける変形に、最低限の機能を搭載させることのようだ。しかも手足がついていながら、その利用はあくまで補助的であり、武器を操るためのものとは思えないほどの簡素なものだ。ズサの時同様、手足で武器を操るのではなく、内蔵武器をあたかも武装しているように見せかけているといってもいい。それはくしくも「足なんて飾りです」と言い切った、あのメカマンの思想が乗り移ったかのようだ。つまり内蔵武器は手足の役割を軽視するということでもある。
 
 ネオジオン初の合体変形MSとなったのが「バウ」だ。腰を接点に、上半身のバウアタッカーと下半身のバウナッターに分離変形し、飛行形態で2機で移動。合体変形も簡素でスムーズな機体である。確かに一見するととげとげしていたり、モノアイなのだが、上半身であるバウアタッカーの変形機構や胸回りのデザインは、見事なまでに「Zガンダム」のそれにそっくりだ。しかも頭部を引っ込める機構がないため、顔がむき出しのまま変形している。先の「ズサ」が「Z計画」と呼ばれるアナハイムの変形MS開発の過程で生まれた「メタス」の応用だとしたら、この技術者は「Z計画」の途中でネオジオンに参加した可能性が出てくるではないか。

 「ドライセン」や「ザクIII」は、かつてのジオンの主力MSである「ドム」と「ザク」の発展型であるのだが、これも内蔵武器に依存している。確かに近接格闘の際、至近距離での内蔵武器にはたまげること請け合いだろうが、それ以前にライフルやサーベルを器用に操るアナハイムのガンダムシリーズなどにふところに入られたら、その時点でアウトである。事実ラカン・ダカランはジュドーのZZガンダムを追い詰めておきながら、内蔵武器を使用できないまま負けているではないか。どうにもこの内蔵武器は、ジオン系技術者の敗戦の怨念としか思えなくなってきた。

 終盤に出てくる変形MSで「ジャムルフィン」というMSがある。これに搭乗する3人のネオジオン兵士は、あたかも往年の「黒い三連星」のごとく、3機一組で攻撃する。まあネタが割れてしまえば、ジュドーほどのニュータイプは、あっというまに撃退してしまいます。さてこのジャムルフィンだが、そのフォルムはほかのどのMSとも似ていない。そのフォルムは、言ってしまえばメガ粒子砲に手足と顔をつけただけ。ここでも手足の軽視が効いてます。ただジャムルフィンが変形したモビルアーマー形態ですが、どことなく「0083」に出てきたGP-01Fbのコアファイターに似ている気がする。特に足が変形した翼部は、前後をひっくり返すと、あのコアファイターによく似ている。アナハイム系技術者の換骨奪胎かと思わせる。いやこれはあくまでネタですがね。

 強化人間専用機として登場した「ゲーマルク」。あの陽気なお姉さん、キャラ・スーンが搭乗し、キュベレイMk-IIに撃墜されてしまう。このMSはこれまでの内蔵武器の集大成となっており、膝に仕掛けられたビームサーベルを持つ以外の機能は、手にない。手の形状も親指以外が簡略化されており、ぬいぐるみ感が増している。

 そしてプルツーが搭乗した悲運のMS「クインマンサ」。ニュータイプ専用機の最終形態として登場し、キュベレイの持つファンネルコンテナを有し、その巨大(39.2m)な体躯はサイコガンダムを想起させる機体となっている。だがようく頭部を見て欲しい。この頭部はZZガンダムに酷似しているではないか。ネオジオン技術者が、ニュータイプ専用機の代名詞であるガンダムを素材にとった可能性が見受けられる。それはガンダムに敵対するものとしての役割で登場したはずだ。プルツーが乗らなければ、ハマーンが搭乗していたかも知れない機体。そこにはハマーンのジュドーへの想いがあったのかもしれない。

 リゲルグやガズアル・ガズエルは、1年戦争末期の悲運の名機であったゲルググの改修機だ。大戦末期の名残がまだ残っている上、グリプス戦役時の「ガルバルディベータ」とは違うと言わんばかりの運用だ。裏を返せば、ゲルググの金型の修正でプラモデルを売ろうとする魂胆も見えてくる。

 しかしこうした数々のMSが、その後の第二次ネオジオン抗争に登場した機体には、ほとんど影響を与えていないことが、残念でならない。どうも第一次抗争のあとに、このネオジオン技術者はいずこへ出奔したのではないだろうか? シャアの乗るサザビーには、多少なりとも内臓武器への期待が残されているようだが、ほとんど見てくれだけで、アムロには毛ほども影響がなかった。そう考えると、ZZガンダム含め、この頃のMS開発の裏にある、技術者の暗い情念だけが、MSの形をなして登場したとしか思えないMSたちだ。ZZだってハイパービームサーベルなんか、ほかのMSが持っているところを見たことがないし、ハイメガキャノンも同様だ。MS開発競争のあだ花、それがこの時代のMSの本当の姿なのかもしれない。

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矢尾一樹岡本麻弥

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テーマ : 機動戦士ガンダム
ジャンル : アニメ・コミック

コメント

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ちょうどZガンダムの最終回を先日みてました。 

最後の余りの急展開ぶりに久しぶりに見て驚きました。 

あの頃のMSは結構好きです。サイコ2のファンネルとか奇抜なのがいいですね。
ビットでしたっけ?うろ覚えすいません。

No title

サイコガンダムマークIIの場合、リフレクターピットといいます。これは敵のビーム攻撃をピットのリフレクター板でうけて、それを増幅させてビームを反射する兵器です。トンデモですが、元ネタはやはり「宇宙戦艦ヤマト」の「反射衛星砲」でしょうね。無茶ですよね。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
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戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
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